作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)

腰椎圧迫骨折慰謝料

交通事故での腰椎圧迫骨折の慰謝料とは?相場は?計算方法は?

腰椎圧迫骨折の慰謝料は?

交通事故腰椎圧迫骨折を負ってしまった…
被害者は入院や通院など、精神的に辛い思いをします。
その際、気になるのは「腰椎圧迫骨折慰謝料はもらえる?」といった点です。

  • 腰椎圧迫骨折の慰謝料とは?
  • 腰椎圧迫骨折の慰謝料相場は?
  • 慰謝料を簡単に計算する方法はある?

など、不安なこともたくさんありますよね。
今回は、「腰椎圧迫骨折の慰謝料」について詳しくみていきましょう。


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交通事故の腰椎圧迫骨折とは?慰謝料はもらえる?

腰椎圧迫骨折とは?

交通事故に遭った際、腰椎圧迫骨折を負うことがあります。

腰椎圧迫骨折とは、外部から圧迫するような力が加わり、脊椎の椎体と呼ばれる部分がつぶれてしまうことです。

腰椎圧迫骨折が多く発生するのは、

  • 第11~12胸椎
  • 第1腰椎の胸腰椎移行部

です。

軽微な交通事故でも、腰椎圧迫骨折を負った際は、「骨粗鬆症」が原因となっているようです。
特に、骨密度が低下している高齢者の方は、腰椎圧迫骨折を負いやすくなります。

治療法

腰椎圧迫骨折の治療法は、

  • 保存療法
  • 手術療法

が挙げられます。

保存療法では、腰椎圧迫骨折の保存治療で大切なのは、とにかく安静にするということです。

保存療法の方法としては、

  • 硬めのコルセットで固定する
  • 極力体を動かさないようにする

などが挙げられます。

骨折後、1ヶ月程度は骨折部が変形しやすくなっています。
硬めのコルセットでしっかりと固定し、骨が動かないようにします。
状態によっては、安静状態を保てば、3~4週間程度で治ることがほとんどだそうです。

腰椎圧迫骨折は場合によっては、手術を要する場合もあります。
重大な交通事故によって、腰椎圧迫骨折の中でも腰椎破裂骨折をしてしまうことがあります。
腰椎破裂骨折を負った場合は、神経を傷つける恐れもあり、緊急手術が行われることがあります。
手術療法は、椎体形成術と呼ばれ、骨折した骨の中に人工骨を挿入し、骨が固まるまで、上下の椎体を金属で連結するという方法です。

他にも、つぶれてしまった骨にセメントを流し込んで短期間で固める「経皮的椎体形成術(PVP)」いう方法もあるようです。
もっとも、手術を行っても骨の骨密度自体を改善できるわけではありません。
骨粗鬆症を患っている方は、引き続き骨粗鬆症に対する治療を継続する必要があります。

腰椎圧迫骨折の痛みや後遺症は?

上記では腰椎圧迫骨折について、詳しくお伝えしました。
では、腰椎圧迫骨折の痛みや後遺症についてみてみましょう。
腰椎圧迫骨折を負うと、以下のような症状がみられます。

腰椎圧迫骨折の症状
  • 疼痛
  • 側胸部痛
  • 側腹部痛
  • 下腹部痛

など、多方面に渡る障害が考えられます。
また、すべての痛みが併発するというわけではなく、事故によって様々です。
交通事故で腰椎圧迫骨折を負った場合は必ず病院を受診するようにしましょう。

病院を受診した際、診断方法としては、

  • レントゲン検査
  • CT検査
  • MRI検査

などが挙げられます。

なお、骨粗鬆症などを患っている方は、当該骨折が今回の事故で発生したものなのかを慎重に判断する必要があります。

腰椎圧迫骨折の後遺症は?

後遺症とは、ケガの治療後に完治せず残ってしまった、症状や障害一般のことをいいます。

腰椎圧迫骨折の中でも、骨折の程度が大きく「腰椎破裂骨折」に至った場合、骨片が脊柱管内に押し出されてしまいます。
骨片が押し出されることで、脊髄を圧迫してしまうこともあります。
その場合、運動や感覚の麻痺を起こす可能性が考えられ、場合によっては歩行障害などの後遺症が残存するケースもあります。

腰椎骨折の後遺症としては、主に脊椎の変形障害が考えられます。

他にも、

  • 胸腰部の可動域が制限される脊柱の運動障害
  • 骨折部位に痛みが残る神経症状の後遺症
  • 腰椎破裂骨折の場合には、脊髄が圧迫され麻痺する後遺症

なども考えられます。

交通事故の腰椎圧迫骨折で慰謝料はもらえる?

