弁護士無料相談をご利用ください
相談依頼は今すぐ!
作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
胸椎は脊柱(背骨)を構成する骨のひとつです。圧迫骨折とは強い外力が生じたり骨粗しょう症などによって、骨が押しつぶされるように骨折することです。胸椎圧迫骨折は変形が残ったり、骨折にともなって脊髄(神経)が損傷するなどして後遺症(後遺障害)が残る可能性があります。
後遺症が残ったことに対する慰謝料はもらえるのでしょうか。
目次
奈良県立医科大学付属病院アトム法律事務所顧問医
藤井 宏真医師
胸椎圧迫骨折は、脊椎の一部である胸椎が押しつぶされるように骨折することです。重症例では脊髄損傷をおこして足のしびれなどが生じる可能性があります。
胸椎圧迫骨折には以下のような症状があります。
▼背部・腰部の痛み
寝返りが打てないような激しい痛み
▼下肢のしびれ・麻痺
骨折した椎体の破片が脊柱管内に入って神経を圧迫するため
▼その他の症状
圧迫骨折の原因としては高齢者の骨粗鬆症がもっとも多いといわれていますが、交通事故の外傷などを原因とするケースもあります。
胸椎圧迫骨折は、整形外科を受診しましょう。レントゲン検査・CT検査・MRIといった画像検査によって圧迫骨折の診断がおこなわれます。
骨折によって脊髄・神経が損傷まで及んでいる場合は、神経内科も選択肢に入ります。
骨折の程度によって、保存療法・薬物療法・手術など適切な治療法が選ばれます。
専用装具を使って首や腰などを固定して安静にする
NSAIDs、アセトアミノフェンなどの痛み止めの投薬
* 骨折によって脊髄損傷を防ぐために行われる
胸椎圧迫骨折ではとにかく安静が第一で、2~4週間ほどで痛みなどは緩和するようです。
骨の破片が脊髄神経を圧迫している場合などは、緊急手術が必要となることがあります。
圧迫骨折によってつぶれてしまった骨にセメントを流しこんで固めるという経皮的椎体形成術では、治療費として20万円程度が予想されます。もっとも手術をふくめて4~7日間程度の入院が必要となるので、入院にかかる費用を合計すると総額100万円以上になることも少なくありません。
コルセットなどの固定帯で固定する保存療法であれば、痛み止めなどの処方も含めるとだいたい2400円~5000円程度が予想されます。
十分な治療を受けても、これ以上良くも悪くもならない状態で残存する症状
交通事故では、症状がある部位・程度により14段階の後遺障害等級で区分される
胸椎圧迫骨折を負うような怪我で生じることのある後遺障害には以下のようなものがあります。
それぞれの症状の内容や、等級が何級になるかについては次の章で詳しく説明します。
胸椎は脊椎(背骨)を構成する骨のひとつで、脊椎には脊髄とよばれる神経が通っています。胸椎をふくむ脊椎を損傷すると、脊髄損傷もともなう可能性が高いです。
脊髄損傷では痛み・麻痺などの神経症状のほか、損傷の箇所によっては呼吸器など生命維持にかかわる症状におよぶ可能性があります。
脊髄は一度でも傷ついてしまうと現在の医学では元の状態に戻ることはなく、損傷時の症状が後遺症として残存することになります。
脊髄損傷について詳しくはこちら
先述した後遺障害等級に認定されると、相手方から支払われる金銭が増額します。
後遺障害が残ったと認定されると、追加で支払われる金銭の一つが後遺障害慰謝料です。
後遺障害を負ったという精神的苦痛に対して支払われる損害賠償
後遺障害慰謝料の他にも支払われる金銭として、逸失利益があります。
後遺障害が残ったことが影響して労働能力が失われ、収入が減ることへの補償
計算式:基礎収入(年収)×労働能力喪失率×労働能力喪失期間(67歳-症状固定時の年齢)に対応するライプニッツ係数
「労働能力喪失率」は、障害の部位・程度、従事する職業などが考慮されて増減することがあります。
主婦などの場合の年収算定方法やライプニッツ係数一覧などはこちらの記事をご確認ください。
実際に後遺症が残っていても、労働能力に影響するような後遺障害ではないと判断されてしまうと十分な補償がえられないことになってしまいます。胸椎圧迫骨折による後遺症が原因で、部署を移動させられたり職業選択の幅が狭くなったなどの事実があることを弁護士がついていれば主張することができます。弁護士に相談することで、十分な補償が受けられる可能性がアップします。
