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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)

大腿骨骨折後遺症

大腿骨骨折で残るかもしれない7つの後遺症|手術、等級、慰謝料の疑問にお答え

大腿骨骨折の後遺症って?

大腿骨(だいたいこつ)は骨盤から膝関節までをつなぐ、体内で最も大きな骨です。
この骨を骨折すると、骨折自体が治癒した後にも様々な後遺障害(後遺症)が残る場合があります。
この記事では、大腿骨骨折による主な7種類の後遺障害と、症状別に支払われる慰謝料などを紹介していきます。

  • 大腿骨骨折には種類があるって本当?
  • 大腿骨骨折の後遺障害にはどのようなものがある?
  • 後遺障害によって受け取ることのできる慰謝料はいくら?


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交通事故の大腿骨骨折はどのようなもの?

大腿骨は、股関節の付け根から膝までを繋ぐおよそ40cmの大きな骨です。
交通事故で腿に車が衝突したとき、転倒した際に腿を打ち付けてしまったとき、足をひねったときなどに大腿骨骨折が起こることがあります。

以下に述べるのは一般的な傾向です。
実際の治療やリハビリについては、まず主治医の意見を参考にしてください。

大腿骨骨折の3分類

大腿骨の骨折は、骨折した部位で主に3つに分けることが出来ます。
それぞれ、治療法や発生しやすい後遺障害に関わってきます。

大腿骨頚部骨折

…股関節と繋がっている骨頭(こっとう)のすぐ下の細くなった部分の骨折

大腿骨転子部骨折

…頚部と大腿骨のまっすぐな部分をつなぐ、でっぱった部分の骨折

大腿骨骨幹部骨折

…大腿骨の中央であるまっすぐな部分の骨折

大腿骨骨折の症状

骨折の部位で見る、よく発生する症状の傾向は以下の通りです。

部位別

大腿骨骨折の主な症状*

症状
頚部骨折足の付け根の痛みと腫れ
歩行困難
股関節を動かせない
転子部骨折骨折部分の痛みと腫れ
歩行困難
足を動かせない
骨幹部骨折骨折部分の痛みと腫れ
歩行困難
足の異常な可動域

*傾向であり絶対のものではない

痛みに関しては、折れた骨がどの程度ずれてしまっているかが大きく関わってきます。
いずれにしても、できるだけ早く整形外科を受診するようにしましょう。

大腿骨骨折の治療&手術

大腿骨骨折が起こった場合、特に頚部骨折と転子部骨折では手術を行うのが一般的です。
なぜなら足の付け根部分はギプスで固定するのが難しく、保存治療として経過観察すると1カ月以上寝たきりになってしまう恐れがあるためです。

手術に関しては、頚部骨折で骨のずれが大きい場合は人工骨頭・人工関節に置き換える手術をすることもあります。
そうでない場合はプレートやねじで骨を固定する手術が一般的です。
入院期間は約1カ月ほどのことが多く、症状が落ち着くまでは半年以上かかることもあります。

大腿骨骨折の後遺症(後遺障害)7種類

十分な治療を行っても、これ以上良くも悪くもならないという状態で残存する症状を後遺障害と呼びます。
大腿骨骨折によって生じることのある後遺障害には、以下のようなものがあります。

  • 股関節がうまく動かなくなる
  • 股関節に人工骨頭・人工関節を挿入する
  • 大腿骨に偽関節が生じる
  • 大腿骨が変形する
  • 足の片方が短くなる
  • 足に傷痕が残る
  • 痛み・しびれが残る

交通事故の後遺障害は、その部位と程度によって14段階に分け、後遺障害等級〇級と呼びます。
後遺障害を申請して等級に認定されると、通常の治療費や慰謝料に追加して損害賠償金が支払われます。
申請の方法などについては、以下のページを参照してください。

大腿骨骨折の後遺症で受け取ることのできる慰謝料はいくら?

