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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
踵骨(しょうこつ)はかかとを形成する骨で、普段の立ったり歩いたりといった動作で重要な役割を担っています。
ですが交通事故で運悪く踵骨を骨折してしまった場合、後遺障害が残ってしまうこともあります。
踵骨骨折によりどのような後遺症(後遺障害)が生じるのか、慰謝料はいくら受け取ることが出来るのかを紹介します。
目次
以下に述べるのは一般的な傾向です。
実際に骨折してしまった場合にはまずは受診し、主治医の判断に従いましょう。
踵骨(しょうこつ)は、かかと部分の骨を指します。
高いところからの転落のほか、交通事故で足を強く打った時などに骨折が起こることがあります。
日常的にもっとも体重がかかる部分ですので、他の骨折と比べると治りにくく、痛みも残りやすいのが特徴です。
多くの場合、踵骨の骨折だけでは即座に足首が動かなくなる、といった事態は起こりません。
代わりに、踵に痛みが生じます。立ったり体重をかけたりすると、さらにひどくなる傾向があります。
痛みのために歩行できなくなることが多く、踵の内部または外部に腫れや出血が生じることもあります。
踵骨骨折の後遺症としては、以下のものなどが考えられます。
また、これらによる歩行の困難
さらに骨折の症状によって、関節が曲げにくくなる場合もあります。
踵骨のちょうど真上に距骨(きょこつ)という骨があります。
そこと接していない部分、すなわち踵骨の外側部分の骨折である場合は、主にギプス固定で治療を行います。
かかとの後ろ側が欠けるような形の鴨嘴(カモノハシ)状骨折の場合は、アキレス腱を切開、整復の後、海綿骨ネジで固定、ギプス固定を行います。
距骨と接している部分にまで骨折が及んでしまっている場合も同様に整復し、スクリューでの固定を行います。
踵骨がつぶれてしまっている場合などは骨片に釘を刺してギプスで固定したり、骨移植などを行います。
長く痛みがとれない場合、温熱療法や運動療法、薬剤療法などが行われますが、効果は不確実です。
では、交通事故の「後遺障害」としての踵骨骨折の症状を見ていきましょう。
治療後も体に残る後遺症を部位・程度などによって14段階に区分したもの
交通事故で後遺障害が残った場合、後遺障害等級によって慰謝料の金額などが決定されます。
より高い(数字の小さい)等級に認定されれば慰謝料も増えますので、どの等級に認定されるかは非常に重要です。
実際の申請基準や方法については、以下のページをご覧ください。
後遺障害を負ってしまったという精神的苦痛に対して支払われる損害賠償
後遺障害等級に認定されると、その等級に応じて後遺障害慰謝料を得ることができます。
後遺障害慰謝料を含む慰謝料には、3つの算定基準があります。
実際に踵骨骨折の症状でいくら受け取れるかについては、次の章で解説します。
踵骨骨折により周囲の腱や神経が損傷し、かかとや足の裏に痛みやしびれが残る場合があります。
その場合に該当する後遺障害等級を見てみましょう。
踵骨骨折による痛み・しびれ
12級13号 |
---|
局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 |
局部に神経症状を残すもの |
これらの文言によれば、痛みやしびれの程度によって等級が変化するように思えます。
ですが実際は、主に他覚的所見の有無によって等級は決定されます。
画像検査や神経学的検査によって確認できる、客観的な身体的異常
通常、後遺障害等級は障害の重さによって決定します。
ですが痛みなどは目視できず、客観的に判断しづらい症状です。そのため、認定の際に他覚的所見が重視されます。
局部とは体の一部、神経症状とは痛みやしびれなど神経由来の症状を指します。
「頑固」については明確な基準はなく、
などが揃い、痛み・しびれ症状を医学的に証明可能であれば、後遺障害等級12級に認定される可能性があります。
他覚的所見に乏しい場合、痛みやしびれの原因となった損傷を証明するのは困難です。
それでも一定以上の通院期間があり症状が一貫している・事故直後に損傷が確認できているなど、痛み・しびれ症状を医学的に説明・推定可能であれば、後遺障害等級14級に認定される可能性があります。
痛みやしびれにより後遺障害12級13号と14級9号に認定された場合、支払われる後遺障害慰謝料は以下の通りです。
足の痛み・しびれの後遺障害慰謝料
自賠責基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|
12級13号 | 93万円 | 290万円 |
14級9号 | 32万円 | 110万円 |
左の列が最低限の補償を行う自賠責保険の基準、右の列が弁護士に依頼することで請求できる弁護士基準の金額です。
12級に認定されることで、14級のおよそ3倍の慰謝料を受け取れることがわかります。
ぜひ専門家の力を借りて、12級認定を目指してください。
踵骨骨折により骨折した骨がくっついた後に、まれに四肢に激しい灼熱痛・疼痛・腫れなどが生じる場合があります。
これらは、神経損傷の有無などで呼び名が分かれていましたが、現在では同様の症状をまとめて複合性局所疼痛症候群(CRPS)と呼ぶことも多いです。
CRPSと認められた場合、通常の痛みやしびれよりも上位の後遺障害等級が認定される場合があります。
これらの症状が自覚症状・他覚症状として規定された数だけ認められることが判断の指標(厚生労働省研究班によるCRPSの判定指標)となっています。
実際にCRPSに該当する場合の後遺障害等級を見てみましょう。
神経に起因する症状である場合、後遺障害等級表の文言だけでなく厚生労働省による認定基準を参考にします。
踵骨骨折によるRSD
7級4号 |
---|
神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
9級10号 |
神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの |
12級13号 |
