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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
交通事故で最も多い追突事故によりむちうちとなった方などは、整形外科と整骨院のどっちに通院すべきかお悩みかもしれません。
上記のような被害者の疑問・お悩みに、交通事故に注力する弁護士が回答していきます。
目次
整形外科と整骨院(接骨院)の違いについて、公益社団法人 日本整形外科学会のHPでは、以下のように記載されています。
整形外科では医師(整形外科医)が骨・関節・筋腱(運動器)・手足の神経(末梢神経)・脊椎脊髄の治療を行います。
診察(略)や(略)検査をもとに診断し、症状や病態にあわせて(略)治療します。
整骨院(接骨院)では柔道整復師が(略)施術を行います。
柔道整復師は医師ではなく、(略)医業類似行為の資格です。
(以下略)引用元:https://www.joa.or.jp/public/about/bonesetter.html
診断及び治療という医療行為は、医師法により医師のみが行えるものとされています。
医師でなければ、医業をなしてはならない。
引用元:医師法第17条
上記条文の「医業」とは医行為(医療行為)を反復継続して行う行為をいいます。
また、医療行為である診断及び治療を総称して診療と呼びます。
そして、診断が前提となる診断書も当然医師のいる整形外科でしか作成できません。
柔道整復師のいる整骨院で作成されるのは「施術証明書」という書面になります。
表にまとめると以下のとおりです。
整形外科 | 整骨院 | |
---|---|---|
診療 (診断・治療) |
〇 | × |
診断書の作成 | 〇 | × |
上記の違いにより、具体的には整形外科と整骨院(接骨院)とでは
などの点で以下のような違いがあります。
整形外科 (医師) |
整骨院 (柔道整復師) |
|
---|---|---|
脱臼・骨折対応 | 〇 | △※ |
打撲・捻挫対応 | 〇 | 〇 |
投薬 | 〇 | × |
手術 | 〇 | × |
画像検査 | 〇 | × |
※応急手当又は医師の同意ある場合のみ可能
整形外科では、レントゲンやMRIなどの画像検査により
などの深刻なケガを発見することができ、症状に応じて
など個々の患者の症状や病態にあわせて様々な治療を行うことが可能です。
対して、整骨院では行える施術や対象となるケガの範囲などに限定があります。
損害保険料率算出機構の統計によると、2017年度の平均治療費は
と整骨院の方がやや高額となっています。
これは、通院期間や頻度が長期かつ多数となっていることが理由の一つと考えられます。
病院 (整形外科など) |
整骨院 | |
---|---|---|
治療費 | 240,777円 | 276,163円 |
通院期間 | 68.4日 | 105.2日 |
通院頻度 | 19.4日 | 48.4日 |
上記の表はあくまで自賠責保険に請求のあったものの集計である点には注意が必要です。
また、整形外科(病院)と整骨院とでは治療費の算定方法にも違いがあります。
整形外科では、医療行為ごとにそれぞれ
「診療報酬点数」
というものが定められており、その点数を基礎に治療費が算定されます。
平成30年の診療報酬点数は以下から確認できます。
一方、整骨院の治療費(施術費)は原則として各整骨院が自由に決めることができます。
ただし、自賠責保険に請求できる上限額には一定の目安が存在します。
具体的な目安となる金額は以下から確認できます。
交通事故の場合、被害者が治療に要した費用は、原則として加害者側が負担します。
加害者側が任意保険に加入している場合、通常は治療(通院)先の整形外科や整骨院を
事前に加害者側の任意保険会社に連絡
しておけば、治療先が任意保険会社に直接治療費を請求(一括対応)してくれます。
ただし、
などは、治療費を立て替え、過失割合分の治療費は被害者の負担となる場合があります。
治療費の立替金額や最終的な負担金額を抑えるためには健康保険の利用が有効です。
詳しくは「交通事故でも健康保険は使える!使えない理由や切り替えの方法は?」をご覧ください。
交通事故治療においては、以下の理由からまずは整形外科に通院すべきといえます。
交通事故では後から痛みが出てくることもあります。
特に、むちうちの場合には、事故直後には痛みを感じないことも多いようです。
しかし、事故発生から時間が経ち、後から痛みが出てきてからの通院ですと、慰謝料や治療費が支払われないリスクがあります。
その痛みが交通事故によるケガによるものなのか(「因果関係」といいます。)の証明が時間が経つほど困難になるからです。
