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後遺障害等級認定の申請準備|事前準備がカギ!より良い認定のための戦略とは?

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請求することができる後遺障害慰謝料逸失利益の金額を左右する後遺障害等級

少しでも高い等級、納得できるよう等級に認定されたいと思うものです。

そのために知っておくべきこともたくさんあります。

  • 後遺障害等級認定はどのように決まるのか
  • 被害者請求事前認定結局どちらがいいのか
  • 申請準備のポイントは何か

後遺障害等級認定に向けた準備のポイントを、弁護士がアドバイスします。


1

後遺障害等級認定の難しさ

Q1

後遺障害等級の決まり方は?認定は厳しい?

後遺障害等級の決まり方

後遺障害等級は、自賠責損害調査事務所によって決められます。

自賠責損害調査事務所は、基本的に提出された書類のみから等級の認定を行います。

どのような後遺障害がどの等級に該当するのかは、労災保険によって基準が決められています。

その基準をもとに、後遺障害等級が認定されるのです。

後遺障害等級には、

  • 要介護 第1級~第2級
  • 第1級~第14級

があります。

では、どのような後遺障害が何級に相当するのか労災保険の基準の一部を見てみましょう。

後遺障害等級の例
症状 等級
両目の失明 1
外貌に著しい醜状 7
咀嚼または言語機能の障害 9
胸腹部臓器の機能障害 13

この基準は、

『民事交通事故訴訟 損害賠償算定基準』(日弁連交通事故相談センター東京支部)

でも確認することができます。

認定の厳しさ

後遺障害等級は、上でご紹介したような労災保険の定める基準をもとに決定されます。

しかし、実際にはそれよりも厳しい認定が行われることが多いようです。

後遺障害等級の割合
等級 割合
介護を要する 1 1.42
2 0.70%
介護を要さない 1 0.07%
2 0.21%
3 0.42%
4級~11 20.97%
12 17.22%
13 0.92%
14 58.07%

損害保険料算出機構『2017年度自動車保険の概況』より

上の表は、後遺障害等級の認定等級の割合です。

これを見てもわかるように、約6割の人が最も等級の低い14級に認定されていることが分かります。

後遺障害等級認定の結果に納得できなければ、異議申し立てもできます。

しかし、それによって等級が変わるケースは1割未満です。

そのことから考えても、後遺障害等級認定が厳しいことが分かります。

Q2

より良い等級に認定される重要性は?

後遺障害等級は、1級違うだけでも受け取れる後遺障害慰謝料、逸失利益が大きく変わります。

だからこそ、より良い等級、より妥当な等級に認定されることが大切なのです。

用語

後遺障害慰謝料

後遺障害によって今後も受け続ける精神的苦痛に対する補償。

等級によってその金額が決められている。

逸失利益

後遺障害等級により労働能力を失ったことで減ってしまった収入に対する補償。

等級に応じた労働能力喪失率や年収などを計算して算出する。

では、ここで参考として、後遺障害慰謝料の基準を見てみましょう。

この基準には、弁護士が用いるものと保険会社が用いるものがあります。

基本的に被害者は弁護士が用いる基準を使って金額を算出します。

そのため、弁護士が使う基準をご紹介します。

弁護士基準による慰謝料の相場

等級が1級違うだけで大幅に金額が変わることがよくわかります。

では、逸失利益の算出に使われる労働能力喪失率も一例を見ておきましょう。

こちらは、弁護士も保険会社も同じ基準を用います。

後遺障害に認定される症状と労働能力喪失率の例
症状 等級 労働能力喪失率
両目の失明 1 100
外貌に著しい醜状 7 56
咀嚼または言語機能の障害 9 35
胸腹部臓器の機能障害 13 9

失ったとされる労働能力が等級によって変わるため、逸失利益に影響します。

労働能力喪失率は、等級によって定められたものを参考にしつつ、

実情に合わせて調整する

こともあります。

そのため、実際の労働能力喪失率はいくらなのかが示談交渉の際に争点になりがちです。

認定される後遺障害等級によって、

  • 後遺障害慰謝料の金額が大きく変わる
  • 逸失利益の算出に使われる労働能力喪失率が大きく変わる
Q3

被害者請求と事前認定はどちらがいい?

