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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
本記事は、「交通事故の損害賠償」に関して解説しています。
交通事故の損害賠償問題について詳しい弁護士が解説します。
目次
交通事故の発生から損害賠償(示談金)の受け取りまでの流れはイラストのとおりです。
怪我をともなう人身事故の場合は後遺症(後遺障害)の有無で請求できる損害賠償項目の内容が違うので、その点で解決までの流れが異なります。もっとも、大まかには事故発生→治療→示談交渉→示談金受け取りという流れになります。
交通事故における損害賠償問題は多くの場合、事故の相手方が加入する任意保険会社との示談交渉(話し合い)によってすすめられていくことになります。示談交渉で話がまとまらなかった場合にADRや裁判という方法で損害賠償問題の解決が図られることになります。
交通事故における損害賠償の項目と計算方法について解説をはじめる前に、そもそも損害賠償とはいったい何なのか改めて整理しておきたいと思います。
不法行為によって生命・身体・財物などに何らかの損害を受けた場合、損害を与えた者に対して請求することができるのが損害賠償です。損害賠償は被った損害を金銭で補てんすることをいいます。
交通事故は被害者の生命・身体や財産を侵害することで被害者に損害を与えています。交通事故という不法行為で受けた損害に対する補償を求めるのが損害賠償請求ということになります。
交通事故で請求できる損害賠償項目は大きく4つに分類することができます。
これらの分類は、さらに細かい項目から構成されています。それぞれ詳しくみていきます。
積極損害とは、交通事故の被害をうけたことで被った実際の出費による損害です。
治療関係費 治療費 入院費 入院雑費 リハビリ費用 後遺障害診断書の作成費 看護料 通院交通費 装具購入費 家屋改修費 将来介護費 など |
死亡事故の場合、葬儀費用なども積極損害にふくめて考えられることになります。
消極損害は交通事故の被害にあったことで利益(収入)が得られなくなったことによる損害です。
休業損害 逸失利益 |
休業損害は怪我をしてから症状固定日までに休業したことで減った収入の補償として請求することができます。
逸失利益は後遺障害が残って将来的に得られるはずだった収入より減ってしまった分の補てんとして損害を請求することができます。
慰謝料とは、交通事故の被害をうけたことで被った精神的な苦痛に関する損害です。
入通院慰謝料(傷害慰謝料) 後遺障害慰謝料 死亡慰謝料 |
怪我による入通院をしたこと/後遺障害が残ったこと/死亡したことに対する精神的苦痛を金銭に換算して損害賠償が支払われることになります。
物的損害は交通事故の被害にあったことで自動車などの物が壊れるといった損害です。
修理費用 買い替え費用 代車使用料 休車損害 など |
このような項目が損害賠償の物的損害の具体例となります。
各損害賠償はどのように計算して金額がはじき出されることになるのかみていきましょう。
計算方法 | |
---|---|
積極損害 | 実費による計算が基本 |
消極損害 | 休業損害 |
[算定基礎日額] × [実休業日数] *詳しくは「休業損害」へ |
|
逸失利益 | |
[基礎収入] × [労働能力喪失率] × [労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数] *詳しくは「逸失利益」へ |
|
慰謝料 | 入通院慰謝料 |
入通院期間に応じて基準から算定 *詳しくは「入通院慰謝料」へ |
|
後遺障害慰謝料 | |
後遺障害等級に応じて基準から算定 *詳しくは「後遺障害慰謝料」へ |
|
物的損害 | 実費による計算が基本 |
実際には被害者の方の職業や年齢などで計算方法が変わってくることになりますが、大まかにはこのような計算方法で損害賠償が求められているということをおさえていおきましょう。
損害賠償の計算方法についてさらに詳しくはこちら
簡単に各損害賠償の計算方法を確認してきましたが、慣れない計算式で一つずつ計算していくのは骨の折れる作業だと思います。そんな時にお使いいただきたい、損害賠償の自動計算機を紹介します。
事故当時の年齢・収入、治療期間や後遺障害の有無を入力いただくと、自動で損害賠償の金額を計算してくれます。金額の相場観をつかむのにもってこいのツールです。ぜひお試しください。
交通事故で損害賠償請求する前におさえておきたい確認事項をいくつか解説しておきます。
交通事故という不法行為に対する損害賠償請求権には時効があります。
通常は加害者を知った時から3年
または
加害者がわからない場合などは事故発生時から20年
交通事故のなかでも特にひき逃げなどのケースでは加害者をすぐに特定できないことがあります。このような場合は、3年で時効になることはありません。時効になると損害賠償の請求ができなくなるので注意が必要です。