後遺障害が残った場合に支払われる損害賠償金の一つが、後遺障害慰謝料です。

後遺障害慰謝料

後遺障害を負ってしまったという精神的苦痛に対して支払われる損害賠償

慰謝料金額相場の3基準比較

後遺障害等級に認定されると、その等級に応じて後遺障害慰謝料を得ることができます。

後遺障害慰謝料を含む慰謝料には、3つの算定基準があります。

  • 自賠責保険での金額算定に使われる自賠責基準
  • 各保険会社での金額算定に使われる任意保険基準
  • 過去の裁判例に基づいた弁護士基準

弁護士基準での後遺障害慰謝料は、以下のようになります。

弁護士基準*

後遺障害慰謝料

1234
2800237019901670
5678
140011801000830
9101112
690550420290
1314
180110

*過去の裁判例に基づいた基準

もっとも、個人で相手方と交渉した場合に弁護士基準と同じ額を受け取るのは困難です。
通常、相手方が提示してくる後遺障害慰謝料はこの表の1/2~1/3であるのが一般的です。
より多くの後遺障害慰謝料獲得を目指す場合は、弁護士への依頼を考えましょう。

大腿骨骨折の後遺症で受け取ることのできる逸失利益はいくら?

もう一つ、後遺障害の等級に応じて支払われる損害賠償金が逸失利益です。

逸失利益

後遺障害により労働能力が喪失し、将来の収入が減少することに対する補償
基礎収入×労働能力喪失率×{(67-症状固定時の年齢)に対応するライプニッツ係数}で計算する

逸失利益とは

労働能力喪失率は、後遺障害等級によって以下のように定められています。

労働能力喪失率*
1234
100%100%100%92%
5678
79%67%56%45%
9101112
35%27%20%14%
1314
9%5%

基礎収入の導き方・収入がない場合・症状固定時に67歳以上である場合などの計算式については、以下のページをご覧になってください。


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【一覧】大腿骨骨折の7つの後遺症|それぞれの後遺障害等級・慰謝料は?

ここからは、大腿骨骨折に伴い残存することのある後遺障害を紹介していきます。
それぞれの症状、等級の基準、後遺障害慰謝料の実際の額なども記載します。

①大腿骨骨折による「股関節が動かない」後遺障害

股関節が動かない後遺症は後遺障害10級と12級の違いは?

大腿骨の頚部/転子部を骨折することで、股関節が動かしにくいという後遺障害が残る場合があります。
その場合の後遺障害等級は、以下のようになります。
なお骨幹部骨折でも同様の症状が起こりえますが、因果関係が認められないとして等級に認定されないこともあります。

後遺障害等級

大腿骨骨折による股関節が動かない症状

87
1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
1011
1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
127
1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

*股関節以外の関節にも異常がある場合はより高い等級に認定される

用いられている専門用語をわかりやすく言い換えると、以下のようになります。
ここに書かれている角度は、屈曲(膝を曲げて太腿を腹部に引き上げる動き)と伸展(太腿を背中側に反らす動き)、外転と内転(足を左右に振る動き)の合計値です。

用語

関節の用を廃す

… 関節がまったく動かない~または障害のない関節と比べ可動域が1/10程度以下のもの

(股関節では目安として屈曲+伸展20度以下、外転+内転10度以下両方の基準を満たす)

関節の機能に著しい障害を残すもの

… 障害の無い関節と比べ可動域が1/2以下のもの

(股関節では目安として屈曲+伸展75度以下、外転+内転35度以下いずれかの基準を満たす)

関節の機能に障害を残すもの

…障害の無い関節と比べ、可動域が3/4以下に制限されているもの

(股関節では目安として屈曲+伸展110度以下、外転+内転50度以下いずれかの基準を満たす)

さらに、可動域がわずかに基準を上回る場合であっても、等級に認定されることがあります。
その場合、外旋と内旋の合計値(膝を曲げた状態で左右に動かす動き)が基準を満たす必要があります。

可動域1/2制限の超過が10度までの場合

…障害の無い関節と比べ外旋と内旋の合計値が1/2以下

(股関節では目安として50度以下

可動域3/4制限の超過が5度までの場合

…障害の無い関節と比べ伸展の可動域が3/4以下

(股関節では目安として70度以下

以上の情報をまとめなおすと、以下のようになります。

大腿骨骨折による股関節が動かない症状
等級内容
87障害の無い関節と比べ関節の可動域が1/10程度以下
1011障害の無い関節と比べ関節の可動域が1/2以下*
127障害の無い関節と比べ関節の可動域が3/4以下*

*基準をわずかに超える場合は外旋+内旋の動きの合計値により等級に該当する場合もある

股関節が動かないことで後遺障害慰謝料が500万円以上もらえることも?

それぞれの後遺障害等級に該当する後遺障害慰謝料は以下の通りです。

  • 8級7号に該当する場合は830万円
  • 10級11号に該当する場合は550万円
  • 12級7号に該当する場合は290万円

なお、これは過去の裁判例を元にした弁護士基準での金額です。
弁護士に依頼することでこの金額を請求することが可能になります。

②大腿骨骨折により「人工骨頭」を入れたときの後遺障害

人工骨頭をいれたことは後遺障害何級になる?