ここからは、実際に胸椎圧迫骨折で後遺障害等級の申請をして、後遺障害慰謝料を受け取るまでの流れを見ていきます。
治療をつづけても症状の改善が見込めなくなった状態を症状固定といいます。後遺障害等級認定を受ける場合は、事故から原則約6カ月以上経過している必要があります。
治療期間が6カ月より短い場合は、後遺障害としては認められない可能性が高くなります。
症状固定の診断を受けたら、後遺障害等級認定に向けて後遺障害診断書などの資料を準備します。
後遺障害の申請方法は、2種類あります。
被害者請求は資料集めといった手間がかかりますがその分、後遺障害等級の認定に有利となるような資料を自分で精査できるのが強みです。なお、弁護士に依頼すると資料収集作業を任せることもできます。
事前認定と被害者請求
事前認定 | 被害者請求 | |
---|---|---|
請求者 | 相手方の任意保険会社 | 被害者ご自身 |
メリット | 資料収集の手間なし | 自分で資料を精査できる |
デメリット | 自分で資料を精査できない | 資料収集の手間あり |
提出された資料をもとに損害保険料率算出機構が後遺障害等級の審査をおこないます。
損害保険料率算出機構の審査では、
このような点を満たしているかがみられることになります。
審査結果をふまえ、自賠責保険会社が等級認定を行います。
くわしい認定手順、後遺障害診断書の書き方などについては以下の記事をご参照ください。
後遺障害等級の申請について
胸椎圧迫骨折によって脊柱が変形したままになってしまうことで後遺障害が残ることがあります。
認定される可能性のある後遺障害等級は以下のとおりです。
胸椎圧迫骨折による脊柱変形障害
等級 | 内容 |
---|---|
6級5号 | 脊柱に著しい変形または運動障害を残すもの |
8級相当 | 脊柱に中程度の変形を残すもの |
11級7号 | 脊柱に変形を残すもの |
脊柱に著しい変形または運動障害を残すもの
…X線写真・CT画像・MRI画像で骨折が確認でき、次の①②いずれかに該当する場合
①2個以上の椎体の前方椎体高が著しく減少し、後わんが生じている
②1個以上の椎体の前方椎体高が減少し、後わんが生じるとともにコブ法による側わん度が50°以上となっている
脊柱に中程度の変形を残すもの
…次の①②いずれにも該当する場合
①画像で圧迫骨折や脱臼などが確認できる
②次のいずれかに該当する
(1) 骨折などにより1個以上の椎体の前方の高さの合計が、後方の椎体の高さの合計よりも1/2個の椎体分以上低くなっている
(2) 側わん度が50°以上となっている
(3) 環椎(第一頚椎)または軸椎(第二頚椎)の変形、固定により次のいずれかに当てはまるもの
・60°以上の回旋位となっているもの
・50°以上の屈曲位となっているもの
・60°以上の伸展位となっているもの
・側屈位となっており、矯正位(通常の頭をまっすぐにした状態)で頭蓋底部と軸椎下面の平行線の交わる角度が30°以上となっているもの
脊柱に変形を残すもの
…次の①②③いずれかに該当する場合
①レントゲンなどの画像で圧迫骨折や脱臼などが確認できるもの
②脊椎固定術が行われたもの(移植した骨が脊椎に吸収されたものを除く)
③3個以上の脊椎について、椎弓切除術などの椎弓形成術を受けたもの
具体的な認定基準は以上のとおりです。
慰謝料の金額は、相手方が提示してくる基準(自賠責基準・任意保険基準)と、弁護士が交渉することで請求できる基準(弁護士基準)で大きな開きがあります。
胸椎圧迫骨折による脊柱の変形障害に対応する後遺障害慰謝料は以下のようになります。
胸椎圧迫骨折による脊柱変形障害
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
6級5号 | 498万円 | 1180万円 |
8級相当 | 324万円 | 830万円 |
11級7号 | 135万円 | 420万円 |
等級にもよりますが、弁護士に依頼することで2倍以上の後遺障害慰謝料を請求することができます。
慰謝料増額をご希望の方は、できるだけ早い段階から弁護士と相談しておくことが大切です。
胸椎圧迫骨折によって脊柱の運動障害の後遺障害が残ることがあります。
認定される可能性のある後遺障害等級は以下のとおりです。
胸椎圧迫骨折による脊柱運動障害
等級 | 症状 |
---|---|
