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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
人の臓器のなかで肝臓は最も大きな臓器で、交通事故などによる外傷が原因で損傷することが多いです。太い血管がいくつも通っている肝臓は損傷を受けると大量出血につながる可能性が高く、輸血などの治療がおこなわれます。世界のなかでも日本の輸血製剤は最も安全だといわれていますが、輸血によるウィルス感染が100%ないとは言い切れません。ウィルス感染で肝臓に後遺症が残ったとしたら、損害に対する補償は得られるのでしょうか。
目次
奈良県立医科大学付属病院アトム法律事務所顧問医
藤井 宏真医師
肝臓は再生能力に優れた臓器ですが、治療の過程でウィルス感染などによって肝炎・肝硬変を患うリスクがあり、最悪の場合は正常な肝機能を取り戻せない可能性があります。
肝臓損傷には以下のような症状があります。
(軽症)
打撲による右側腹部~上腹部の痛み
(重症)
肝臓損傷が疑われた場合は血液検査で
などによって診断が出されます。
また、血液検査の結果によって、
などによって出血や損傷の程度が細かく調べられることになります。
交通事故の衝撃で腹部をぶつけたなどという場合は、内科(消化器内科)の受診をおすすめします。
外見上、怪我を負っていないように見えても内出血などが生じている危険性があります。交通事故にあったらその時点で異常を感じなかったとしてもかならず病院を受診するようにしましょう
損傷の程度が軽い場合は、経過観察で済む場合があります。もっとも、損傷の程度が高く、出血もある場合は、
がおこなわれます。
軽症の場合でも、腹腔内膿瘍・胆汁性腹膜炎・肝臓壊死などの症状が遅れてあらわれる可能性もあるので注意が必要です。
これ以上、十分な治療をつづけても回復の見込みが望めない状態で残存する症状
交通事故の場合、障害のある部位と障害の程度により14段階の後遺障害等級で区分される
肝臓は再生能力が高いので、肝臓単一における器質的損傷に関しての後遺障害の認定基準は設けられていません。
肝臓に関する後遺障害の認定基準では、肝臓損傷の治療の際に使われた輸血・血液製剤などが原因でウィルス感染した場合が想定されています。近年では輸血が原因のウィルス性肝炎の感染確率は非常に低くなっているものの、感染する可能性はゼロではありません。
ウィルス感染による後遺障害には以下のようなものがあります。
肝臓は目立った症状があらわれにくく、異常に気付くのが遅れてしまうことが多い臓器です。ウィルス性肝炎や肝硬変などによって全身の倦怠感や食欲不振、吐き気などの症状がみられる場合は、内科・消化器内科を早急に受診するようにしましょう。
本記事では、肝臓単一で残る可能性のある後遺症に焦点をあててみていきたいと思います。肝硬変と慢性肝炎がどのような症状で、等級が何級になるかは次章で詳しく説明します。
後遺障害等級に認定されると、事故の相手方から支払われる金銭(損害賠償)が増えます。
後遺障害が残った際、追加で支払われる金銭の一つが後遺障害慰謝料です。
後遺障害を負ったことで受けた精神的苦痛に対して支払われる損害賠償
後遺障害慰謝料以外に追加で支払われる金銭として逸失利益があります。
後遺障害を負ったことで労働能力が失われ、将来得られたはずの収入が減ることに対する補償
【計算方法】
基礎収入(年収)×労働能力喪失率×労働能力喪失期間(67歳-症状固定時の年齢)に対応するライプニッツ係数
「労働能力喪失率」は、障害が残った部位・程度、事故前の年収や職業などから総合的判断されるため増減することがあります。
もっとも肝炎の後遺障害に関しては、交通事故後の手術で肝炎に罹患した医学部の学生が手術などの際に出血しないよう常に注意を払わなければならなくなったことで基準より高い労働能力喪失が認められた例があります。(大阪地判平成10年9月1日)
主婦などの場合における年収算定方法やライプニッツ係数一覧などはこちらの記事をご覧ください。
肝臓損傷が原因の後遺症における後遺障害等級の申請~後遺障害慰謝料を受け取るまでの流れを見ていきたいと思います。
治療を継続したとしてもこれ以上、症状の改善が期待できなくなった状態を症状固定と言います。
