作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)

胸骨骨折後遺症

胸骨骨折の後遺症|痛みやしびれ、変形の慰謝料額はいくら?

胸骨骨折の後遺症って?
この記事のポイント

胸骨骨折により痛みや腫れのほか肺炎などを発症することもある

胸骨骨折の後遺症は痛みや腫れの残存、胸骨の変形などがある

痛みや腫れが残った場合、検査結果や画像所見の有無により慰謝料が変わる

胸骨は鎖骨の中心部からみぞおちの真上までを構成する骨で、基本的には骨折しにくい部位です。
ですが交通事故では胸をハンドルに打ち付けたり、シートベルトで圧迫されることで胸骨骨折してしまうことがあります。
そして胸骨骨折により、どのような後遺症が出ることがあるのでしょうか。
交通事故の後遺障害に詳しい弁護士が解説します。

  • 胸骨骨折は放置してもいいって本当?
  • 胸骨骨折の後遺症にはどのようなものがある?
  • 後遺症が残った場合、慰謝料はいくらもらえる?


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交通事故の胸骨骨折の症状・後遺症は?

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胸骨骨折の症状|咳、疲労、心臓マッサージで起こるって本当?

胸骨は胸中心部の骨です。
交通事故での外傷のほか、スポーツ、転倒、そして心臓マッサージでも起こることがあります。
海外の統計ですが、心臓マッサージにより60~80%の人が胸骨を骨折しているというデータもあります。
逆に、疲労骨折や咳での骨折はごく稀です。
咳で骨折する可能性があるのは、胸骨よりもむしろその脇にある肋骨です。
肋骨は比較的折れやすい骨であり、胸骨骨折が肋骨骨折を伴うことも多いようです。

胸骨骨折の症状としては、以下のようなものがあげられます。

幹部の痛み、腫れ、出血

息苦しさ

また、合併症として肺炎などを発症する場合もあります。

胸骨骨折の治療|放置してても平気?

胸骨の骨折の治療は、軽いものであればバンドなどで体を固定し、安静にする保存療法が中心です。
肺炎など、呼吸機器や臓器の合併症を発症している場合は併せて投薬治療などを行っていきます。
骨の位置のずれが大きいもの・骨がうまくくっつかずぐらついているもの・複数の肋骨骨折を併発しているものなどには、プレートを用いて骨を固定する手術を行うこともあります。

胸骨骨折は放置してもいいって本当?

胸骨骨折は、発症後すぐにはさほど症状が出ない場合もあります。
ですが時間経過により痛みが出てきたり、後から呼吸器や内臓の損傷が明らかになる恐れもあります。
痛くないからといって放置せず、まずは整形外科を受診してください。

胸骨骨折のリハビリ

胸骨骨折は特に日常の運動に使用する骨ではありませんので、リハビリはさほど必要ではありません。
ですが安静にしていることで筋力低下などが起こりうるため、筋力回復を目的とした軽い運動を行うことはあるようです。

胸骨骨折の後遺症(後遺障害)2種類

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後遺症(後遺障害)

十分な治療を行っても、これ以上良くも悪くもならないという状態で残存する症状。
交通事故の場合、その部位と程度により14段階の後遺障害等級で区分される。

胸骨骨折によって残る可能性のある後遺症(後遺障害)には、以下のようなものがあります。

胸付近の痛み、しびれ

胸骨の変形

それぞれがどのような症状で、後遺障害が残ることによって具体的にどのような影響があるかは次項で解説します。

胸骨骨折の後遺症で損害賠償金が増額する?

治療後も残った症状を後遺障害として等級認定を受けるには、後遺障害等級認定の手続きが必要です。
無事に認定されると、相手方から支払われる損害賠償が増額します。
では実際には、どのような費目で金銭を受け取れるのでしょうか。

①後遺障害慰謝料|胸骨骨折の後遺障害により受け取れる慰謝料

後遺障害が残った場合に支払われる金銭の一つが、後遺障害慰謝料です。

後遺障害慰謝料

後遺障害を負ってしまったという精神的苦痛に対して支払われる損害賠償

後遺障害等級に認定されると、その等級に応じて後遺障害慰謝料を得ることができます。
等級が高い(後遺障害が重い)ほど、より高額の慰謝料を受け取れます。

胸骨骨折のそれぞれの後遺障害でいくらの金銭を受け取ることができるのかは、次の章で紹介します。

②逸失利益|胸骨骨折の後遺障害により受け取れる収入の補償

後遺障害慰謝料のほかに支払われる金銭のもう一つが、逸失利益です。

後遺障害の逸失利益

後遺障害が残ったことで労働能力が失われ収入が減ることへの補償
基礎収入(年収)×労働能力喪失率×労働能力喪失期間(67歳-症状固定時の年齢)に対応するライプニッツ係数

なお、「労働能力喪失率」は障害の部位や程度、被害者の職業などを考慮して増減することがあります。
主婦などの場合の年収算定方法や、ライプニッツ係数一覧などはこちらの記事をご覧ください。


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胸骨骨折による「痛み・しびれ」の後遺障害

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胸骨骨折の痛み・しびれは後遺障害何級になる?

