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交通事故による軽傷者のうち、実に6割以上を占めるのが「首」の損傷です。
そして、首の損傷で最も代表的なものがむちうち症です。
恐ろしいことに、現在は痛みがなくとも「むちうち症」である場合もあるのです。
目次
「むちうち症」がどのようなものか、症状はどんなものがあるのか。
それらについて知り、むちうち症とわかった場合のより適切な対応について知りましょう。
交通事故や転落事故などによる頸部外傷後に頸部痛と随伴して現れる多岐の症状。
医学的な傷病名は頸椎捻挫・頚部挫傷・外傷性頸部症候群・外傷性頭頸部症候群など
上記の説明を簡単に言いかえれば、次のようになります。
「交通事故の衝撃などで首が振られて損傷し、首の痛みと共に現れる様々な症状」
では、実際の「頭頚部症状」にはどのようなものがあるのでしょうか。
むちうちでは「事故現場では痛くなかった」という声をよく聞きます。
実はむちうちの症状は以下の時期で分かれ、受傷直後は自覚症状が無いこともあるのです。
時期 | 症状 |
---|---|
受傷直後 | 自覚症状なし・首の痛み・圧迫感・緊張感 意識混濁・吐き気・頭痛・上半身の痺れ |
急性期・初期 | 上記に加え 肩こり・腰痛・首の動きにくさ・首の不快感 |
急性期・後期 | 上記に加え 眼の異常・耳鳴り・上半身の痛みなど |
慢性期 | 上記に加え 認識障害・鬱状態・知覚過敏など |
*傾向であり絶対的なものではない
目安として、交通事故発生から1週間以内の受診が望ましいです。
それ以上間があくと、症状が交通事故により生じたという因果関係の立証が困難になるためです。
因果関係が立証できない場合、後遺障害等級認定や慰謝料の面で不利にはたらきます。
むちうち症の検査方法は複数あります。
その中でも、後の後遺障害等級認定で有利な客観性の高いものを紹介します。
内容 | |
---|---|
①スパーリングテスト* | 頭を傾けさせて神経根を刺激し、患者の症状を見る |
②筋萎縮検査 | 両腕の同部位をメジャーで測定する |
③深部腱反射テスト | 腱をゴムハンマーでたたき、反射を調べる |
*ジャクソンテスト、ショルダーデプレッションテストなども同目的の検査
いずれも、神経学的所見として有用なものです。
後遺障害を視野にいれた診察では、この3つの検査を受けておくとより安心です。
むちうちの治療は原則として病院の整形外科で受けることになります。
症状の時期により、治療は異なります。
急性期は安静にしたうえでの薬物療法、後期に入ると理学療法、運動療法などが行われる傾向があります。
むちうちの治療期間は、医療機関、治療地、事故の態様など様々な要素で左右されます。
平均治療日数 | |
---|---|
交通事故被害者 | 83.4日 |
交通事故加害者 | 67.6日 |
出典:当院における頚椎捻挫例の検討(https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai1951/43/2/43_2_494/_pdf)
交通事故による いわゆる”むち打ち損傷”の治療期間は長いのか(https://www.jkri.or.jp/PDF/2017/sogo_75kagawa.pdf)
上記の表は一例です。
その他にも交通事故でむち打ちとなった患者の平均治療日数については、複数の統計があります。
様々な数値がありますが、いずれも約2~3ケ月が平均的なむちうちの治療日数の目安と言えます。
保険会社も、3カ月ほどを目安としてむちうちの治療の打ち切りを打診してくる傾向があります。
ですが実際に必要な治療日数というものは、事案によって大きく異なるものです。
まだ治療が必要だと感じているならば、通院は続けることが大切です。
相手方保険会社に気を遣い「だいぶよくなってきた」と言ったことで治療の打ち切りを切り出された、という例もあります。
その場合は医師に治療の必要性を説明してもらったり、弁護士に依頼したりといった手を打ってください。
治療の打ち切りを先延ばしにすることができる可能性があります。
10年程前の事故で後遺症(むちうち)を患っています。
(略)現在でも、痛みが激しい時には病院へ行っています。
引用元:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10143306220
多くのむちうち症は、長くとも半年以内で回復します。
一方で、10年経過してもむちうちが治らない、という方もいるようです。
その場合、脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)になっている場合もありえます。
脳脊髄液減少症が後遺症としてどのような効果を及ぼすかについては、以下の記事を参照してください。
交通事故で後遺症(後遺障害)が生じたとき、後遺障害等級の認定を申請することが考えられます。
この等級に認定されると、保険会社から受け取れる慰謝料が増額されるなどの恩恵があります。
では認定を目指すためには、何が必要になってくるのでしょうか。
実際の申請手順や必要書類については、以下の記事を参照してください。
申請において、最も重要な書類が後遺障害診断書です。
これについて、認定を目指すために主に2つのチェックポイントがあります。
これらについて適切な記述があれば、後遺障害等級が認定される確率は高まります。
順を追ってみていきましょう。
適切な記述がなされるかは、その医師の知識によっても左右されます。
なるべく、専門医のいる病院にかかることも重要です。
自覚症状とは、患者本人の申請による症状です。
(例:頸部に鈍痛がある、上肢に痺れがある、吐き気があるなど)
上記の自覚症状を裏付ける、医学的で客観的な証拠があるかが問題となります。
初診時にMRIやレントゲンなどの画像所見で異常が認められるか
実際のむちうちの後遺障害診断書では、以下のような記述が求められます。
