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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
交通事故で整骨院を通院するには医師の許可がいるのか、また慰謝料の問題も気になるところです。
これらの疑問を解消し、できるだけ不安の少ない状態で治療を開始できるよう、解説していきます。
目次
交通事故後は、まず病院を受診しているかと思います。それは、人身事故として警察に届けるために、病院を受診し、「診断書」を作成してもらう必要があるためです。
MRI・CTなどの検査結果は、交通事故の影響を客観的に証明する医学的なデータです。交通事故の解決に向けた交渉時はもちろん、万一にも後遺障害が残ってしまった際にも重要な資料です。交通事故が身体にあたえた影響を正確に把握するために、そして今後のためにも、まだ整形外科を受診していない方は、できるだけ早く受診してください。なお、MRI・CT検査は整骨院では行えません。
事故の発生から解決までの大まかな流れは、イラストの通りです。では、一度病院を受診し、その後の治療はどこで行うのでしょうか。それは、原則として病院で治療をすることになります。
あくまで整形外科(病院)が主体、整骨院を併用していると考えておきましょう
※治療の経過によって、整形外科への通院の頻度についてはこの限りではありません
ケガによっては、整骨院での治療を希望する方もいるでしょう。一人で判断せず、必ず事前に医師に相談をしてください。医師に整骨院の利用がケガの治療に有用であると判断をしてもらい、許可を得てから、整形外科と整骨院の併用をしましょう。同時に、加害者側の保険会社にも整骨院での治療が必要であることを伝えましょう。
整骨院の治療は医師の許可と加害者側の保険会社への報告後に開始しましょう
整骨院でかかった費用は、必ずしも全額を加害者が支払うとは限りません。記事の後半でも詳細を紹介しますが、「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」において、柔道整復師などによる整骨院の費用については、必要かつ妥当な金額の支払いをすると定められています。
仮に、加害者側の保険会社の同意が得られず、被害者が整骨院の費用を支払う場合は、交渉をして支払いを求めていくことになります。念のため、整骨院を利用した領収書を保管しておきましょう。
診断書は、交通事故の解決において大切な役割をもちます。
すべて医師にのみ作成が認められています。
医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。
引用元:医師法 第二十条
医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。
引用元:医師法 第二十四条
整形外科は「医師」が診療をしていますが、整骨院は「柔道整復師」が施術をしています。おなじ国家資格ですが、医師とはちがいます。整骨院の柔道整復師は、診断書の作成はできません。
ここで「整形外科」と「整骨院」の違いをまとめます。
整形外科 | 整骨院 | |
---|---|---|
実施者 | 医師 | 柔道整復師 |
実施すること | 医学的な治療 | 施術 |
MRI検査 CT検査 |
できる* | できない |
診断書作成 | できる | できない |
治療費 | 認められやすい | 加害者の保険会社の判断による** |
*医療機関の設備による
**医師に許可を得ていることを伝えて交渉
整骨院と整形外科の併用は、医師に許可をとり、加害者側の保険会社に連絡すれば大きな問題はないと解説してきました。事実、整骨院での施術の結果、被害者自身が効果を実感したという話も耳にします。次に整骨院を併用をするにあたって気を付けたいことを紹介します。
交通事故の治療には健康保険が利用できます。利用前には、被害者の健康保険組合に第三者行為による傷病届と交通事故証明書を提出しましょう。
注意したいことは整形外科と整骨院の両方ともには健康保険を利用できないことです。全国健康保険協会「協会けんぽ」の公式ホームページで「柔道整復師の施術を受けられる方へ 」として下記のように記載されています。
