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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
交通事故の後遺症は、外傷だけとは限りません。
そのショックから、うつ病やPTSDなどの精神障害が残ることもあります。
精神障害は、見た目に反映されないこともあり周囲の理解を得られないという困難があります。
弁護士に相談・依頼することで、適正な慰謝料の獲得を目指していきましょう。
目次
奈良県立医科大学付属病院アトム法律事務所顧問医
藤井 宏真医師
うつ病やPTSDなどは「非器質性精神障害」と呼ばれる精神障害の一つです。「非器質性精神障害」は脳組織には損傷などの異常は認められません。
交通事故の被害にあってしまい
こういった状態になってしまうことがあります。
これらは「交通事故による精神障害」の一例で、「うつ病」や「PTSD」の症状の可能性があります。
「非器質性精神障害」の一種で、脳の組織には異常がみられないけれども、精神的に障害をおっている状態をさします。
そもそも「うつ病」「PTSD」とはどんなものでしょうか。
<CHECK>
交通事故による頭部・脳への外傷で「性格が変わる」などの症状がみられる場合は高次脳機能障害の可能性もあります。
関心のある方はこちらの記事へ進んでください。
関連「高次脳機能障害の症状・判例・慰謝料は?」
本記事は脳組織に損傷のない「非器質性精神障害」に関して解説していきます。
身体的なストレス・精神的なストレスによって、脳に機能障害が発生している状態
うつ病の症状は<身体>と<心>の両方に表れます。
厚生労働省の運営する「知ることからはじめよう みんなのメンタルへルス」に例示されているうつ病の症状を参考にまとめています。
症状はあくまで参考です。個人差がありますので、当てはまらないとうつ病ではない、ということではありません。
状態 |
---|
・気分がゆううつだ ・何にも興味がわかない ・ずっと眠い ・起床時間がいつもより早い ・何かに追われているように落ち着かない ・思考力が低下した |
周囲にも分かるサイン |
・表情が暗い ・涙もろくなっている ・飲酒量が増えた |
身体に出るサイン |
・食欲の減退 ・疲れやすい ・頭痛、肩こり ・動悸 ・口の渇き |
症状の幅広さが分かると同時に、例えば<頭痛>のように、症状からは「うつ病」だとは連想しにくいものもあります。
Post Traumatic Stress Disorder(心的外傷後ストレス障害)のことです。
ショックな体験、強い精神的ストレスが心にダメージを与え、時間が経過しても、その経験に対して強い恐怖を感じてしまうもの
PTSDについても、厚生労働省の運営する「知ることからはじめよう みんなのメンタルへルス」に例示されているPTSDの症状を参考にまとめています。
症状はあくまで参考です。個人差がありますので、当てはまらないとPTSDではない、ということではありません。
症状 |
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・急につらい記憶がよみがえる ・ずっと神経が張りつめている ・意識的に、あるいは無意識的に、記憶を呼び起こす状況や場面を避ける ・感情や感覚に鈍くなる ・症状が続く、悪化する |
精神科・心療内科のどちらを受診するかは、どんな症状が出ているかで変わります。
簡単に言うと、精神科と心療内科の違いは次の通りです。
「こころ」に関する不調→精神科
例:強い不安、イライラ
「からだ」に関する不調→心療内科
例:動悸がする、頭痛がする
しかし、実際は一つの症状ではなく、「イライラと動悸」などのように複数の症状に苦しんでいる方が多いでしょう。
また、医療機関によっては心療内科でも「こころ」に関することを診ている場合もあるようです。
医療機関によって様々ですので、まずはご自身の症状や相談事を電話で伝えて対応しているのか確認したり、医療機関のホームページなどを参考に受診することをオススメします。
治療には、服薬のほかにも色々な方法があるようです。
うつ病では、「薬」という選択肢ももちろんありますが、うつ病になってしまった原因を取り除いたり、被害者を取り巻く環境の調整なども試みられます。
カウンセリングなども重要視されています。
また、PTSDの治療法としては「持続エクスポージャー法」というものがあります。
フラッシュバックや、自分を追いつめるようなネガティブな考えをコントロールしながら、話しをしていきます。誰にも話せなかった体験を受け止めることで、安心と自信が生まれます。治療者と一緒にトラウマに戻って、そこから一緒に回復の道を歩む治療だといってもよいでしょう。
引用元:http://pe-jp.org/ptsd_pe.html
ただ、<被害者に話をしてもらって聞く>という単純な方法ではなく、専門の治療者によって行われる手法です。
適切に行われないと、かえって症状を悪化させることもあるそうです。
もし関心のある方は、主治医に相談をしてみるとよいでしょう。
そのほか、認知療法・眼球運動脱感作療法、グループ療法などが実施されているようです。
