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交通事故で車両などが破壊されることを物損といいます。
物損事故では、慰謝料はもらえるのでしょうか?
物損事故における慰謝料や損害賠償について、弁護士が解説します。
ニュースやドラマなどで慰謝料や示談金などの単語が出てきますよね。
まず、これらの単語の意味を説明します。
慰謝料は損害賠償金の一種です。
被害者の負った精神的苦痛に対する、損害賠償金。
示談とは、賠償金の金額を決める交渉のことです。
示談金は、加害者が被害者に支払う損害賠償金の総称です。
慰謝料は示談金の一部、ということになります。
事故などの不法行為の加害者が被害者に支払う、損害賠償金。
示談によって金額を決め、紛争解決のために支払う。
基本的に、慰謝料は人身事故でしか発生しません。
物損事故では、ほとんどの場合に慰謝料はもらえません。
→どちらも、物損ではなく人損に関係する慰謝料。
なお、慰謝料には相場があります。
保険会社の相場と弁護士・裁判基準の相場は異なり、後者の方が高額です。
慰謝料を請求する際は、弁護士に依頼することをおすすめします。
物損事故でも人身事故でも、財産の損害に対する賠償金は請求できます。
怪我に関係する精神的苦痛は、財産の損害とは別のものとして認められます。
そのため、人損事故では、財産に対する賠償金と慰謝料の両方が請求できるのです。
物損事故でも、自分の乗っている車が破壊されたりしたら、被害者は精神的苦痛を感じるでしょう。
しかし、法律上は、物が破壊されたことに対して慰謝料は基本的に発生しません。
車両の修理費用などで精神的苦痛もカバーされる、という扱いになります。
人身事故 | 物損事故 | |
---|---|---|
財産の損害 | 治療費、休業補償など | 修理費用など |
精神的苦痛 | 慰謝料 |
*一般的な事例の場合
物損事故よりも人身事故の方が、加害者に請求する賠償金を回収しやすくなります。
その大きな理由は、物損事故では自賠責保険が適用されないためです。
交通事故の被害者が最低限の補償を受けられるようにするための保険。
基本的に、自動車の運転手は自賠責保険に強制加入している。
大半の運転手は、自賠責だけでなく任意保険にも加入しています。
物損の賠償金は、基本的には任意保険に請求します。
しかし、加害者が任意保険に加入していない場合もあるのです。
加害者が任意保険に加入していなければ、本人に直接賠償を請求します。
ただし、加害者に賠償金を全て支払える能力があるとは限りません。
そのため、物損事故では補償金が回収できなくなるリスクがあるのです。
「自賠責保険」と「任意保険」の詳細は、以下の記事で解説しております。
被害者の怪我が軽い場合、人身事故ではなく物損事故として扱われることがあります。
物損事故扱いの場合でも、治療費を加害者側の保険会社に請求することはできます。
しかし、警察には人損がない事故として扱われるのです。
人身事故 | 物損事故 | |
---|---|---|
人損(被害者の怪我) | どちらも存在する | 存在しない |
物損(車両の破壊など) | 存在する |
*一般的な事例の場合
「人損が存在しない」と見なされるため、治療費の請求などに不都合が生じることがあります。
物損事故扱いでは、治療費を請求できても、実際より怪我の程度が低いと判断されがちです。
そのため、保険会社は治療費の支払いを早期に打ち切ろうとする傾向があります。
→人身事故と比べて、損害に対する賠償額が足りない可能性が高い。
賠償金を請求するためには、事故直後の時点から人身事故として立件することが望ましいです。
事故にあった直後の、警察への届け出が肝心です。
事故で少しでも怪我をしたら、病院に行き診断書をもらいましょう。
そして、診断書を警察に届け出して、人身事故として立件するように要求しましょう。
被害者が放っておいたら、物損事故として処理される可能性があるためです。
物損事故として処理されやすい理由
人身事故の場合、警察は実況見分調書を作成することになります。
実況見分調書には詳細な情報が記載され、示談や裁判の際には証拠として役立てることができます。
ただし、調書の作成には手間がかかるので、警察は軽微な事故なら物損事故として処理したがるのです。
原則的に、怪我の診断書があれば人身事故として立件することは法律的に可能です。
警察が物損事故として処理したがっていても、人身事故にするよう要求しましょう。
「事故直後」の対応は、以下の記事で解説しております。
物損事故として立件された事故でも、人身事故に切り替えが可能です。
病院に診断書を発行してもらい、警察に切り替えを要求しましょう。
その際に、切り替えを要求する理由を説明する必要があります。
人身事故への切り替えの理由(例)
切り替えの期限は、法律上は定められていません。
しかし、事故から時間が経つほど、怪我と事故の因果関係の立証が困難になります。
事故から3週間以内に切り替えを行うことが、望ましいです。
実況見分調書も、人身事故に切り替えた後に作成されます。
しかし、事故から時間が経つほど、証拠としての能力が弱くなります。
当事者の記憶があいまいになったり、現場にあった証拠が失われたりするためです。
