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日本国内では1年あたり、4000人から5000人の方が脊髄損傷を受傷していると言われています。
さらに、その原因の33%が交通事故であるという統計もあり、決してご自身や家族には起こらないとは言い切れません。
ところで、脊髄損傷の後遺症が出た部位や程度によって、慰謝料が請求できるということはご存知でしたでしょうか。
今回はその仕組みと基準について、詳しく説明いたします。
目次
背骨の中を通る神経繊維(脊髄)が外傷などにより損傷されること
脊髄とは、脳からの指令を手や足に伝える役割を持つ神経の集合体です。
これが損傷されることで、手足に麻痺障害が残ります。
さらに麻痺障害により、触れられたのがわからないという感覚障害や、筋肉が動かせないために排尿障害などが出ることもあります。
その他、脊髄損傷により生じることのある症状には以下のようなものがあります。
このように脊髄を損傷すると、複雑な諸症状が発生することが多いです。
ですがこの中で最も重要なのが、麻痺障害です。
脊髄損傷で起こる麻痺障害は、部位によって以下のように呼び分けられます。
麻痺の症状
名称 | 部位 |
---|---|
四肢麻痺 | 腕・足全て |
対麻痺 | 足両方 |
片麻痺 | 右腕と右足、または左腕と左足 |
単麻痺 | 腕・足のどれか一つ |
腕のみが両方動かなくなる、ということは解剖学的にありません。
基本的に、必ず下肢の麻痺も伴います。
さらに麻痺障害にも、脊髄の損傷の程度により高度・中程度・軽度と段階があります。
高度・中程度・軽度の目安
麻痺の程度 | 部位 | 内容 |
---|---|---|
高度の麻痺 | 上下肢 | 完全強直又はこれに近い状態 |
上肢 | 肩・肘・手首および5本の指のいずれの関節も自分の力で動かせない、またはこれに近い状態 障害を残した腕でものを持ち上げて移動させることができない |
|
下肢 | 股関節・膝・足首のいずれの関節も自分の力で動かせない、またはこれに近い状態 障害を残した片足の歩行・立つ機能が失われている |
|
中程度の麻痺 | 上肢 | 障害を残した腕でおおむね500gを持ち上げることができない 障害を残した腕で文字を書くことができない |
下肢 | 障害を残した片足のため、杖・装具なしに階段を上がれない 障害を残した両足のため、杖・装具なしに歩行が困難 |
|
軽度の麻痺 | 上肢 | 障害を残した腕で文字を書くことに困難を伴う |
下肢 | 日常生活はおおむね一人で歩けるが、障害を残した片足のため不安定で転倒しやすく、速度も遅い 障害を残した両足のため杖・装具なしには階段を上がれない |
2つの表をあわせて、麻痺の部位と程度を確認してみましょう。
この場合、両足の麻痺なので対麻痺、かつ装具ありでなんとか歩行できる状態なので麻痺の程度は中程度となります。
次項では、このような場合に後遺障害等級何級になるかを考えていきます。
交通事故で後遺症が残った場合、症状の重さにより後遺障害等級の認定を受けることができます。
これは、交通事故によって残る後遺障害を部位や重さによって14段階に分けたものです。
この等級によって、相手方保険会社から慰謝料などを受け取ることができます。
数字の小さい等級ほど症状が重く、また受け取れる慰謝料も高額になります。
なお脊髄の障害の場合は、一般的な後遺障害等級表だけでなく、厚生労働省の発表した「神経系統の機能又は精神の障害に関する障害等級認定基準」を一緒に参照します。
実際に、脊髄損傷で該当しうる等級は以下のようになります。
後遺障害等級表
等級 | 内容 |
---|---|
1級* | せき髄症状のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの |
2級* | せき髄症状のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、随時介護を要するもの |
3級 | 生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、せき髄症状のために労務に服することができないもの |
5級 | せき髄症状のため、きわめて軽易な労務のほかに服することができないもの |
7級 | せき髄症状のため、軽易な労務以外には服することができないもの |
