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交通事故で後遺障害が残ると、後遺障害認定を申請することになります。
その際、後遺障害認定を受けられる確率や方法が気になりますよね。
ここでは、後遺障害認定について弁護士とともにお答えしていきます。
目次
後遺障害認定とは、交通事故で残った後遺障害に応じた等級が認定されることです。
以下の条件がそろい、尚且つそれが認定機関によって認められた場合に等級が認定されます。
後遺障害等級は、その症状や程度に応じて等級が定められています。
これは、労災の定める後遺障害等級の基準を参考にしています。
ここで、一部の後遺障害等級と該当する後遺障害の内容を見てみましょう。
等級 | 症状例 |
---|---|
1級 | 両目を失明 |
2級 | 片目を失明し、他方の目の視力が0.02以下になった |
3級 | 片目を失明し、他方の目の視力が0.06以下になった |
(略) | |
12級 | 片目に著しい障害が残った |
13級 | 片目の視力が0.6以下になった |
14級 | 片目のまぶたの一部に欠損または、まつげはげが残った |
後遺障害等級の各等級の該当する後遺障害の内容は、日弁連交通事故相談センター東京支部発行の
『民事交通事故訴訟 損害賠償算定基準』
などで確認することができます。
なお、後遺障害が複数ある場合には、併合という方法で後遺障害等級が決められます。
複数ある等級 | 併合方法 |
---|---|
5級以上 | 一番重い等級を3級繰り上げ |
8級以上 | 一番重い等級を2級繰り上げ |
13級以上 | 一番重い等級を1級繰り上げ |
それ以外 | 一番高い等級になる |
実際には場合に応じて異なる方法をとることもありますが、基本的な併合の方法はこのようになっています。
後遺障害認定の申請をして、実際に等級が認定される可能性は、5%程度と言われています。
さらにそこから、認定された等級別の統計を見てみましょう。
この表からも、高い等級になるほど認定確率が下がることが分かります。
後遺障害等級を認定してもらい、さらに納得のいく等級になるためには、しっかりとした準備が必要だということです。
後遺障害認定の際は、基本的に被害者から提出された書類のみを用いて審査が行われます。
そのため、後遺障害の症状や状態を詳しく正確に伝えられるような資料作成がポイントとなります。
後遺障害認定自体の確率も低く、その中でも高い等級の認定はさらに確率が低いことを考えると、弁護士の手を借りることが重要です。
交通事故に強い弁護士の多くは、後遺障害認定のサポートも行っているのです。
そもそもなぜ後遺障害認定を申請する必要があるのか、なぜ妥当な等級になることが重要なのか。
それは、後遺障害等級が認められることで後遺障害慰謝料と逸失利益を受け取れるようになるからなのです。
後遺障害によって今後も受け続ける精神的苦痛に対する補償
後遺障害を原因として労働能力を失ったことによる減収に対する補償
後遺障害慰謝料も逸失利益も、後遺障害の等級が非常に影響します。
後遺障害慰謝料は、後遺障害等級に応じて決められていて、等級が高いほど慰謝料金額も高くなるのです。
では、弁護士基準の後遺障害慰謝料金額を見てみましょう。
一方逸失利益は、
逸失利益=年収×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
で求められます。
ライプニッツ係数とは、逸失利益を貯金、運用することで増える利息分を差し引くための係数です。
労働能力喪失率は後遺障害等級に応じて基準が決められています。
後遺障害等級に応じて、計算式に組み込む労働能力喪失率が変わるため、後遺障害等級が逸失利益に非常に影響するということです。
ではここで、後遺障害等級別の労働能力喪失率を確認してみましょう。
労働能力喪失率 | |
---|---|
1級 | 100% |
2級 | |
3級 | |
4級 | 92% |
略 | |
12級 | 14% |
13級 | 9% |
14級 | 5% |
① 後遺障害等級が認定されることによって、
後遺障害慰謝料と逸失利益が受け取れる
② 後遺障害等級が
後遺障害慰謝料と逸失利益の金額に影響する
以上のことから、後遺障害等級が適切な等級で認定されることが大切なのです。
では、どのような流れで自賠責損害調査事務所に申請し、その結果が返ってくるのでしょう。
まずは、後遺障害認定申請の大まかな流れを確認してみましょう。
症状固定
交通事故によるけがが、これ以上治療を続けても大幅な改善は見込めない状態になること
後遺障害はすでにその障害に関する治療が終わっていることが前提です。
したがって、後遺障害認定の申請は症状固定後から可能になります。
症状固定後、診断書をはじめ必要書類をそろえて後遺障害認定の申請を行います。
後遺障害認定の申請は、症状固定後3年以内に行いましょう。
3年が過ぎると、交通事故の損害賠償請求権が消滅し、後遺障害慰謝料や逸失利益の請求ができなくなるのです。
交通事故における損害賠償請求権の消滅時効についてはこちらをご覧ください。