後遺障害等級認定自賠責損害調査事務所に申請するには、

  • 被害者請求
  • 事前認定

のどちらかを行う必要があります。

被害者請求の流れ
事前認定の流れ

それぞれの方法のメリット・デメリットは以下の通りです。

被害者請求と事前認定
被害者請求 事前認定
メリット 追加書類を提出できる 手間がかからない
デメリット 手間がかかる 機械的な申請になる

より良い等級を受けようと思うなら、手間がかかっても被害者請求がお勧めです。

被害者請求なら、最低限の提出書類に加え、

等級認定に有利になる書類を追加することができる

からです。

基本的に書類審査のみで決定されてしまう後遺障害等級認定では、

提出書類を通していかに

  • これ以上治療を続けても回復の見込みがないこと
  • 生活や将来への影響
  • 後遺障害の医学的裏付け
  • 事故と後遺障害の関連性

を伝えるかが重要です。

伝えるべきことをしっかり伝えるために、自分で書類を追加できるのは、被害者請求の利点です。

事前認定だと、書類は加害者側の任意保険会社が集めます。

任意保険会社はそこまで親身にはなってくれません。

そのため、最低限の資料を提出するだけの機械的な申請になります。

追加資料の提出を依頼することも可能ではあります。

しかし、本当にそれを自賠責損害調査事務所に提出してくれるとは限らないのです。

より良い等級認定を望むのであれば、被害者請求の方が良い。

2

後遺障害等級認定の申請準備

Q1

後遺障害等級認定に必要な書類は?

後遺障害等級認定で必要な書類は、以下の通りです。

後遺障害等級認定の必要書類
集め方
①後遺障害診断書 医師に作成依頼
②診断書
③請求者の印鑑証明書 市区町村役場で取得
④交通事故証明書 自動車安全運転センターで取得
⑤事故発生状況報告書 自分で作成
⑥診療報酬明細書 医療機関で取得
⑦支払い請求書 自分で作成
⑧通院交通費明細書
⑨その他損害を立証する書類
⑩休業損害証明書 勤務先などで取得

⑧⑨⑩は必要に応じて

被害者請求の場合は、これらを自分で集めます。

事前認定であれば、後遺障害診断書以外の必要書類は加害者側の任意保険会社が集めてくれます。

Q2

申請準備は治療段階から!治療中の注意点は?

