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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
自転車事故の慰謝料計算方法を知りたいという人は多いでしょう。自転車は身近な乗り物なので、自転車事故にあうリスクは誰もがもっています。自分や周囲の人がいつ自転車事故の被害者になってもおかしくないのです。自転車事故の慰謝料について、知っておくべきポイントをまとめました。適正な慰謝料を受けとるためにもぜひ最後まで読んでみてください。
今回の記事では、これらの疑問や、被害者になってしまった際におさえておきたい3つのポイントを紹介します。
自転車事故に関する相談のなかで、「加害者が自動車を運転していたか、自転車を運転していたかで、慰謝料の差はありますか?」という質問を受けることがあります。裁判で、自動車と自転車の違いを理由に、加害者からの慰謝料が増減されたという話は聞きません。
慰謝料は、最終的に受け取る示談金の一部です。実際にかかった治療費や通院費は、別途受けとることができます。これも、自動車事故と同様です。
注意したいのは、保険です。自動車の運転者には、被害者救済を目的とした「自賠責保険」への加入が義務付けられています。しかし、自転車の運転者に対して加入が義務付けられている保険はありませんし、各自転車運転者への加入保険については、法律はなく、自治体の「条例」に委ねられています。
義務 |
仙台市、相模原市、金沢市、埼玉県、京都府、名古屋市、 鹿児島県、静岡市、大阪府、滋賀県、兵庫県 |
努力義務 |
福岡県、千葉県、東京都、鳥取県、徳島県、熊本県、愛媛県 |
義務化が決定 |
足立区:2020年1月 |
2019年4月1日時点
繰り返しますが、裁判で認定される慰謝料の金額は、自動車か自転車かということを理由にした違いはありません。しかし、加害者が自転車事故に関する保険に何も加入していない場合、賠償金は全額が加害者の個人負担となります。
慰謝料は、事故内容やケガの程度にもよりますが、高額になることも十分考えられます。支払いが困難になった結果、加害者は自己破産をし、被害者は適切な慰謝料を受けとることができなくなることもあります。
警視庁のホームページで公開されている「平成29年における交通死亡事故
の特徴等について」では、自転車関連の交通死亡事故を起こした被害者の保険加入率を示しています。
損害賠償責任保険等の加入が確認された自転車運転者は約60%にとどまった。
引用元:https://www.npa.go.jp/toukei/koutuu48/H29siboubunnseki.pdf
あくまで死亡事故の加害者の約60%であり、自転車保有者全体の割合ではありません。実際は、6割を切っている可能性もあります。被害者自身も保険への加入しておく方が安心です。
先ほども解説しましたが、自転車の運転者には、一律で加入が義務付けられている保険はありません。つまり、「加害者が自転車」の自転車事故においては、慰謝料を計算する方法が限られています。
自転車事故 | 自動車事故 | |
慰謝料計算 の基準 | 任意保険 弁護士基準 | 自賠責保険 任意保険 弁護士基準 |
運転者の 保険加入義務 | 一部あり* | あり (自賠責保険) |
慰謝料の相場は弁護士基準で計算すると最も高くなることが見込めます。そして、「慰謝料」と「ケガの治療費」などは別ものです。交通事故の被害者への賠償内容の代表例は以下のとおりです。
被害者が死亡していない限り、「死亡慰謝料」は該当しません。死亡の場合は、後の「重傷の場合」で解説していますので、そちらをご覧ください。
まず、入通院慰謝料をみてみましょう。一覧は以下のページで確認できます。ダウンロードもできますので、ご確認ください。
たとえば、入院なし・通院2か月であれば、36万円が入通院慰謝料となります。通院2か月とは、通院開始日~通院最終日までの期間を指します。稀に、期間中の通院頻度が低い場合は、実際に通院した日数を3倍した日数を「通院期間」とすることもあります。
