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交通事故に遭った後、加害者側の保険会社に慰謝料などを請求することになるでしょう。

その際、貰える慰謝料などの賠償金額は過失割合によって減額されることがあります。

これを過失相殺と言います。

加害者側の保険会社から提示された過失割合で納得できれば特に問題はありません。

しかし、

「似たような過去の事件では被害者側の過失割合がもっと低かった」

「過失割合が適切かどうか調べたいので、証拠を集めたい」

など、過失割合に対して疑問や不満を覚えている場合には、保険会社と争うことになるケースもあります。

加害者側の保険会社と「過失割合」の件で交渉する際は、正確な知識が必要となります。

このページでは、

  • 過失割合が決められる方法
  • 適切な過失割合にしてもらう交渉方法

などを解説していきます。

最後までしっかり目を通し、過失割合・過失相殺に関する知識を深め、慰謝料などを受け取る際に後悔しないようにしましょう。


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過失割合とは?意味や仕組みを徹底解説

Q1

「交通事故の被害者=過失割合が低い」とは限らない

冒頭でも少し触れましたが、過失割合の意味は以下の通りです。

発生した交通事故について、どちらに非があって起こったのかという責任の割合のこと

実は加害者側の過失が100%の交通事故というものはほとんどありません。

被害者側にも何らかの落ち度(過失)がある場合が多いです。

例えば……
  • 信号無視で道路を横断したら車にひかれた
  • 速度違反をしながら交差点を直進している途中、右折車に追突された

などの場合、被害者側にも過失はあったと判断され、被害者側の過失割合が大きくなる可能性があります。

なお、

「停車中に後方車両から追突された際、被害者側の過失割合は「0」になる」

と言われることも時おりあります。

しかし、必要のない急ブレーキを踏んで急停止した場合などは被害者側にも過失があった、と判断される場合があります。

急ブレーキに関しては「道路交通法第24条」に以下の規定があります。

(急ブレーキの禁止)

車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない。

引用元:道路交通法第24条

「危険防止のため」以外の急ブレーキは過失とみなされる可能性があるため、ご注意ください。

また、急ブレーキの場合だけではなく、玉突き事故やスリップしてしまった場合などの過失割合については以下で詳細に解説しています。

「このケースなら被害者側の過失割合は大体どれくらいになるのだろうか」

と気になっている方は、ぜひ下のページをご覧ください。

Q2

過失割合が決められる基準を解説

しかし、加害者側の保険会社は一体どのようにして過失割合を決定しているのでしょうか。

わかりやすく過失割合を決める基準のようなものが存在しているのでしょうか。

ご自身の事故類型を過失割合を示した基準表に当てはめられて過失割合が算定されることが多いです。

基準表の特徴
  • 実際に起こった裁判例に基づいて作成されている
  • そのため、過失割合の訂正を求めて裁判をしたとしても、こちらの基準と同じ判決が下される可能性が高い

上記の基準表は以下2冊の書籍に掲載されています。

  • 公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部発行の『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準』(通称「赤い本」)
  • 株式会社判例タイムズ社発行の『別冊判例タイムズ38号 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準〔全訂5版〕』

実際の基準表を見てみれば、過失割合を決めるイメージもつきやすくなるのではないでしょうか。

そこで「赤い本」を参考に一部の基準表を以下に作成してみましたので、ぜひご参考にしてみてください。

一方通行違反がある場合の事故
B=一方通行違反車
基本の過失割合 A 20 B 80
夜間 +5
Aが大型車 +5
Aの著しい過失 +10
Aの重過失 +20
Bが大型車 +5
Bの著しい過失 +10
Bの重過失 +20

『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(2017年2月10日発行第46版)』「上巻(基準編)」295ページを参考に作成
*「信号機の設置されていない交差点で事故が起こった」と想定して表を作成