後遺障害等級認定を受ける場合、原則的に事故から約6カ月以上経っている必要があります。
治療期間が6カ月より短い場合、後遺障害としては認められない可能性が高くなるので注意が必要です。
症状固定の診断を受けたら、後遺障害等級認定に向けて後遺障害診断書などの資料を用意します。
後遺障害の申請には、2種類の方法があります。
被害者請求は資料収集の手間がかかりますが、後遺障害等級の認定に有利となる資料を自分で精査できるのが強みとなっています。なお、弁護士に資料収集作業を任せることもできます。
事前認定と被害者請求
事前認定 | 被害者請求 | |
---|---|---|
請求者 | 相手方保険会社 | 被害者 |
メリット | 資料収集の手間なし | 自分で資料を確認できる |
デメリット | 自分で資料を確認できない | 資料収集の手間あり |
提出した資料にもとづいて認定の専門機関である損害保険料率算出機構が後遺障害等級の審査をおこないます。
後遺障害認定の審査では、
主にこのような点が主張できるかどうかが重要になります。
審査結果をふまえ、自賠責保険会社が等級認定をおこないます。
後遺障害等級の申請について
肝臓損傷による肝硬変で認定される後遺障害等級は以下のようになります。
肝臓損傷による肝硬変
等級 | 内容 |
---|---|
9級 | 肝硬変(ウィルスの持続感染が認められ、AST・ALTが持続的に低値を示す場合) |
▼肝硬変
…肝臓の細胞が破壊と再生を繰り返したことで、組織が硬くなって機能が著しく低下すること。
▼ウィルスの持続感染
…感染後もウィルスを体内に保有状態であること。
▼AST・ALT
…肝細胞にあるタンパク質を分解する酵素で、正常値は30以下が目安。
慰謝料の金額は、相手方が算定に用いる基準(自賠責基準・任意保険基準)と、弁護士が交渉に介入することで用いることができる基準(弁護士基準)で大きく変動します。
肝臓損傷による肝硬変に対応する後遺障害慰謝料は以下のようになります。
肝臓損傷による肝硬変
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
9級 | 245万円 | 690万円 |
等級によっても異なりますが弁護士に依頼することで2~3倍程度の後遺障害慰謝料を請求できます。
慰謝料の増額を目指すのなら、できるだけ早い段階で弁護士に相談しておくことがポイントになります。
肝臓損傷による慢性肝炎で認定される後遺障害等級は以下のようになります。
肝臓損傷による慢性肝炎
等級 | 症状 |
---|---|
11級 | 慢性肝炎(ウィルスの持続感染が認められ、AST・ALTが持続的に低値を示す場合) |
▼慢性肝炎
…何らかの原因で慢性的に肝臓に炎症が生じること。B型・C型肝炎ウイルスによる慢性肝炎が代表的。
▼ウィルスの持続感染
…感染後もウィルスを体内に保有状態であること。
▼AST・ALTが持続的に低値
…肝細胞にあるタンパク質を分解する酵素で、正常値は30以下が目安。
肝臓損傷による慢性肝炎に対応する後遺障害慰謝料は以下のようになります。
肝臓損傷による慢性肝炎
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
11級 | 135万円 | 420万円 |
肝臓損傷の治療による輸血などが原因でウィルス感染する事例は非常に稀といえるものの、ウィルスに感染して肝硬変や慢性肝炎の後遺症を負う可能性はゼロとはいえません。
にも関わらず相手方保険会社から提示をうける慰謝料・逸失利益は、損害に対して不十分なことが多いです。
損害に対して十分な補償を受け取るには、弁護士に依頼することが一番といえます。
保険会社との示談交渉などを一任すれば、慰謝料増額が叶うだけではなく、手続きのわずらわしさなどから解放されます。
慰謝料はどのくらいが予想されるか、通院に関する注意、後遺障害等級の申請方法など、不安なことは何でもお聞きください。
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(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。
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