作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
脳挫傷の後遺症を解説|症状や看護の必要性、生存率も解説 弁護士に頼るべき?
「外傷性脳挫傷の後遺症について知りたい…」
交通事故による外傷性脳挫傷の後遺症についてお悩みの方からは、よく以下のような疑問や質問が寄せられます。
- 外傷性脳挫傷、びまん性軸索損傷、くも膜下出血の違いとは?
- 外傷性脳挫傷の生存率とは?
- 外傷性脳挫傷の後遺症は後遺障害の何級?
ご覧の記事では交通事故にくわしい弁護士が脳挫傷の後遺症について徹底解説していきます。
目次
脳挫傷の後遺症|看護は必要?後遺障害の等級とは?
脳挫傷の後遺症の症状を解説!看護が必要な症状
外傷性脳挫傷の具体的な後遺症の内容について解説します。
脳挫傷の後遺症|高次脳機能障害
外傷性脳挫傷において最も顕著に生じやすい後遺症は
高次脳機能障害
です。
高次脳機能障害は、
- 神経認知障害
- 社会行動障害、情動障害
に大別できます。
神経認知障害 | ・記憶力や判断力、注意力の低下 ・物事を計画を立てて達成する能力の低下 ・自己洞察性(病識)の低下 など |
社会行動障害 情動障害 | ・攻撃性、易怒性、幼稚性の高まり ・意欲低下 ・病的嫉妬 など |
治療法
長い目で見れば、高次脳機能障害は通常、リハビリと時間の経過によって改善の傾向を示します。
とくに以下のような要素を備えていれば、より早期の改善が見込めるといわれています。
- 意識喪失の時間が短かった
- 若年である
- 脳損傷の程度が軽い
など
ただ、脳の機能がいつまでにどこまで回復するかのかは態様により様々です。
日常生活や社会復帰に支障が生じ、将来にわたって看護や介護が必要になるケースもあります。
脳挫傷の後遺症|神経症状
脳挫傷においては、神経症状が残存する場合もあります。
具体的には、
- 四肢のいずれか、またはすべての麻痺
- 起立や歩行の傷害
- 構音障害(言葉を発せない、発しにくくなる)
などです。
治療法
こうした神経症状についても、リハビリなど理学療法と時間の経過によって改善の傾向を示します。
ただし態様により回復の程度には差異があり、将来にわたる看護や介護が必要になるケースもあります。
脳挫傷の後遺症|外傷性てんかん
外傷性てんかんとは、狭義の意味において頭部に外傷を受けた1週間後以降にみられるてんかん発作のことを指します。
- けいれん
- 意識消失
- 身体に力が入り突っ張ったままになる強直
などといった発作が間欠的に突然起こります。
治療法
薬物療法として抗てんかん薬が処方されます。
ただ、抗てんかん薬を予防的に用いてもすべての症例で発作を抑えこめるというわけではありません。
脳挫傷の後遺症|意識障害
脳挫傷を負ったときには、受傷直後、または受傷後しばらくして意識が喪失してしまうことがあります。
重症例ではその意識喪失状態から遷延性意識障害へと移行してしまう場合もあります。
遷延性意識障害
植物状態、植物人間と俗称される。
昏睡状態から開眼できる状態にまで回復したものの、周囲との意思疎通を喪失したという状態を指す。
遷延性意識障害になると、自力での移動や食事はできず、糞尿失禁をもきたします。
- 褥瘡(床ずれ)の予防措置
- 栄養の補給
- 清潔な状態の維持
といった看護、介護が必要になります。
治療法
遷延性意識障害に対し、明確な有効性を持つ治療法は現在のところ確立されていません。
時間経過や五感に刺激を与える療法の継続などにより改善の兆しを見せるケースもあります。
しかし、遷延性意識障害の状態から脱することができない症例も多いです。
まとめ
脳挫傷の主な後遺症
主な症状 | |
高次脳機能障害 | ・認知、遂行能力の低下 ・性格の変容 ・意欲の低下 など |
神経症状 | ・構音障害 ・麻痺 ・起立、歩行障害 など |
外傷性てんかん | ・けいれん ・意識消失 ・強直 などのてんかん発作 |
意識障害 | ・周囲との意思疎通の喪失 など |
脳挫傷の後遺障害等級|どんな後遺症なら認定される?