補足にも記載している通り、上の表は、

信号機の設置されていない交差点で、B車が一歩通行違反をしている状況で事故が起こった

と想定したケースの基準表です。

基本的にはA20:B80という過失割合となりますが、事故の状況によって割合が変動する可能性があることがわかります。

過失割合の基準表は典型的な交通事故のケースに関して記載されています。

そのため、個別の特殊事情は考慮されていません。

場合によっては基準表に記載されていない事故類型もあります。

そのような場合だと、保険会社から提示された過失割合に疑問や不満を覚えることもあるでしょう。

弁護士に相談すれば提示された過失割合が本当に適切なのか、裁判などで過失割合について争うにはどうすればいいのかなどのアドバイスを受けることができます。

交通事故弁護の経験豊富なアトム法律事務所ならお力になれることもありますので、ぜひご相談ください。

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適切な過失割合にしてもらう方法

Q1

実況見分調書や交通事故証明書がキーになる

過失割合の決め手①|人身事故なら実況見分調書を作成してもらえる

では、適切な過失割合を決める際にはまず何をすればいいのでしょうか。

客観的な証拠を集めることが重要です。

人身事故の場合なら、

  1. 実況見分調書
  2. 交通事故証明書
  3. 供述調書

などが過失割合を決める証拠になることがあります。

①実況見分調書とは

こちらは警察が事故現場の事故態様を検証した結果をまとめて調書にしたものです。

当事者が人身事故の届出をした場合のみ、警察官によって作成されます。

実況見分調書は過失割合が争われた場合に有力な証拠となります。

人身事故ではなく物損事故の場合は、物件事故報告書という簡単な書類が作成されます。

こちらは「実況見分調書」ほど詳細に事故多様が記載されていません。

そのため、適切な過失割合を決めるためには「実況見分調書」のほうが証拠として適していると言えます。

後で過失割合について争う場合に備え、人身事故として届け出て実況見分調書を作成してもらうことをオススメします。

ここまでのまとめ
  • 人身事故なら実況見分調書が作成される
  • 過失割合で争う際は実況見分調書が有力な証拠になりうる

過失割合の決め手②|交通事故証明書を利用して実況見分調書を取り寄せる

②交通事故証明書とは
  • 交通事故の日時・場所
  • 当事者の氏名・住所
  • 事故状況その他の基本的な情報
  • 自賠責保険会社の名称

などが記載されている書類が「交通事故証明書」です。

交通事故証明書は最寄りの自動車安全運転センターで発行してもらうことができます。

なお、交通事故証明書があれば、以下の手順で「実況見分調書」を取り寄せることができる場合もあります。

1. 交通事故証明書の中に記載されている「事故を取り扱っている警察署」を確認

2. その警察署へ行き、加害者の「送致先検察庁」、「事件の送致日」、「送致番号」を確認

3. 「送致先検察庁」の記録係に「事件の送致日」と「送致番号」を伝える

4. 検察庁の記録係に「刑事記録(実況見分調書など)」の謄写を依頼する。

ただし、捜査中の刑事記録については開示されないケースが多い点にご注意ください。

「自動車安全運転センター」は各都道府県に存在しているため、交通事故証明書の発行はさほど困難ではないでしょう。

自分が遭遇した事故の情報を知りたい場合には、交通事故証明書を取り寄せてみてはどうでしょうか。

ここまでのまとめ
  • 交通事故証明書には事故状況や当事者の氏名などの情報が記載されている
  • 交通事故証明書内に記載されている「事故を取り扱っている警察」へ行けば加害者の「送致先検察庁」などが確認できる
  • 捜査中以外の刑事記録(実況見分調書など)であれば、「送致先検察庁」から謄写できる場合がある

過失割合の決め手③|供述調書も証拠になる

③供述調書とは
  • 事故の当事者などが捜査機関(警察など)に聴取された内容をまとめた調書
  • 原則的に加害者が不起訴処分となった際は開示されない

以上が供述調書の特徴ですが、過失割合の争いの際にはどのような効力が期待できるのでしょうか。

実況見分調書などと同様に、客観的な刑事記録として過失割合を決める根拠にできる場合があります。

供述調書も重要な証拠となりうる書類ですが、加害者が起訴された場合でなければほぼ開示されない点にご注意ください。

ここまでのまとめ
  • 供述調書も過失割合を決める証拠となりうる
  • 加害者が起訴されなければ原則開示されない

各書類の特徴まとめ

最後に、

  1. ① 実況見分調書
  2. ② 交通事故証明書
  3. ③ 供述調書

上記3つの書類の特徴を以下の表にまとめましたので、ぜひご参考にしてみてください。

各書類の特徴
実況見分調書 交通事故証明書 供述調書
記載内容 ・事故現場の事故態様を検証した結果
・現場写真を載せるなど、現場の状況が詳細に記載されている
・事故状況や当事者の氏名などの基本的な情報
・加害者の送致先検察庁や送致番号など、「刑事記録」の発行・開示に必要な情報
・事故の当事者などが捜査機関に聴取された内容
開示・発行の依頼先 加害者の送致先検察庁 自動車安全運転センター 管轄の裁判所
注意点 事案が捜査中の際は取り寄せが困難 交通事故証明書には基本的な情報を中心に記載されている
そのため、過失割合を決める根拠とするには弱い可能性あり
加害者が起訴されなければ開示は困難
Q2

