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被害者にも落ち度がある場合の賠償金の考え方について、弁護士が解説します。
目次
交通事故に遭うと、一般的には交通事故の責任は加害者にあると考えられがちです。
しかし、被害者にも落ち度がある場合があるのです。
いずれも、多くの人が経験のある行為でしょう。
つまり、交通事故で被害者にも落ち度があることは、決して少なくないということです。
被害者の落ち度には、信号無視や前方不注意などがある。
不注意によって交通事故が発生した場合、その不注意のことを過失といいます。
交通事故における過失は、以下のように定義されています。
交通事故発生の予測、交通事故の回避が可能だった
にも関わらず、
交通事故発生の予測や交通事故の回避を怠った
ということ。
交通事故を防ぎ、安全を守るためには、
が必要です。
結果予見や結果回避が不可能だったなら、それができなくても仕方ありません。
しかし、結果予見や結果回避ができる可能性があったなら、それをする義務が発生するのです。
その義務を怠り、事故発生の原因を作ってしまったことを、過失といいます。
歩行者だった被害者が道に飛び出して車にひかれた場合を考えてみましょう。
実際の結果 | |
---|---|
結果予見可能性 | 道に飛び出したら事故に遭うだろうと予測できた →結果予見可能性があった |
結果回避可能性 | 道に飛び出すのをやめることはできた →結果回避可能性があった |
結果予見義務 | 道に飛び出したら事故に遭うだろうと考えなかった →結果予見義務を怠った |
結果回避義務 | 道に飛び出すのをやめなかった →結果回避義務を怠った |
ただし、被害者が幼いなど責任能力が認められない場合は、過失は認められないこともある
上記の表から、この場合被害者にも過失があったと認められるのです。
交通事故で示談交渉を行うにあたって、過失割合を決めます。
過失割合とは、
被害者と加害者に交通事故に対する過失がどれほどあるかを割合にしたもの
です。
過失割合が決まると、それが示談金に反映されます。
これを、過失相殺といいます。
具体的にどのように反映されるのかを見てみましょう。
被害者 | 加害者 | |
---|---|---|
過失割合 | 2 | 8 |
損害の総額 | 1000万円 | 100万円 |
請求できる金額 | 1000万円×(1‐0.2)⁼800万円 | 100万円×(1‐0.8)⁼20万円 |
相殺支払する場合の金額 | 800万円‐20万円⁼780万円 | 200万円‐800万円⁼‐780万円 |
結果 | 780万円受領 | 780万円支払 |
交通事故の発生には被害者にも過失があるのに、それが全く考慮されないのは不公平ですよね。
そうした不公平を解決するために、過失相殺が行われるのです。
過失割合は、事故の類型によっておおよその基準が決められています。
東京地裁民事交通訴訟研究会による『別冊判例タイムズ』記載のものがよく使われます。
過失割合を決める際には、
を検討します。
事故がどの類型に該当するのかについて、加害者側との争点になることもあります。
また、事故の類型に応じた過失割合の基準が載っているのは『判例タイムズ』だけではありません。
記載されている冊子によって基準は少しずつ違うこともあります。
また、事故の事情や被害は非常に個別的なので、定められた過失割合がそのまま適用されるとも限りません。
実際の過失割合の例を見てみましょう。
車信号青 | 車信号黄 | 車信号赤 | |
---|---|---|---|
歩行者信号青 | ✖ | ✖ | 歩行者0% 車100% |
歩行者信号青点滅 | ✖ | ✖ | 歩行者10% 車90% |
歩行者信号赤 | 歩行者70% 車30% |
歩行者50% 車50% |
歩行者20% 車80% |
事故の類型とその類型の過失割合を参考に過失割合を導き出します。
なお、事故の類型のほか、修正要素と呼ばれるものも考慮されます。
夜間であるとか、被害者が高齢者や子供であるなど、個別の事情があることもあります。
そうしたときには、修正要素として、過失割合に修正を加えるのです。
参考として、歩行者と車の事故の際に考慮される修正要素の一部をご紹介します。
修正要素 | 過失割合への影響 | 理由 |
---|---|---|
被害者が幼児・児童・老人 | 車側に対して5~20%の加算 | 歩行者側の責任能力が低い |
集団で横断しているところに車が突っ込んだ | 集団で歩行していれば車から見えやすいはず | |
酒気帯び運転 | 運転手による過失 |
過失割合は、事故類型とその事故類型に応じて定められた基準の他、修正要素を考慮して導かれる。
過失割合は示談交渉前に話し合われることが多いです。
過失割合は争点となりやすいポイントの一つなので、注意が必要です。
▼交通事故~示談の流れ
加害者側から提示された過失割合に納得できない場合、
を整理して過失割合を再確認し、主張することが大切です。
該当する事故類型や修正要素を主張するためには、事故当時の様子を記した証拠が必要です。
それが、警察の作成する実況見分調書です。
実況見分調書
人の死傷があった「人身事故」として警察に届け出た場合に警察によって作成される書類。
事故発生当時の情報を記している。
過失割合を話し合うのは、通常、事故後けがの治療費などすべての損害額が確定してからです。
その時には事故現場は事故発生直後の状態とは違いますし、被害者や加害者の記憶もあいまいになっています。
だからこそ、事故後すぐに作成された実況見分調書が、過失割合を決めるときに大切になるのです。
過失割合の交渉を被害者自身で行うのは難しいでしょう。
過失割合の基準は事故の類型ごとに定められているとはいえ、事故のタイプは千差万別です。
個別的な修正要素もありますし、そもそもどの事故類型に当てはめるかはっきりしない事故もあります。
過失割合の交渉相手は基本的に加害者側の任意保険会社です。
任意保険会社は少しでも加害者の過失割合を減らそうとしてきます。
また、交渉の知識も経験も豊富です。
被害者自身での交渉で主張を通すことは難しいです。
事故後に加害者側と交渉するのは、過失割合だけではありません。
慰謝料など示談金の交渉も行います。
こちらも、被害者自身での交渉は難しいので、そのことを考えても、弁護士への相談がお勧めです。
弁護士に相談すべきといっても、慣れないことで戸惑いもあるかと思います。
まずは、無料相談を利用してみてください。
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野尻大輔
被害者側の落ち度として考えられるのは、
などです。