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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
交通事故で後遺障害が残ってしまったら、後遺障害等級認定の申請をしなくてはいけません。申請をして、適正な慰謝料などの賠償金を受けとることは、これからの被害者の生活に必要不可欠です。
まずは、等級認定の必須資料である「後遺障害診断書」について確認してみます。
そもそも後遺障害が何を指すのかを確認しましょう。
「後遺症」という似たような言葉がありますが、「後遺症」のうち4つを満たすものについて後遺障害と認められます。
後遺障害診断書は後遺障害等級認定の申請に必要な資料のひとつです。必ず「症状固定」の後になります。
治療を継続しても、これ以上の改善が期待できなくなったタイミングをいいます。
症状固定のタイミングかどうかは、基本的に医師が判断します。そして後遺障害診断書も医師が作成します。
後遺障害診断書は医師が作成しますが、後遺障害等級認定は「損害保険料率算出機構」が書面審査し、認定します。
後遺障害等級認定は、損害保険料率算出機構による書面審査
原則として、後遺障害等級認定の審査は書面のみです。先ほどの「後遺障害」の定義に当てはまることを、書面で示す必要があります。もう一度、後遺障害とは何かを確認しましょう。
医師は、申請手続きの専門家ではありません。被害者は医師としっかりコミュニケーションをとり、「後遺障害等級の申請を円滑に進めたいこと」をきちんと伝えましょう。
「被害者の主張が伝わりやすい後遺障害診断書」とは、どのようなものでしょうか。後ほど示しますが、等級申請結果には異議申し立てが可能です。とはいえ、初回がとても重要です。気になる方は経験豊富な弁護士に依頼・相談をするとよいでしょう。
イラストは示談金の内訳です。「治療終了後」とは症状固定後と考えてください。後遺障害等級が認められると、等級に応じた後遺障害慰謝料が支払われます。後遺障害慰謝料の金額については、後で詳しく説明します。
後遺障害等級申請は事前認定と被害者請求という2つの方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあります。メリットの1つとして、被害者請求のほうが、慰謝料の増額が期待できます。
事前認定は、加害者の任意保険会社が後遺障害等級申請にかかわる手続きを行います。被害者は、診断書を提出するだけで、後は任せることができます。手続きの負担が最小限ですみます。
一方で、どんな資料を提出するかは加害者の任意保険会社次第ということになります。
被害者請求は、後遺障害等級申請にかかわる手続きも被害者自ら行います。被害者の主張・想定している等級が認定されやすいように、申請時に提出する資料を工夫できます。
しかし、その資料を用意する手間や時間がかかってしまいます。どんな資料を用意すればいいのかも、一人で検討するのは難しいかもしれません。
事前認定 | 被害者請求 | |
申請 主体 | 加害者の 任意保険会社 | 被害者 |
メリット | 被害者の手間が 最小限 | 有利になる工夫が できる |
デメリット | 有利になる工夫は 期待できない | 資料の用意など 手間がかかる |
慰謝料 増額 | 可能性は低い | 可能性がある |
等級 認定者 | 損害保険料率算出機構 |
後遺障害等級認定は、申請後、追加調査がなければ1~2か月程度が目安です。しかし、明確に〇か月で終わるという決まりはありません。等級は第1級から第14級まで、後遺障害の程度により分かれています。その約60%が第14級(最も軽度)とされています。等級によっては、目安よりも認定に時間がかかる場合もあるかもしれません。もし不安であれば、確認をとってみるとよいでしょう。
後遺障害等級表を実際に確認してみましょう。後遺障害のなかでも、質問を受けることの多い「指」に関するものを抜粋しました。指を「失う」のか、「用を廃する」のかで表を分けています。
等級 (保険金額) | 失ったもの |
第1級 (3,000万円) | 両上肢のひじ関節以上 |
第2級 (2,590万円) | 両上肢の手関節以上 |
第3級 (2,219万円) | 両手の手指の全部 |
第4級 (1,889万円) | 1上肢をひじ関節以上 |
第5級 (1,574万円) | 1上肢を手関節以上 |
第6級 (1,296万円) | 1手の5手指又は おや指を含み4の手指 |
第7級 (1,051万円) | 1手のおや指を含み3手指 おや指以外の4手指 |
第8級 (819万円) | 1手のおや指を含み2手指 おや指以外の3手指 |
第9級 (616万円) | 1手のおや指 おや指以外の2手指 |
第10級 (461万円) | ー |
第11級 (331万円) | 1手のひとさし指 なか指又はくすり指 |
第12級 (224万円) | 1手のこ指 |
第13級 (139万円) | 1手のおや指の指骨の一部 |
第14級 (75万円) | 1手のおや指以外の 手指の指骨の一部 |
2段記載の障害は、上段または下段いずれかが該当
次に、「用を廃する」後遺障害の等級をみてみましょう。
等級 (保険金額) | 用を廃したもの |
第1級 (3,000万円) | 両上肢 |
第2級 (2,590万円) | ー |
第3級 (2,219万円) | ー |
第4級 (1,889万円) | 両手の手指の全部 |
第5級 (1,574万円) | 1上肢 |
第6級 (1,296万円) | 1上肢の3大関節中2関節 |
第7級 (1,051万円) | 1手の5手指 おや指を含み4手指 |
