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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
小学5年生が起こした自転車事故で、損害賠償額9500万円…。
数年前、このようなニュースが流れました。
通常、自転車事故の損害賠償額は相手方の怪我が重傷になりにくいこともあり、ここまで高額にはなりません。
一方で、過去にはこれ以上の額が請求された自転車事故があったことはご存知でしょうか。
実際の事例を見て、自転車事故の損害賠償についての不安を解消しましょう。
目次
数年前、自転車事故により加害者の少年の母親に約9500万円の損害賠償を命ずる判決が出たことが話題になりました(神戸地判 平成25年7月4日判決)。
何故、自転車事故でこのように高額の損害賠償額が認められたのでしょうか。
まずは自転車事故の損害賠償の仕組みについて解説します。
主な損害賠償の内訳は、以下のようになっています。
治療関係費 | 治療費 | 入通院のために病院に支払った費用 |
---|---|---|
通院交通費 | 通院のために必要な交通費 | |
付添費 | 入通院の付添看護の費用 | |
入院雑費 | 入院中にかかる雑費 | |
慰謝料 | 傷害慰謝料 | 傷害を負った精神的苦痛への補償 |
後遺障害慰謝料 | 後遺障害が残った精神的苦痛への補償 | |
死亡慰謝料 | 死亡した精神的苦痛への補償 | |
物損 | 物損 | 事故で損壊した物品の損害 |
逸失利益 | 休業損害 | 治療中得られなかった収入 |
後遺障害逸失利益 | 治療後得られなくなる収入 |
これを、先ほどの損害賠償額約9500万円の事例で確認してみましょう。
298万2471円
入通院した病院での治療費のうち、被害者らが負担したもので、事故と因果関係があるものが認められました。
具体的には社会保険から支払われたもの・事故前から患っていた糖尿病の治療費などは含まれていません。
なし
今回の事故では請求されていません。
実際には、通院に公共交通機関を用いた場合などの交通費は全額補償されます。
109万2000円
被害者の入通院に関し、介護などの付添が必要であった場合はそれにかかる費用も支払われます。
この事故では、被害者が植物状態になってしまったという重い症状に鑑み、付添費が認められました。
27万3000円
入院に際し支払った日用雑貨費や通信費などです。
入院日数1日につき、一定額支払われます。
この事故では、182日間の入院につき上記の額が認められました。
300万円
入通院日数や傷害の程度に応じて支払われます。
この事故では182日間の入院、植物状態のまま意識が戻らないという重い傷害から、上記の額が認められました。
2800万円
後遺障害の重さを示す後遺障害等級に応じて支払われます。
この事故では、植物状態・四肢が動かないという重篤な後遺障害について要介護1級が認定され、それに基づく慰謝料も認められました。
なし
被害者が死亡した場合、家族構成や家庭内の地位によって支払われます。
この事故では、被害者は死亡していないため支払われていません。
なし
交通事故によって車や建物などの物品が壊れた場合、その損害も補償されます。
この事故では被害者は歩行中だったこともあり、物損は請求されていません。
143万4160円
交通事故の入通院により、得られなかった収入の補償です。
被害者は主婦で収入がなかったため、当時の全女性の平均月額賃金である月23万6400円を収入とし、入院期間182日ぶんとして計算されています。
2190万4918円
後遺障害によって労働能力が喪失したため、治療後に得られなくなった収入の補償です。
この事故では労働能力は100%消失、労働能力喪失期間は10年ぶんとして計算されました。
将来の介護費 3938万6420円
重い後遺障害が残りその後もずっと介護が必要になる場合など、将来に必要となる介護費が認められることもあります。
今回の事件では、平均余命23年ぶんの介護費が認めれています。
以上が、損害賠償額が9520万7082円となった自転車事故の損害賠償の内訳です。
実は、自転車事故の損害賠償の最高額は前述の事件ではありません。
9500万円よりさらに高額の損害賠償が認められた例として、以下のようなものがあります。
一般道路を使用して行われたスポーツ系自転車競技で、自転車走行中の参加者が路上にいた被害者に激突、被害者が死亡した事例
損害賠償額:1億484万4905円
この事件では、被害者が死亡したため上記の後遺障害慰謝料、逸失利益、将来の介護費などは含まれていません。
ですが被害者が会社の代表取締役社長で収入が多いという特殊な事情があります。
よって1億円以上の休業損害が認められたため、このように高額になったのです。
以下のような事情があると、自転車事故であっても損害賠償額が高額になる傾向があると言えます。
これらの事情が無い場合の自転車事故の損害賠償額は、数百万円ほどで収まることが多いです。
実際、自転車事故の損害賠償額が500万円を超えることはまれです。
実際に自転車事故の損害賠償請求を行うときに利用できる保険には、以下のようなものがあります。
保険名 | 自分の損害 | 相手の損害 | |
---|---|---|---|
自転車保険 | 〇 | 〇 | |
自動車保険などのオプション | 人身傷害補償保険 | 〇 | × |
自転車傷害特約 | 〇 | × | |
個人賠償責任特約 | × | 〇 | |
TSマーク付帯保険 | △ | △ |
*具体的な商品名・補償範囲は各種保険会社によって異なる
これらの保険に加入しておくことで、交通事故によって生じた自身の損害につき保険金を受け取れます。
また、相手方を怪我させてしまった場合の賠償責任などについて補償してもらうこともできます。
なお、保険によっては「業務中の事故は対象範囲外」「通院だけでは保険金は支払われない」などの留意点があります。
より細かな保険の補償範囲については、以下のページを参照してください。
損害賠償額確定までの簡単な手順は、以下のようになります。
治療費などを先行して支払ってもらえる場合を除き、基本的には損害額が確定してからの請求・支払いになります。
実際の保険会社とのやりとりは時間をとられ、煩雑なことが多いため弁護士に一任することも選択肢の一つです。
示談や裁判により損害賠償額が確定しても、相手が保険に入っておらず支払いが滞る、という場合もあります。
そのようなときは、強制執行などの手段をとり、加害者の財産を差し押さえることも可能です。
それでも加害者に財産が見つからなかったり、自己破産してしまい損害賠償を回収できなくなることもあります。
残念ですが、こういったことは起こりえます。
なるべく損害を補償してもらえるよう、自分自身でも保険に入っておくことが重要です。
今回の記事をまとめると、以下のようになります。
自転車事故だからといって、損害賠償額が安くなるとは限りません。
実際には慰謝料など、弁護士に依頼をすることで2~3倍以上の増額が見込める場合もあります。
適正な損害賠償獲得のための手続きや金額の見積もりは、是非交通事故に詳しい弁護士にお任せください。
アトム法律事務所ではLINE・電話での無料相談を受け付けています。
自転車事故でのお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。
(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。
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