交通事故によって、後遺症が残ると、被害者は「後遺障害の認定手続き」を行います。
後遺障害認定後、後遺障害等級が認められると、被害者は等級に見合った自賠責保険金を受け取ることが可能です。
後遺障害認定の手続きについては以下の記事をご覧ください。

後遺症の等級は1~14級までで、等級ごとに認定基準が定められています。
残存する症状が重大なほど、数字の低い等級になります。
腰椎骨折の等級は、症状によって大きく異なることがあります。

脊柱の変形障害では、後彎または側彎の程度や脊椎固定術・椎弓形成術の実施の有無が大きく関係します。
後遺障害等級としては、6級~11級の認定がされる可能性があります。

脊椎圧迫骨折、脊椎椎固定術又は項背腰部軟部組織の器質的変化による胸腰部の可動域の1/2以下の制限により8級2号が認定されます。
また、骨折部位に痛みが残った場合に局部の神経系統の障害である12級13号が認定されます。
場合によっては、14級9号が認定される可能性があります。

腰椎破裂骨折に伴う脊髄損傷により身体の麻痺が残ってしまった場合、麻痺の範囲と程度により1級~12級の認定の可能性があります。
以上の等級は、残存している後遺障害によって変わります。
下記の表も参考にご覧ください。

腰椎圧迫骨折の後遺症の等級
脊柱の変形障害 運動障害 神経障害
等級* 6級~11 82 1213号、または149
備考 後彎または側彎の程度や脊椎固定術・椎弓形成術の実施の有無が関係する 脊椎圧迫骨折、脊椎椎固定術又は項背腰部軟部組織の器質的変化による胸腰部の可動域の1/2以下の制限 骨折部位に痛みが残った場合に局部の神経系統の障害

*必ずしも記載の等級になるとは限りません。

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腰椎圧迫骨折の慰謝料相場は?簡単に計算する方法は?

腰椎圧迫骨折の慰謝料相場は?

腰椎圧迫骨折など交通事故の慰謝料の計算方法は、3つの基準によって異なります。

  1. ① 自賠責基準
  2. ② 任意保険基準
  3. ③ 弁護士基準

ご自身で計算する際も、この基準に即して計算することになります。
それぞれの基準をみていきましょう。

①自賠責基準の慰謝料

自賠責基準とは、加入が義務づけられている「自賠責保険」から支払われる保険金額を算出する際の基準です。
「自賠責保険」は、被害者の損害を最低限度保障するための保険です。

自賠責基準の賠償額は、必要最低限の保険なので、3つの基準の中でも低額なものになります。

後遺障害がないときは、治療関係費・休業損害・慰謝料を合計して120万円までしか補償されません。
自賠責保険による入通院の計算は以下の計算式でもとめます。
計算式は以下のようになっています。

4,200円×「治療期間」or「実通院日数×2」

自賠責保険で、入通院慰謝料は1日に付き4,200円と定められています。
治療期間は、事故から完治した日、または症状固定日までの全日数のことを指します。
実通院日数は、入院日数と実際に通院した日数のことをいいます。
「治療期間」と「実通院日数×2」の少ないほうを慰謝料4,200円とかけて計算したものが、入通院慰謝料です。

また、後遺障害による損害は、

  • 慰謝料
  • 逸失利益

に分けられ、限度額は認定された等級により異なります。

以下の表では、自賠責の後遺障害慰謝料額を確認しましょう。

等級ごとの後遺障害慰謝料額
等級 慰謝料額
1級* 1600
1 1100
2級* 1163
2 958
3 829
4 712
5 599
6 498
7 409
8 324
9 245
10 187
11 135
12 93
13 57
14 32

*介護を要する後遺障害

最終的な限度額は慰謝料だけでなく、逸失利益の損害を合わせた金額になります。

②任意保険基準の慰謝料

任意保険基準とは、各任意保険会社が慰謝料などの損害賠償を提示する際に用いる基準です。
自賠責基準はあくまで最低限度を保障する基準です。
任意保険は義務ではありませんが、自賠責の基準を超える部分の支払に備えて、多くの方が自賠責保険とは別に任意保険に加入します。
自賠責基準の賠償額では、実際に裁判などで支払いを命じられる額を賄えないケースもあります。
任意保険は自賠責を超える部分をカバーするためのものなので、任意保険基準は自賠責基準よりも高くなります。

多くの場合は、自賠責で賄えなかった賠償額は加害者側の任意保険から支払われます。

任意の自動車保険と自賠責の関係

任意保険基準は、保険会社ごとに基準が異なり、かつ非公開とされているので、詳細はわかりません。
かつては各任意保険会社共通の基準が存在し、現在もその基準が基礎になっていると考えられています。
まず、入通院慰謝料は、入院と通院に分けて慰謝料が定められています。
任意保険の入通院慰謝料は、日額4,200円と定めている自賠責基準とは異なり弁護士基準と同じ定め方です。

