作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)

脾臓破裂後遺症

【弁護士が解説】交通事故による脾臓破裂・損傷の後遺症|痛み・脾臓摘出の慰謝料は?

脾臓破裂の後遺障害って?
この記事のポイント

脾臓破裂の後遺症としては脾臓摘出、受傷部分の痛みやしびれなどがある

脾臓を摘出した場合に追加で受け取れる後遺障害慰謝料は180万円となる

弁護士に依頼することで、慰謝料の増額などが見込める

脾臓はにぎりこぶしほどの大きさの臓器で、腹部の左側に位置しています。
ですが交通事故など、腹部に強い外傷を受けたときにこの脾臓が損傷、または破裂してしまうことがあります。
そのときに支払われる慰謝料はいくらになるのでしょうか。
交通事故を専門とする弁護士が解説します。

  • 脾臓損傷で残りうる後遺症はどんなもの?
  • 脾臓を摘出するかは何で決まる?
  • 脾臓摘出した際の慰謝料はいくら?


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交通事故で脾臓破裂、後遺症にはどのようなものがある?

脾臓は左腹部に位置する臓器で、

リンパ球をつくる

血液をろ過する

など、免疫や血液に関する役割を担っています。

では交通事故などにより脾臓を破裂、損傷させてしまった場合、どのような後遺症が残るのでしょうか。

脾臓破裂の症状

まず、脾臓が破裂(損傷)することにより以下のような症状が体に現れます。

脾臓破裂の症状

腹部左側の痛み

左肩の痛み

腹筋の収縮、硬直

(出血による)ふらつき、かすみ目、失神

脾臓内に血が溜まった場合、脾臓破裂を引き起こすことがあります。
これは受傷後数時間から、長い時は数か月後に起こることもあります。
よって、脾臓が傷ついた場合はより長い観察が必要です。

脾臓破裂の治療&手術

脾臓破裂は、腹部の超音波検査やCT検査で明らかになります。
損傷が小さい場合や状態が安定している場合などは、経過観察により回復が見込まれます。
出血が激しい時などは手術を行って止血・脾臓の部分切除を行います。
現在では脾臓の全摘出はなるべく避けるべきとされていますが、それでも摘出に至る場合があります。

脾臓は重要な役割を担ってはいますが、生存に欠かせない臓器というわけではありません。
脾臓が失われた場合は、主に肝臓などが脾臓の役割を代替して補います。

脾臓破裂の後遺症

イメージ画像

脾臓が破裂すると、以下のような後遺症が残る場合があります。

脾臓破裂の後遺症(後遺障害)

脾臓の摘出

脾臓の障害

受傷部分などの痛み、しびれ

また、脾臓を摘出してしまうことで

感染に対する防御力が低下する

という症状もありますが、後遺障害としては評価されません。

もっとも、脾臓を損傷するほどの衝撃を受けた場合その他の内臓損傷や骨折などで、別の後遺症が生じる場合があります。
そのときは、複数の後遺障害を併合(後述)して評価します。

後遺障害が残ったら何をすればいい?

では実際に脾臓を摘出した場合、治療後も痛みなどが残る場合はどうしたらよいのでしょうか。
交通事故で受傷した場合には、後遺障害慰謝料の受け取りを考えましょう。

後遺障害慰謝料

後遺障害を負ってしまったという精神的苦痛に対して支払われる損害賠償

後遺障害慰謝料は、14段階の後遺障害等級に応じて支払われます。
より高い(数字の小さい)等級に認定されれば慰謝料も増えますので、どの等級に認定されるかは非常に重要です。
実際の申請基準や方法については、以下のページをご覧ください。

では、実際に脾臓損傷の後遺障害が何級に該当するのかを見ていきます。

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脾臓破裂で「脾臓を摘出・損傷」した後遺障害

脾臓摘出した時の後遺障害等級は何級?

イメージ画像

事故などで脾臓を摘出してしまった場合の後遺障害等級は、以下のようになります。

後遺障害等級

脾臓の摘出

等級 内容
1311 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの

この「胸腹部臓器の機能に障害を残すもの」として、「脾臓を失ったもの」が含まれます。

内臓を摘出したにも関わらず、後遺障害等級の下から2番目の13級、というのは少しばかり低いようにも思えます。

事実、多くの内臓の後遺障害は

11級10号「胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの」

9級11号「胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」

などに該当します。

実際、平成18年の改正以前は「免疫機能を半分以上失う」として脾臓の摘出は8級に認定されていました。

ですが

脾臓の摘出は比較的頻繁に行われていること

摘出後の血液学的異常などは認められず、労務に支障は出にくいこと

免疫機能について客観的な評価が可能になったこと

などから、13級と認定されるようになりました。

脾臓損傷した時の後遺障害等級は何級?

