弁護士無料相談をご利用ください
相談依頼は今すぐ!
作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
距骨(きょこつ)は足首を構成する骨です。
上下を骨に囲まれているため、足首を曲げた状態で強く足をついた時などに骨折してしまうことがあります。
距骨を骨折してしまった場合、どのような後遺症(後遺障害)が残ることがあるのでしょうか。
距骨骨折により残る後遺症、それにより受け取れる慰謝料などを弁護士が解説していきます。
目次
距骨は、踵骨(かかとの丸い骨)と脛骨(すねの内側の骨)の間にある骨で足関節を構成しています。
バイク事故で足をついたときや高所から転倒してかかとで着地してしまった時など、上下から強い衝撃を受けて骨折に至ることがあります。
距骨骨折には、以下のような症状があります。
距骨は多くの骨と接しており、骨折したことによる骨のずれを整復しにくいことで知られています。
外部から素手で骨を整復可能な場合は整復の後、ギプスなどで固定し保存療法を行い骨がくっつくのを待ちます。
骨のずれが大きい場合や関節の脱臼を伴うなど整復できない場合は、手術を行ったうえで整復し、固定します。
全治までの期間は1年以上かかることは珍しくなく、経過観察を含めて数年がかりになることもあるようです。
なお、距骨骨折は骨の壊死を招きやすいため受傷当日~翌日に整復を行うことが重要です。
手術後などの保存中は、下肢に体重をかけない(免荷)期間が必要です。
その間にギプス内で足を伸ばす運動、足の指を曲げ伸ばしする運動などを行っていきます。
固定期間が過ぎたならば、装具を利用しつつ徐々に体重をかけ(部分荷重)、歩行などの日常動作が出来るようにリハビリをしていきます。
ここでの荷重のかけかたを誤ると重篤な後遺障害が残る恐れがあるため、主治医の指示にしっかりと従うようにしましょう。
十分な治療を行っても、これ以上良くも悪くもならないという状態で残存する症状。
交通事故の場合、その部位と程度により14段階の後遺障害等級で区分される。
距骨は約60~80%が関節軟骨に覆われているため、血流に乏しい部位です。
そのため、骨折により血行障害になりやすく、壊死や偽関節などの機能障害を残しやすい傾向があります。
距骨骨折により残ることのある後遺障害には以下のようなものがあります。
それぞれがどのような症状で後遺障害等級何級に該当するかは、次の章で詳しく説明します。
足首を捻挫したときなど、距骨が他の骨の関節面と衝突することで距骨骨軟骨損傷が起こることがあります。
距骨骨折と同様に、痛みやしびれ、関節の可動域制限が残ることがあります。
交通事故で後遺障害を負ってしまった場合は、その重さ(等級)に応じ後遺障害慰謝料が支払われます。
後遺障害を負ってしまったという精神的苦痛に対して支払われる損害賠償
後遺障害等級は治療後も体に残る後遺症を部位・程度などによって14段階に区分したものです。
より高い(数字の小さい)等級に認定されれば慰謝料も増えますので、どの等級に認定されるかは非常に重要です。
実際の申請基準や方法については、以下のページをご覧ください。
では距骨骨折の場合、それぞれの後遺障害の等級は何級になるのでしょうか。
骨折した部分が関節面に至ると、関節の機能がうまくはたらかなくなり足関節(足首)が曲げられなくなる後遺障害が残る場合があります。
固定期間が長期に及んだときなども、関節が拘縮して同様の症状が生じえます。
そのように足首が曲げられない後遺障害が残った場合の後遺障害等級は、以下の通りです。
距骨骨折による足首*が曲がらない症状
等級 | 症状 |
---|---|
8級7号 | 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの |
10級11号 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
12級7号 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの |
*足首以外の関節にも異常がある場合はより高い等級に認定される
用いられている専門用語をわかりやすく言い換えると、以下のようになります。
ここに書かれている角度は、背屈(足を甲側に曲げる動き)と底屈(足の裏側に曲げる動き)の合計値です。
関節の用を廃す
… 関節がまったく動かない~または障害のない関節と比べ可動域が1/10程度以下のもの(足首では目安として10度以下)
関節の機能に著しい障害を残すもの
… 障害の無い関節と比べ可動域が1/2以下のもの(足首では目安として35度以下)
関節の機能に障害を残すもの
…障害の無い関節と比べ、可動域が3/4以下に制限されているもの(足首では目安として50度以下)
後遺障害等級は、主に関節の可動域によって決定されるということがわかります。
関節の可動域を計測し、診断書に記載する際にはいくつかの注意点があります。
例えば、後遺障害診断書に「足関節の底屈 他動44° 自動20°」と書かれていたとします。
この計測は正しいのでしょうか?
