弁護士無料相談をご利用ください
相談依頼は今すぐ!
回答済:岡野武志弁護士
後遺障害等級について以下のような疑問を持たれる被害者の方も多いかと思います。
怪我の症状が残ってしまった場合、適切な補償が受けられるか不安な方も多いでしょう。
後遺障害等級についてよく知っておけば、そういった不安を少なくすることができます。
交通事故案件に注力するアトム法律事務所が後遺障害等級について解説していきます。
交通事故では、後遺障害等級が認定されるかどうかでもらえる金額は大きく違います。
認定された場合、入通院慰謝料に加えて、別途後遺傷害慰謝料がもらえます。
後遺障害等級には1級~14級まであり、等級に応じて慰謝料は計算されます。
また、同じ等級でも計算に用いられる基準によりもらえる金額は大きく変わります。
慰謝料などの賠償金(示談金)計算に用いられる基準は大きく以下の3つに分けられます。
具体的な後遺障害等級・基準別慰謝料の金額の一覧は以下の表のとおりです。
基準 | 自賠責 ※1 | 任意保険 ※2 | 裁判 |
1級 | 1100 (1300) | 1300 | 2800 |
2級 | 958 (1128) | 1100 | 2370 |
3級 | 829 (973) | 950 | 1990 |
4級 | 712 | 800 | 1670 |
5級 | 599 | 700 | 1400 |
6級 | 498 | 600 | 1180 |
7級 | 409 | 500 | 1000 |
8級 | 324 | 400 | 830 |
9級 | 245 | 300 | 690 |
10級 | 187 | 200 | 550 |
11級 | 135 | 150 | 420 |
12級 | 93 | 100 | 290 |
13級 | 57 | 60 | 180 |
14級 | 32 | 40 | 110 |
※ 金額の単位は万円
※ 等級は介護を要する後遺障害以外のもの
※1 ( )は被扶養者がいる場合
※2 旧統一任意保険基準を参照
裁判基準の後遺障害慰謝料は、ほとんどの等級で他の基準の倍以上の金額になっています。
14級の慰謝料に至っては、自賠責基準の約3.5倍の金額になっています。
また、後遺障害等級1級と2級には別途「介護を要する後遺障害」が存在します。
介護を要する分、自賠責では通常の後遺障害等級より慰謝料の金額が高くなっています。
具体的には、以下の表のとおりです。
等級 | 1級 | 2級 |
金額 | 1600万 (1800万) | 1163万 (1333万) |
後遺障害等級が認定されると、後遺傷害慰謝料に加えて
逸失利益
も賠償金(示談金)としてもらえることになります。
後遺障害が残らなければ、被害者が将来得られたはずの収入の減少を補うための損害項目
逸失利益の金額を算定するための計算式は以下のとおりです。
(基礎収入)×(労働能力喪失率)×(労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数)
より詳しく知りたい方は「交通事故で後遺障害が残ったら|逸失利益の計算法や基礎収入を解説!無職の場合は?」をご覧ください。
上記の計算式は、先ほどの3つの基準すべてに用いられています。
そして、自賠責保険では後遺障害等級ごとに
を定めており、労働能力喪失率は基本的に他の基準の計算でも用いられます。
自賠責保険における後遺障害等級別の保険金額及び労働能力喪失率は以下のとおりです。
後遺障害等級 | 保険金額 | 労働能力喪失率 |
要介護1級 | 4000万円 | 100% |
要介護2級 | 3000万円 | |
1級 | 3000万円 | |
2級 | 2590万円 | |
3級 | 2219万円 | |
4級 | 1889万円 | 92% |
5級 | 1574万円 | 79% |
6級 | 1296万円 | 67% |
7級 | 1051万円 | 56% |
8級 | 819万円 | 45% |
9級 | 616万円 | 35% |
10級 | 461万円 | 27% |
11級 | 331万円 | 20% |
12級 | 224万円 | 14% |
13級 | 139万円 | 9% |
14級 | 75万円 | 5% |
自賠責からもらえる逸失利益は、計算上金額がいくらになっても
後遺障害等級別の保険金額から慰謝料を差し引いた金額
までとなります。
たとえば、後遺障害等級が12級の場合、自賠責からもらえる逸失利益は
224万円-93万円=131万円
までとなります。
収入や年齢次第ですが、自賠責からもらえる金額は等級別保険金額になることが多いです。
自賠責保険からもらえる金額を超える分については、
任意保険会社との示談交渉
により金額が決まることになります。
そして、任意保険会社からもらえる金額を増やすにはポイントがあります。
具体的には以下の3点です。
まず、後遺障害等級に応じて
