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交通事故の示談書の書き方|便利な文例・テンプレートつき・物損事故にも対応

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交通事故の示談交渉がいよいよまとまった後に作成されるのが、示談書です。

しかし実際に示談書が送付されたり、ご自身で文面を考える局面でお困りになる方も多いと思います。

  • 示談書ってどんな書式で書けばいいの?
  • 示談書で要注意な条項はある?
  • 示談書の具体的な文例が知りたい!

実際の示談書の形式について知り、後悔のない解決を目指しましょう。

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交通事故の示談書の書式・フォーマット|物損と人損で2種類必要?

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示談書

交通事故による紛争を当事者間で話し合って裁判外で解決する契約(示談)の際に作られる書類

示談書は、示談の内容を示す重要な書類です。

交通事故の加害者と被害者、どちらが示談書を作成するかも決まっていません。

なお、示談交渉の相手方が任意保険会社の場合、先方が作成することが多いです。

示談書が送付されたら、その内容におかしなところがないか確認しましょう。

Q1

示談書の書式・フォーマットは決まっている?

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示談書の書式やフォーマットには特段の制約はありません。

各種保険会社や第三者機関によって異なります。

ですが、内容として以下の事項を盛り込んでいる必要があります。

示談書に必要な事項
表題
当事者
事故状況
関係車両の特定
被害状況
示談内容
清算条項
作成年月日
当事者の署名押印

①表題

「示談書」とされる場合が多いですが、念書・合意書・支払約束書とされることもあります。

一方当事者にのみ多額でない損害が発生する場合免責証書として作成されることがあります。

これには加害者の署名押印は必要ありません。

②当事者名

当事者や代理人の住所・氏名で特定します。

当事者が複数いる場合は、全員分記載します。

③事故状況

日時・現場の住所・実際どのようにして事故が起こったかなどを書きます。

④関係車両の特定

加害車両や被害車両の車両番号・保険契約番号で特定します。

⑤被害状況

死亡事故・傷害事故・物損事故など損害の種類を特定します。

傷害や物損であればその程度、治療に要した日数などを記載します。

⑥示談内容

最終的な賠償金額や支払いの条件などを記載します。

⑦清算条項

示談の成立により、紛争の一切が解決したことを書きます。

原則として示談書に記載した以外の損害は請求できなくなります。

ですので、清算条項を記載する際は注意が必要です。

清算条項があっても、示談当時には予測不可能であった損害には示談書の効力は及びません。

実際に示談の後から傷害が重傷であったことが判明し、損害賠償請求が認められた事例があります。

後からの紛争を防ぐために、

「将来後遺障害が発生した場合は別途協議する」

「〇級以上の後遺障害が新たに認定された場合は別途協議する」

と留保条項を入れる場合もあります。

⑧作成年月日

示談がいつ成立したのかを示します。

合意の成立時期と、後遺症の確定時期などの問題を解決するために必要です。

⑨署名押印

示談書をパソコンで作成する場合であっても、署名欄は直筆で書きます。

示談書に押印するのは認印でも構いません。

当事者双方、さらに代理人がいる場合は代理人の署名押印も必要となります。

相手方について、もし対面ならば身分証などで本人確認をするのが安心です。

Q2

物損がある場合、示談書を別に作成する?

