作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
交通事故と脳梗塞の因果関係|後遺症と慰謝料の仕組み!裁判例を確認
- 交通事故で脳梗塞による後遺症が残ることはあるのか
- 交通事故と脳梗塞の因果関係が認められた裁判例とは
- 脳梗塞が後遺障害に認定されて得られる慰謝料とは
目次
交通事故後に脳梗塞…後遺症が残ったらリハビリ必須?
脳梗塞とは?
脳梗塞は何らかの影響で、脳の血管の一部が血の塊(血栓)で詰まって脳細胞に十分な血流が届かずに脳細胞が死ぬ状態をさします。脳細胞は血流から必要な酸素・エネルギーを得ているため、血流が止まると脳はダメージを受け、脳機能に障害を負うことになります。
ダメージを受けた脳の箇所によって、現れる症状はさまざまです。
脳梗塞の代表的な症状
- 半身麻痺
- 半身しびれ
- 感覚障害
- 言語障害
- ふらつき
- めまい
- 意識障害
脳梗塞は、このような症状が現れる可能性があります。
脳梗塞の原因は交通事故?
脳梗塞は、生活習慣病の高血圧・糖尿病・肥満などが原因となるケースが多くなっています。もっとも、可能性としては交通事故が原因で脳梗塞が引き起こされることもあります。
脳梗塞は血栓が詰まることで引き起こされます。事故からすぐに脳梗塞を発症しなくても、事故から数時間後・数日後に脳梗塞を発症する可能性があります。
交通事故にあって頭を打ったら
- MRI
- CT
などで詳しい検査を病院で受けるようにしましょう。
脳梗塞の他にも、心臓のなかにできた血栓によって心筋梗塞を発症するなど、交通事故ではさまざまな症状がおこるリスクが考えられます。外見上は問題なくても目に見えないところで問題が潜んでいる可能性があります。痛みや出血がなくても必ず病院を受診するようにしてください。
病院の受診・検査に関して詳しくはこちら
脳梗塞で負う後遺症の症状と治療・リハビリ
脳梗塞によって一度ダメージを受けた脳細胞が蘇ることはありません。血栓を溶かす投薬などの治療をうけても、後遺症が残る可能性があります。
後遺症の症状例
- 麻痺
- 高次脳機能障害
- めまい
- 感覚障害(手足のしびれ)
このような後遺症が残ることがあります。
一度ダメージを受けた脳細胞が元通りに戻ることはありません。しかし、そのほかの周りの部分が失った機能を補うようにすることができる可能性が人間にはあることが知られています。
失われた機能を補えるように、リハビリで回復が目指されます。
脳梗塞におけるリハビリ
(軽症)
- 歩行練習
- 日常の動作練習
(中等度)
- 座ったり立ったりする練習
- 起き上がる練習
- 指先をつかう練習
(重度)
- 座り続ける練習
- 関節を動かしたり筋力をつける運動
など、症状の内容や程度に応じてこのようなリハビリをおこない回復を目指します。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの専門スタッフの力を借りてリハビリをおこなうことになります。
交通事故と脳梗塞の因果関係が認められた裁判例
交通事故と脳梗塞の因果関係が認められる意義
交通事故と脳梗塞の因果関係が認められれば、交通事故の相手方に損害賠償請求をおこなうことが可能になります。
▼後遺障害認定の有無を問わず請求可能 | |
---|---|
治療費 | 治療に要した費用 |
通院交通費 | 通院に要した交通費 |
入院雑費 | 入院に要した雑費など |
休業損害 | 怪我で休業した分の収入減に対する補償 |
入通院慰謝料 | 入院・治療で受けた精神的苦痛に対する慰謝料 |
その他 | 診断書作成などに要した費用など |
▼後遺障害認定で請求可能 | |
逸失利益 | 後遺障害によって将来的に得られなくなった収入減に対する補償 |
後遺障害慰謝料 | 後遺障害によってうけた精神的苦痛に対する慰謝料 |
交通事故の相手方は任意保険に加入していることがほとんどです。したがって、このような項目の損害賠償を相手方の任意保険会社に請求することになります。
脳梗塞は生活習慣病で引き起こされることが多いことから、交通事故と脳梗塞の因果関係を証明するのは実際のところ容易ではありません。
交通事故と脳梗塞の因果関係が明確に証明することができなければ、交通事故の相手方から損害賠償を請求することがむずかしくなります。
脳梗塞は交通事故で負った外傷が原因となって発生したという証拠を示す必要があります。
裁判例|脳梗塞と交通事故の因果関係あり
ではここで、交通事故で脳梗塞を負い、後遺障害が残ったと認定された裁判例を一つ紹介したいと思います。
事故の概要 |