通常の労務に服することはできるが、時には強度の疼痛のため、ある程度差し支えがあるもの |
後遺障害等級7級4号・9級10号に該当するかを判断するために、以下のような要件が設けられています。
以上の慢性期における主要な3つの症状が、障害のない方(健側)と比べて明らかに認められる場合
これらを他覚的所見を以て厳格な証明がなされた場合は7級4号または9級10号に該当する可能性があります。
以上の基準は、臨床上の判断とは異なることがあります。
② の骨萎縮が医療現場では要件とされない場合が多く、この点により認められなかったときは裁判で争う必要があります。
上記の要件を満たしていないときで、経過上はCRPS特有の所見が確認でき、症状固定時も1つ以上の所見を残しているものは12級13号に認定されることがあります。
また、疼痛の残存が医学的に説明できる場合は14級9号に認定されることがあります。
CRPSにより後遺障害等級に認定された場合、支払われる後遺障害慰謝料は以下の通りです。
CRPSの後遺障害慰謝料
自賠責基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|
7級4号 | 409万円 | 1000万円 |
9級10号 | 245万円 | 690万円 |
12級13号 | 93万円 | 290万円 |
14級9号 | 32万円 | 110万円 |
CRPS・RSDは立証が困難で、治療が長期化します。
漫然と治療するのではなく専門医にかかり、適切な治療をすることが大切です。
踵骨は足関節に含まれていませんが、他の骨と接する部分を損傷してしまうことで足首が曲げられないといった後遺障害が出ることがあります。
その場合に該当する可能性のある後遺障害等級を見てみましょう。
踵骨骨折による足首*が曲がらない症状
8級7号 |
---|
1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの |
10級11号 |
1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
12級7号 |
1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの |
*足首以外の関節にも異常がある場合はより高い等級に認定される
用いられている専門用語をわかりやすく言い換えると、以下のようになります。
ここに書かれている角度は、背屈(足の甲側に曲げる動き)と底屈(足の裏側に曲げる動き)の合計値です。
関節の用を廃す
… 関節がまったく動かない~または障害のない関節と比べ可動域が1/10程度以下のもの(足首では目安として10度以下)
または神経麻痺などにより外部からの力では動くものの、自力ではまったく動かせない~または障害のない関節と比べ可動域が1/10以下のもの(手首では目安として10度以下)
関節の機能に著しい障害を残すもの
… 障害の無い関節と比べ可動域が1/2以下のもの(足首では目安として35度以下)
関節の機能に障害を残すもの
…障害の無い関節と比べ、可動域が3/4以下に制限されているもの(足首では目安として50度以下)
後遺障害等級は、主に関節の可動域によって決定されるということがわかります。
足首が曲げられない症状により後遺障害等級に認定された場合、支払われる後遺障害慰謝料は以下の通りです。
足首が曲げられない症状の後遺障害慰謝料
自賠責基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|
8級7号 | 324万円 | 830万円 |
10級11号 | 187万円 | 550万円 |
12級7号 | 93万円 | 290万円 |
今回の記事をまとめると、以下のようになります。
踵骨は日常の歩行で重大な役割を担っており、骨折すると大変な不便を感じることでしょう。
さらにどうしても負担をかけてしまいがちな部分であるため、後遺障害が残りやすいとも言われています。
後遺障害等級の申請や、交通事故相手とのやりとりなどの手続きは弁護士に一任し、ご本人は治療に専念することが重要です。
慰謝料はいくらになりそうか、等級は認定されるか、治療はどうやって行うべきか、少しでもそのようなご不安があれば、気軽にご相談ください。
アトム法律事務所では交通事故に関して、LINE・電話での無料相談を受け付けています。
(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。
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弁護士プロフィール
岡野武志弁護士
踵骨骨折における後遺症の症状としては、かかとの痛み・しびれ、激しい疼痛などが主にあげられます。また、かかとに痛みを感じることで歩行がむずかしくなることも考えられます。踵骨骨折は適切な治療をつづけても残念ながら完治せず、なんらかの後遺障害が残る可能性があります。 踵骨骨折の後遺症を解説
踵骨骨折が原因で痛みやしびれの後遺症が残ってしまったら、12級13号または14級9号の後遺障害等級に認定される可能性があります。12級13号と14級9号のちがいは、自覚症状を裏付ける「医学的証拠」という客観的な事柄で判断されることになります。 かかとに痛みなどが残る場合の後遺障害等級
踵骨骨折が原因でCRPSという後遺症が残ってしまったら、7級4号・9級10号・12級13号の後遺障害等級に認定される可能性があります。CRPSは、骨折して骨がくっついた後に激しい灼熱通や疼痛、腫れを生じるような後遺症です。 CRPSの後遺障害等級を解説
踵骨骨折が原因で足首が曲がらないような後遺障害は、1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したものの場合は8級7号、1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すものの場合は10級11号、1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すものの場合は12級7号の等級認定が予想されます。 足首が曲がらない場合の後遺障害等級