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交通事故に遭い、後遺障害が残った場合、後遺障害等級認定を受けます。
等級が認定されるか、何級に認定されるかについては、後遺傷害診断書が非常に重要です。
後遺障害等級認定の鍵を握る後遺障害診断書について、弁護士とともに解説していきます。
目次
後遺障害診断書とは、交通事故で後遺障害が残った場合に、その症状について記載する診断書のことです。
主に後遺障害等級認定の申請時に必要になります。
などを記しています。
後遺障害等級認定では、後遺障害診断書を含む必要資料を損害保険料率算出機構に提出し、審査してもらいます。
審査は基本的に、提出された資料のみを用いて行われるため、この後遺障害診断書は非常に大切なのです。
後遺障害等級認定の申請方法についてはこちら
後遺障害診断書を作成できるのは医師のみです。
そのため、後遺障害診断書が必要な場合には、医師に依頼する必要があります。
依頼してから完成までの期間は大体2週間程度、費用は5千~1万円と言われています。
後遺障害等級認定のために後遺障害診断書を書いてもらう場合は、
加害者側自賠責保険会社所定の形式のものを使う
ことが一般的です。
そのため、会社によって書式が異なることはありますが、基本的な記入項目は以下の通りです。
用語について確認しておきましょう。
障害内容の増悪・緩解の見通しでは、軽減、不変、増悪、緩解など、今後の見通しを記載します。
各部位の症状の欄は、胸腹部臓器・生殖器の傷害、眼球・眼瞼の傷害、聴力と耳介の傷害などに分かれています。
通常の後遺障害等級認定では、加害者側自賠責保険会社所定の後遺障害診断書を使います。
しかし、労災で後遺障害等級認定を受ける際や被害者自身の傷害保険に保険料を請求する際には違います。
それぞれについて確認していきましょう。
通勤中や勤務中に交通事故に遭った場合には、労災で後遺障害等級認定を受けることができます。
その際にも後遺障害診断書は必要ですが、この際は労災指定のものを使います。
両者で大きな違いはありませんが、労災指定のものの方が簡素であるようです。
労災で後遺障害等級認定をしてもらうためには、後遺障害診断書を含む必要資料を労働基準監督署に提出します。
詳しくは、下の「交通事故以外でも後遺障害診断書が必要?」の項目をご覧ください。
交通事故に遭い、後遺障害が残った場合には、加害者側からだけでなく、被害者自身が加入する傷害保険からも保険金が受け取れることがあります。
この際必要になる資料の中には、後遺障害診断書も含まれます。
ここで必要になる後遺障害診断書については、保険会社指定されこともあるので申請時に確認をとるようにしましょう。
そもそも後遺障害等級認定では、以下のことが提出資料から認められるということが重要です。
後遺障害診断書を書く際には、以上のポイントをおさえた書き方が重要です。
他覚所見のない自覚症状を書く際には、ただこんな症状がある、と書くのではなく、その症状による影響も書きましょう。
たとえば、ただ痛みを感じると書くのではなく、
物を持ち上げるときに痛みを感じるため、重いものが持てなくなった
などという書き方です。
そうすることで、実際にどのような影響があるのかを伝えることもできます。
さらに、自覚症状を裏付ける検査を受け、その結果を記載しましょう。
自覚障害を裏付ける検査の例は、下記表をご覧ください。
検査 | 自覚症状 |
---|---|
ジャクソンテスト | しびれ・痛み |
スパーリングテスト | しびれ・痛み |
深部腱反射テスト | 麻痺・運動障害 |
筋萎縮テスト | むちうち |
既存障害がある場合には、交通事故ではなくその既存障害を原因とした障害なのではないかと疑われる可能性があります。
既存障害を記載する場合には、今回の障害とは無関係であることを明記しておきましょう。
後遺障害診断書の中で交通事故と後遺障害の因果関係を示すためには、以下の点に気を付ける必要があります。
