作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
交通事故による「脳」の後遺症|脳挫傷・脳震盪・脳出血などを解説
- 脳挫傷・脳震盪・脳出血…交通事故で負う「脳損傷の種類」とは
- 脳損傷で残る障害「後遺症の種類」とは
- 後遺障害の残存で受け取れる慰謝料があるのか
目次
交通事故で負う「脳損傷の種類」
交通事故では、さまざまな「脳損傷」を負う可能性があります。どのような脳損傷の種類があるのか一つずつみていきたいと思います。
脳損傷①脳挫傷
交通事故の衝撃で頭部を激しく強打するなどして、脳が損傷・出血することを脳挫傷といいます。
脳挫傷の症状例
- 意識もうろう・意識を失う
- 吐き気・おう吐
- 頭痛
- 手足の麻痺
- けいれん発作
など、さまざまな症状が引き起こされる可能性があります。
脳挫傷についてくわしくはこちら
脳損傷②脳震盪
交通事故の衝撃で頭部が揺さぶられたことで、一過性の脳の機能障害がおきることを脳震盪といいます。
脳震盪の症状例
- 意識障害
- めまいやふらつき
- 脳震盪前後の記憶がない
- 頭痛
など、さまざまな症状が引き起こされる可能性があります。
脳震盪についてくわしくはこちら
脳損傷③脳内出血(外傷性脳出血)
交通事故の衝撃で頭部を激しく強打するなどして、脳の血管が破れて脳内で出血がおきることを外傷性脳出血といいます。
脳内出血の症状例
- めまい・頭痛
- 吐き気・おう吐
- 片手片足のしびれ・麻痺
- 立ち続けられない
- けいれん
- 意識障害
など、さまざまな症状が引き起こされる可能性があります。
脳出血についてくわしくはこちら
脳損傷④びまん性軸索損傷
交通事故などで頭部外傷を負った後、脳に異常が認められないが広い範囲で脳の線維組織が損傷することで意識障害が6時間以上つづくことをびまん性軸索損傷といいます。
びまん性軸索損傷の症状例
- 長期の意識障害
- 重篤な意識障害
など、さまざまな症状が引き起こされる可能性があります。びまん性軸索損傷は事故直後の検査で脳に異常が見つからなかったとしても、事故後1週間~3カ月の期間に脳全体が萎縮する傾向がみられることが多いといわれています。
脳損傷⑤脳梗塞
血栓が脳の血管に詰まるなどして脳に十分な血流がまわらず脳細胞が死滅し、脳がダメージを負うことを脳梗塞といいます。
脳梗塞の症状例
- 半身麻痺・しびれ
- ふらつき・めまい
- 感覚障害
- 言語障害
- 意識障害
など、さまざまな症状が引き起こされる可能性があります。
脳梗塞についてくわしくはこちら
交通事故にあったら脳神経外科へ
交通事故にあったら、たとえ目立った外傷がなかったとしても病院に行ってください。事故直後は何ともなくても後から痛みが出てくることもあります。
頭部を打つなどした場合は、とくに脳神経外科を受診することをおすすめします。
交通事故で負う怪我は、目に見える外傷だけとはかぎりません。脳が揺さぶられて頭蓋骨に打ち付けられて脳が傷ついたりすることもあります。このような場合は目に見えないため発見が遅れると、重大な症状に発展する危険性が高まります。
脳に異常がなかったとしても、むちうちなどを発症していることもあります。
交通事故にあったら必ず病院を受診するようにしてください。
交通事故で負う脳損傷で残る障害「後遺症」
交通事故で負った脳損傷をきっかけに、さまざまな障害・後遺症が残る可能性があります。後遺症の症状例をいくつか見てみたいと思います。
後遺症例①麻痺
交通事故で脳損傷を負うと、麻痺の後遺症が残る可能性があります。
脳神経が傷つくことで麻痺がおこり、手足が動かない運動障害、視覚・嗅覚などが利かなくなる感覚障害といった障害が残ることになります。
後遺症例②てんかん
交通事故で脳損傷を負うと、てんかんの後遺症が残る可能性があります。
てんかんは意識消失・けいれん発作などの症状が慢性的に引き起こされることになります。
後遺症例③低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)
交通事故で脳損傷を負うと、低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)の後遺症が残る可能性があります。
脳の硬膜から脊髄液が漏れだして頭蓋内圧が低下することにより、頭痛・吐き気・めまいといった症状が引き起こされることになります。
後遺症例④高次脳機能障害
交通事故で脳損傷を負うと、高次脳機能障害の後遺症が残る可能性があります。
ものの覚えが悪くなるような記憶障害、集中力が落ちるような注意障害などという障害が残ることになります。
高次脳機能障害について詳しくはこちら
後遺症例⑤遷延性意識障害(植物状態)
交通事故で脳損傷を負うと、遷延性意識障害(植物状態)の後遺症が残る可能性があります。
いわゆる植物状態といわれる重度のこん睡状態をさします。
交通事故の脳死は後遺症にあたるのか?