8級2号 | 脊柱に運動障害を残すもの |
脊柱に運動障害を残すもの
…次の①②いずれかに該当する場合
①次のいずれかにより、頚部又は胸腰部の可動域が参考可動域角度の1/2以下に制限される場合
(1) 頚椎または胸腰椎に脊椎圧迫骨折などが生じていることをX線写真などにより確認できる
(2) 頚椎または胸腰椎に脊椎固定術が行われた
(3) 項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められる
②頭蓋と上位頚椎間に著しい異常可動性が生じた場合
具体的な認定基準は以上のとおりです。
胸椎圧迫骨折による脊柱の運動障害に対応する後遺障害慰謝料は以下のようになります。
胸椎圧迫骨折による脊柱運動障害の後遺障害
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
8級2号 | 324万円 | 830万円 |
認定される可能性のある後遺障害等級は以下のとおりです。
胸椎圧迫骨折による脊柱荷重機能障害
等級 | 症状 |
---|---|
8級相当 | 脊柱に荷重障害を残すもの |
脊柱に荷重障害を残すもの
…頚部又は腰部のいずれかが、次の①②③いずれかの理由で保持が困難であり、常に硬性補装具が必要な場合
①頚椎又は腰椎に圧迫骨折などがあることが画像で確認できる
②脊柱を支える筋肉が麻痺していることが画像などで確認できる
③首、背、腰の軟部組織(靭帯や筋肉など)に明らかな器質的変化が認められ、画像などで確認できる
具体的な認定基準は以上のとおりです。
胸椎圧迫骨折による脊柱の荷重機能障害に対応する後遺障害慰謝料は以下のようになります。
胸椎圧迫骨折による脊柱荷重機能障害の後遺障害
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
8級相当 | 324万円 | 830万円 |
認定される可能性のある後遺障害等級は以下のとおりです。
胸椎圧迫骨折による膀胱機能障害
等級 | 症状 |
---|---|
9級11号 | 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの |
11級10号 | 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの |
胸椎圧迫骨折による膀胱の機能障害に対応する後遺障害慰謝料は以下のようになります。
胸椎圧迫骨折による膀胱機能障害の後遺障害
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
9級11号 | 245万円 | 690万円 |
11級10号 | 135万円 | 420万円 |
認定される可能性のある後遺障害等級は以下のとおりです。
胸椎圧迫骨折による局部の神経系統障害
等級 | 症状 |
---|---|
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
胸椎圧迫骨折による局部の神経系統障害に対応する後遺障害慰謝料は以下のようになります。
胸椎圧迫骨折による局部の神経系統障害の後遺障害
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
12級13号 | 93万円 | 290万円 |
14級9号 | 32万円 | 110万円 |
認定される可能性のある後遺障害等級は以下のとおりです。
胸椎圧迫骨折による麻痺
等級 | 症状 |
---|---|
1級1号 | 神経系統の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの |
2級1号 | 神経系統の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの |
3級3号 | 神経系統の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの |
5級2号 | 神経系統の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
7級4号 | 神経系統の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