後遺障害等級認定の申請は、症状固定後に行います。

用語

症状固定

交通事故によるけがが、これ以上治療を続けても大幅な改善は見込めない状態になること

交通事故の流れ

しかし、後遺障害等級認定の申請準備は、症状固定後から始めるものではありません。

治療段階から、後遺障害が残ったときのことを考えて準備しておくことが大切です。

治療中にすべきこと
  • 医師の選定
  • 定期的な通院

医師の選定

後遺障害等級認定に申請するためには、医師に後遺障害診断書診断書を書いてもらいます。

しかし、医学の面で良い診断書の書き方と、後遺障害等級認定の面で良い診断書の書き方は違います。

また、医師だからといって必ずしも後遺障害等級認定に詳しいとは限りません。

効果的な診断書や後遺障害等級認定で有利になる検査を受けるためには、

後遺障害等級認定に詳しい医師

にかかることが重要です。

医師の誤診によって本当の症状の発覚が遅れ、後遺障害が残ることもあります。

そうすると、初期段階で症状に気づき適切に治療していれば後遺障害は残らなかった、つまり

後遺障害が残ったのは事故のせいではない

と判断されて、等級が認定されない場合もあります。

診断結果に不信感がある場合は、他の医師の診断を受けることも大切です。

  • 後遺障害等級認定に詳しい医師
  • 適切な診断をしてくれる医師

にかかることが大切。

定期的な通院

後遺障害等級認定を受けるためには、

一か月以上の治療中断期間を作らないこと

が非常に重要です。

継続的な治療がなかった場合、けがの程度が軽いと判断されてしまいます。

そうすると、もちろん後遺障害等級認定には不利になります。

注意しなければならないのが、整骨院への通院です。

基本的に、整骨院での施療は厳密には医療類似行為であり、医療行為ではありません。

そのため、病院へ通わずに整骨院に定期的に通っていても、治療として認められない可能性があります。

整骨院に通うときには、医師や弁護士など詳しい人に相談しておくことが大切です。

  • 一か月以上治療中断期間が開くと、後遺障害等級認定に不利になる
  • 整骨院での施療は厳密には治療ではないので、注意が必要
Q3

重要ポイント|戦略的な書類集めとは?

後遺障害等級認定の申請を、被害者請求で行うとします。

このとき、被害者請求の利点を存分に生かすためには、戦略的な書類集めが大切です。

後遺障害等級認定で大切なのは、

  • これ以上治療を続けても回復の見込みがないこと
  • 生活や将来への影響
  • 後遺障害の医学的裏付け
  • 事故と後遺障害の関連性

をしっかりとアピールすることです。

回復の見込みがないことを伝える

後遺障害等級が認められるためには、

必要な治療は十分に、適切にしたが、回復の見込みがない

ということを伝える必要があります。

必要な治療を十分に行わずに残った後遺障害に等級を与えることはできません。

この点をしっかりとアピールするためには、診断書に

  • これまで受けてきた診断の内容
  • 症状の回復の経過

をわかりやすく記載する必要があります。

  • これまで受けてきた診断の内容→これまでの診断が適切十分であったこと
  • 症状の回復の経過→これ以上の回復を見込むことはできないということ

を示すというわけです。

後遺障害の医学的裏付け

後遺障害等級認定において、後遺障害の医学的裏付けは非常に大切です。

後遺障害の状態を証明するため、レントゲン検査、CT検査、MRI検査等を受けましょう。

また、後遺障害による影響を証明するため、後遺障害の症状に応じて

視力検査、聴力検査、稼働領域検査、反射テスト

等を受けることも大切です。

これを受けることで、生活や将来への影響も証明できます。

3

後遺障害等級認定は弁護士に相談を

Q1

後遺障害等級認定で弁護士に相談するメリットは?

後遺障害等級認定の申請に向けて弁護士に相談するメリットには、以下のものがあります。

  • 診断書の書き方や受けるべき検査について医師にアドバイスしてもらえる
  • 被害者請求で必要な資料集めのサポートをしてもらえる
  • 被害者請求で追加すべき書類のアドバイスをもらえる
  • もし後遺障害等級認定の結果に満足できなければ、異議申立の相談をすることができる

医師は、医療のプロであって後遺障害等級認定のプロではありません。

後遺障害等級認定に有利な診断書の書き方や検査は、弁護士の方が詳しいことも多いです。

弁護士が、後遺障害等級認定の知識とサポート経験を生かしてアドバイスします。

せっかく被害者請求という方法をとるのなら、その利点をしっかり生かしたいものです。

しかし、書類集めが大変だったり、結局どんな書類を追加したらいいのかわからなかったりします。

後遺障害の症状や生活への影響、後遺障害が残るに至った経緯は人それぞれです。

それらをうまく伝えるために必要な書類も人それぞれです。

弁護士に相談すれば、自分のケースに即したアドバイスをもらうことができるのです。

色々な症状やケースがある限り、マニュアル通りの申請で自分の状況を十分に伝えることは難しいものです。

弁護士に相談して、個別的なアドバイスを受けることが非常に大切です。

Q2

弁護士への相談は早い段階から!無料相談も可能?

後遺障害等級認定への申請の可能性があるなら、早い段階からの弁護士相談をお勧めします。

解説したように、後遺障害等級認定の準備は治療段階から始まっています。

後遺障害等級についてあまり詳しくない状態で先を見越した準備をするのは難しいです。

弁護士に相談して、早い段階から戦略的に、妥当な認定を受けられるよう準備していきましょう。

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