腰椎横突起骨折が完治しないとき後遺障害認定される？慰謝料相場は？

腰椎横突起骨折には、以下のような症状があります。

痛みは相当強く、立つ、座る、歩くなど、どのような動作をするにおいても激痛が走るようです。

腰椎横突起骨折の場合は、整形外科を受診するようにしましょう。
骨折の状態は、レントゲン写真を撮ることで確認することができます。
ただし、腹部の臓器と重なってうまく見えない場合もあります。
そうしたときには、CT検査を受けることになります。

腰椎横突起骨折では、基本的に手術は行われません。
以下のような保存療法を行い、骨癒合を待つことになります。

• コルセットや腰部固定帯で骨折部を固定する
• 低周波治療：微弱な電気刺激によって骨の癒合を促進する
• 湿布：骨折による腫れなどを鎮める

痛みがある場合は鎮痛剤を服用することもあります。
しばらく安静にして痛みが落ち着いてきたら、筋力低下を防止するためのリハビリを行います。
治療期間は1～3ヶ月ほどであることが一般的です。

腰椎横突起骨折そのものを理由とした後遺障害は、基本的には残りにくいと言われています。
ただし、腰椎横突起骨折のきっかけとなった衝撃による神経や筋肉の損傷が後遺障害の原因となることはあります。
また、腰椎周りの筋肉に引っ張られて骨癒合がうまくいかなかった場合も、後遺障害が残る可能性があります。
そうした場合の後遺障害は、以下の通りです。

それぞれがどのような症状であり、等級が何級になるかは次の章で詳しく説明します。

腰椎横突起骨折の後遺症により増える保険金｜後遺障害慰謝料と逸失利益

上述した後遺障害等級に認定されると、相手方から支払われる金銭が増えます。
後遺障害が残った場合に追加で支払われる金銭の一つが、後遺障害慰謝料です。

また、後遺障害慰謝料の他に支払われるものとして逸失利益があります。

「労働能力喪失率」は、後遺障害等級ごとにその目安が決められています。
しかし、障害の部位や程度、被害者の職業などを考慮して増減することがあります。
主婦などの場合の年収算定方法や、ライプニッツ係数一覧などはこちらの記事をご覧ください。

注意点として、

• 後遺障害が残っても必ずしも等級認定されるとは限らない
• 示談交渉で加害者側から提示される後遺傷害慰謝料や逸失利益は、低めに計算されている

ということがあります。

後遺障害等級認定も示談交渉も、弁護士に相談することで専門家としてのアドバイス・サポートを受けることができます。

加害者側から示談金額の提示を受けたら、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

では、実際に腰椎横突起骨折で後遺障害等級の申請をして、後遺障害慰謝料を受け取るまでの流れを見てみましょう。

①症状が固定される

治療を継続しても症状の改善が見込めなくなった状態を症状固定と言います。
後遺障害等級認定を受ける場合は、原則事故から約6カ月以上経っている必要があります。
これ以上治療期間が短い場合は、後遺障害としては認められない可能性が高くなります。

②後遺障害診断書など書類の用意

症状固定の診断を受けたら、後遺障害等級認定に向けて後遺障害診断書などの資料を準備します。
後遺障害等級認定の申請時に必要な資料は、主に以下のようになっています。

提出資料

• 後遺障害診断書
• 医師による診断書
• 診療報酬明細書
• 交通事故証明書
• 後遺障害の存在や症状を裏付ける資料

後遺障害の申請には、2種類の方法があり、どちらを選択するかによって申請者自身で集める資料が変わります。

• 事前認定→申請者が後遺障害診断書のみを任意保険会社に提出
• 被害者請求→申請者が資料一式を全て用意して自賠責保険に提出

被害者請求は手間がかかりますが、後遺障害等級の認定に有利な資料を自分で精査できるのが強みです。なお、弁護士に資料収集作業を任せることもできます。

	事前認定	被害者請求
請求者	相手方保険会社	被害者自身
メリット	資料収集の手間がない	自分で資料を確認できる
デメリット	自分で資料を確認できない	資料収集の手間がかかる

③損害保険料率算出機構による審査

提出された資料をもとに、損害保険料率算出機構が後遺障害等級の審査を行います。
結果は30日以内に出ることが多いですが、判断が難しい・経過を見る必要があると判断された場合には、数ヶ月～数年かかることもあります。
こうした審査が長期化するケースは、高次脳機能障害などに多いです。

より細かな認定手順についてはこちらの記事を参照してください。

腰椎横突起を骨折して骨癒合がうまくいかなかったり、受傷時の衝撃で神経や筋肉が損傷したりすると、慢性的な痛みやしびれが後遺障害として残る可能性があります。
そうした場合の後遺障害等級は、以下のようになります。

等級	症状
12級13号	局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号	局部に神経症状を残すもの

後遺障害等級12級と14級は、「頑固な」という言葉で分けられています。

これを区別するための主な判断要素は、

• 神経学的な検査結果があるか
• レントゲン・MRI画像などの所見があるか

です。

痛みやしびれ症状が医学的に証明可能な場合は12級13号、一応の説明や推定が可能な場合は14級9号に該当します。 ですので、

• おおよそ半年以上通院して症状の経過を明らかにすること
• 適宜検査を受けること
• 症状の経過や各検査結果をしっかりと伝える診断書・資料を用意すること

が重要です。

痛み・しびれの症状に対応する後遺障害慰謝料は以下のようになります。

等級	自賠責基準	弁護士基準
12級13号	93万円	290万円
14級9号	32万円	110万円

腰椎横突起骨折では基本的には手術は行われず、後遺障害も残りにくい怪我です。
その上、神経症状はレントゲン写真などに異常が映らないことも珍しくなく、軽い症状である、気のせいであると判断されがちです。
こうしたことから適切な後遺障害等級が認定されなかったり、低額な賠償金額を提示されたりすることがあります。

適切な後遺障害等級を獲得し、十分な賠償金を得るためには、弁護士に依頼することが一番です。
プロとしての知識と経験をもとに十分な準備ができるだけでなく、手続きや示談交渉の煩雑さなどから解放されます。
骨折による慰謝料はいくらになるのか、通院に関する注意、後遺障害等級の申請方法など、どのようなことでも結構です。
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弁護士プロフィール

岡野武志弁護士

（第二東京弁護士会）

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。