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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
頭部に外から力が加わることで脳に損傷が発生した結果、遷延性意識障害(せんえんせいいしきしょうがい)の状態となる可能性があります。
被害者や被害者を支える近親者の生活のためにも、適切な後遺障害認定と慰謝料の獲得が重要です。
目次
奈良県立医科大学付属病院アトム法律事務所顧問医
藤井 宏真医師
遷延性意識障害は、植物状態ともいわれる大変重篤な状態です。未知な部分が多く、回復事例も報告されています。
遷延性意識障害とは、どのような状態であるのか。
日本脳神経学会によって定められた「遷延性意識障害」の6つの基準を見ていきましょう。
6つの基準全てを満たす状態が3ヶ月以上続くと、遷延性意識障害と認定されます。
遷延性意識障害は、自力では生命の維持ができません。
常に介護が必要な状態といえるでしょう。
例えば、自力で身体を動かすことができないので、褥瘡(じょくそう・床ずれともいう)を防ぐための体位変換が必要です。
そのほかにも排せつ物の処理、入浴・清拭などの衛生面のケアも重要です。
また、関節が固まるのを防ぐための適度な運動をすることも必要です。
介護費用も加害者への損害賠償項目です。
これまでの判例では、
などが認められたケースもあります。
もちろん、日用品(オムツ代など)や介護をする専門の人を依頼する人件費も認められます。
しかし、適正な範囲かどうかは判断されますので、すべてが認められるとは限りません。
将来介護費について詳しく知りたい方は以下の関連記事もお役立てください。
十分な治療を行っても、これ以上良くも悪くもならないという状態で残存する症状をいいます。
交通事故の場合、その部位と程度により1~14段階の後遺障害等級で区分されます。
また、別表として「介護が必要な後遺障害」というのも2つ設けられており、別表第1の1級・別表1の2級とされています。
つまり、1級と2級は2つずつ存在することになります。
遷延性意識障害では、常に介護が必要です。
ですから後遺障害として認定されると別表第1の1級となります。
等級の詳細や後遺障害慰謝料については後述します。
脳の構造は簡単にいうと<大脳、小脳、脳幹>の3つに分けられます。
脳死というのはこれらすべての機能が失われている「全脳死」という状態と、脳幹の機能が失われている「脳幹死」があります。
脳幹死の状態は、やがて大脳死に至るとされています。
遷延性意識障害では「脳幹」の機能は生きています。ですから、自発呼吸も可能です。
回復するケースもあるものですので、脳死とは違います。
上述した後遺障害等級に認定されると、加害者側から支払われる金銭が増えます。
後遺障害が残った場合に追加で支払われる金銭の一つが、後遺障害慰謝料です。
後遺障害を負ってしまったという精神的苦痛に対して支払われる損害賠償
また、後遺障害慰謝料の他に逸失利益も支払われます。
後遺障害が残ったことで労働能力が失われて収入が減ることへの補償
基礎収入(年収)×労働能力喪失率×労働能力喪失期間(67歳-症状固定時の年齢)に対応するライプニッツ係数
逸失利益の計算は少し複雑です。以下のページでは逸失利益計算の仕組みや「計算機」を紹介しています。
自動で簡単に逸失利益や慰謝料を算出できます。
注意したいのは、労働能力喪失期間です。
計算式に記載の通り、逸失利益は「67歳まで働ける」ということを前提にされています。
しかし、加害者側によっては遷延性意識障害による余命の短縮を主張するケースがあります。
被害者からすれば大変心外なこととお察しいたします。
遷延性意識障害でも67歳までの逸失利益が認められた判例は多数あります。
この点が争点になったなら、争点にされそうなら、弁護士へ依頼をして適正な金額を求めていきましょう。
実際に遷延性意識障害で後遺障害等級の申請をして、後遺障害慰謝料を受け取るまでの流れを見てみましょう。
治療を継続しても症状の改善が見込めなくなった状態を症状固定と言います。
後遺障害等級認定を受ける場合は、原則事故から約6ヶ月以上経っている必要があります。
これ以上治療期間が短い場合は、後遺障害としては認められない可能性が高くなります。
症状固定の診断を受けたら、後遺障害等級認定を行いましょう。
まずは後遺障害診断書などの資料を準備します。
後遺障害の申請には、2種類の方法があります。
被害者が後遺障害診断書のみを任意保険会社に提出します。
被害者の負担が少なく、最小限の手間で済む方法です。
MRI検査結果などその他の資料も被害者自身で用意して自賠責保険に提出します。
事前認定と比べると、被害者側の手間や負担が多くなります。
しかし、
こういった「等級認定」を受けるための工夫ができる方法なのです。
事前認定と被害者請求
事前認定 | 被害者請求 | |
---|---|---|
請求者 | 相手方保険会社 | 被害者自身 |
メリット | 資料収集の手間がない | 自分で資料を確認できる |
デメリット | 自分で資料を確認できない | 資料収集の手間がかかる |
被害者請求の手間の部分「資料収集」などは、弁護士に依頼することが可能です。
そうすると被害者請求のデメリットはカバーでき、さらに等級認定の満足度も高められます。
提出された資料から損害保険料率算出機構が後遺障害等級の審査を行います。
審査結果をもとに自賠責保険会社が等級認定を行います。
書面審査のみとなりますので、申請時の提出書類が等級認定のカギです。
やはり被害者請求が望ましいと言えるでしょう。
後遺障害認定の申請についてもう少し詳しく知りたい方は、以下の記事を参照してください。
後遺障害等級の申請について
遷延性意識障害は常に介護が必要で、別表第1の1級1号とされます。
遷延性意識障害
等級 | 内容 |
---|---|
別表第1 1級1号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの |
生命の維持について常に介護が必要な状態とされ、後遺障害等級の中でも最も重いものになるでしょう。
遷延性意識障害の慰謝料相場は<2800万円>です。
遷延性意識障害
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
別表第1 1級1号 | 1600万円 | 2800万円 |
この金額には、治療費・介護費・逸失利益などは含まれていません。遷延性意識障害という重い後遺障害を負った苦痛に対して支払われるものです。表からもわかるように弁護士基準で交渉をしないと、約6割程度の慰謝料にとどまる恐れがあります。
弁護士基準とは、弁護士が交渉に使う基準であり、裁判でも使われている公の基準です。
そして慰謝料の相場が最も高い基準になります。
自賠責基準・任意保険基準は、加害者側の保険会社が損害賠償を算出する時に使う基準です。保険会社が最初から弁護士基準で計算をしてくれることは期待できません。そもそも計算に使う基準が低いから、保険会社提案の損害賠償額は、弁護士が交渉するものと比べて低いのです。
また、介護をしていく近親者への慰謝料なども認められた事例も多数あります。介護のために近親者が会社を休んだり、辞めざるをえなくなったことも損傷賠償請求の対象です。交通事故解決実績の豊富な弁護士に依頼して、被った被害を確認しながら適切に請求していきませんか。
遷延性意識障害は非常に重篤な状態です。
にもかかわらず、加害者側の保険会社から提示される慰謝料・逸失利益は被害者の受けた損害に対して不十分なことがあります。
損害に対する十分な補償を受け取るためには、弁護士に依頼することが一番です。
些細なことではありません。今後の生活にかかわる重要なことです。
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(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。
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