大腿骨頸部の骨折により、骨盤にはまっている骨頭と大腿骨頸部が完全に離れてしまった場合などに、人工骨頭・人工関節を挿入することがあります。
その場合の後遺障害等級は、以下のようになります。

後遺障害等級

人工関節・人工骨頭の置換

87
1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
1011
1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
用語

関節の用を廃す

…股関節に人工関節・人工骨頭を挿入置換し、障害の無い関節の1/2以下の可動域となった場合は8級7号

関節の機能に著しい障害を残すもの

…股関節に人工関節・人工骨頭を挿入置換したものは10級11号

現在の技術では、人口関節や人工骨頭をいれて大幅に可動域が制限されることは滅多にありません。
そのため、多くの人は10級11号に該当します。

人工骨頭をいれたことの後遺障害慰謝料はいくら?

それぞれの後遺障害等級に該当する後遺障害慰謝料は以下の通りです。

  • 8級9号に該当する場合は830万円
  • 10級11号に該当する場合は550万円

③大腿骨骨折により「偽関節」が生じたときの後遺障害

大腿骨の偽関節は後遺障害何級になる?

偽関節とは骨がうまくくっつかず、その部分がぐらついて異常な可動域を示す状態を指します。
特に大腿骨頚部の骨折は骨同士がくっつきにくいため、偽関節が発生しやすいと言われています。
大腿骨に偽関節が発生した場合の後遺障害等級は、以下のようになります。

後遺障害等級

大腿骨骨折による偽関節

710
1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
89
1下肢に偽関節を残すもの

偽関節を残し、金属やプラスチックの支柱の入った硬性補装具を常に必要とする場合は7級10号に当たります。
時々補装具を必要とする・必要としない場合は8級9号にあたります。

大腿骨の偽関節の後遺障害慰謝料はいくら?

それぞれの後遺障害等級に該当する後遺障害慰謝料は以下の通りです。

  • 7級10号に該当する場合は1000万円
  • 8級9号に該当する場合は830万円

④大腿骨骨折による「長管骨の変形」の後遺障害

長管骨の変形は後遺障害何級になる?

長管骨とは四肢の骨の中で比較的大きなものを指し、大腿骨もこれにあたります。
骨折がくっつく際に、元の形状よりも屈曲してくっついてしまい大腿骨の変形が起こることがあります。
また外傷や外科的手術の結果、大腿骨が欠損してしまうことがあります。
そのような場合の後遺障害等級は、以下のようになります。

後遺障害等級

大腿骨骨折による長管骨の変形

128
長管骨に変形を残すもの

実際には、以下のような変形が該当します。

用語:長管骨の変形
  1. ① 大腿骨が15度以上屈曲してくっついたもの
  2. ② 大腿骨が外旋(内向き)に45度以上・内旋(外向き)に30度以上回転した状態でくっついたもの
  3. ③ 大腿骨の骨端部がほとんど欠損したもの
  4. ④ 大腿骨の直径が1/3以上減少したもの(骨端部の直径は考慮しない)

なお、大腿骨に複数の変形にあたる症状があっても12級8号に該当します。
さらに②~④は現在の医療水準ではほとんど発生しないと言われています。

長管骨の変形の後遺障害慰謝料はいくら?

長管骨の変形の後遺障害等級に該当する後遺障害慰謝料は以下の通りです。

12級8号に該当する場合は290万円

⑤大腿骨骨折による「下肢短縮」の後遺障害

大腿骨骨折による下肢短縮、8級、10級、13級はどうやって決まる?

大腿骨が骨折した際、そのくっつき方などによって片方の足が短縮してしまうことがあります。
そのような場合の後遺障害等級は、以下のようになります。

後遺障害等級

大腿骨骨折による下肢短縮

85
5下肢を5cm以上短縮したもの
108
1下肢を3cm以上短縮したもの
138
1下肢を1cm以上短縮したもの

下肢の長さについては、上前腸骨棘(腰骨の突き出た点)から下腿内果下端(踝の骨の下端)までを計測します。
計測の際にはレントゲン写真を使用し、提出することが求められます。

大腿骨骨折による下肢短縮の後遺障害慰謝料はいくら?