うつ病、PTSD…精神障害は個人によって差があります。
医師との信頼関係も大切です。
医師と相談をしながら、もっとも被害者自身に合う治療法・対策を見つけていくことが重要でしょう。
十分な治療を行っても、これ以上良くも悪くもならないという状態で残存する症状
交通事故の場合、その部位と程度により14段階の後遺障害等級で区分される
精神障害として後遺障害認定されるもののなかには、次のような精神状態・能力の減退があります。
精神障害の後遺障害認定を考えるうえでは、2つの段階があります。
まず「精神症状」のうち、どれか1つ以上に当てはまることです。
(1)抑うつ状態
(2)不安の状態
(3)意欲低下の状態
(4)慢性化した幻覚・妄想性の状態
(5)記憶又は知的能力の障害
(6)その他の障害(衝動性の障害、不定愁訴など)
1つでも当てはまるかが、最初のポイントです。
どれか1つでも当てはまっていれば、次の「能力に関する判断項目」にあてはまるものがないか見てみましょう。
能力に関する判断項目は次の通りです。
(1)身辺日常生活 |
---|
入浴・更衣など清潔保持を適切にできるか、規則的に十分な食事をすることができるか |
(2)仕事・生活への積極性・関心 |
仕事の内容、職場での生活や働くことそのもの、世の中の出来事、テレビ、娯楽等の日常生活等に対する意欲や関心があるか |
(3)通勤・勤務時間の遵守 |
規則的な通勤や出勤時間等約束時間の遵守が可能かどうか |
(4)普通に作業を持続すること |
就業規則に則った就労が可能かどうか、普通の集中力・持続力をもって業務を遂行できるかどうか |
(5)他人との意思伝達 |
職場において上司・同僚等に対して発言を自主的にできるか等他人とのコミュニケーションが適切にできるか |
(6)対人関係・協調性 |
職場において上司・同僚と円滑な共同作業、社会的行動ができるかどうか |
(7)身辺の安全保持、危機の回避 |
職場における危険等から適切に身を守れるかどうか |
(8)困難・失敗への対応 |
職場において新たな業務上のストレスを受けたとき、ひどく緊張したり、混乱することなく対処できるか等どの程度適切に対応できるか |
上記の項目について
の4段階で確認していきます。
以下の「非器質性精神障害の後遺障害の状態に関する意見書」を用いて、医師がチェックを進めていきます。
精神症状と能力に関する項目の両結果を組み合わせて、後遺障害認定は行われます。
上述した後遺障害等級に認定されると、相手方から支払われる金銭が増えます。
後遺障害が残った場合に追加で支払われる金銭の一つが、後遺障害慰謝料です。
後遺障害を負ってしまったという精神的苦痛に対して支払われる損害賠償
また、後遺障害慰謝料の他に支払われるものとして逸失利益があります。
後遺障害が残ったことで労働能力が失われ収入が減ることへの補償
基礎収入(年収)×労働能力喪失率×労働能力喪失期間(67歳-症状固定時の年齢)に対応するライプニッツ係数
逸失利益についてさらに詳しく知りたい方は次の関連記事も参考にしてみてください。
精神障害は、見た目にわかりづらく、周囲の人にも理解されにくいという苦しい側面があります。
また、精神障害は時間の経過で軽快していくと評価されることもあり、労働能力喪失期間も加害者との争点になる可能性があります。
被害者自身・主治医・弁護士で連携していくことが、後遺障害認定と後遺障害慰謝料の獲得でよい結果をむかえるためのカギといえます。
では、実際に精神障害で後遺障害等級の申請をして、後遺障害慰謝料を受け取るまでの流れを見てみましょう。
治療を継続しても症状の改善が見込めなくなった状態を症状固定と言います。
ただし精神障害においては、
については、一時的に症状に大きな改善が認められない状態になっても、原則として療養を継続することとされています。
それは非器質性精神障害というものが、時間の経過によって症状の改善が見込まれるためです。
一般的に交通事故の損害賠償において、「症状固定」は「治療を続けても治らない」時期を意味します。
ここが、精神障害の特徴といえます。療養を継続して十分な治療を行ってもなお症状に改善の見込みがないと判断され、症状が固定しているときには、治ゆの状態にあるものと判断されます。
そして後遺障害等級を認定することとされています。その場合の障害等級の認定は後述する認定基準によらずに行われます。
症状固定の診断を受けたならば、後遺障害等級認定に向けて後遺障害診断書などの資料を準備します。
後遺障害の申請には、2種類の方法があります。
被害者請求は手間がかかりますが、後遺障害等級の認定に有利な資料を自分で精査できるのが強みです。なお、弁護士に資料収集作業を任せることもできます。
事前認定と被害者請求
事前認定 | 被害者請求 | |
---|---|---|
請求者 | 相手方保険会社 | 被害者自身 |
メリット | 資料収集の手間がない | 自分で資料を確認できる |
デメリット | 自分で資料を確認できない | 資料収集の手間がかかる |
提出された資料をもとに、損害保険料率算出機構が後遺障害等級の審査を行います。
