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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
2018年に発生した交通事故は43万601件です。
この数は負傷者が出た事故だけの数なので、車だけが壊れたような物損事故、自分でぶつけてしまった自損事故の一部は入っていません。
それらも含めれば事故件数はより多くなります。交通事故は意外なほどに身近で、誰にいつ起こるかわからないものです。
実際に事故が起こってしまったらどうするべきか、交通事故を専門で取り扱う弁護士が交通事故が起きたらしてはいけないことを解説します。
目次
事故現場では、被害者も加害者も混乱していて適切な行動がとれなくなってしまうものです。
そのような場で、してはいけないこととは何なのでしょうか?
なお、以下の記述は自動車同士の事故の被害者としての対応を想定しています。
このように自分、相手方、または巻き込まれた第三者などが怪我を負っている場合には、交渉より先にすべきことがあります。
まずは自身や相手方、第三者の安全を確保するために、負傷者の救護措置を行うことが第一です。
法律上、運転者や同乗者には負傷者の救護義務が課されています。
自分で病院にいくことが困難そうな場合には、119番で救急車を呼びましょう。
交通事故があったときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(略)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し(略)なければならない。
引用元:道路交通法72条1項前段
この義務(救護義務)や②で述べる危険防止措置義務に違反すると、いわゆるひき逃げとなり、
などの刑事処分が科せられる恐れもあります。
交通事故の現場では興奮のあまり痛みを感じていなかったものの、後から痛み出してくるということはよくあります。
自分または相手方の怪我が無さそう・軽そうでも、まずは念のため病院にいくことを勧めましょう。
人通りのない道や、道路の端で事故を起こしてしまったときはこのような対応も誤りではありません。
ですが国道や高速道路など、車通りの多い場所で事故を起こした車をそのままにしておくのは適切ではありません。
なぜなら、事故を起こした車が障害物となり、新たな事故が起こってしまう可能性があるためです。
車通りの多い道路では、自動車を路肩に寄せたうえでハザードランプ、発煙筒や停止表示板を使うなど、後続車に事故を知らせなければなりません。
発煙筒は車に備えつけられていますが、LEDでない場合有効期限は約4年です。期限を過ぎると効果が薄くなることがあります。
停止表示板は車に備え付けられていませんので、万が一のために購入しておくと良いでしょう。
やむをえず車を動かせない場合は、早めにロードサービスを呼びましょう。
交通事故があったときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(略)は、(略)道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。
引用元:道路交通法72条1項前段
これも救護義務と同様に道路交通法で定められており、違反するといわゆるひき逃げとなります。
よって違反すると二次被害を招くだけでなく、刑事処分を受ける可能性もあります。
交通事故が起こった際に警察に知らせない、または異なる事実を申告してはなりません。
このような対応をすると、後々保険金を受け取れなかったり、最悪懲役や罰金などの刑事処分を受ける危険があります。
運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員)は、(略)警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。
引用元:道路交通法72条1項後段
警察に届け出ることもまた運転手、運転手が怪我などしてやむをえない場合は同乗者の義務です。
その際に申告しなければならない事項は、以下の通りです。
① | 事故が発生した日時 |
---|---|
② | 事故が発生した場所 |
③ | 事故による死傷者の数、負傷の程度 |
④ | 事故により損壊した物、損壊の程度 |
⑤ | 事故により壊れた積載物 |
⑥ | 事故について講じた措置 |
この報告義務に違反すると、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金といった刑事処分が下される場合があります。