保険医療機関(病院、診療所など)で同じ負傷等の治療中は、施術を受けても保険等の対象になりません。
引用元:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3170/sbb31706/1947-53767
健康保険を利用して整形外科を受診している場合は、整骨院では健康保険は使えません。注意をしたいのは、自賠責保険の最大補償が120万円(傷害部分)であることです。
ここで、「自賠責保険」と「任意保険」について確認しておきましょう。自賠責保険とは、被害者救済のために最低限の補償を行うことが目的で、運転者に加入の義務がある保険です。任意保険は、自賠責保険だけでは補償しきれない場合に、被害者へ追加補償を行うための保険で、加入は任意です。
自賠責保険は、傷害部分の補償額が最大120万円と定められています。120万円は、治療費だけでなく、入通院の費用・交通費などをすべて含んだ合計金額を指します。健康保険をつかわない場合、治療費は「10割負担」です。治療費がかさみ、上限の120万円を超えてしまったということも珍しくありません。
120万円を超過した分は、加害者側の任意保険会社が負担します。保険会社とのやり取りは、専門的な知識があるほうが有利に進められます。交渉時に、加害者の保険会社から提示される金額よりも、弁護士に相談・依頼するほうが慰謝料の増額が見込めます。
整骨院へ毎日通院すること自体が悪いわけではありません。しかし、以下の2点には注意しましょう。
整骨院への通院は、交通事故のケガの治療・症状の改善が目的です。毎日整骨院へ通うことは、症状が重篤だといえるでしょう。その一方で「整形外科」には全く通院しない、通院の頻度が少ないということになれば矛盾してしまいます。「本当に重篤な状態なのか?」と疑問を持たれてしまうかもしれません。
整骨院での施術内容も重要です。例えば、毎日整骨院で同じ施術を受けているが、施術自体に効果があるのだろうかという疑問を持たれてしまうかもしれません。加害者側から整骨院を利用することの必要性が認められず、整骨院にかかった費用を支払ってもらえない、ということも起こるかもしれません。
免許を有する柔道整復師、あんま・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師が行う施術費用は、必要かつ妥当な実費とする。
引用元:自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準
自賠責保険の支払いに関する基準にもこのように明記されています。「妥当」かどうかが、加害者と被害者の争点となります。また、残念なことに、不正に通院日数が水増しされたというニュースは、過去に複数起こっています。
都内にある保険会社に通院日数を水増しして請求し、保険金、合わせて120万円余りを口座に振り込ませた疑いで、整骨院の(略)と患者の(略)が逮捕されました。
(略)
警視庁によりますと(略)は、2015年11月から2016年3月にかけて、追突事故でけがをした(略)の通院日数を水増して都内の保険会社に請求し、保険料合わせて120万円余りを口座に振り込ませた疑いが持たれています。引用元:TOKYO MX NEWS2018年6月14日(同日18:00更新)
こういった整骨院の背景もあり、保険会社も慎重に内容を確認しています。
大切なことは、医師と相談し、適切な頻度で通院をすることにつきます。適切に通院しているのであれば堂々としていればよいので、保険会社に質問をされてもかまえず、きちんと回答をしましょう。もし不安なこと、解消したい疑問があれば、弁護士に相談・依頼するとよいでしょう。
まず、慰謝料の定義を確認しておきます。
他人の不法行為によって被った精神的苦痛を緩和・除去するための金銭的補償のこと
苦痛に対する金銭的補償ですので、通院先が整形外科でも整骨院でも金額は変わりません。「半額になる」という話を聞いたことがある人もいるようですが、それもありません。ただ、これまで確認してきたように、「整骨院」への通院が適切であるかがポイントです。例えば、「入通院慰謝料」に注目してみましょう。
入通院慰謝料とは、「入院・通院の実際の日数」または「治療開始から終了までの期間」に応じて支払われる慰謝料です。まず、慰謝料の計算には3つの基準があることをおさえておきましょう。