交通事故で脾臓破裂などを起こしたものの、脾臓摘出には至らないという場合もあります。
そのような場合であっても、後遺障害13級程度に相当すると認められる場合があります。

脾臓の喪失に相当する脾臓の障害を負った

血小板数に異常がある

被害者が風邪が引きやすくなったと感じている

これらの事情のもと、脾臓を摘出していなくとも後遺障害を認定した事案があります(東京地裁平成19年平成3月26日)。
すなわち、脾臓を損傷した事実のわかる画像的所見・血液の異常・免疫機能の不全などがあれば、脾臓を摘出せずとも後遺障害が認められる可能性があります。

脾臓摘出した時の後遺障害慰謝料はいくら?

脾臓摘出による後遺障害等級が認められた場合、受け取れる後遺障害慰謝料は以下のようになります。

後遺障害慰謝料

脾臓の摘出

等級 自賠責基準 弁護士基準
1311 57万円 180万円

等級によりますが、弁護士に依頼することで3倍以上の慰謝料を請求できるようになることがわかります。
示談交渉に精通した保険会社と交渉して増額を目指すことは、個人では非常に困難です。
より多額の慰謝料獲得を目指すときは、ぜひ弁護士にご相談ください。

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脾臓破裂で「痛み・しびれが残った」後遺障害

脾臓破裂の痛み・しびれの後遺障害等級は何級?

臓器損傷が治癒しても痛みやしびれが残ることがあります。
これらは外傷により神経が損傷したり、圧迫されたりすることで起こる症状です。
こちらも、検査や画像所見によって損傷などが確認できれば後遺障害に認定される可能性があります。

後遺障害等級

脾臓破裂にともなう痛み・しびれ

等級 内容
1213 局部に頑固な神経症状を残すもの
149 局部に神経症状を残すもの

神経由来の痛みやしびれが体の一部に残っている場合は、後遺障害等級12級13号または14級9号に該当する可能性があります。
どちらになるかは、主に自覚的所見を裏付ける検査結果や画像所見などの医学的証拠があるかで決定します。
十分な医学的所見があり、症状を証明可能な場合は12級、一応の説明が可能な場合は14級となります。
特に痛み・痺れは主観的なものであるため、裏付けとなる検査結果などが重要です。

脾臓破裂の痛み・しびれの後遺障害慰謝料はいくら?

後遺障害慰謝料

脾臓破裂による痛み・しびれ

自賠責基準 弁護士基準
1213 93万円 290万円
149 32万円 110万円

【参考】複数の後遺障害が残ったときの等級は?

腹部に衝撃を受けると、脾臓のみならず他の臓器にも後遺障害が残る場合があります。
そのようなときには、併合により後遺障害等級が繰り上がります。

後遺障害の併合ルール
存在する後遺症 併合の結果
5級以上の後遺障害が2つ以上残存 重い方の等級を3つ繰り上げる
8級以上の後遺障害が2つ以上残存 重い方の等級を2つ繰り上げる
13級以上の後遺障害が2つ以上残存 重い方の等級を1つ繰り上げる
14級の後遺障害が2つ以上残存 14級のまま
それ以外 最高等級を後遺障害等級とする

例えば、

脾臓摘出により13級11号

肋骨骨折による疼痛12級13号

の後遺障害が残った場合を考えてみます。

このとき、「13級以上の後遺障害が2つ残存」しているので、重い方の12級が1つくりあがります。
よって、併合11級の等級が認定されます。

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交通事故による脾臓破裂の後遺症のお悩みは弁護士にご相談ください

LINE相談

脾臓は、肝臓とならんで交通事故で受傷しやすい臓器です。
ですが交通事故の相手方は「脾臓であれば労務に支障は出ない」と主張し、十分な保険金を支払わないということもあります。
被害者としては脾臓摘出により以後の人生で感染症にかかりやすい、免疫機能が落ちる可能性がある、ひいては労働能力に支障が出るということをしっかりと主張していく必要があります。
相手方との交渉を有利にすすめ、慰謝料を増額するためにも弁護士にお任せください。
まずは慰謝料増額の見込み、後遺障害等級に関する疑問、慰謝料獲得までの手続きなど、どのようなことでも結構です。
アトム法律事務所ではLINE・電話での無料相談を受け付けています。
お気軽にご相談ください。


弁護士プロフィール

岡野武志弁護士

(第二東京弁護士会)

全国10事務所体制で交通事故被害者の救済に取り組んでいる当事務所の代表弁護士。2008年の創業依頼、幅広い間口で電話・LINE・メール相談などに無料で対応し、2019年現在は交通事故被害者の救済を中心に精力的に活動している。フットワークの軽い行動力とタフな精神力が強み。