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示談書は、示談ごとに作成されます。

ひとつの事故で人身に対する損害(人損)と物に対する損害(物損)が両方発生することがあります。

人損と物損でそれぞれ別に示談が成立した場合は、1つの事故で2通の示談書が作成されます。

保険会社では、人損と物損で担当者が異なることがあります。

また物損の方が損害額が確定しやすく、早期に示談が成立する可能性が高いです。

そういった事情から、人損と物損で2枚の示談書が必要となるケースがあるのです

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交通事故の示談書の書き方|文例・テンプレートで簡単作成

交通事故の示談書の見本は以下のページをご覧ください。

テンプレートのダウンロードも可能です。

ではこの他にも、実際の示談書の文例を見てみます。

ご自身で作成する際、または相手方から送られてきた示談書を確認する際のポイントを把握しましょう。

Q1

示談書の文例からポイントを整理すると?|死亡・傷害・物損事故

事故状況の記入例

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事故状況の記入例 傷害事故

甲と乙は、〇年〇月〇日、東京都〇区〇路上において、乙が歩行中の甲に普通自動車(登録番号〇〇、車種〇〇)を追突させた。

この甲に〇〇の傷害を負わせた交通事故(本件事故)の損害賠償につき、以下のように合意する。

事故状況の記入例 死亡事故

事故発生日 〇年〇月〇日

事故発生場所 〇県〇市〇町〇丁目〇番地

乙は横断歩道を青信号で横断中の甲に大型自動二輪車(車検登録番号〇〇、所有者〇〇)で衝突した。

甲は、〇〇病院に搬送されたが、本件事故により受傷した〇〇により〇年〇月〇日〇時〇分に死亡した。

以上の交通事故(本件事故)につき、次のように示談する。

事故状況は、交通事故が特定できる程度の記述が必要です。

当事者、車種、事故の態様などの記述に間違いが無いようにしましょう。

甲・乙は示談書内で一貫していれば被害者・加害者どちらでも構いません。

交通事故の示談書においては、損害賠償請求権を持つ被害者側を「甲」とする傾向もあるようです。

示談内容の記入例

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示談条項の記入例・シンプル

1.甲は乙に対し、本件事故により乙が被った一切の損害に対する賠償として、既払金〇円のほか、金〇円の支払い義務があることを認める。

これを一括して〇年〇月〇日限り、乙指定の銀行口座に送金する方法により支払う。

示談条項の記入例・支払い済

1.乙は甲に対して乙の不注意により本件事故を起こし、甲に重傷を負わせたことにつき心から謝罪する。

2.乙は甲に対して、本件事故により甲が被った損害の賠償として乙に対し、既払い金を除き、金〇円の支払い義務があることを認める。

3.乙は甲に対して、本日、前条の金額を甲に支払い、甲はこれを受領した。

示談条項の記入例・示談後の支払い

1.乙は甲に対して、本件事故による損害賠償として、既払い金を除き、金〇円の支払い義務があることを認める。

2.乙は甲に対して、前条の金員を、〇年〇月〇日限り、甲の指定する下記口座に振り込む方法により支払う。

この場合において、振込手数料は、乙が負担するものとする。

示談条項の記入例・物損事故

1.本件事故による損害は、甲乙が各自所有する自動車の破損である。

それぞれの修理見積額は甲所有の自動車について〇円、乙所有の自動車について〇円である。

2.甲と乙は、前条の金額を〇年〇月〇日を期限として、互いに指定する下記口座に振り込む。

手数料は各自が負担する。

損害の合計金額から、既払金や過失による相殺額が引かれたものが最終的な支払額になります。

それぞれの金額が示談交渉で決着したものと同じであるか確認しましょう。

また、支払いが遅れた時に備えて以下のような条項を入れることもあります。

遅延損害金条項の記入例

乙が前条に定める債務を怠ったときは、年間〇%の利率による遅延損害金を付加して、既払金額を除く残額を直ちに支払わなければならない。

損害賠償額の遅延損害金については、原則として法定利率(年5%、2020年民法改正後は年3%)が適用されます。

ただしこれより高い利率を契約で定めた場合は、その利率が適用されます。

清算条項・留保条項の記入例

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清算条項の記入例

1.甲は乙に対して、本件事故に関するその余の請求を放棄する。

2.甲と乙は、本件事故に関し本示談書に定めるほか何ら債権債務のないことを相互に確認する。

清算条項・留保条項の記入例

1.将来、乙に本件事故を原因とする後遺障害が新たに確認された場合は、別途協議する。

2.甲乙間には、本合意書に定めるほか、何らの債権債務がないことを相互に確認する。

清算条項があると、原則として当該事故について以後争えなくなります。

民事訴訟を起こしたり、示談で定めた以上の損害賠償を請求することができなくなるのです。

清算条項はそのように決定的な意味を持ちます。

後遺障害について争いを避けるためにも、留保条項はなるべく入れるといいでしょう。

清算条項に関し、曖昧な文言があると後々に争いとなることがあります。

金額の正しさ以外にも「本件事故」などがきちんと定義されているか、確認しましょう。

まとめ

示談書のチェックポイント

当事者の署名・押印
本人の直筆で署名がなされているか?
忘れずに押印がされているか?
事故状況
事故の日時、現場、車両などが特定されているか?
「本件事故」に漏れている事情はないか?
示談内容
最終支払い額はお互い合意した額と相違ないか?
支払いの期限は定められているか?
清算条項・留保条項
示談書の内容は本当に損害の全てを網羅しているか?
後から発生した損害について別途協議する旨が書かれているか?
Q2

交通事故の相手方保険会社にしてもらうことは?

通常、示談書は加害者側の保険会社から送付されてきます。

ですが、示談交渉が成立したはずなのに示談書が送られてこない、という場合があります。

保険会社内のトラブル、加害者側が署名押印を拒んでいる場合などがあります。

いずれも相手方保険会社や弁護士に相談し、状況を確認するようにしましょう。

Q3

交通事故の加害者にしてもらうことは?

被害者自身や自身の保険会社が示談書を作成した場合、相手方に署名押印をしてもらう必要があります。

最終的に相手方の署名押印が無いと示談は成立しません。

ですが相手方が示談書の内容に不服を示し、署名押印を拒まれることがあります。

そのような場合は、弁護士に依頼し交渉の窓口とすることもお考えください。

その他、示談書作成後のトラブルなどについては以下のページをご覧ください。


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交通事故の示談書でお困りなら…弁護士にご相談を

Q1

示談書の雛形作成もご相談いただけます

示談書の内容は専門的でわかりにくいものです。

安易に署名・押印したり、書くべき条項を書かないことで後から思わぬ争いを招くこともあります。

条項の細かい文言は法律の専門家に確認してもらったほうが無難です。

そのようなお悩みについて、アトム法律事務所ではLINE、電話でのご相談を受け付けています。

示談が成立すると、以後その件については争えないという法律上大きな効果が発生します。

作成や署名・押印にあたっては、慎重にその内容を吟味する必要があります。

お一人でお悩みになる前に、ぜひ弁護士にご相談ください。