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交通事故の慰謝料を計算する際、病院への通院日数が必要な場合があります。
この場合、リハビリも通院日数に入るのか、疑問に思いがちです。
実は通院日数といっても、実通院日数を指す場合ばかりではないのです。
慰謝料を計算する際の通院日数の考え方について、弁護士とともに解説していきます。
交通事故における慰謝料には、
があります。
このうち、病院への通院日数を用いて算出するのは傷害慰謝料です。
慰謝料の金額を算出する際には、用いる基準が3つあります。
弁護士基準、任意保険基準、自賠責基準です。
これらはそれぞれ以下のような意味を持ちます。
被害者側が用いる基準。
示談交渉の際、被害者側は弁護士基準で算出した金額を提示する。
任意保険会社が示談交渉で提示する示談金額を算出するために用いる基準。
自賠責基準による金額では足りない部分については、任意保険会社が補填する。
この補填部分の金額が、被害者側と加害者側との示談交渉で話し合われる。
自賠責保険会社が、最低限の補償金額を算出するために用いる基準。
では、
それぞれの基準ごとに見ていきましょう。
弁護士基準では、傷害慰謝料は入通院慰謝料算定表を参照して算出されます。
その際、正確には通院日数ではなく入通院期間を用います。
を入通院期間とする。
つまり、実際には通院していない日も、入通院期間に含まれるということです。
この入通院期間および傷害慰謝料算定には例外もあります。
①通院期間が長期にわたった
通院期間=実通院日数×3.5とする場合もある
②仕事や子育てなどで期間を短縮
事情を考慮し傷害慰謝料が増額されることもある
③入院待機や自宅療養期間があった
実際には入院期間ではないが、入院と同等に考え、入院日数にカウントされる
では、これらを踏まえて弁護士基準の入通院慰謝料算定表を見てみましょう。
弁護士基準の場合は、入通院慰謝料算定表がもう一つあります。
むちうちなど軽傷の場合には、別表Ⅱと呼ばれる方の表を用います。
また、別表Ⅱを適用するけがで通院期間が長期にわたった場合は、
通院期間=実通院日数×3
として考えることもあります。
任意保険も、入通院慰謝料算定表を参照して傷害慰謝料を算出します。
もちろん、弁護士基準のものとは別物で、種類は1つしかありません。
入通院期間が同じでも、任意保険基準の入通院慰謝料算定表記載の金額は、弁護士基準のものより低額です。
したがって、弁護士基準の傷害慰謝料よりも金額が低くなります。
それでは、任意保険基準の入通院慰謝料算定表をご紹介します。
任意保険基準は現在、保険会社ごとに設定されており非公開です。
そのためここでは、以前各社共通で使われていた、旧任意保険基準のものをご紹介します。
自賠責基準では、入通院慰謝料算定表はありません。
通院日数の算出方法も異なります。
自賠責基準での通院日数の考え方は以下の通りです。
上記2つのうち少ない方を採用
上記のように算出された日数を用いて、自賠責基準では以下のように傷害慰謝料を計算します。
入院日数×4200円 +採用された日数×4200円
慰謝料とは異なりますが、「日数」を用いて算出する損害賠償として、休業損害も挙げられます。
休業損害は以下のように求められます。
休業補償=算定基礎日額×実休業日数
休業補償=5700円×実休業日数
弁護士基準と任意保険基準の計算式は同じですが、用いられる算定基礎日額の計算方法が違います。
したがって、算出される休業補償額は
弁護士基準>任意保険基準
となります。
ここで用いられる実休業日数は、必ずしも通院日数とイコールではありません。
ポイントは以下の点です。
休業補償の算出で用いられる休業日数は、
の2点を満たすということです。
ただし例外もあり、任意保険基準で実休業日数を考える際には、
休業初日から連続して通院した場合は、元々休日であった日も実休業日数に含まれる
ということがあります。
交通事故によって後遺障害が残ると、後遺障害等級認定の申請を行います。
等級が認定されると、後遺障害慰謝料や逸失利益の請求が可能になるため、これは非常に大切です。
そんな後遺障害等級認定ですが、症状固定までの通院日数が少ないと、不利になる可能性があります。
症状固定
交通事故によるけがが、これ以上治療を続けても大幅な改善は見込めない状態になること
後遺障害等級認定で大切なことの中に、
が証明できるということがあります。
通院日数が少ないと、この2点について疑われる可能性があります。
通院日数が少ない、特に、治療期間中に1ヵ月以上通院が途絶えると、けがと交通事故との因果関係が疑われます。
交通事故でけがをした場合には、定期的な通院を心がけましょう。
また、あまりに通院期間が短いと、本当に症状固定したのか?引き続き治療すれば効果があるのでは?と疑われやすくなります。