交通事故により脳挫傷を負い、後遺症が残ってしまったときには後遺障害の認定をうけることが重要です。
脳挫傷のどのような症状がどのような等級に認定され得るかは、以下の記事でくわしく解説しています。
脳挫傷の後遺症|脳損傷の種類や生存率、治療の流れ
脳挫傷の後遺症にあわせて
- 外傷性脳挫傷とそれ以外の脳損傷の違い
- 重症頭部外傷の死亡率
- 脳挫傷の治療の流れ
も確認しておきましょう。
脳挫傷、びまん性軸索損傷、くも膜下出血|脳損傷の種類
「交通事故などにより頭部を強かに打ち付けた」
このような態様の外傷においては、脳挫傷のほかにも、
- くも膜下出血
- 硬膜外血腫
- びまん性軸索損傷
などを呈するケースも多いです。
まず、これらの傷病の違いについて触れておきましょう。
局所性脳損傷
頭蓋内の特定部位に何らかの損傷などが生じたという病態を「局所性脳損傷」と言います。
脳挫傷をはじめ、
- 硬膜外血腫
- 硬膜下血腫
- くも膜下出血
などが当てはまります。
頭の頭皮の下は上から順に、
- 頭蓋骨
- 硬膜
- くも膜
- くも膜下腔
- 軟膜
- 脳
という構造になっています。
これらの部位のどこが出血したか、損傷したかにより病名がわかれるわけです。
脳挫傷 |
脳そのものについて、 ・挫滅したり ・挫滅に伴って出血したり ・浮腫(むくみ)が生じたり するという病態。 |
くも膜下出血 |
くも膜と軟膜との間に出血が生じているという病態。 |
硬膜下血種 |
硬膜の下に出血が生じるという病態。 血は短時間のうちにゼリー状に固まり脳を圧迫する。 脳挫傷による出血に伴って発症しやすい。 |
硬膜外血腫 |
頭蓋骨と硬膜のあいだに出血が生じるという病態。 血はゼリー状に固まって脳を圧迫する。 外傷によるものは、多くは頭蓋骨骨折を伴う。 |
びまん性脳損傷
びまん性脳損傷とは、脳全体に何らかの損傷が及んだということを総括する傷病名です。
- 局所性脳損傷が生じていないのに意識障害を呈している「びまん性軸索損傷」
- 局所性脳損傷が生じていないのに頭蓋内圧が高まっている「びまん性脳浮腫」
などが挙げられます。
びまん性軸索損傷についてくわしく知りたい方はコチラの記事をご覧ください。
脳挫傷の重度外傷の生存率とは?
重度の頭部外傷については数年おきに全国規模で統計調査が行われています。
今回は2009年~2011年にかけて行われた22 施設1091例の調査から、死亡率、生存率を見てみましょう。
割合 | |
good recovery (後遺症がないか僅かであり元の生活に戻れている) | 16% |
moderately disabled (ある程度の障害を残したが日常生活を自立して送れている) | 14% |
severely disabled (障害のため日常生活に介助を要する) | 19% |
vegetative state (植物状態) | 10% |
dead (死亡) | 41% |
*『神経外傷vol36頭部外傷データバンク【プロジェクト 2009】特集号 頭部外傷データバンク【プロジェクト 2009】の概略』より抜粋
*ここで言う重症とはGlasgow Coma Scaleで8点以下の様態を指す
これらは重症頭部外傷すべてについての統計であるため、脳挫傷の実際の死亡率とは差異があるものと思われます。
しかし脳の一部が挫滅するという特性上、脳挫傷の多くは重症となります。
これら統計の数字も、脳挫傷の死亡率に近しいものであることが推察されます。
脳挫傷の治療|CT検査とは?
外傷性脳挫傷の治療や検査の流れについても触れておきましょう。
脳挫傷は、その態様により生命に危険が及ぶ緊急性の高いケースもあります。
治療の順序として、なによりもまずは呼吸や循環の管理・維持が優先して行われます。
生命維持に支障がないという様態になった後、頭部のCT検査などが行われ手術すべきかどうかが判断されます。
CT検査
X線を照射し、その透過量によって体内を濃淡のある画像として表現する検査。
外傷性脳挫傷の大半は頭部のCT検査によって比較的簡単に診断できる。
脳挫傷の治療|保存療法
基本的には非手術療法が選択されます。
薬物の投与を行いつつ、呼吸や循環を維持した状態で絶対安静を保ち、回復を待ちます。
脳挫傷の治療|手術療法
薬物の投与など保存的な加療で頭蓋内圧の亢進が管理できない場合などでは、手術の適応となります。
頭蓋内圧亢進
脳挫傷など頭蓋骨の内部が外傷を負ったときに生じ得る。
脳自体が腫れたり出血や血腫が生じるなどして、頭蓋骨内部の圧力が高まっていく病態。
この状態が継続されると、脳の壊死の範囲が広がるなど二次的な脳損傷をきたす。
手術の内容は、
- 頭蓋骨を取り外して除圧する
- 血腫を取り除く
- 壊死した脳の一部を取り除いて除圧する
といったものになります。
脳挫傷の後遺症についてお悩みなら弁護士に相談
- 「交通事故で家族が脳挫傷を負ってしまった!」
- 「外傷性脳挫傷で後遺症が残りそう…」
そのようなときには、交通事故にくわしい弁護士に相談することも検討してみてください。
脳挫傷の慰謝料を計算|慰謝料計算機
人身交通事故において通常、相手方の任意保険会社は
過去蓄積されてきた裁判例に基づく基準よりも、さらに低額な基準
に基づいて示談を締結しようとしてきます。
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弁護士プロフィール
岡野武志弁護士
(第二東京弁護士会)
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。