この2点を満たしていないと、交通事故とけがとの関連性が疑われてしまうので、注意が必要です。
顔の傷は、後遺障害の中では「外貌醜状」と呼ばれます。
外貌醜状の場合は、後遺障害診断書の中の「醜状障害」欄に、傷が残った場所・大きさ・形態等を記入し、写真を添付します。
しかし醜状障害欄は小さいことが多く、十分に症状を書ききれないことがあります。
そのため、外貌醜状の場合は後遺障害診断書に加え、「交通事故後の傷痕等に関する所見」も提出資料とされています。
「交通事故後の傷痕等に関する所見」にはさらに詳しく外貌醜状について書くことができます。
しかしこの資料は平成28年に新設されたものであり、医師によってはこの書類の存在を把握していない場合があります。
外貌醜状での後遺障害診断書を医師に依頼する際には、合わせて「交通事故後の傷痕等に関する所見」の作成も依頼するようにしましょう。
むちうちは、他覚所見を示すことが難しい後遺障害の1つです。
したがって、ともすれば自覚症状を訴えるだけの後遺障害診断書になってしまう危険性もあります。
そうならないために、自覚症状を客観化するための検査を受ける必要があります。
検査には、以下のものがあります。
こうした検査を受け、その結果を記入することで、むちうちの症状が伝わる後遺障害診断書になります。
他にも追加資料などで、交通事故時の衝撃の程度、態様、被害者の姿勢等を伝えることが重要です。
顔の傷の後遺障害診断書
後遺障害診断書に加え、「交通事故後の傷痕等に関する所見」も作成してもらう
むちうちの後遺障害診断書
自覚症状を客観化する検査を受け、結果を記載する
後遺障害診断書は医師しか書けないし、後遺障害のことは医師が一番よくわかっている。
そう思って、後遺障害診断書の作成を医師に任せきるのは良くありません。
後遺障害等級認定においては、
後遺障害等級認定の条件を満たした診断書を書く
ことが大切だからです。
医師は医療のプロではありますが、後遺障害等級認定や交通事故のプロではありません。
そのため、後遺障害等級認定の基準を知らない、障害の原因となった交通事故について知らないこともあるのです。
後遺障害等級認定に有効な後遺障害診断書の書き方は、医師よりも弁護士の方が詳しいことが多いです。
後遺障害診断書の作成に当たっては、弁護士にも立ち会ってもらい、医師にアドバイスをしてもらうことが有益です。
後遺障害等級認定のために後遺障害診断書を書いてもらおうと思っても、医師に断られることがあります。
その理由として、以下のものが考えられます。
後遺障害診断書を書こうにも、まだ後遺障害が確定していない場合は書くことができません。
加害者側任意保険会社から治療費の打ち切りを告げられてやむなく治療を終えた場合には、まだ症状固定していないことがあります。
加害者側にこれ以上治療費を払ってもらえないなら、治療を終わらせて後遺障害等級認定に移るしかないという気持ちもわかります。
しかし、まだ治療を続けるべき段階なのに後遺障害診断書は書けない、というのももっともな話です。
こうした場合には、医師や弁護士に相談し、加害者側任意保険会社に治療費打ち切りを延期するよう話してもらいましょう。
弁護士や医師の協力を得ることで、治療費の打ち切りを延期してもらえることがあります。
また、打ち切りされてしまっても、後から請求するなど治療費を回収する手段はあります。
加害者側任意保険会社による治療費打ち切りとその対応についてはこちらもご覧ください。
後遺障害診断書では、すでに解説したように交通事故当初からの通院・症状の一貫性を書く必要があります。
また、どのような治療をしてきたかなど、今までの過程も必要です。
通院途中で病院や医師を変えることは可能ですが、その場合には担当医師が治療開始時のことを知らないという問題も出てきます。
このようなリスクを考えて、治療開始後早い段階で病院や医師を変更するかどうか検討し、変更する場合にはできる限り早く変更するようにしましょう。