しかし、症状固定の時期を判断するのは医師です。
通院期間が短いにもかかわらず症状固定に至ったとしても、医学的根拠があれば問題ありません。
通院期間が6カ月を超えていないと後遺障害等級認定に申請できないという情報もあります。
しかし、実際には通院期間が6ヵ月以下であるというだけで認定が却下されることはありません。
通院期間の他にも通院頻度や診断書の内容から判断されます。
したがって、通院6ヵ月以下でも後遺障害等級認定に申請する場合には、医師や弁護士に相談することが大切です。
むちうちの場合、一般的に通院3ヵ月で症状固定の診断がされることが多いです。
交通事故の治療費は加害者側の任意保険会社が支払ってくれることが大半です。
その治療費についても、3ヵ月を目安に打ち切りを申し出られることが多いです。
こうしたことから、むちうちは治療3ヵ月で症状固定となることが多いです。
しかし、3か月以上治療してはいけないということではありません。
3か月が経過しても通院・治療が必要な場合には、医師の判断に従い治療を続けることができます。
ということを考えて、事前に後遺障害等級認定の準備を進めたり、弁護士に相談したりすることも大切です。
リハビリでの通院は、症状固定前であれば、通院日数として認められます。
ただし、基本的には病院でのリハビリに限ります。
整骨院でのリハビリは、正確には医療行為として認められないため、通院日数の対象にはならないのです。
医師からの指示のもと整骨院でリハビリをしている場合には、認められる可能性があります。
症状固定後でも、リハビリのための費用が加害者側から支払われることがあります。
定期的にリハビリをしなければ体が硬直するなど、現状維持のためにリハビリが必要と判断された場合です。
このような事情がある場合には、弁護士に相談してみましょう。
交通事故の慰謝料と通院日数を考える際の注意点は、以下の通りです。
同じ慰謝料でも、用いる基準によって算出される金額が異なります。
実際、示談交渉の際には加害者側任意保険会社は任意保険基準を提示してきます。
それに対し、被害者側は弁護士基準の金額を求めることになります。
最終的にいくらもらえるのかは、交渉次第なのです。
また、本記事でも解説したように、特別な事情を考慮して慰謝料が増額されたり、通院日数の数え方が変わったりすることがあります。
こうした例外的な対応は、慰謝料や通院日数の数え方に詳しくなければわかりません。
交通事故による慰謝料や通院日数については、弁護士に相談することが大切です。
示談交渉である加害者側任意保険会社は示談交渉のプロ
です。
被害者本人が示談交渉に臨んでも、対等に交渉することは難しいと思われます。
慰謝料の増額や通院日数の数え方の変更など、例外的な対応が認められる事情があっても、
弁護士を通してそれを主張しなければ認められない
ことも十分に考えられます。
いくら増額事由に当たる事情があり、それを法律や過去の判例を用いて主張しても、被害者本人の主張では受け入れられないことが多いのです。
被害者自身が加害者側任意保険会社との示談交渉に応じても、機械的な交渉になりがちです。
しっかりと実情を反映した結果を導き出すには、弁護士の協力が必要です。
しかし、
等ということもあると思います。
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交通事故には、「傷害慰謝料(入通院慰謝料)」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3種類の慰謝料があります。このうち傷害慰謝料は、病院への通院日数や入院日数に応じて金額が決まります。傷害慰謝料は、交通事故による入通院によって生じた精神的苦痛に対する補償です。 傷害慰謝料の計算方法の解説
入通院日数が少ない、入通院の頻度が低い、という場合、後遺障害等級認定に不利になる可能性があります。後遺症と事故との関連性や、これ以上治療をしても症状が治らない(症状が後遺症として残った)ということが疑わしくなるからです。後遺障害等級が認定されないと、たとえ後遺症が残っていても後遺障害慰謝料を請求できません。 通院日数や頻度・期間の注意点
症状固定(これ以上治療を続けても改善は期待できないと診断されること)の前であれば、リハビリも通院日数に数えられます。ただしこれは基本的に病院でのリハビリであり、整骨院でのリハビリは通院日数に数えられない可能性があります。また、症状固定後でも必要性が認められればリハビリも通院日数に数えられます。 リハビリが通院日数に含まれる場合
野尻大輔
そもそも交通事故の慰謝料とは、交通事故によって被った精神的苦痛に対する補償のことを指します。
したがって、治療費や休業損害などは慰謝料ではありません。
交通事故で生じた損害全体のことを損害賠償金といい、その中でも精神的苦痛に対する賠償金が慰謝料だということです。