交通事故とケガの症状との因果関係を証明するには、事故直後に診断書を医師に作成しておいてもらうことが非常に重要になります。
交通事故直後にまず整形外科に通院するのは、症状の悪化や後遺症が残るのを防ぐためにも重要なことです。
事故直後の痛みや症状がそれほどひどくなくても
などをしている場合があり、その発見(診断)が遅れると、適切な治療が行えず症状の悪化や後遺症が残る可能性が高くなります。
それを防ぐために早期にケガを発見(診断)するには、整形外科によるレントゲンなどの画像検査が有効だからです。
なお、交通事故直後に通院する病院は、可能であれば
ⅰレントゲンだけでなく、MRIやCTの検査も可能な病院
ⅱ整形外科だけでなく、脳神経外科など他の診療科もある総合病院
が望ましいと考えられます。
なぜなら
ⅰ神経・靭帯・脳などの損傷は、レントゲンには写らないため、むちうち、靭帯損傷、脳出血を確認するにはMRIやCT検査が必要
ⅱ検査の結果によっては、整形外科以外での治療が適切と診断される場合もあり、その場合に即座に対応できる
からです。
整形外科で治療を行うことが問題ないと診断されれば、その後は通院しやすい近所などの整形外科に転院することも可能です。
紹介状の要否など転院手続きの詳細は「交通事故の転院…病院を変更したい|紹介状なしでもOK?整骨院に転院できる?」をご覧ください。
交通事故直後にまず整形外科に通院するのは、後遺障害認定を申請する場合に備えるためにも重要なことです。
治療をしたものの、痛みなどの症状が残った(症状固定となった)場合、後遺障害認定の申請という手続きを取ることになります。
手続きの流れは以下のとおりです。
後遺障害認定を受けるためには、事故と後遺症との因果関係を証明する必要があります。
この証明にあたっては、事故直後の医師の診断書やレントゲン・MRIなどの画像が有力な証拠となるからです。
交通事故によるケガの症状や痛みを緩和・軽減するためにはリハビリが重要になります。
日本整形外科学会でも、むちうちの場合、2-4週間の安静の後は、頸椎を動かすリハビリを行うことを推奨しています。
骨折や脱臼がなければ、受傷後2-4週間の安静の後は頚椎を動かすことが痛みの長期化の予防となります。
安静期間はできるだけ短い方がよいでしょう。
慢性期には安静や生活制限は行わず、ストレッチを中心とした体操をしっかり行うことが最良の治療となります。
このリハビリも「治療」を行える整形外科で行うのが望ましいといえます。
整形外科と「リハビリテーション科」を併設しているような病院で治療をできればよりよいといえます。
もっとも、電気治療と湿布の処方のみで、むちうちの交通事故患者に対してリハビリをしてくれない整形外科もあるようです。
また、仕事などの事情により、診療時間の短い整形外科でのリハビリは難しいという被害者の方も多いようです。
このように、整形外科でのリハビリができない場合には、代わりに整骨院に通院すべきと考えられます。
ただし、整骨院に通院するためには原則として医師の許可が必要になります。
先ほどお伝えしたとおり、医師のいない整骨院で行われる施術は「治療」とはいえません。
しかし、医師の許可のもとに行われる施術は「医師による治療の一環」として認められる余地があるからです。
さらに、整骨院に通院する場合には、整形外科と整骨院を併用することも重要です。
つまり、整形外科と整骨院の両方に継続して通院すべきということです。
整形外科から整骨院に転院してしまう(整骨院にしか通院しなくなる)と以下のようなリスクがあるからです。
先ほどお伝えしたとおり、加害者側が任意保険に加入している場合、通常は治療費を任意保険会社が直接治療先に支払ってくれます。
しかし、このような治療費の支払い(一括対応)が行われるのは、保険会社が治療が必要であると判断した時期までになります。
治療が必要かどうかの判断は、実際に治療を行う整形外科などの医師の診断が重視されます。
しかし、医師のいない整骨院では治療が必要かどうかの「診断」を受けることができません。
そのため、治療費の打ち切りの時期については保険会社が独自に判断することになるため、早期に打ち切りされやすくなります。
こちらもお伝えしたとおり、医師のいる整形外科でないと診断書は作成できず、整骨院では作成してもらうことができません。
そして、後遺障害診断書は治療の経過を踏まえて作成されるものです。
そのため、整骨院にしか通院しない場合、医師が治療の経過を確認できないため、後遺障害診断書が作成してもらいにくくなります。
以上のことからすれば、軽微なむちうち・打撲以外の場合には整形外科と整骨院を併用して通院しておいた方がいいと考えられます。