医師は後遺障害診断書作成のプロ、というわけではありません。
現実には、「傷病名と自覚症状」しか書いていないような後遺障害診断書が作られることもあります。
上記すべてを満たした診断書が作成されれば、認定の確率もあがるはずです。
また、「100日以上通院すると後遺障害等級に認定される」などという話もあります。
長期間通院は、傷病が一貫・連続していることの間接的な証拠になります。
ですが必要性のない通院は治療費などが支払われないリスクもあります。
通院期間と同じくらいに、診断書の内容を重視しましょう。
むちうちの後遺症は、後遺障害等級では主に14級9号と12級13号に該当する可能性があります。
一方で、後遺障害に非該当と認定される場合もあります。
14級9号・12級13号・非該当の違い
12級13号 | 14級9号 | 非該当 | |
---|---|---|---|
文言 | 局部に頑固な神経症状を残す | 局部に神経症状を残す | ― |
認定基準 | 症状が医学的に証明できる | 症状が医学的に説明・推定できる | 症状が医学的に説明・推定できない |
この3つの差は、主に他覚的所見と神経学的所見の有無で決定します。
14級9号に認定されるには、以下のいずれかの要件が必要となります。
12級13号に認定されるには、以下の両方の要件が必要となります。
一方で、後遺障害等級非該当となるのは以下のような場合があります。
交通事故の慰謝料額は、3つの基準で算定されます。
それぞれの金額は、自賠責基準≦任意保険基準<弁護士基準となっています。
任意保険基準は一般に明らかになっていないため、自賠責基準と弁護士基準で比較を行います。
交通事故で後遺障害等級に認定された場合、どういった費用が補償されるのでしょうか。
後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対する損害賠償
後遺障害等級に認定された場合、相手方保険会社から後遺障害慰謝料が支払われます。
金額は、後遺障害等級によって決定します。
ではむちうちの場合、後遺障害慰謝料の金額はいくらになるのでしょうか。
自賠責基準と弁護士基準
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
14級 | 32万円 | 110万円 |
12級 | 93万円 | 290万円 |
受け取ることのできる金額は上記の表の通りです。
また、弁護士に交渉してもらうことで後遺障害慰謝料の金額が約3倍になりうることがわかります。
最大でいくら請求できるのか、下記の計算機も使用して相場をのぞいてみましょう。
なお、むちうちにより脊髄にまで損傷が及ぶ場合がまれにあります。
この場合、後遺障害等級9級、7級、5級に認定される可能性があります。
弁護士基準での後遺障害慰謝料額は、9級では690万円、7級では1000万円、5級では1400万円になります。
症状固定の後に、労働能力を喪失される障害によって見込まれる収入の減少
一日あたりの基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数で計算する。
後遺症が残った場合、その後の労働に影響が出て、収入の減少などを招きます。
その損害を補償するものが逸失利益です。
むちうちの場合の逸失利益がいくらかは、計算方法が複雑であるため、以下の記事で説明しています。
慰謝料や逸失利益の増額を目指すには、2つの方法があります。
後遺障害等級に認定されたものの、その等級に納得のいかない場合もあります。
そんな時、異議申立てという手段を取り、再度調査をしてもらうことが可能です。
異議申立てについては、以下の記事に詳しい方法が記載されています。
また、ADR機関などに紛争処理を申請するという手段もあります。
後遺障害等級に関する争いでは、自賠責保険・共済紛争処理機構に相談・調停してもらうことができます。
なお、どの方法であっても等級認定が変更される確率は1割以下といわれています。
等級を変更してもらうには、新たな医学的所見が不可欠です。
交通事故を取り扱っている弁護士に依頼することで、慰謝料の額を大幅に増やすことが可能です。
また、必要書類の収集や保険会社との取引なども一任することができます。
被害者の方にとってそれらの煩わしさから解放されるというのも、メリットの一つです。
後遺障害等級を目指す手段
異議申立て手続き | 紛争処理申請 | 裁判 | |
---|---|---|---|
メリット | 利用回数に制限がない | 無料で解決が図れる 変更率がやや高い* |
証拠を重視した公正な判断がなされる |
デメリット | 時間がかかる場合もある 個人では資料の再収集が困難 |
一度しか利用できない 時効の中断効が無い |
費用・時間がかかる 示談交渉などが進まなくなる |
*2015年度の等級変更率は9.4%
むちうちは最も多くみられる後遺症でありながら、後遺障害等級認定のハードルは高くなっています。
弁護士に依頼することで、後遺症として認められやすい証拠資料の作成などを一任できます。
もし等級が認められれば、後遺障害慰謝料と逸失利益をあわせて百数十万円以上を追加で請求できることもあります。
提出する資料や、等級認定後の慰謝料額などにご不安があるときはどうぞ気軽にご相談ください。
アトム法律事務所ではLINE・電話での無料相談を受け付けています。
医師といえども、後遺障害申請の専門家ではありません。
適切な後遺障害診断書を書いてもらうには、交通事故やむちうちに関する専門的な知識が不可欠です。
アトムの弁護士は、交通事故案件を数多くとり扱っています。
交通事故に関するどんな段階のお悩みの相談も受け付けております。
LINEや電話での相談をぜひご利用ください。
野尻大輔
整骨院などへの通院も可能ではありますが、柔道整復師は医療行為は出来ません。
慰謝料や治療費の支払いにも関わってきますので、通院は医師の許可を得てからにしましょう。