が決まるため、①が重要になります。
そして、同じ等級でも、裁判基準の慰謝料は高額になるため、②も重要になります。
さらに、任意保険会社は、逸失利益の計算式自体は同じものを使っても、そこに入る
を低く見積もることで支払う金額を抑えようとしてくるので、③も重要になってきます。
上記の増額のポイントを実行するには弁護士への依頼が有用です。
交通事故の経験豊富な弁護士に依頼すれば、この後詳しく紹介する
後遺障害等級の認定基準を踏まえた被害者請求の方法による申請
が可能となり、①の適切な後遺障害等級の認定を受けられる可能性が高まります。
そして、慰謝料についても、裁判基準と同等の
弁護士基準で計算した金額
で示談交渉することが可能となり、②を満たすことができます。
さらに、逸失利益に関する示談交渉においても、
法的な知識や経験に基づく的確な主張・反論
が可能となり、③逸失利益の計算式に入る数値を有利なものにできる可能性が高まります。
弁護士への依頼でいくら位の金額がもらえるかは以下の慰謝料計算機で確認できます。
登録不要であり、後遺障害等級などいくつかの項目を入力するだけで、自動的に
弁護士に依頼した場合にもらえる金額
を計算してくれます。
ただし、慰謝料計算機で確認できるのは、あくまで一般的な金額です。
実際にもらえる金額は、過失割合や後遺障害の種類などによって大きく異なります。
そのため、より具体的な金額を確認するには弁護士に直接相談するのが確実です。
アトム法律事務所では、弁護士による無料相談を実施しています。
どれ位の金額をもらえそうか確認してみたい方は、まずはお気軽にご連絡ください。
また、自賠責保険や加害者側以外からも一定の金額をもらうことができる場合があります。
例えば、勤務中や通退勤中に交通事故にあったような場合です。
この場合、労災からも後遺障害等級に応じて一定の金額をもらうことができます。
また、交通事故に遭われた被害者の方が
県民共済などの生命保険(傷害保険)に加入
していれば、そちらからも後遺障害等級に応じた一定の金額がもらえます。
ただし、それぞれ別々に後遺障害等級の認定を受ける必要があります。
労災からもらえる金額を詳しく知りたい方は「労災の後遺障害の等級別金額」の記事をご覧ください。
県民共済からもらえる金額を詳しく知りたい方は「県民共済から受け取れる後遺障害の等級ごとの金額は?」の記事をご覧ください。
どちらもアトム法律事務所代表の岡野武志弁護士が監修している記事です。
後遺障害等級の適切な認定を受けるには、認定基準を理解しておく必要があります。
交通事故における後遺障害は
自動車損害賠償法(自賠法)施行令の別表に定める等級に該当するか
により判断されます。
たとえば、視力に関する後遺障害等級は以下の表のように判断されます。
等級 | 後遺障害 |
1級 | 両眼失明 |
2級 | ・1眼失明し、他眼0.02以下 ・両眼0.02以下 |
3級 | 1眼失明し、他眼0.06以下 |
4級 | 両眼0.06以下 |
5級 | 1眼失明し、他眼0.1以下 |
6級 | 両眼0.1以下 |
7級 | 1眼失明し、他眼0.6以下 |
8級 | ・1眼失明 ・1眼0.02以下 |
9級 | ・両眼0.6以下 ・1眼0.06以下 |
10級 | 1眼0.1以下 |
13級 | 1眼0.6以下 |
※矯正視力を万国式試視力表で測定
自賠法施行令の別表に定められた後遺障害等級の一覧は以下から確認できます。
交通事故の怪我を治療した結果、一定の症状が残ってしまった場合でも
自賠法施行令別表に定められた等級に該当しないと判断
されれば、後遺障害として認定されず、残った症状に対する補償は原則受けられません。
もっとも、自賠法施行令別表に定められた等級の後遺障害は
抽象的な表現になっている
ものも多く、視力と違い、別表からだけでは該当するかの判断が難しいものもあります。
たとえば、顔の傷について後遺障害等級に該当しうる別表の記載は
となっていますが、これだけではどの程度であれば等級に該当するかが判断できません。
そこで、別表の後遺障害に該当するかを判断するための詳細な認定基準があります。
自賠責保険では、労災の認定基準に準じて判断すると定められています。
等級の認定は、原則として労働者災害補償保険における障害の等級認定の基準に準じて行う。
そして、顔の傷に関する後遺障害等級の認定基準は以下の表のようになっています。
等級 | 別表の記載 | 認定基準 |
7級12号 | 外貌に著しい醜状を残すもの | ・鶏卵大面以上の瘢痕 ・10円銅貨以上の組織陥没 |
9級16号 | 外貌に相当程度の醜状を残すもの | 5㎝以上の線状痕 |
12級14号 | 外貌に醜状を残すもの | ・10円銅貨大以上の瘢痕 ・3㎝以上の線状痕 |
交通事故で最も多い症状といわれるむちうちで認められる後遺障害等級は
のいずれかがほとんどです。