交通事故で脳に損傷を負うと、可能性として「脳死状態」となることがあります。日本においては臓器提供時を除き、脳死状態は死亡したものとは捉えられません。
脳死がつづいている状態であれば、後遺症に対する損害賠償請求をおこなうという考え方を用いるのが一般的です。
もっとも、脳死状態におちいると数日以内に死亡に至ることもあります。このような場合は、死亡に対する慰謝料を請求することになります。
死亡事故になった場合はこちらをご覧ください
脳損傷の後遺症における後遺障害と慰謝料
脳損傷で予想される後遺障害等級
脳損傷で後遺症が残ったことで、
- 後遺症で痛みの苦しみがつづく
- 後遺症が残って働けなくなった
さまざまな損害を被ることが予想されます。
このような損害に対して適正な補償がおこなわれるように「後遺障害」という考え方があります。
後遺障害とは
治療をうけてもこれ以上良くならない障害(後遺症)が残存したことが医学的に証明され「後遺症によって労働能力を失った」こと
後遺障害を障害の程度ごとに1~14級まで区分したものが後遺障害等級です。
脳損傷で想定される後遺障害等級はつぎのとおりです。
後遺症名 | 後遺障害等級 |
---|---|
麻痺 | 1級 2級 3級 5級 7級 9級 12級 |
低髄液圧症候群 (脳脊髄液減少症) |
9級 12級 14級 |
外傷性てんかん | 5級 7級 9級 12級 |
高次脳機能障害 | 1級~3級 5級 7級 9級 |
遷延性意識障害 | 1級 |
このような後遺障害等級が予想されます。もっとも、同じ後遺症名であっても個人で症状の内容や程度は異なります。等級についてはあくまで目安となりますのでご注意ください。
等級ごとの基準や慰謝料について詳しく知りたい方は、「後遺障害等級表(14級~1級)」のページをご確認ください。
脳損傷の後遺障害認定で請求できる「慰謝料」
脳損傷など怪我を負って後遺症が残った場合、後遺障害等級に認定されると請求できる慰謝料などの損害賠償があります。
一方、後遺障害等級に認定されなくても交通事故で怪我を負ったことに対して請求できる慰謝料などの損害賠償もあります。
▼後遺障害認定に関係なく請求できる損害賠償 | |
---|---|
治療費 | 怪我の治療にかかる費用 |
入通院慰謝料 | 入院・治療で受けた精神的苦痛への慰謝料 |
休業損害 | 怪我によって仕事を休んだ期間の収入減に対する補償 |
その他 | 病院までの交通費、入院雑費、診断書作成費など |
▼後遺障害認定で請求できる損害賠償 | |
後遺障害慰謝料 | 後遺障害が残ったことで受けた精神的苦痛への慰謝料 |
逸失利益 | 後遺障害によって将来的に得られなくなった収入減に対する補償 |
後遺障害慰謝料と逸失利益は、後遺障害等級の認定がなければ交通事故の相手方に請求することができません。
脳損傷の慰謝料で疑問をお持ちの方へ
適正な慰謝料で計算されていますか?
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一方、弁護士に相談いただければ、過去の裁判にもとづいた基準で算定できる弁護士基準を用いるため、適正な慰謝料を請求することができます。弁護士基準での交渉は、交通事故処理のプロである保険会社と弁護士基準で交渉するには、弁護士でなければ困難です。
アトム法律事務所は、交通事故の案件を数多く経験した弁護士が在籍しています。アトムの弁護士に相談したいという方は、こちらの相談窓口までお問い合わせください。
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(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。弁護士プロフィール
岡野武志弁護士