交通事故による通院中の転院や病院選びのポイントについては、以下をご覧ください。
医師に後遺障害診断書の作成を頼んでも、そもそも後遺障害が残っていないため書けないと言われることがあります。
しかし、医師としては後遺障害だと思わない症状でも、後遺障害等級認定の基準表に照らし合せると後遺障害に当たることがあります。
後遺障害が残っていないと言われたときには、医師に後遺障害等級認定の基準表を見てもらいましょう。
後遺障害等級認定では、医師は後遺障害診断書を書く以外の協力を求められることもあります。
などです。 場合によっては、医師による後遺障害の診断は間違いだったと結論付けられる恐れもあります。
こうしたことから、後遺障害診断書の作成を断る医師もいます。
このような理由で後遺障害診断書の作成を断られたときには、
という対応をとることができます。
医師を説得できず困った場合には、弁護士に相談してください。
健康保険を利用して治療を受けると、医師・病院は健康保険の規定に従うことになり、加害者側自賠責保険会社所定の後遺障害診断書は書けない。
そう言って後遺障害診断書の作成を断られることがあります。
しかし、健康保険を利用しているからと言って、加害者側自賠責保険会社所定の後遺障害診断書を書いてはいけないということはありません。
そのことを説明しても断られるようであれば、弁護士に相談し、弁護士から説得してもらいましょう。
交通事故以外でも、事故によって後遺障害が残る場合があります。
この場合でも、後遺障害に対する賠償金を求めるためには医師に後遺障害診断書を作成してもらう必要があります。
交通事故以外の事故で後遺障害が残るケースとしては、
があります。
勤務中の事故であれば、労災として扱われます。
この際、勤務中や通勤中に交通事故に遭った場合と同様に、労災指定の後遺障害診断書が必要になります。
そしてその他の必要資料も合わせて労働基準監督署に提出し、後遺障害等級を認定してもらいます。
労災による後遺障害等級認定についてはこちら
日常生活の中での事故については、後遺障害を認定してくれる公的機関は存在しません。
その事故の責任者に後遺障害に対する賠償金を請求するために、裁判になることもあります。
その際、後遺障害を証拠づけるものとして後遺障害診断書が必要になります。
この場合、書式は問いません。
では、交通事故とそれ以外での事故で必要になる後遺障害診断書についてまとめてみましょう。
書式 | |
---|---|
交通事故 | 加害者側自賠責保険会社所定のもの |
労災での事故 | 労災所定のもの |
日常生活での事故 | 書式は問わない |
後遺障害診断書は後遺障害に関する診断書だから、弁護士よりも医師の方が詳しいのでは?と思いがちです。
しかし、後遺障害診断書は後遺障害等級認定を受けるための資料であり、後遺障害等級認定については医師より弁護士の方が詳しいことが多いです。
特に交通事故に強い弁護士は、後遺障害等級認定のサポートを行っている場合が多いです。
そのため、今までの経験から、どのような後遺障害診断書を作成すべきかアドバイスすることができます。
患者という立場や医学や法律の専門家ではないという立場のため、被害者から医師に後遺障害診断書のアドバイスはしにくいということもあります。
だからこそ、弁護士に相談してよりよい後遺障害診断書づくりをすることが大切です。
などと思って弁護士への相談をためらうこともあるでしょう。
そんな時はまず、アトム法律事務所での無料相談を受けてみてください。
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野尻大輔
交通事故による後遺障害等級が認定されると、後遺傷害慰謝料や逸失利益の請求が認められます。
その結果、受け取れる賠償金が大幅にアップします。
しかし、後遺障害等級は必ずしも認定されるとは限らず、認定率は傷害事故全体の5%とも言われています。
等級認定を目指して効果的な後遺障害診断書を書かなければ、認定を受けることは難しいのです。