また、警察に届け出なければ保険金を請求する際に必要な書類が作成されなくなってしまいます。
必ず110番に連絡するようにしましょう。
また、事故の相手方から「物損事故にしてくれ」と言われるケースもあります。
交通事故による損害が車や建物など、物についてのみ生じた事故
人の生命や身体に損害が生じた場合は、人身事故という。
何故ならば、物損事故では基本的に免許の違反点数がつかず、罰金などの処分もないからです。
そのため加害者側が物損事故にしてほしいと頼んでくることがありますが、被害者としては応じる必要はありません。
応じてしまうと、怪我に関する治療費などの請求が困難になってしまうためです。
必ず、事故の実態に即した報告をするようにしましょう。
事故の相手方の情報確認をしていない、または確認が不十分だと、損害賠償請求ができなくなるかもしれません。
請求の相手方をきちんと特定するため、事故現場で相手方の情報を確認すべきです。
具体的には、以下の情報確認が必要です。
① | 相手方の氏名・住所・連絡先 |
---|---|
② | 相手方の勤務先・連絡先 |
③ | 自動車の所有者 |
④ | 加害者の保険加入状況・契約番号 |
⑤ | 相手方自動車の登録番号・車体番号 |
これらの情報を、相手方の免許証や車検証で確認するようにしましょう。
事故が人目につきやすい場所で起こったときは、目撃者がいることがあります。
ですがあくまで相手は通りすがりであり、その場で帰らせると事故に関する証拠を失うことになります。
事故の目撃者がいた場合、住所・氏名・連絡先を記録しておきましょう。
また、人は誰でも時間が過ぎれば記憶を薄れさせてしまうものです。
事故現場での証言は記憶が鮮明ですから証拠としての価値も高いです。目撃内容についても記録しましょう。
できれば、話を録音しておくことが出来ればなお良いでしょう。
一方で、目撃者以外の証拠を集めておくことも重要です。
事故現場の様子や自動車の損傷部位、怪我の状況などをカメラで撮影しておくことも有効です。
このように保険会社への報告を怠ると、保険金の一部が支払われないこともあります。
事故が起こった場合、加入している保険会社に連絡しなければなりません。
ほとんどの自動車保険で共通の「普通保険約款」には以下のような義務が記されています。
19条
(略)事故が発生したことを知った場合は、次の事故発生時の義務を履行しなければなりません。
(略)正当な理由がなくその義務を怠った場合は、当会社は、それぞれ下表に定める控除額を差し引いて保険金を支払います② 事故発生の日時、場所および事故の概要を直ちに当会社に通知すること。
引用元:損保ジャパン日本興亜「THEクルマの保険」普通保険約款19条本文・2項
普通保険約款にはこのように、保険会社への通知義務が記載されています。
この約款では、義務を怠ることで「当会社が被った損害の額」が保険金から控除されるとしています。
つまり、本来支払われるべき保険金が支払われない場合があるのです。
基本的には「直ちに」の言葉通り、連絡できる状況になったらすぐに連絡するべきでしょう。
加入している保険会社の24時間フリーダイヤルにかけて事故発生日時・場所・事故の概要を伝えましょう。
③ 次の事項を遅滞なく、書面等で当会社に通知すること。
ア.事故の状況、被害者の住所および氏名または名称
イ.事故発生の日時、場所または事故の状況について証人となる者がある場合は、その者の住所および氏名または名称
ウ.損害賠償の請求を受けた場合は、その内容
引用元:損保ジャパン日本興亜「THEクルマの保険」普通保険約款19条本文・3項
また、事故後遅滞なく、なおかつ書面で以下のことを通知する義務も課せられています。
① | 事故の状況 |
---|---|
② | 被害者*の住所・氏名 |
③ | 事故の証人となる者の住所・氏名 |
④ | 損害賠償の請求を受けた時はその内容 |
*責任の割合に関係なく、損害を負った者のこと
また、交通事故を起こすと大多数は保険契約の等級が下がるのは事実です。
ですが人身傷害保険・個人賠償特約などに加入している場合、等級ダウンを避けられることもあります。
このように、事故現場で相手と直接示談してしまうと、適正な損害賠償がなされない可能性があります。
事故現場では金額や責任のことについては話さず、保険を通じて対処する旨を伝えるに留めましょう。
当事者間の話し合いによって紛争を終局的に解決する裁判外の合意
当事者間で示談をしてしまうと、「もうこの件については争わない」ということを合意したことになってしまいます。
ですが、事故現場ではお互いの被った損害がいくらなのか、責任がどちらにどのくらい帰属するのかは定かではありません。