審査結果をふまえ、自賠責保険会社が等級認定を行います。
医師が作成する後遺障害診断書に加えて、「非器質性精神障害の後遺障害の状態に関する意見書」も併せた提出が必須です。
また、交通事故との因果関係も争点になりやすいポイントです。
というのも脳に損傷がないからです。
脳に損傷があれば、脳組織の画像検査結果で何らかの損傷を示すことができます。
しかし「うつ病」や「PTSD」は画像検査結果で示すことができません。
精神障害については、被害者自身の交渉では主張が思うように認めてもらえない可能性があります。
弁護士に依頼いただければ、判例や実例を元に、被害者の主張を認めてもらえるよう最大限の交渉をお手伝いできます。
後遺障害等級認定の詳細が知りたい方は以下の記事を参照してください。
後遺障害等級の申請について
精神障害で認定されるのは、9級、12級、14級のいずれかとなります。
認定される後遺障害等級の詳細は以下の通りです。
精神障害
第9級10号 | |
---|---|
通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、就労可能な職種が相当な程度に制限されるもの | |
12級相当 | |
通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、多少の障害を残すもの | |
14級相当 | |
通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、軽微な障害を残すもの |
それぞれ後半部分に違いがみられます。
先ほども紹介したこちらの「能力判断」を用います。
(1)身辺日常生活
(2)仕事・生活に積極性・関心を持つこと
(3)通勤・勤務時間の遵守
(4)普通に作業を持続すること
(5)他人との意思伝達
(6)対人関係・協調性
(7)身辺の安全保持、危機の回避
(8)困難・失敗への対応
この「能力判断」と、次の①②で等級は決まります。
被害者の就労意欲の低下等による区分
① | ② |
---|---|
第9級10号 | |
(2)~(8)のどれか1つが失われているもの | (1)に「時に助言・援助を必要とする」 |
4つ以上について「しばしば助言・援助が必要」 | |
12級相当 | |
4つ以上について「時に助言・援助を必要とする」 | (1)が「適切又は概ねできるもの」 |
14級相当 | |
判断項目の1つ以上について時に助言・援助が必要 |
これらの3段階に分けて区分されます。
それぞれの等級に応じた後遺障害慰謝料をみていきましょう。
後遺障害慰謝料とは、「精神障害」が残ったことへの慰謝料ですので、通院費などとは別に支払われるものです。
精神障害の後遺障害
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
第9級10号 | 245万円 | 690万円 |
12級相当 | 93万円 | 290万円 |
14級相当 | 32万円 | 110万円 |
慰謝料の金額の算定方法は、加害者側が提示してくるもの(自賠責基準・任意保険基準)と、弁護士が交渉することで請求できるもの(弁護士基準)で大きく異なります。
交通事故による精神障害については、等級ごとに差はありますが、2~3倍もの金額差になります。
同じ後遺障害ですが計算する基準が違うだけで、金額が変わってきます。
もっとも、後遺障害認定が「精神障害」のみであった場合は、14級認定となることが多いようです。
事故前から被害者にあった体質的・精神的要因(素因)が、損害の発生・拡大に影響を及ぼしている場合、その影響の程度に応じて加害者側の賠償額を減額することをいいます。
うつ病では、実際に「素因減額」が行われるケースがほとんどです。
加害者側の主張する素因減額が適切な金額であるとは限りません。
完全に素因減額されない方法…というのは難しいことかもしれませんが、適切な範囲にとどめられるよう、弁護士に依頼することを推奨します。
交通事故による精神障害としては「うつ病」や「PTSD」などが代表としてあげられます。精神障害はその原因を取り除くことで、時間の経過と共に軽快していくとされています。しかし、それも個人差はありますし、精神障害は周囲からの理解が得づらく、大変な苦労をしいられます。
にも関わらず、相手方保険会社から提示される慰謝料・逸失利益は被害者の受けた損害に対して不十分なことがあります。
損害に対する十分な補償を受け取るためには、弁護士に依頼することが一番です。
保険会社との示談交渉などを一任することで慰謝料増額が叶うだけではなく、手続きの煩雑さなどから解放されます。
交通事故による精神障害では慰謝料はいくらになるのか、通院に関する注意、後遺障害等級の申請方法など、どのようなことでも結構です。
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(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。
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岡野武志弁護士