後遺障害慰謝料について確認していきましょう。医学的な治療を継続した結果、ケガそのものは治っても、今後治療を続けても治る見込みのない後遺症が残ってしまうこともあります。この判断のタイミングを症状固定といいます。
症状固定を経て、後遺障害がのこっていると思われる場合は、医師に「後遺障害診断書」を作成してもらい、後遺障害等級認定の申請をします。後遺症が「後遺障害である」と認められたら、障害の程度によって1級~14級までの等級に分けられ、等級に応じた後遺障害慰謝料が支払われます。
後遺障害の認定を受けることは簡単ではありません。後遺障害等級認定は書面審査です。被害者が自身の後遺障害について、きちんと伝わるような資料をそろえたり、書類の書き方に細心の注意をはらっておきたいところです。準備期間確保のためにも、後遺障害等級認定の申請を検討している方は、早めに弁護士へ相談・依頼をするとよいでしょう。また、申請にあたっては、以下の関連記事も参考にしてください。
後遺障害等級認定の流れと方法
逸失利益とは、事故の被害にあわなければ得られたと思われる将来の利益を指します。
就労可能年数は、原則67歳までと考えられています。高齢者の場合や、職業によって変わります。死亡事故による逸失利益については、次の記事でより詳しく解説していますので、参考にしてください。
先ほど示した被害者への賠償内容の例をもう一度みておきましょう。
先ほど解説していない死亡慰謝料を確認していきます。
一家の支柱 |
2,800万円 |
母親・配偶者 |
2,500万円 |
その他 |
2,000万円~2,500万円 |
金額は目安であり増減することもある
この情報は、通称・赤い本と呼ばれている「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」に記載されています。裁判でもつかわれる基準です。
次に、入通院慰謝料をみてみましょう。先ほど紹介した軽傷の場合とは異なる表で計算します。以下のページからご確認ください。
入院1か月・通勤2か月の場合は、98万円となります。この場合も先ほどの例と同じく、稀に、期間中の通院頻度が低い場合は、実際に通院した日数を3.5倍した日数を「通院期間」とすることもありますので、注意しましょう。通院頻度は、慰謝料だけでなくケガの治りにも関連するでしょう。医師とよく相談して進めてください。
慰謝料の計算なら、慰謝料計算機がおすすめです。情報を入力するだけで、自動で慰謝料の計算ができます。
2013年、自転車と歩行者の衝突事故が起きました。加害者は小学生で、その母親に対して9,521万円の損害賠償請求が認められたというニュースが話題になりました。この事件がきっかけとなり、自転車保険の必要性について、議論が盛んになり、事故が起こった兵庫県は、日本で初めて自転車保険の加入が義務化されました。
損害賠償額が高くなったのは、被害者の後遺障害等級が最も高い1級と認定されたことや、息子に対する母親の監督責任不履行が認定されたことなどがあげられます。
交通事故の発生から示談までの大まかな流れをイラストに示しました。まずは事故にあったら、以下を確認しましょう。
先ほど解説しましたように、特に、加害者が自転車の運転者であった場合、保険加入状況はかならず確認しましょう。きちんと損害賠償できるのかは、保険の加入有無によって大きく変わります。必ず事故直後の確認が必要です。
示談を通して、慰謝料を含むすべての損害賠償額(示談金)が決まります。ケガの治療費などもふくみますので、基本的には「ケガが治ったタイミング」が示談交渉のスタート時期です。
加害者が自動車の運転者である場合は、任意保険に加入している場合も多く、やりとりは加害者側の任意保険会社の担当者となります。しかし、加害者が自転車の運転者だった場合、そもそも加害者が保険に加入しているかという確認から必要です。
もし加害者側から示談金を提示された場合、その金額には何の根拠もないかもしれません。そのまま示談を取り交わすと、後からの変更は原則できません。ですので、弁護士に相談しておき、適切な示談金の金額を算出しておきましょう。