よって、まず「他動44°」という記載は誤りで、正しくは「他動45°」です。
また、この例では他動と自動の値に大きな差があり、患者の痛みにも関わらず無理に肩をあげさせて計測した可能性があります。
他動値と自動値の差は5°程度が目安となります。
認定の判断基準になるのは他動値ですから、痛みがあるならばしっかり伝え、正確な可動域を計測してもらいましょう。
足首が曲げられない症状により後遺障害等級に認定された場合、支払われる後遺障害慰謝料は以下の通りです。
足首が曲げられない症状の後遺障害慰謝料
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
8級7号 | 324万円 | 830万円 |
10級11号 | 187万円 | 550万円 |
12級7号 | 93万円 | 290万円 |
左の列が最低限の補償を行う自賠責保険の基準、右の列が弁護士に依頼することで請求できる弁護士基準の金額です。
弁護士に依頼することで、およそ2~3倍の慰謝料が受け取れることがわかります。
慰謝料の増額を目指すのであれば、弁護士に依頼するのも選択肢の1つです。
距骨は足関節を構成している骨であり、損傷した場合に足関節の機能障害を生じることがあります。
そうなると、足を曲げ伸ばしするのにひどい痛みを伴ったりもします。
そこで痛みを除去するため、足関節に人工距骨や人工関節を挿入・置換することもあるようです。股関節や膝関節の人工関節ほど多くはありませんが、実施している病院もあります。
このように人工関節を挿入・置換した場合に認定される後遺障害等級は以下のようになります。
人工関節の挿入・置換
等級 | 症状 |
---|---|
8級7号 | 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの |
10級11号 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
ここでいう「用を廃す」とは足首が曲がらないときとは異なり、
であるものを指します。
もっとも、現在の技術では人工関節にした場合関節可動域に極端な制限が残ることは滅多にありません。
そのため、多くの方は10級11号に該当します。
足関節を人工関節に挿入、置換したときに支払われる後遺障害慰謝料は以下の通りです。
人工関節の挿入、置換
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
8級7号 | 324万円 | 830万円 |
10級11号 | 187万円 | 550万円 |
また、その後もずっと人工関節を使うことから器具の買替費なども支払わせることができます。
通常、人工関節の取り換え時期は20年前後と言われています。
ですが足関節の場合はそれよりもやや摩耗が早いためより多くの買替費を請求できる可能性があります。
骨折により、周辺の神経が圧迫・損傷されることで骨折が治ったあとも神経由来の痛みやしびれが残ることがあります。
そのような場合に認定される後遺障害等級は以下のようになります。
距骨骨折による痛み・しびれ
等級 | 症状 |
---|---|
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
ここでの等級は「頑固な」という言葉で分けられています。
とは言っても障害の程度のみではなく、
が大きな判断要素となります。
痛みやしびれ症状が医学的に証明可能な場合は12級13号、一応の説明や推定が可能な場合は14級9号に該当します。
ですので、おおよそ半年以上通院して症状の経過を明らかにし、適宜検査を受けることが重要です。
痛みやしびれにより後遺障害12級13号と14級9号に認定された場合、支払われる後遺障害慰謝料は以下の通りです。
足の痛み・しびれの後遺障害慰謝料
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
12級13号 | 93万円 | 290万円 |
14級9号 | 32万円 | 110万円 |
距骨骨折など、足の骨折は長く歩行の困難を伴い治療が1年、2年と長引いてしまうことも珍しくありません。
さらに焦って歩行訓練を行ったり、体重をかけてしまうなどすると、重大な後遺障害が残る可能性もあります。
安静にしている中でも、交通事故の場合相手方保険会社との交渉、後遺障害等級認定の申請、損害額の算定…など、負担の多い作業をこなさなければなりません。
そのような時はぜひ、弁護士にご相談ください。
皆さまの代わりに交通事故に関する手続きを引き受け、さらには慰謝料や損害賠償金を増額することも可能です。
早い段階から相談をしておくことで、よりスムーズに事故後の手続きを行い体を休めることができます。
アトム法律事務所ではLINE・電話での無料相談を受け付けています。
後遺障害のことで少しでもご不安があれば、まずはお気軽にご相談ください。
(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。
弁護士無料相談をご利用ください
相談依頼は今すぐ!
弁護士プロフィール
岡野武志弁護士
距骨骨折における後遺症としては、足首が曲がりにくくなる・患部や指先などの痛み、しびれ・人工関節になるなどの症状が主にあげられます。距骨骨折は適切な治療をつづけても残念ながら完治せず、なんらかの後遺障害が残る可能性があります。 距骨骨折の後遺症について
距骨骨折による後遺症が後遺障害に認定されると、後遺障害慰謝料の請求が可能になります。後遺障害は症状の部位や重さごとに1~14段階の等級で区分されています。後遺障害慰謝料は、等級に応じて金額が算定されることになります。 後遺障害認定で請求可能な損害賠償
距骨骨折で足首が曲げられない場合の後遺障害は、8級7号・10級11号・12級7号の等級認定が予想されます。足首が曲がらないという後遺障害は、主に足首の「関節の可動域」がどのくらいかという点で等級が判断されることになります。 足首の関節障害に関する後遺障害等級
距骨骨折で人工関節になった場合の後遺障害は、8級7号または10級11号の等級認定が予想されます。人工関節という後遺障害は、主に足首の関節が人工関節になったうえで、障害のない関節と比べて可動域が1/2以下になったかどうかで等級が判断されることになります。 人工関節に関する後遺障害等級
距骨骨折による痛み・しびれといった神経症状の後遺障害は、12級13号または14級9号の等級認定が予想されます。12級と14級の差は、神経症状がレントゲン・MRIといった医学的資料によって証明できるかどうかになります。 痛みやしびれに関する後遺障害等級