自賠責保険とは、被害者救済のために最低限の補償を行うことが目的で、運転者に加入の義務がある保険です。任意保険は、自賠責保険だけでは補償しきれない場合に、被害者へ追加補償を行うための保険で、加入は任意です。
自賠責保険 | 任意保険 | |
---|---|---|
加入の義務 | 義務加入 | 任意加入 |
補償の範囲 | 最大 120万円* |
保険会社 による |
入通院 慰謝料 |
4,200円/日 | 非公開 |
*傷害部分に関する賠償金の支払限度額
自賠責保険基準の入通院慰謝料は1日あたり4,200円とされています。しかし、整骨院での治療そのものが「治療のために有用」と認められなければ、そもそも整骨院で施術を受けた日は「通院日」にカウントされません。その結果、入通院慰謝料が想定よりも低くなってしまったということが起こる可能性があります。
交通事故の被害にあい、受けとる慰謝料についてさらに関心がある方は、次の記事も参考にしてください。
交通事故の慰謝料
さきほど慰謝料の3つの基準を紹介しました。3番目の弁護士基準とは、これまでの裁判例にもとづいた基準のことで、実際に裁判でもつかわれています。
慰謝料の相場は弁護士基準で計算すると一番高くなります。そこで、弁護士基準の慰謝料金額がすぐに、簡単にわかる慰謝料計算機を紹介します。
慰謝料計算機には、個人が特定されるような情報の入力は不要です。整形外科や接骨院での通院を経てケガが治った方、後遺障害等級認定が下りた方の場合は、今すぐ自動で、具体的な慰謝料の計算ができます。
治療が終わると、加害者との示談交渉がスタートします。この記事では、治療の適正さ(経過や中身)が慰謝料に影響をあたえかねないことを解説してきました。交通事故直後や治療時からすでに、示談交渉にむけた準備が必要です。決して早すぎることはありません。治療終了を待たずに、早めに弁護士に相談・依頼するとよいでしょう。
アトム法律事務所は、24時間365日、無料相談を受け付けています。また、LINE相談も、「ライフスタイルに合わせた利用ができるので便利」と好評です。生活と治療の両立で時間に追われ、大変な思いをされていると思います。都合にあう方法を選んで、ご利用ください。
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整骨院の利用を検討中の方も、現在利用中の方も、どの段階でも構いません。重要なことは、弁護士への相談を思い立ったタイミングから、あまり間をあけずに行動することです。適正な慰謝料を受けとるためには、十分な準備が必要だからです。整形外科と整骨院を併用した治療が適切であることを、いつ・誰にでも説明できると、余計に迷うこともなく、治療に専念し、生活に復帰できるでしょう。早めに弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。弁護士プロフィール
岡野武志弁護士
医師の許可を得ましょう。①整骨院の利用がケガの治療に有効であることを医師に判断してもらう②加害者側の保険会社に整骨院の利用希望を伝える、これら2点は重要です。整骨院への通院開始前にあらかじめ行っておくと、後々の治療費などの請求もスムーズに進むでしょう。整形外科(病院)と整骨院の併用は問題ありませんが、あくまでメインの通院先は整形外科になります。 病院と整骨院の違いに注目
注意点は大きく2点あります。①健康保険は併用できないこと②整骨院への通院頻度です。①健康保険を利用して整形外科を受診している場合、整骨院では健康保険を使うことができません。②整骨院の通院頻度が毎日になると「整骨院ではなくて整形外科へ行かなくてもいいのか?」「毎日整骨院でどんな施術を受けているのか?」など疑問を持たれてしまう可能性もあります。医師と相談して適切な併用を心がけましょう。 整形外科と整骨院の併用時の注意点
整骨院の利用「だけ」を理由に慰謝料が減ることはないでしょう。慰謝料とは、他人の不法行為によって被害者が受けた精神的苦痛を緩和・除去するための金銭的補償をいいます。医師の許可を得る・相手方の保険会社に事前連絡する・適切な頻度で通院するなど注意をしていれば、整骨院を利用したことだけで慰謝料が減ることはないでしょう。 整骨院通院が慰謝料減額理由になる?