もっとも、定め方は弁護士基準と同様でも、基準は弁護士基準に比べるとかなり低い金額になっているようです。
任意保険の入通院慰謝料基準を表で確認しましょう。

任意保険の入通院慰謝料基準
月数 通院慰謝料 入院慰謝料
1 126,000 252,000
2 252,000 504,000
3 378,000 756,000
4 479,000 958,000
5 567,000 1,134,000
6 643,000 1,285,000
7 706,000 1,411,000
8 769,000 1,525,000
9 819,000 1,625,000
10 869,000 1,701,000
11 907,000 1,777,000
12 932,000 1,840,000
13 958,000 1,890,000
14 983,000 1,928,000
15 1,008,000 1,966,000
16以降 毎月25,000加算 毎月38,000加算

上記の表がそのまま適用されるのは、実通院日数が月平均10日以上の場合です。
実通院日数がそれに満たない場合は、表の基準から減額補正されてしまいます。
具体的な減額割合はおおよそ以下の通りです。

傷害慰謝料の通院実日数による減額補正
  1. ① 月平均の実通院日数:1〜4日
    減額補正:1/3〜1/2に減額
  2. ② 月平均の実通院日数:5〜9日
    減額補正:1/2〜2/3に減額
  3. ③ 月平均の実通院日数:10日以上
    減額補正:なし

しっかり通院をしていなければ慰謝料が減らされてしまうので注意が必要です。
また、上記の基準は交通事故に多いむちうちや打撲・挫傷などのケースを想定して作成されています。
骨折・脱臼等の場合は、計算結果×1.1、 脳挫傷・内臓破裂等の場合は、計算結果×1.2となります。

重症の場合には上の表から増額補正して慰謝料が算出されます。

続いて、後遺障害慰謝料をみていきましょう。
任意保険基準の後遺障害慰謝料は、自賠責基準に若干上乗せした程度の金額になります。
こちらも表で確認しましょう。

任意保険の後遺障害慰謝料基準
等級 任意保険基準
1 1300
2 1120
3 950
4 800
5 700
6 600
7 500
8 400
9 300
10 200
11 150
12 100
13 60
14 40

③弁護士基準

弁護士基準とは、弁護士が慰謝料などの損害賠償を交渉する際に用いる基準です。
弁護士基準は、過去の裁判例をもとに弁護士会がまとめたものであり、裁判の場でも用いられているため裁判基準とも呼ばれます。
弁護士に依頼して、保険会社と交渉すると、弁護士基準ベースでの慰謝料の支払いを受けられます。
弁護士基準は、三つの基準の中で最も高額な基準となっています。

弁護士基準での入通院慰謝料は、日弁連交通事故相談センターによる「損害賠償額算定基準」に掲載されている算定表に基づきます。
その書籍を「民事交通事故訴 訟損害賠償額算定基準」といい、表面のカバー全体が赤色であるため、通称「赤本」と呼ばれています。
弁護士基準では、自賠責基準の2倍以上の金額になることもあります。

また、後遺障害の慰謝料についても、自賠責基準と任意保険基準との差は歴然としています。
表で確認してみましょう。

後遺障害等級と慰謝料
等級 慰謝料
1 2,800
2 2,370
3 1,990
4 1,670
5 1,400
6 1,180
7 1,000
8 830
9 690
10 550
11 420
12 290
13 180
14 110

※慰謝料の単位は万円

ご覧の通り、自賠責基準や任意保険基準よりも大幅に高くなっています。

自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準を図で比較すると以下のようになります。

慰謝料金額相場の3基準比較

ご自身で弁護士基準で慰謝料を請求することは可能ですが認められることは困難です。
弁護士基準の慰謝料を請求する場合は、弁護士に依頼して示談するようにしましょう。

腰椎圧迫骨折の慰謝料を簡単に計算する方法を紹介

被害者が保険会社と慰謝料を交渉すると、相場水準を大幅に下回る金額が提示されます。
しかし、弁護士が示談交渉に介入することで弁護士基準に近い金額まで慰謝料(示談金)を増額することが可能です。
では、腰椎圧迫骨折を負った被害者自身が慰謝料を弁護士基準でいくら貰えるのか気になりますよね。

慰謝料の他にも示談金の内訳には、様々な項目が含まれます。
いろんな項目を合わせて、ご自身がいくら受け取ることができるのか気になるかと思います。
以下の「慰謝料計算機」では、

  • 入通院慰謝料
  • 後遺障害慰謝料
  • 休業損害
  • 後遺障害逸失利益

などを含んだ示談金の一部を計算できます。
ご自身がいったいおおよそいくらもらえるのか気になる方はぜひご利用ください。


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弁護士プロフィール

岡野武志弁護士

(第二東京弁護士会)

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。


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