第8級 (819万円) | 1手のおや指を含み3手指 おや指以外の4手指 |
第9級 (616万円) | 1手のおや指を含み2の手指 おや指以外の3手指 |
第10級 (461万円) | 1手のおや指 おや指以外の2手指 |
第11級 (331万円) | ー |
第12級 (224万円) | 1手のひとさし指、 なか指又はくすり指 |
第13級 (139万円) | 1手のこ指 |
第14級 (75万円) | ー |
2段記載の場合は、上段または下段いずれかが該当
この他にも、12級と14級には次の内容も含まれます。
後遺障害慰謝料とは、後遺障害等級認定された場合に支払われる慰謝料です。等級別の慰謝料基準を示します。
裁判・弁護士基準での後遺障害慰謝料の基準を等級別に示します。
金額 | |
第1級 | 2,800万円 |
第2級 | 2,370万円 |
第3級 | 1,990万円 |
第4級 | 1,670万円 |
第5級 | 1,400万円 |
第6級 | 1,180万円 |
第7級 | 1,000万円 |
第8級 | 830万円 |
第9級 | 690万円 |
第10級 | 550万円 |
第11級 | 420万円 |
第12級 | 290万円 |
第13級 | 180万円 |
第14級 | 110万円 |
どの基準で算出するかで金額は変わります。慰謝料の計算は、「自賠責基準」、「任意保険基準」、「裁判・弁護士基準」の3つがあります。
弁護士は裁判・弁護士基準での示談交渉の専門家です。保険会社に提案された金額が適正であるか、気になる方は弁護士に相談してみましょう。
慰謝料算出の3基準について、もっと詳しく知りたい方は、次の記事も参考にしてください。
慰謝料算出の基準について
先ほど紹介した「12級」と「14級」の違いをもう一度見てみましょう。
むち打ちとは、首の筋肉やじん帯が損傷し、痛みがでたり、めまいや吐き気、倦怠感といった症状が出ます。場合によっては腕がしびれたり、ということもあります。むち打ちは交通事故でも多い事例ですが、同じ「むち打ち」でも等級に違いが出やすく、被害者の方も困惑しやすいものです。
MRIやレントゲンなどの画像所見
書面審査なので、やはりポイントは画像でその存在を明らかにできるかが分かれ目といえるでしょう。
12級 | 14級 | |
後遺障害慰謝料 (自賠責基準) | 75万円 | 224万円 |
後遺障害慰謝料 (裁判・弁護士基準) | 110万円 | 290万円 |
労働能力喪失率 | 5% | 14% |
12級と14級では、およそ自賠責基準で約150万円、裁判・弁護士基準で180万円も差が出ています。
むち打ちの等級認定については参考になる関連記事も多数ありますので、参考にしてください。
むち打ちの後遺障害認定について
慰謝料は「裁判・弁護士基準」で計算すると、最も高い相場になります。ケガの状況などを入力するだけで、自動で簡単に慰謝料の計算ができます。
事故内容・ケガの程度など、様々な背景で、慰謝料の金額は変わります。慰謝料の金額については弁護士に相談・依頼されるとよいでしょう。
医師が診断書を書かない理由は、次のようなことが考えられるでしょう。
医師の仕事のうち、患者さんの診察や治療がメインであるといえます。実際、書類を作成の時間がつくれないという現場の声もあるようです。しかし、後遺障害診断書は医師にしか作成できないことも事実です。
次の記事でも医師に診断書を作成してもらうポイントをまとめています。
医師と患者の関係はコミュニケーションが大切です。後遺障害等級の認定を適正に受けたいことを伝え、日ごろから協力的な姿勢を心がけておきましょう。また、弁護士に依頼するという方法もあります。医師と話をしても、なかなか診断書を作成してもらえない場合は、弁護士に事情を相談してみてください。
認定結果への異議申し立ては可能です。しかし、一度出た等級認定を覆すことは困難です。
客観的な根拠を示すために必要な材料をしっかりそろえて異議申し立てをしましょう。
逸失利益とは、「後遺障害によって労働能力が喪失し、得られたはずの「利益」が減った」という考え方に基づいています。金額に納得がいかないということは、被害にあわなければどれくらいの収入があったかという算定方法などに、見直しの余地があるかもしれません。
逸失利益は被害者の属性(年齢・職業など)で大きく変わります。弁護士に相談することで、これまでの事例をふまえた検討ができます。ぜひ弁護士への依頼・相談をおすすめします。
後遺障害等級の正しい認定は、とても重要です。受けとる慰謝料や逸失利益に大きく影響します。そして、等級認定には「後遺障害診断書」の内容・書き方がポイントです。
後遺障害がのこるかは、事故直後は誰にも分かりません。事故直後の早い段階から、示談交渉の専門家・弁護士に相談・依頼をしておくと、治療の経過を見ながら柔軟に対応でき、安心です。
アトム法律事務所は、交通事故の解決実績が豊富です。
無料の相談窓口が利用できます。また、事前にLINEでの相談も実施しています。「ケガの治療で、法律事務所に行く時間がとりづらい」という方も、簡単にご利用いただけます。
後遺障害をおってしまったら、自分の健康状態や将来の生活が不安定になってしまいます。後遺障害等級認定や慰謝料が適切であるように注意すること、医師に診断書を書いてもらうこと、そしてケガの治療。すべてを被害者が一人で行うことはむずかしいでしょう。治療に専念することは被害者にしかできません。その分、示談交渉や書類の手続きなどは弁護士に任せてみませんか。
(第二東京弁護士会)
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。