示談において被害者・加害者で意見が対立しやすいのが、過失割合です。過失割合とは、お互いの過失の度合いを割合で示すものです。この割合に応じて、加害者から支払う賠償額が減額されます。それは、交通事故は、被害者側に何らかの落ち度があることが多いという考え方によるものです。もちろん、被害者の過失が0という状況もあります。
この過失割合は、事故の状況に応じてある程度パターン化され、公表されています。実務で最も使われるものは、「判例タイムズ」と呼ばれる本に掲載されています。(書籍の正式名称:民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準)。
「判例タイムズ(2014年・全訂5版)」は、自動車と自転車、自転車と歩行者など、事故の加害者・被害者の属性別に過失割合を示しています。しかし、「自転車と自転車」の過失割合は掲載されていません。自転車同士の事故の過失割合については以下のようにも考えられています。
この類型については基準化されていないが、対等な関係にある物同士の事故ということで、四輪車同士の事故の基準を参考としつつ、自転車の特色を考慮して検討されている。
引用元:「交通事故損害賠償法 第2版」北河 隆之(2016年)
過失割合については、これまでの判例をふまえた検討が必要といえます。交通事故解決の実績・経験が豊富な弁護士であれば、これまでの事例をもとに、より具体的な解決までの道筋が描けそうです。
加害者が自転車の運転者であった場合、自動車と同水準の慰謝料が発生するにもかかわらず、被害者救済の制度が確立されていません。また、自転車同士の交通事故においては、判例タイムズなどの「過失割合の参照先」も明確ではありません。どんな根拠を示すのかという交渉力が試されます。示談交渉の専門家である弁護士への相談・依頼がよいでしょう。
アトム法律事務所は、24時間365日無料相談を受け付けています。「法律事務所に行く時間がない」という方もいらっしゃるでしょう。LINE相談も可能です。一番負担の少ない方法で、ご利用ください。
自転車利用については、スポーツ競技化やエコの観点から関心が高まっています。一方で、マナーが追いついておらず、ながら運転や改造自転車による事故も発生しています。加害者が自転車の運転者である場合、加害者に賠償金を支払うことができるか、適正な慰謝料支払いを受けられるかがポイントでしょう。また、受けとる金額次第では、弁護士に依頼することで費用がかかり、いわゆる「費用だおれ」のケースも発生するかもしれません。一度、費用のことも含めて弁護士に相談することをおすすめします。
(第二東京弁護士会)
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。
自動車・自転車などの加害者の<乗り物の違い>だけを理由にして、裁判で慰謝料が減額されることはないでしょう。ただし、相手方が加入している保険には注意が必要です。自動車の運転者には強制加入の「自賠責保険」がありますが、自転車の運転者には、法律で定められている強制加入保険はありません。自転車を運転する加害者が個人で保険に加入していなければ、慰謝料の受け取りが困難になる恐れがあります。 加害者が自転車保険に未加入の時は
損害賠償の内訳としては①入通院慰謝料②治療費③後遺障害慰謝料④逸失利益などがあげられます。後遺障害慰謝料と逸失利益については、一生懸命治療を続けても何らかの後遺症がのこり、後遺障害認定されれば求めることができます。もちろん、壊れた自転車の修理費用等の物的損害も請求対象です。その他、損害賠償の内訳は個々に異なります。 交通事故の損害賠償の内訳
相手方が自動車の場合、慰謝料は①自賠責保険の基準②任意保険の基準③弁護士基準などで求めることができます。3基準のうち、弁護士基準で計算すると慰謝料は最も高くなります。たとえば、軽傷(むちうちや打撲、すり傷や捻挫など)の場合は、入院なし・通院2ヶ月で36万円が目安とされています。 軽傷・重傷のケース別の詳細
①加害者の住所・氏名・連絡先・保険加入の有無を確認②病院の受診は必ず行いましょう。治療をして<完治した>又は<後遺障害認定で等級が認定された>など、損害額が明らかになったら示談開始可能な時期となります。慰謝料などの受け取りも、基本的には示談後となります。 示談の流れをイラストでチェック