怪我の状態によっては3年以内に治療が終了しないこともあり、損害賠償請求がむずかしいこともあります。このように時効前に示談成立が実現できないような場合は時効を中断してリセットすることができます。
損害賠償請求の時効に関して詳しくはこちら
自動車やバイクなどは、自賠責保険の加入が義務付けられています。交通事故を起こしてしまった時、被害者の方の損害賠償を最低限度保障する保険です。
自賠責保険は、最低限度の補償であるため、車を運転する多くの方は任意保険に加入していることが多いです。任意保険は、自賠責保険でまかないきれなかった分の損害額に備えた保険です。
損害賠償は、事故の相手方本人からではなく保険会社から支払われることがほとんどになります。どの保険から損害賠償が支払われることになるのかという点をおさえておかないと、本来であれば受け取れるはずだった金額を受け取りそこなってしまう可能性があります。
損害賠償を構成する項目のうち、慰謝料などは一定の基準を用いて算定されることになります。この一定の基準というのは、1つではなく3つあるという点に注意が必要です。
この3つの基準は一律の金額ではありません。一般的に自賠責基準<任意保険基準<弁護士基準の順で算定額に違いがあります。
どの基準を用いて算定するかで、最終的に受け取ることができる金額に大きな影響を与えることになります。
もっとも高額で適正な金額を手にすることができるのは弁護士基準での算定によるものです。
交通事故の損害賠償で争いが起こりやすい点を解説していきます。
交通事故は、事故の当事者双方に責任があることが多いです。お互いの責任(過失)を数値として表したものを過失割合といいます。この過失割合に応じて、損害賠償は減額されることになります。
損害の総合計 ×(1-過失割合)
被害者の方の過失が全くない[10:0]のような場合は損害賠償の総額を満額請求することができますが、少しでも過失があると認められると損害賠償の総額から過失割合に応じて減額されてしまうことになります。
受け取ることができる損害賠償額に影響するので、ご自身の過失割合がどのくらいなのかという点をしっかり注意しておく必要があります。
過失割合について詳しくはこちら
交通事故では怪我を負わない物損のみの事故というケースも多いです。しかし、事故当日は体になんの異変も感じていなかったとしても、事故から数日たって痛みが突然出てくることもあります。人身事故なのに物損事故のまま処理をすすめると、怪我の治療費や慰謝料などの損害賠償を請求することができなくなってしまいます。このような場合は、物損事故から人身事故への切り替えをおこないましょう。
もっとも事故発生からあまりに時間が経過してから警察に届出をしても、交通事故と怪我の因果関係が明らかでなくなるため、積極的に警察が応じてくれなくなる可能性が高くなってしまいます。
事故にあったら怪我の有無に関係なく、病院に行くことと警察への報告を徹底するようにしましょう。
物損事故から人身事故への切り替えについて
交通事故の詳しい知識がない状態で保険会社に言われるがまま示談に応じてしまうと、本来得られるはずだった金額より相当低い金額しか受け取れないという可能性があります。適正額の損害賠償が得られるよう、慰謝料増額のポイントを解説します。
交通事故の怪我で後遺症が残ったら、後遺障害等級が認定されることで後遺障害慰謝料と逸失利益の請求が可能になります。後遺障害等級が認定されなければ、後遺症がいくら残っていたとしても後遺障害に関する損害賠償を請求することができないということを意味します。
また、後遺障害に関する損害賠償は等級に応じた金額の算定がおこなわれることになります。
したがって、
このようなことが重要になります。適正な後遺障害等級が認定される可能性を高めるには、「被害者請求による後遺障害申請をおこなう」ことをおすすめします。
被害者請求による後遺障害等級の申請について
弁護士基準の算定が最も高額であることはすでにお伝えした通りです。では、どのようにすれば弁護士基準による算定が受けられることになるのでしょうか。
弁護士基準による算定は弁護士の介入によって実現する可能性が高まります。
保険会社は、交通事故処理を専門的にあつかう企業です。さまざまなノウハウ・専門用語を駆使して示談交渉をすすめてきます。交通事故の知識なく示談をおこなうと、保険会社側の都合で話をまとめられてしまい、適正な金額を受け取れない可能性が高くなってしまいます。
交通事故の知識が豊富な弁護士が間に入ることで、弁護士基準の算定をおこなってくれるように保険会社と交渉します。
交通事故の損害賠償問題でお困りの際は、交通事故案件に注力する弁護士にご相談ください。
アトム法律事務所は、交通事故の解決実績を多数取りそろえています。
*アトムの解決実績について詳しくは「解決実績」のページへ
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(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。弁護士プロフィール
岡野武志弁護士