そんな状況で示談してしまうと、適正な額でない損害賠償を要求されたり、後から明らかになった損害に対処できなくなります。
事故現場での対応が終わっても、注意しなければいけないことは多くあります。
多くの場合はご自身の保険会社から説明を受けると思いますが、ここでもう一度確認しておきましょう。
交通事故後は相手方が気になって、ひとまず謝りたい、という気持ちになることもあるかもしれません。
交通事故の形態によっては、自身の加入する保険会社が示談交渉を行えない場合もあります。
ですがそうでない場合に、このように自身の保険会社などに無断で相手方と接すると無用なトラブルを招きかねません。
お見舞いや謝罪などは、相手方と交渉を行っている保険会社に連絡したうえで行いましょう。
謝罪やお見舞いなどは、示談交渉とは無関係に行う社会的慣習であり、相手方の態度を軟化させることにも繋がります。
ですが場合によっては、事故相手との接触を望んでいなかったり、お見舞いの場で口論となってしまうこともあります。
そして事故内容についての交渉は、あくまで保険会社に任せましょう。
「保険会社と言っていることが違う」と受け取られると、交渉が難航してしまうことがあります。
なお、後ろから追突された事故などでは、保険会社が示談を代行できないことがあります。
そのような場合は弁護士などに依頼し、示談交渉を任せておくと相手方とのトラブルが避けられます。
このときは、お見舞いや謝罪は弁護士に相談したうえでするようにしましょう。
通院期間を大幅に空けたり、極端に通院頻度が低かったりすると損害賠償(慰謝料)を十分に支払ってもらえない恐れがあります。
より十分な金額を受け取るためには、軽傷であれば3日に1度、入通院期間が長ければ週2日程度の頻度で通院を行いましょう。
交通事故で相手方から支払われる慰謝料にはいくつかの種類があります。
そのうち入通院慰謝料は通院日数、期間、頻度などによって金額が決定するため、通院期間が大幅に空くと金額計算のうえで不利になります。
また、通院を途中でやめてしまうと、傷の経過観察ができず、交通事故とその怪我に本当に因果関係があったのかわからなくなってしまいます。
また、そのほかに支払われる慰謝料に、後遺障害が残った場合に受け取れる後遺障害慰謝料があります。
これを受け取るためには約半年の通院期間を経たうえで、後遺障害等級に認定してもらう必要があります。
通院日数が十分でないと、認定のための診断書に十分な記載が出来ない恐れがあるのです。
治療内容が非常に高度で保険の範囲外である場合や、個室に入院する相当な理由がある場合は問題ありません。
ですがそうでない場合、治療費が十分に支払われない場合があります。
交通事故の場合、怪我の治療費は相手方保険会社から支払われるのが一般的です。
しかしながら、支払われるのは治療に必要かつ相当な額のみです。
そのため必要のない個室代や、公共交通機関が使えるのに病院にタクシーで行った場合の交通費などは、支払いが認められないことがあります。
また、相手方保険会社の支払い限度額や、過失割合などの事情により、治療費が全額支払われない場合があります。
たとえば相手方が自賠責保険にしか入っていない場合は、傷害事故では120万円が支払い限度額となり、120万円を超えたぶんは相手の保険からは支払ってもらえません。
そのような時に備えて、健康保険を利用して通院し、治療費の負担を減らしておくことが重要です。
一方で、病院によっては「交通事故では健康保険は利用できない」と言われることもあります。
実際は利用できるのですが、様々な事情で健康保険を利用させることにあまり積極的でない病院があるのも事実です。
その際の対処法などは、以下の記事を参照してください。
「してはいけないこと」を述べてきましたが、交通事故後は、誰しもパニックになって適切な対応をとるのは難しいものです。
その場で最善の方法がとれなくても、ご自身が契約している保険会社や警察の力で納得のいく解決を目指せます。
しかしながら、いつでも保険会社や警察に一任できるとは限りません。
例えば保険会社は、「相手方が100%悪い」追突事故などの場合、示談交渉が出来ないのです。
そのような時や、交渉の対応に不満がある時などはぜひ弁護士にお任せください。
事故後の対応、相手方との交渉、示談にむけての手続きなどをお引き受けいたします。
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(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。
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