弁護士相談で過失割合の交渉がスムーズに

「物損」の過失割合と「人身」の過失割合が異なる場合もある

加害者側の保険会社から過失割合を提示される際、物損部分の担当者と、人身部分の担当者から別々に伝えられることもあります。

その際、

  • 物損部分の担当者は10:90
  • 人身部分の担当者は20:80

などと異なる過失割合を言われることがあります。

一概には言えませんが、以下の理由から被害者側の過失割合を物損部分は低く、人身部分は高くなることがあります。

  1. ① 物損部分は人身部分よりも低額で済むケースが多いため
  2. ② 物損部分は損害の確定が短期間で済むことが多いので、物損部分の示談を先に成立させ、担当者が負担している案件数を減らすため

いわば一種のサービスとして、物損部分の過失割合は被害者側に有利になるように提示されることがある、ということです。

そのような場合、人身部分の担当者から提示されているものが本来的な過失割合であれば、人身部分の過失割合も物損部分と同じにするのは難しいと言えるでしょう。

ここまでのまとめ

物損部分の過失割合は被害者側に有利になるように提示されることがある

「物損」の過失割合と「人身」の過失割合が異なる場合もある

また、

  1. ① 当初は過失割合0:100と言われていた
  2. ② しかし、後から10:90と伝えられ、当初の話は無かったことにされた

という場合も時にはあります。

以下のような場合だと後で過失割合が変更されることがあります。

注意

被害者側にとって不利な証拠などが見つかった

時間が経過していくにつれて調査が進んでいくのですが、当然、被害者側についても調べられることになります。

その際、不利な証拠を見つけられると過失割合を変更されるケースもあります。

途中で過失割合が変わってしまう場合もあるため、最終的に過失割合が確定するまでは気を抜かないよう注意しましょう。

ここまでのまとめ
  • 調査が進んでいくにつれて、被害者側にとって不利な証拠が見つけられることがある
  • その際、当初提示されていた過失割合から変更されることがある

適切な過失割合を知りたいときは弁護士相談で前に進むことも

加害者側の保険会社から過失割合を提示されたとき、

「人身部分のほうが被害者側に不利な過失割合になっているが、本来的にはもっと有利な過失割合ではないか」

「後から過失割合を変更されたが、理由を聞いても納得できなかった」

などの疑問や不満を感じることもあります。

このようなときは専門家である弁護士に相談することをオススメします。

交通事故弁護を多く手がけた経験のある弁護士なら、蓄積されたノウハウから適切な過失割合をお答えできるかもしれません。

また、加害者側の保険会社との交渉や、裁判になった際の手続きなども代わりに行ってくれます。

弁護士にご相談いただければあなたのお力になれることもあるので、気軽にアトム法律事務所までご相談ください。

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交通事故の過失割合は弁護士に相談

Q1

【LINE対応】スマホから弁護士に相談するには?

交通事故の被害者の方はこちらの窓口をご利用ください。

  • LINE電話から無料相談可能
  • 24時間365日受付

スマートフォンから手軽に相談したり、弁護士との対面相談予約をすることができるので、ぜひお気軽にご利用ください。

最後に一言アドバイス

いかがでしたでしょうか。

最後に岡野代表弁護士からひと言アドバイスをお願いします。

交通事故に遭うと、加害者側の保険会社から慰謝料などの算出に使用される過失割合が提示されます。

その過失割合が適切なのかどうかわからない、ということでお困りの方も多いのではないでしょうか。

アトム法律事務所なら過失割合の相談に対応できる弁護士が多数在籍しているので、依頼者の方のお力になれるかもしれません。

スマホから簡単に無料相談をしたり、弁護士との対面相談の予約をすることもできます。

交通事故の過失割合についてお悩みの方は、ぜひアトム法律事務所へご相談ください。

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まとめ

このページを最後までご覧になってくださった方は、

まとめ
  • 交通事故過失割合基準表に基づいて決められること多い
  • 実況見分調書などの刑事記録が過失割合の証拠となる可能性あり
  • 弁護士に相談すれば保険会社と交渉して適切な過失割合にしてくれる可能性あり

ということなどについて、理解が深まったのではないでしょうか。

交通事故について弁護士に相談したい方は、スマホで無料相談よりご相談ください。

また、関連記事もご用意しましたので、交通事故や過失割合について書かれた他の記事もぜひご覧になってみてください。

このページが、交通事故の過失割合に関心を寄せられている方のお役に立てれば何よりです。

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