9級 | 通常の労務に服することはできるが、せき髄症状のため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの |
12級 | 通常の労務に服することはできるが、せき髄症状のため、多少の障害を残すもの |
*「別表Ⅰ 介護を要する後遺障害」に基づく等級
この文章だけでは、実際の症状がどの等級に該当するのかわかりません。
では、脊髄損傷の後遺障害等級は何を基準に判断されるのでしょうか。
原則として、脊髄損傷の後遺障害等級は麻痺の部位・程度などで決定します。
ここでいう麻痺の部位・程度については本人の申告ではなく、MRIなどの医学的所見が必要です。
麻痺症状以外に脊柱の変形などがあり、それらの等級が麻痺症状に基づく等級よりも上になることがあります。
そのような場合は、複数の後遺症の総合評価により等級が認定されます。
実際にまとめると、以下のようになります。
後遺障害等級の何級に認定されるか
等級 | 内容 |
---|---|
1級* | 高度の四肢麻痺 高度の対麻痺 中程度の四肢麻痺で常時介護*を要するもの 中程度の対麻痺で常時介護を要するもの |
2級* | 中程度の四肢麻痺 軽度の四肢麻痺であって、随時介護を要するもの 中程度の対麻痺であって、随時介護を要するもの |
3級 | 軽度の四肢麻痺 中程度の対麻痺 |
5級 | 軽度の対麻痺 片足に高度の単麻痺 |
7級 | 片足に中程度の単麻痺 |
9級 | 片足に軽度の単麻痺 |
12級 | 運動性の支障がほぼ無い警備な麻痺 運動障害は無いが感覚障害があるものなど |
*食事・入浴・排泄・着替えについての介護。以下の「介護」も同じ
先ほどの例で、後遺障害等級では何級になるのか確認してみましょう。
この麻痺の程度・部位は中程度の対麻痺です。
これを上記の表に照らし合わせ、
に認定されることになります。
後遺障害等級に認定されると、相手方から等級に応じて慰謝料が支払われます。
では、実際にいくら支払われるのかを見てみましょう。
比較として、相手方の自賠責保険が提示する金額と、弁護士に依頼した場合に請求できる金額を並べてみます。
後遺障害等級表
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
1級* | 1600万円 | 2800万円 |
2級* | 1163万円 | 2370万円 |
3級 | 829万円 | 1990万円 |
5級 | 599万円 | 1400万円 |
7級 | 409万円 | 1000万円 |
9級 | 245万円 | 690万円 |
12級 | 93万円 | 290万円 |
弁護士に依頼することで、依頼しない場合と比べ1.5倍~3倍の慰謝料を獲得できることがわかります。
脊椎が骨折することで、麻痺障害のみならず運動障害・変形障害が残る場合もあります。
その程度により、それぞれ後遺障害等級6級、8級に該当する可能性があります。
複数の障害が残った場合の後遺障害等級は非常に複雑です。
認定を目指す等級によって、申請に必要な書類や検査なども変わってきます。
何級になる可能性があるのか?という等級に関するご相談も受け付けております。
今回の記事をまとめますと、以下のようになります。
脊髄損傷の後遺症である麻痺障害は、基本的に完治することはありません。
後遺障害を適切に評価してもらい、十分な慰謝料をもらうことは今後後遺障害を負って生きていくことの助けになります。
面倒な申請に関する手続きや、保険会社との交渉などはどうぞ弁護士に一任し、治療やリハビリに専念してください。
アトム法律事務所ではLINE・電話での無料相談を受け付けています。
医師といえども、交通事故の保険に関する専門家ではありません。
例えば後遺障害等級認定に有効な検査をお願いしたり、適切な診断書を書いてもらうには、交通事故に関する専門的な知識が不可欠です。
アトムの弁護士は、交通事故案件を数多くとり扱っています。
慰謝料だけではなく、治療後の看護費や介護費などの増額もお手伝いいたします。
交通事故に関するどんな段階のお悩みも、気軽にご相談ください。
成瀬潤
こちらで説明することは、あくまで一般的な傾向です。
実際は、被害者の方一人一人の容態や治療に合わせた後遺症への対応が必要です。
ご不安に思うことがありましたら、まずはお気軽に弁護士にご相談ください。
貴方やご家族の症状に沿った、具体的なアドバイスをいたします。