そのため、後遺障害等級が認定される割合は14級と12級で約7割を占めます。
神経症状に関する労災の認定基準は
となっており、自賠責保険実務においては
により判断されるところ、より具体的にいうとむちうちでは自覚症状だけでは足りず
が最低でも必要となります。
14級9号 | 12級13号 | |
等級表の文言 | 局部に神経症状 | 局部に頑固な神経症状 |
労災の認定基準 | 受傷部位にほとんど常時疼痛 | 時に強度の疼痛のためある程度労務に支障 |
自賠責の判断基準 | 障害が医学的に説明可能 | 障害が他覚的に証明可能 |
最低限必要な条件 | 6か月以上の通院 | 画像上の異常所見 |
後遺障害等級認定の申請をするためには、
症状固定時に医師に後遺障害診断書を作成
してもらう必要があります。
傷病の症状が安定し、医学上一般に認められた治療方法を行っても、その医療効果が期待できなくなった状態
後遺障害等級は症状固定時の症状を対象に判断されるため、医師とよく相談して
適切なタイミングで症状固定
する必要があります。
診断書を受け取った被害者が後遺障害等級認定を申請するには二つの方法があります。
そのうちの一つである事前認定とは
加害者側任意保険会社が主体となって後遺障害等級認定を申請
する方法になります。
もう一つの方法である被害者請求とは、その名のとおり
被害者自身が主体となって後遺障害等級認定を申請
する方法になります。
二つの申請方法のメリット・デメリットを表にまとめると以下のようになります。
申請方法 | 事前認定 | 被害者請求 |
メリット | ・資料収集の負担少ない ・費用負担なし | ・提出書類や時期を決定できる ・示談前にお金が入る |
デメリット | ・手続が不透明 ・示談までお金入らない | ・資料収集の負担 ・費用負担 |
この点、交通事故案件の経験豊富な弁護士に依頼すれば
など、被害者請求のメリットを活かしつつ、デメリットを減らすことができます。
後遺障害等級認定の申請先は加害者側自賠責保険会社になります。
自賠責保険会社は申請書類をチェックした後に損害保険料率算出機構に送付します。
認定機関である自賠責保険会社は損害保険料率算出機構の調査結果を基に判断します。
認定結果は
という書面を被害者に送付するという方法により通知されます。
被害者請求の方法で申請した場合、等級認定された時点で一定の金額を受け取れます。
なお、後遺障害が複数存在する場合、等級は併合して判断されます。
併合について詳しく知りたい方は「後遺障害併合8級、11級、12級等の慰謝料相場|後遺障害の併合・系列について解説」をご覧ください。
後遺障害等級認定の結果に納得がいけば、それを踏まえ保険会社と示談交渉します。
一方、非該当や想定よりも低い等級だったなど、認定結果に納得できない場合は
などの方法により、再度の認定を求めてから、最終的な解決を目指す流れになります。
上記の3つの方法を比較した表は以下のとおりです。
方法 | 異議申し立て | 紛争処理申請 | 裁判の提起 |
判断権者 | 自賠責保険審査会 | 紛争処理委員会 | 裁判所 |
費用 | 無料 | 無料 | 有料 |
当事者の出席 | 不要※ | 不要※ | 必要 |
不服申立 | 何度でも可能 | ☓ | 上訴 |
※醜状障害などでは面談行われる場合あり
損害保険料算出機構の統計によれば、申請の受付から調査の完了までに要する日数は
通常の後遺障害の事案では、9割以上が2か月以内
となっています。
もっとも、上記の統計には
は含まれておらず、事案によっては調査だけで半年以上かかることもあります。
また、申請の前提となる症状固定には事故から通常半年以上の期間を要します。
そして、症状固定してから申請するまでの準備期間としてさらに通常1か月以上必要です。
そのため、交通事故発生から後遺障害等級認定までには1年近くの期間を要します。
このような悩みを持つ被害者の方も多いかと思います。
そういった方のため、アトム法律事務所では弁護士による無料相談を実施しています。
適切な後遺障害等級の認定やそれに見合った賠償金額を受け取るには
症状固定前の治療内容や申請書類などが重要になる
ため、早期にご相談頂ければ、その分弁護士がアドバイスできることも増えます。
アトム法律事務所では
ので、ご都合の良い時間や方法でお気軽にご相談ください。
また、相談後弁護士に依頼することになった場合の費用が心配な方もいるかと思います。
この点、弁護士特約が使える場合には、ご自身の費用負担が大幅に減少します。
弁護士特約とは何かについては、以下の動画で弁護士が分かりやすく解説しています。
弁護士特約は、自動車保険のオプションとしてついていることが多いです。
まずは加入している保険の内容を確認してみてください。
よくわからない場合は、その点も含めて弁護士にお気軽にご相談ください。
弁護士特約の解説記事
このページでは、後遺障害等級に関する疑問に回答してきました。