物損事故として立件された場合、主な賠償金は車両の修理費用となります。
ただし、車両の修理にかかる費用がすべて請求できるとは限りません。
破損した車両の修理費用は、必要性および相当性が認められる範囲で支払われる。
必要のない修理や、事故とは関係のない部分の修理にかかる費用は請求できない。
事故による車両の外見や機能の欠陥は、修理しても直せないことがあります。
該当の車両が新車や高級車であれば、下落した分の評価額を請求できる場合があります。
また、車両が全損したときには買い替えにかかる費用を請求できます。
物理的全損 |
---|
車両の損害状態がひどく、修理が物理的に不可能な場合 |
経済的全損 |
物理的には修理可能だが、修理費が買い替え費用を上回る場合 (修理費用>車両時価額+買い替え諸経費) |
車両が破壊された場合、修理費用の他にも費用が発生することがあります。
これらの費用も損害と見なされ、加害者に賠償を請求することができます。
車両の修理中に借りたレンタカーなどの費用は、代車使用料として請求できます。
ただし、代車を借りる必要性やその期間の妥当性が認められなければいけません。
レジャーや趣味のために代車を借りても、代車使用料は認められないことが多いです。
代車使用料が認められやすい場合
上記の理由があっても、代替交通機関が存在する地域では代車使用料は認められづらくなります。
また、複数の車両を所有している人は、代車使用料が認められない可能性が高いです。
タクシーなど、業務に使用している車両が使えなくなった場合、業務に支障が出ます。
事故による物損のため、営業利益に損害が生じるということです。
営業利益の損失は、休車損害として請求できる場合があります。
ただし、タクシー会社などであれば予備の車両を所有している場合が大半です。
使用できる遊休車が存在する場合は、休車損害は認められづらくなります。
物に対する損害には、基本的に慰謝料が発生しません。
ただし、所有者が特別な感情を抱いている物に対する損害には、慰謝料が発生することがあります。
代表的な事例がペットの死亡や怪我に対する慰謝料です。
ペットは法律上は物であり、飼い主の財産と見なされます。
事故による車に乗せていたペットが死亡や怪我をしたとき、財産の損害に対する賠償を請求できます。
それに加えて、精神的苦痛に対する賠償として慰謝料を請求できる場合があるのです。
ペットの財産的価値に対する損害賠償
+ペットが死亡・怪我したことによる飼い主の精神的苦痛に対する損害賠償(慰謝料)
芸術作品など、代替できない物が損害したとき、慰謝料が認められることがあります。
また、物損の結果として名誉などの人格権が傷付けられる場合もあります。
人格権への損害にも、慰謝料が発生する可能性があります。
人格権-じんかくけん
人が社会生活上有する人格的利益を目的とする権利をいい,財産権と対比される。民法は身体,自由,名誉を侵害したときは不法行為が成立すると規定する (710条) が,このほか生命,貞操,信用,氏名などのうえにも人格権が認められる。これに対する違法な侵害が不法行為となって損害賠償責任が生じ,さらに最近では,その侵害の差止めが問題となっている。
引用元:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
物損事故と慰謝料や損害賠償の関係について、重要点をまとめます。
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物損事故として立件された場合、基本的には慰謝料は発生しません。
しかし、特別な場合には慰謝料が請求できることがあります。
その他の損害賠償とあわせて、専門家である弁護士に確認してもらいましょう。
物損事故の損害請求にお悩みの方はすぐに弁護士までご連絡ください。
人身事故への切り替えから修理費用の請求まで、アドバイスいたします。
基本的に、物損事故では慰謝料を請求することはできません。交通事故で代表的な慰謝料の「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」は、どちらも被害者の負ったケガに対する慰謝料となります。当事者にケガのない事故はすべて物損事故となるため、慰謝料がもらえないということになります。 物的事故と慰謝料について
物損事故の場合、主な賠償金は修理費用となります。破損した車両の修理費用は、必要が認められる範囲で支払われます。事故とは関係のない部分などの修理にかかる費用は請求できません。また、車両の修理中に必要となる代車の使用料が認められることもあります。 物損事故で請求できる賠償金とは
①賠償金を回収できないリスクがある②けがが発覚したときに治療費などを請求するのが困難ということがあります。物損事故では、加害者が任意保険未加入の場合は加害者本人に賠償請求をします。その場加害者の資力によっては賠償金を回収できない可能性があります。また、物損事故では治療費は支払われないので、もしけがが発覚しても、治療費を受け取れない可能性が高いです。 物損事故のデメリットとは?
岡野武志
交通事故の慰謝料で代表的なものは傷害慰謝料と後遺障害慰謝料です。
どちらも、被害者の負った怪我に関係するものです。