お伝えしてきた交通事故では整形外科と整骨院のどっちに通院すべきかのポイントは以下のとおりです。
交通事故における整形外科への通院は、治療のためだけでなく、被害者が受け取れる慰謝料や賠償金との関係でも重要です。
死亡事故以外の交通事故の慰謝料には
がありますが、そのどちらにおいても整形外科への通院がいつまでかが重要になります。
交通事故の入通院慰謝料は、原則として「症状固定」日までの通院の期間を基礎に計算されます。
「症状固定」とは、元々労災保険における概念で、以下のように定義され、交通事故においても準用されています。
傷病の症状が安定し、医学上一般に認められた治療を行っても、その医療効果が期待できなくなった状態(略)を労災保険では「治癒」(症状固定)といいます。
イラストで説明すると、以下のようなイメージです。
症状固定の状態かどうかは整形外科などの医師の診断が重視されるため、整形外科への通院がいつまでかが重要になります。
むちうちの場合ですと、通院の期間に応じて受け取れる入通院慰謝料は以下のように変わります。
通院月数 | 通院慰謝料 |
---|---|
1 | 19 |
2 | 36 |
3 | 53 |
4 | 67 |
5 | 79 |
6 | 89 |
9 | 109 |
12 | 119 |
※慰謝料の単位は万円
上記の表の金額は、弁護士が慰謝料請求の際に用いる入通院慰謝料算定表の抜粋です。
保険会社から提示される慰謝料の金額は、上記の表の金額よりも低いことが多いので注意が必要です。
後遺障害慰謝料は、後遺障害認定を受けた等級に応じて受け取ることができます。
むちうちによる後遺障害等級認定は
がほとんどであり、各等級の後遺障害慰謝料相場は以下の表のとおりです。
認定等級 | 保険会社※ | 弁護士基準 |
---|---|---|
14級9号 | 40万円 | 110万円 |
12級13号 | 100万円 | 290万円 |
※旧統一任意保険基準による金額
そして、むちうちにより後遺障害認定がされるには、最低でも
6か月以上の通院
が必要と考えられています。
交通事故における整形外科への通院は、その期間だけでなくリハビリなどによる頻度も慰謝料に影響します。
むちうちでは、通院の期間が長期にわたる場合、実通院日数の3倍程度を慰謝料計算のための通院期間の目安とすることがあります。
このケースの場合、上記の通院慰謝料の12ヶ月の119万円ではなく、3ヶ月(30日×3=90日)の53万円が入通院慰謝料となることがあります。
なお、医師の許可を得るなど適切な方法で整形外科と整骨院を併用していた場合には
整形外科と整骨院両方の通院日数を併せて入通院慰謝料を計算
することになります。
むちうちにより後遺障害認定がされるには、最低でも
100日程度の通院
が必要と考えられています。
入通院慰謝料とは異なり、後遺障害認定との関係では
整形外科への通院が整骨院への通院よりも重視
されると考えられるため、先ほどお伝えしたとおり、リハビリは整形外科に通院して行うのが望ましいといえます。
もしかすると、通院頻度を高めるため、通院できるときにできるだけ通院しようとして
整骨院と整形外科を同じ日に通院
しようと考える方がいるかもしれませんが、それは避けた方が無難です。
慰謝料との関係では、二カ所を同じ日に通院しても1日分として計算されるからです。
それだけでなく、二カ所同じ日に通院すると、一方の治療費や交通費についても受け取れない可能性があるので注意が必要です。
なお、このことは、整骨院と整形外科の場合だけでなく、セカンドオピニオンを求めるなどのために
二カ所以上の病院に同じ日に通院
した場合も基本的に同様です。
交通事故の被害者は、上記の慰謝料以外にも
を賠償金として請求することができます。
以下の慰謝料計算機では、通院期間・日数、後遺障害等級等を入力すれば、弁護士依頼時のこれらの賠償金相場をすぐ確認できます。
交通事故に遭った場合、整形外科に適切に通院しておかないと
可能性があります。
交通事故に注力するアトム法律事務所の弁護士に相談頂ければ、そのような事態を避けるための通院方法のアドバイスが可能です。
アトム法律事務所には、様々な交通事故についての解決実績があります。
ぜひお気軽にご相談ください。
なお、弁護士費用特約が利用できる場合には、相談だけでなく、弁護士に依頼する場合の費用負担も無くなることが多いです。
ご相談の前に弁護士費用特約が利用できるかどうかを確認しておくと、相談がよりスムーズに進みます。
弁護士費用特約の内容については、アトム法律事務所代表弁護士が解説している以下の動画でわかりやすく解説しています。
(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。弁護士プロフィール
岡野武志弁護士