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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
後遺障害等級の併合に関するこうした疑問について、解説していきます。
目次
後遺障害等級の併合は、以下のように定義されています。
系列を異にする身体障害が2つ以上ある場合に、重い方の等級によるか、重い方の等級を繰り上げて複数の障害をまとめた等級とすること
交通事故で負う後遺障害は1つとは限りません。
複数の後遺障害を負い、複数の等級が認められることがあります。
そのような場合に、複数の等級をまとめた総合的な等級を決めることを併合といいます。
後遺障害等級認定について詳しくはこちら
後遺障害の系列とは、
したもののことで、35の系列があります。
部位は、
①眼②耳③鼻④口⑤神経系⑥頭部、顔面部、頸部⑦胸腹部臓器⑧体幹⑨上肢⑩下肢
に分けられています。
例として、上肢に分類される系列を見てみましょう。
部位 | 障害 | 系列 |
---|---|---|
上肢 (右又は左) |
欠損又は機能障害 | 右18 |
左21 | ||
変形障害 | 右19 | |
左22 | ||
醜状障害 | 右20 | |
左23 | ||
手指 (右又は左) |
欠損又は機能障害 | 右24 |
左25 |
後遺障害等級の併合は、基本的に以下のようなルールで行われます。
上記のルールをわかりやすく表にすると、以下のようになります。
2番目の等級 | 併合等級 |
---|---|
1~5級 | 重い等級+3級 |
6~8級 | 重い等級+2級 |
9~13級 | 重い等級+1級 |
14級 | 重い等級に従う |
2番目の等級 | 併合等級 |
---|---|
6~8級 | 重い等級+2級 |
9~13級 | 重い等級+1級 |
14級 | 重い等級に従う |
2番目の等級 | 併合等級 |
---|---|
9~13級 | 重い等級+1級 |
14級 | 重い等級に従う |
併合等級 | 14級 |
---|
後遺障害等級は、労災でも認定を受けることができます。
そして、労災で受けた後遺障害等級も、複数ある場合には併合されます。
併合の方法は、上で紹介したものと同じです。
労災の後遺障害等級認定について詳しくはこちら
実際の等級併合の例として、後遺障害併合12級になった例を見てみましょう。
併合で後遺障害等級12級になるパターンとしては、上記表③に該当するものがあります。
右眼の視力障害として、自賠法施行令二条別表の後遺障害等級(以下、「後遺障害等級」という。)一三級一号
右眼の視野狭窄として後遺障害等級一三級二号
併合により後遺障害等級一二級相当と判断され、これに対応する自賠責保険金額二二四万円を受領した。引用元:東京地裁平成8年(ワ)第20305号
これは、上記表③の上段のパターンに該当します。
最も重い等級、次に重い等級がどちらも13級なので、13級を1級繰り上げ併合12級とされています。
原告は,自賠責保険の事前認定において,右股関節痛等について自賠法施行令別表第2の後遺障害等級第12級13号に,左母指痛等について同第14級9号に該当し,併合第12級との認定を受けた。
引用元:札幌地方裁判所平成27年(ワ)第1838号
これは、上記表③の下段のパターンに該当します。
最も重い等級が12級、次に重い等級が14級なので、重い方の等級に従い、併合12級とされています。
後遺障害等級が複数認定されている場合には、原則として併合された等級に則った慰謝料、逸失利益を算出します。
併合9級なら9級と同じように金額を考え、併合13級なら13級と同じように金額を考えるということです。
慰謝料や逸失利益は最終的には示談交渉で決まるものです。
したがって、示談交渉によって金額の違いはあります。
しかし、併合13級と通常の13級で慰謝料や逸失利益の算出方法や金額の基準が異なるということはありません。
後遺障害等級で14級が複数ある場合には、併合しても14級のままです。
この場合、慰謝料や逸失利益の計算・金額基準も14級のままです。
繰り上げのある併合の場合には、併合前の等級と併合後の等級とで基準金額が変わります。
例えば元々は6級と9級でも、繰り上げて併合5級になれば、慰謝料の基準金額は5級のものとなります。
しかし、14級同士の併合では繰り上げがないため、慰謝料や逸失利益の基準金額も変わらないということです。
実際の併合14級の判例を見てみましょう。
併合14級の後遺障害慰謝料は、弁護士基準で110万円です。
(略)原告には別表第二併合第14級に該当する後遺障害が残存しているところ,その後遺障害の内容や程度に照らし,原告の主張する110万円は,その後遺障害慰謝料として相当と認める。
引用元:東京地方裁判所平成29年(ワ)第33150号
ここでは、併合11級の後遺障害慰謝料の例をご紹介します。
併合11級の後遺障害慰謝料の金額は、弁護士基準で420万円です。
併合等級 | ✓左膝関節動揺の後遺障害(12級) ✓左前額部瘢痕形成の後遺障害(12級) →併合11級 |
---|---|
後遺障害慰謝料 | 420万円 原告の後遺障害の程度に鑑みれば,原告が後遺障害を負ったことに対する慰謝料の額は,420万円と認めるのが相当 |
横浜地方裁判所平成27年(ワ)第2810号
続いて、併合9級の後遺障害慰謝料の例もご紹介します。
併合9級の後遺障害慰謝料の金額は、弁護士基準で690万円です。
併合等級 | ✓胸腹部臓器の障害(10級) ✓局部に頑固な神経症状(12級13号) ✓外貌に著しい醜状(12級14号) →併合9級 |
---|---|
後遺障害慰謝料 | 690万円 原告の後遺障害が併合9級に該当する後遺障害を負ったことにより被った精神的苦痛を慰謝するに相当な額は690万円と認められる。 |
横浜地方裁判所平成25年(ワ)第4304号
これらは裁判にて、認定された後遺障害等級通りの慰謝料が認められた例です。
中には、裁判や示談交渉での主張次第では、併合等級に対して低い金額になったり、高い金額になったりすることもあります。
後遺障害等級は、併合して等級が繰り上がることでより多くの慰謝料や逸失利益を得ることもできます。
しかしそのためには、複数の後遺障害等級が認定される必要があります。
また、示談交渉で適切な金額をしっかりと主張し、加害者側と合意する必要もあります。
こうしたときに重要なのは、以下の点です。
後遺障害等級認定は、基本的には書面のみから判断されます。
そのため、どのような資料を提出するのか、何の資料を提出するのかが非常に重要です。
また、後遺障害等級認定は申請すれば必ず認定されるというものではありません。
複数の後遺障害に対し等級を認定してもらうためには、後遺障害等級認定のサポート経験がある弁護士に相談してみましょう。
経験や専門家としての知識から、有効なアドバイスをもらえます。
また、示談交渉では、相手である加害者側任意保険会社が弁護士の主張でないと聞き入れないという姿勢であることもあります。
加害者側任意保険会社は低めに算出した示談金を提示してくることが多いため、より高い金額を主張するには弁護士の協力が必要です。
弁護士に示談交渉について質問したいけれど、
ということもあります。
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(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。
弁護士プロフィール
岡野武志弁護士