では、もう少し細かく申請方法を見ていきます。
後遺障害認定の申請方法には、「被害者請求」と「事前認定」があります。
どちらを選ぶかで、被害者自身がそろえる資料や自賠責損害調査事務所との仲介者が変わります。
被害者請求の特徴は、以下の通りです。
被害者申請のメリットは、必要な書類を自分で用意できることです。
一見、手間のように思えますが、必要最低限の資料だけでなく、認定の審査に有利になる資料も加えられます。
後遺障害認定は基本的に、提出された資料のみを使って審査されるので、これは大きなメリットです。
事前認定の特徴は、以下の通りです。
事前認定のメリットは、申請の準備が簡単だということです。
勿論、必要最低限の資料の他にも提出したい資料があれば任意保険会社に提出できます。
しかし、任意保険会社がそれをきちんと自賠責損害調査事務所に提出してくれるとは限りません。
任意保険会社は加害者が支払う賠償金を肩代わりする存在であるため、被害者の後遺障害等級が高くなるのは望ましくないからです。
後遺障害認定の申請方法はこちらもご覧ください
後遺障害認定において、審査しているのは自賠責損害調査事務所です。
ここに必要書類を提出することで、後遺障害認定の審査をしてもらえます。
ただし、労災で後遺障害等級の認定を受ける際は、労働基準監督署が認定機関となります。
ではここで、被害者請求、事前認定、労災での認定の違いをまとめておきましょう。
被害者請求 | 事前認定 | 労災 | |
---|---|---|---|
資料提出先 | 加害者側の 自賠責保険会社 |
加害者側の 任意保険会社 |
労働基準監督署 |
認定機関 | 自賠責損害調査事務所 | 労働基準監督署 | |
時効* | 3年 | 5年 |
*症状固定を起点とする
被害者請求や事前認定で後遺障害等級を受けた場合は、加害者側から後遺障害に関する補償金を受け取ります。
労災で認定を受けた場合には労災から後遺障害に関する補償金を受け取ります。
ただし、両者では受け取れる補償金の項目が違います。
労災から受け取れる補償金は、
障害補償給付金と障害特別給付金
です。
これらは慰謝料とは別物なので、労災を利用する場合には、別途加害者に慰謝料を請求をする必要があります。
利用前によく調べ、弁護士に相談すると安心です。
後遺障害認定の審査は、どれくらいかかるのでしょうか。
審査の期間を表した統計を見てみましょう。
約8割の場合は、1ヵ月以内に結果が出るようです。
しかし、例えば高次脳機能障害など判断が難しい後遺障害の場合には、結果が出るまでに数年かかることもあります。
後遺障害認定で等級が得られたら、加害者側に対して他の賠償金とともに後遺障害慰謝料と逸失利益を請求します。
ただし、被害者側が金額を決めて請求するのではなく、加害者側との示談で決まった金額を請求します。
後遺障害認定で納得のいく等級に認定されなかった、後遺障害等級に認定されなかったという場合、異議申し立てができます。
異議申立は、症状固定後3年以内であれば何度でも可能です。
異議申し立てをしたい場合には、通常、前回の申請では出していなかった新たな資料を提出します。
それによって、より詳しく正確に、後遺障害の症状・程度・生活や仕事への影響度を伝える必要があります。
では、異議申し立ての結果を示した統計を見てみましょう。
割合 | |
---|---|
等級変更有 | 760(約6%) |
等級変更無 | 11143(約92%) |
再調査・その他 | 290(約2%) |
参考:「平成27年度 自動車保険の概況」
統計を見ると、異議申立で等級が変わる可能性は低いと考えられます。
最初の後遺障害等級申請の結果とその理由をしっかりと分析し、効果的な異議申し立てをすることが重要です。
なお、後遺障害等級に該当しなくても、後遺障害があれば後遺障害慰謝料を請求できる場合もあります。
後遺障害等級に該当しなかったけれど後遺障害は確かにあるから慰謝料を請求したい、という場合には、弁護士に相談してみましょう。
後遺障害認定について弁護士に相談するメリットは以下の通りです。
上でご紹介したように、後遺障害認定が成功する確率は高いとは言えません。
後遺障害認定のカギを握る資料について、専門的な視点からアドバイスをもらえるのは大きなメリットです。
また、後遺障害等級の認定を受けた後は示談交渉が待っています。
交通事故の示談交渉は基本的に、加害者が加入する任意保険会社が相手になります。
示談交渉のプロを相手にするということなので、被害者側も弁護士に交渉を依頼することがベストです。
弁護士に相談したいけれど弁護士費用が気にかかる、という人も多いでしょう。
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岡野武志
実際の後遺障害認定では、労災の定める基準を参考にはするものの、それよりも厳しい認定になることが多いです。
また、後遺障害等級の認定基準に記載されていない症状でも、記載されているものと同程度に相当すると考えられれば、後遺障害等級が認められます。
このことを、相当等級といいます。
嗅覚脱失や味覚脱失などがこれに当たります。