9級10号 | 神経系統の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの |
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
介護を要するもの
…生命維持に必要な身のまわりの処理の動作(食事・入浴・用便など)について、他人の介護を要する状態
具体的な認定基準は以上のとおりです。
胸椎圧迫骨折による麻痺に対応する後遺障害慰謝料は以下のようになります。
胸椎圧迫骨折による麻痺の後遺障害
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
1級1号 | 1600万円 | 2800万円 |
2級1号 | 1163万円 | 2370万円 |
3級3号 | 829万円 | 1990万円 |
5級2号 | 599万円 | 1400万円 |
7級4号 | 409万円 | 1000万円 |
9級10号 | 245万円 | 690万円 |
12級13号 | 93万円 | 290万円 |
胸椎は脊椎の一部であるため、骨折にともなって脊髄も損傷する可能性が高く、しびれなど比較的軽微な症状から介護を要する重篤な症状が残る可能性もあります。
にも関わらず、相手方保険会社が提示する慰謝料・逸失利益は、被害者の受けた損害に対して不十分であることが多いです。
損害に対する十分で適正な補償を受け取るためには、弁護士に依頼することが一番です。
保険会社との示談交渉などを一任することで、慰謝料増額の希望が通るだけでなく、わずらわしい手続きなどからも解放されます。
など、どのようなことでも結構です。
まずは、気軽にLINE・電話での無料相談をご利用ください。
(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。
弁護士無料相談をご利用ください
相談依頼は今すぐ!
弁護士プロフィール
岡野武志弁護士
胸椎圧迫骨折における後遺症の症状としては、脊柱の変形障害・胸腰部の可動域制限による脊柱の運動障害・脊柱の荷重機能障害・膀胱の機能障害・痛みなどの神経症状・麻痺などが主にあげられます。胸椎圧迫骨折では、十分な治療をつづけても、完治せずに何らかの後遺障害が残ることが考えられます。 胸椎圧迫骨折の後遺症
胸椎圧迫骨折によって脊柱が変形するといった後遺障害は、脊柱に著しい変形または運動障害を残すものの場合は6級5号、脊柱に中程度の変形を残すものの場合は8級相当、脊柱に変形を残すものの場合は11級7号の等級認定が予想されます。 脊柱の変形障害における後遺障害等級
胸椎圧迫骨折によって脊柱が変形するといった後遺障害は、脊柱に運動障害を残すものの場合は8級2号の等級認定が予想されます。頚部または胸腰部の可動域が制限されていたり、頭蓋と上位頚椎間に著しい異常可動性が生じているような場合に脊柱の運動障害があると判断されます。 脊柱の運動障害における後遺障害等級
胸椎圧迫骨折による脊柱の荷重機能障害といった後遺障害は、脊柱に荷重障害を残すものの場合は8級相当の等級認定が予想されます。脊柱が荷重に耐えられないような状態であることが画像で確認できるかどうかなどで判断されることになります。 脊柱の荷重機能障害における後遺障害等級
胸椎圧迫骨折による膀胱の機能障害といった後遺障害は、胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるものの場合は9級11号、胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるものの場合は11級10号の等級認定が予想されます。 膀胱の機能障害における後遺障害等級
胸椎圧迫骨折による痛みやしびれなど局部の神経系統障害といった後遺障害は、局部に頑固な神経症状を残すものの場合は12級13号、局部に神経症状を残すものの場合は14級9号の等級認定が予想されます。12級と14級の違いは、局部の神経症状が「頑固な」ものであるかどうかになります。 局部の神経系統障害における後遺障害等級
胸椎圧迫骨折による麻痺の後遺障害は、1級1号・2級1号・3級3号・5級2号・7級4号・9級10号・12級13号のいずれかの等級が認定される可能性があります。等級は、麻痺の程度と範囲に応じて決められることになります。 麻痺の後遺障害等級