胸骨骨折の治療が終わり、骨が癒合した後でも胸の部分や他の部分に痛み・しびれが残る場合があります。
これは骨折により、周辺の神経組織が傷ついたことで生じる神経由来の症状です。
その場合、後遺障害等級は何級になるのでしょうか。

後遺障害等級

胸骨骨折による痛み・しびれ

1213
局部に頑固な神経症状を残すもの
149
局部に神経症状を残すもの

ここでの等級は「頑固な」という言葉で分けられています。
とは言っても障害の程度のみではなく、神経学的な検査結果やレントゲン・MRI画像など他覚的所見があるかで決定します。
痛みやしびれ症状が医学的に証明可能な場合は12級13号、一応の説明や推定が可能な場合は14級9号に該当します。
ですので、おおよそ半年以上通院して症状の経過を明らかにし、適宜検査を受けることが重要です。

胸骨骨折の痛み・しびれの慰謝料はいくら?

痛み・しびれの症状が後遺障害と認められた場合に支払われる後遺障害慰謝料は以下の通りです。

慰謝料の算定には3つの基準がありますが、

相手方の自賠責保険が慰謝料の算定に用いる自賠責基準

過去の裁判例などから導かれた弁護士基準

の2つを比較してみます。

後遺障害慰謝料

胸骨骨折による痛み・しびれ

等級 自賠責基準 弁護士基準
1213 93万円 290万円
149 32万円 110万円

自賠責保険から提示される自賠責基準と比べると、弁護士基準は約3倍の後遺障害慰謝料を受け取れることがわかります。
といっても、相手方の保険にただ弁護士基準の金額を言っても簡単には応じてもらえません。
弁護士に依頼して相手方との示談交渉を任せることで、慰謝料の増額が見込めます。

胸骨骨折の痛み・しびれの逸失利益はいくら?

同様に痛み・しびれが残った場合、喪失したとみなされる労働能力喪失率は以下の通りです。

労働能力喪失率

痛み・しびれの後遺障害

等級 労働能力喪失率
1213 14%
149 5%

14級に認定された場合は労働能力が5%喪失したとみなされます。
それにより、将来にわたって得られる収入の5%を逸失利益として受け取れます。
なお常に満額受け取れるわけではなく、中間利息の控除を受けるほか、むこう5年分の収入のみ、などの制限を受けることもあります。

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胸骨骨折による「胸骨の変形」の後遺障害

胸骨の変形は後遺障害何級になる?

胸骨骨折で骨のズレが激しく、胸の全面に出っ張るような形で骨がくっついてしまった時など、胸骨の変形が生じてしまう場合があります。
そのような場合の後遺障害等級は以下の通りです。

後遺障害等級

胸骨骨折による胸骨の変形

125
鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの

ここでいう「変形」とは、裸体になったとき変形が明らかにわかる程度のものであることが必要です。
例えば、レントゲンなどで変形が発覚する程度のものでは12級に該当しません。

胸骨の変形の慰謝料はいくら?

胸骨の変形の後遺障害等級に応じた後遺障害慰謝料額は、以下の通りです。

後遺障害慰謝料

胸骨骨折による胸骨の変形

等級 自賠責基準 弁護士基準
125 93万円 290万円

胸骨の変形の逸失利益はいくら?

胸骨の変形が残った場合の労働能力喪失率は以下の通りです。

労働能力喪失率

胸骨変形の後遺障害

等級 労働能力喪失率
125 14%

しかしながら、通常胸骨は服の下に隠れます。
そのため、「通常の仕事に影響は出ない」として逸失利益の支払いが認められない恐れがあります。
その場合は自身の職業、年齢、性別、仕事内容などから、実際に労働に支障が出ていることを証明しなければなりません。

【参考】胸骨骨折以外の複数の後遺障害が残っている場合は?

実際の交通事故では、胸骨骨折以外にも周辺の肋骨・鎖骨などの骨折、頚椎捻挫など様々な症状が併発します。
それにより、複数の後遺障害が残る場合があります。
そのようなときは、後遺障害等級の併合ルールを用います。

後遺障害の併合ルール
存在する後遺症 併合の結果
5級以上の後遺障害が2つ以上残存 重い方の等級を3つ繰り上げる
8級以上の後遺障害が2つ以上残存 重い方の等級を2つ繰り上げる
13級以上の後遺障害が2つ以上残存 重い方の等級を1つ繰り上げる
14級の後遺障害が2つ以上残存 14級のまま
それ以外 最高等級を後遺障害等級とする

例として、

胸骨の変形(12級5号)

指先のしびれ(12級13号)

が残った場合を考えてみます。

この場合、13級以上の後遺障害が2つ以上残存していることになります。
よって重い方の等級(12級)が1つ繰り上がり、併合11級となります。

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胸骨骨折の後遺症についてのご不安は弁護士にご相談ください

LINE相談

胸骨骨折は肋骨骨折や循環器系・内臓系の合併症も伴いやすく、痛みが長引くこともままあります。
治療中は辛い思いをされるでしょうし、痛みやしびれなどの後遺障害が残ってしまうかもしれません。
だからこそ、交通事故の相手方から適正な額の示談金を受け取って、損害の補償に充てなければなりません。
弁護士に依頼することで、正しい損害額の把握・病院や相手方保険会社とのやりとり・示談交渉といった手続きを一任できるだけでなく、示談金の増額も叶います。
今現在提示されている示談金の額は適正か、増額するとしたらいくらか、後遺障害等級に認定される可能性はあるか。
そのような胸骨骨折に関するご不安やお悩みはLINE・電話での無料相談で解消してください。
交通事故に精通した弁護士が、順次お答えしていきます。


弁護士プロフィール

岡野武志弁護士

(第二東京弁護士会)

全国10事務所体制で交通事故被害者の救済に取り組んでいる当事務所の代表弁護士。2008年の創業以来、幅広い間口で電話・LINE・メール相談などに無料で対応し、2019年現在は交通事故被害者の救済を中心に精力的に活動している。フットワークの軽い行動力とタフな精神力が強み。


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