---|
交差点を直進していた車両が、左側の道路から交差点に進入してきた車両を避けて反対車線に進入して交差点を通過しようとしたことで、反対車線側の路側帯にいた車両に衝突させて、骨折・脳梗塞などの傷害を負わせた。 |
熊本地方裁判所平成23年(ワ)第963号
こちらの裁判では、交通事故によって脳梗塞を負い、高次脳機能障害などの後遺障害につながったという判断が出されています。
交通事故による脳梗塞の後遺症で得られる慰謝料
脳梗塞による後遺症で認められる後遺障害等級
後遺障害とは、後遺症が残ったことで労働能力を失ったことを意味します。
脳梗塞で負う可能性にある麻痺/高次脳機能障害/めまいにおける後遺障害は、それぞれ障害の程度によって等級がさまざまです。
想定される等級を紹介します。
該当の可能性がある等級
▼麻痺
1級1号
2級1号
3級3号
5級2号
7級4号
9級10号
12級13号
▼高次脳機能障害
9級10号
12級13号
14級9号
▼感覚障害
12級13号
14級9号
脳梗塞を原因とした後遺症では、このような後遺障害等級の認定が得られる可能性があります。
等級ごとの詳しい基準などは「後遺障害等級表(14級~1級)」のページをご覧ください。
後遺障害等級の申請について詳しくはこちら
後遺障害等級ごとの慰謝料
脳梗塞による後遺症で認定が予想される後遺障害等級の目安が分かりました。つづいては、等級ごとの慰謝料の金額について確認していきたいと思います。
等級 | 慰謝料(万円) |
---|---|
1 | 2,800 |
2 | 2,370 |
3 | 1,990 |
4 | 1,670 |
5 | 1,400 |
6 | 1,180 |
7 | 1,000 |
8 | 830 |
9 | 690 |
10 | 550 |
11 | 420 |
12 | 290 |
13 | 180 |
14 | 110 |
こちらで紹介した等級ごとの慰謝料は、弁護士基準による相場です。慰謝料は算定に用いる基準によって金額に差が生じます。最も高い金額の慰謝料が得られるのが弁護士基準です。
弁護士基準で算定されるには、弁護士による示談交渉が必要です。弁護士なしで弁護士基準で算定してもらおうと交渉を持ちかけても困難を極めます。
保険会社が提示する慰謝料に疑問があるなら
交通事故の問題は弁護士に相談を
交通事故の問題は弁護士に相談したほうがいいのかな…とお悩みの方は、まずこちらの計算機を使って慰謝料を計算してみてください。
こちらの計算機を利用していただいて、
「保険会社が提示した慰謝料より高額だった…」
「慰謝料ってこれくらいが相場だったのか…」
このように感じられたのであれば、今すぐ弁護士に相談していただきたいと思います。
相談する弁護士は交通事故を専門的にあつかう弁護士であることがポイントです。なぜなら保険会社は交通事故処理のプロであるため、おなじく交通事故案件に注力する弁護士でなければ対等に交渉していくのはむずかしいからです。
アトム法律事務所には、交通事故の案件を数多くあつかってきた実績を持つ弁護士が在籍しています。保険会社との交渉を安心してお任せしていただけるように精一杯対応いたします。
まずは無料相談からはじめてみたいという方は、こちらの窓口をご利用ください。
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(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。弁護士プロフィール
岡野武志弁護士
交通事故による脳梗塞Q&A
脳梗塞はどんな症状がある?
脳梗塞の症状としては、主に半身麻痺・半身しびれ・感覚障害・言語障害・ふらつき・めまい・意識障害などがあげられます。脳梗塞の原因は生活習慣病であるケースが多いですが、交通事故によって頭部を激しくぶつけるなどして発症する可能性もあります。 脳梗塞の症状について
脳梗塞はどんな後遺症が残る?
脳梗塞における後遺症としては、麻痺・高次脳機能障害・めまい・感覚障害(手足のしびれ)といった後遺障害が残る可能性があります。一度でも脳にダメージが与えられると、脳細胞が元通りになることはむずかしいものの、リハビリによって機能回復がはかられます。 脳梗塞の後遺症をくわしく解説
脳梗塞の後遺障害等級は?
脳梗塞による後遺障害では、麻痺で1級1号・2級1号・3級3号・5級2号・7級4号・9級10号・12級13号、高次脳機能障害で9級10号・12級13号・14級9号、感覚障害で12級13号・14級9号の等級が予想されます。等級の数字が低いほど残存した症状は重くなっています。 脳梗塞に関する後遺障害等級