下肢短縮の後遺障害等級に該当する後遺障害慰謝料は以下の通りです。

  • 8級5号に該当する場合は830万円
  • 10級8号に該当する場合は550万円
  • 13級8号に該当する場合は180万円

⑥大腿骨骨折による「傷痕」の後遺障害

大腿部の傷痕は後遺障害12級になることも?

外部から腿への強い衝撃によって骨折した場合、足に傷痕が残ってしまうことがあります。
そのような場合の後遺障害等級は、以下のようになります。

後遺障害等級*

大腿骨骨折による傷痕

145
下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

*12級相当と評価される場合もある

下肢の露出面とは太腿から足の甲までを指します。
てのひら大とは、被害者の手のひらで指を除いた部分で計測します。
また、複数の傷痕がある場合はその面積の合計値を考慮します。
結果、てのひらの3倍程度以上の面積を超える場合は、特に著しい症状として後遺障害等級12級相当と認定される場合もあります。

大腿部の醜状の後遺障害慰謝料はいくら?

下肢に残った傷痕の後遺障害等級に該当する後遺障害慰謝料は以下の通りです。

  • 12級に相当する場合は290万円
  • 14級5号に該当する場合は110万円

なお、後遺障害等級が認定された際に受け取れる逸失利益は、下肢の傷痕のときは認められにくい傾向があります。
なぜなら普段から露出する部分ではなく、労働能力に支障は出ないと考えられがちであるためです。

⑦大腿骨骨折による「痛み・しびれ」の後遺障害

大腿骨骨折の痛み・しびれの後遺障害12級と14級の違いは?

骨折などの外傷により神経が損傷し、骨折自体が治ったあとでも痛み・しびれが生じることがあります。
そのような場合の後遺障害等級は、以下のようになります。

後遺障害等級

大腿骨骨折による痛み・しびれ

1213
局部に頑固な神経症状を残すもの
149
局部に神経症状を残すもの

ここでの等級は障害の程度ではなく、検査結果やレントゲン・MRI画像など他覚的所見があるかで決定します。
痛みやしびれ症状が医学的に証明可能な場合は12級13号、一応の説明や推定が可能な場合は14級9号に該当します。

大腿骨骨折の痛み・しびれの後遺障害慰謝料はいくら?

骨折による痛みやしびれの後遺障害等級に該当する後遺障害慰謝料は以下の通りです。

  • 12級13号に相当する場合は290万円
  • 14級5号に該当する場合は110万円
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大腿骨骨折の後遺症についてのご不安は弁護士にご相談ください

記事のまとめ

今回の記事をまとめると、以下のようになります。

  • 大腿骨骨折は頚部、転子部、骨幹部と骨折の部位によって治療法や後遺障害などが異なる
  • 大腿骨骨折の主な後遺障害には股関節の機能障害、骨の変形、痛みやしびれなどがある
  • 後遺障害慰謝料の金額は、後遺障害等級で決定する

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弁護士プロフィール

岡野武志弁護士

(第二東京弁護士会)

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。


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大腿骨骨折の後遺症Q&A

大腿骨骨折はどんな後遺症が残る?

大腿骨骨折における後遺症の症状としては、股関節がうまく動かない大腿骨が変形する痛みやしびれが残るなどが主にあげられます。後遺症が残った部位や程度によって、後遺障害等級に認定されると後遺障害慰謝料と逸失利益を請求することができるようになります。 大腿骨骨折の後遺症をくわしく解説

股関節が動かない後遺症は後遺障害何級?

大腿骨骨折が原因で股関節が動かないといった後遺症が残ってしまったら、8級7号10級11号12級7号の後遺障害等級に認定される可能性があります。股関節に関する後遺障害は、障害のない関節と可動域を比べてどのくらい動かないかどうかで等級が判断されることになります。 股関節に関する障害の後遺障害等級

大腿骨が変形する後遺症は後遺障害何級?

大腿骨骨折が原因で長管骨という骨が変形する後遺症が残ってしまったら、12級8号の後遺障害等級に認定される可能性があります。骨折したあと骨がくっつく過程で屈曲してしまったりして変形が起こることがあります。 大腿骨変形に関する障害の後遺障害等級

痛み・しびれが残る後遺症は後遺障害何級?

大腿骨骨折が原因で痛みやしびれといった神経症状の後遺症が残ってしまったら、12級13号または14級9号の後遺障害等級に認定される可能性があります。12級と14級の差は、神経症状をレントゲン・MRIなど医学的資料で証明できるかどうかになります。 神経症状における後遺障害等級