作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)

交通事故死亡慰謝料老人

交通事故の死亡慰謝料|老人(高齢者)が被害者ならいくら?慰謝料相場は?

高齢者が交通死亡事故の被害者に

交通事故の死亡慰謝料について、老人(高齢者)が被害者になってしまった場合の慰謝料相場計算方法多数の判例・最高額の事例を紹介します。

  • 高齢者の死亡事故の慰謝料はいくら?
  • 高齢者の死亡事故について慰謝料の相場が知りたい
  • 高齢者の死亡事故、判例が気になる

順番にみていきましょう。


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老人(高齢者)の交通事故、死亡慰謝料はいくら?

まず大切なご家族を亡くされたこと、心からお悔やみ申し上げます。本記事をお読みいただき、ぜひ被害者ご本人のためにも適正な慰謝料の獲得を目指していきましょう。

交通事故の死亡慰謝料は次のような意味をを持ちます。

死亡慰謝料

亡くなった方が、その生命を失ったことで被った精神的損害への慰謝料

例えば、祖父・父・母・孫の4人家族の祖父が亡くなられたとします。その場合、「死亡慰謝料」は主に亡くなられたおじいさん自身に支払われるものなのです。

それでは、老人(高齢者)の死亡慰謝料の相場を見てみましょう。

老人(高齢者)の死亡慰謝料相場

慰謝料金額相場の3基準比較

まず、自動車事故の死亡慰謝料には3つの計算方法があります。どの基準で算出するかで慰謝料の金額は大きく変わります。

慰謝料算出の3基準
  1. ① 自賠責保険の基準
  2. ② 任意保険の基準
  3. ③ 弁護士基準
自賠責保険の基準

自賠責保険とは車の運転者に加入が義務付けられている保険です。交通事故の被害者救済のための最低限の補償を目的としているので、慰謝料の相場も最も低いものです。

まず亡くなられた被害者本人への慰謝料です。

死亡事故:被害者本人への死亡慰謝料
被害者本人 350万円

次に、被害者の近親者への慰謝料です。

死亡事故:近親者の慰謝料
請求権者数 金額
1 550万円
2 650万円
3名以上 750万円
被害者に被扶養者がいる場合 上記+200万円

請求権者:被害者の父母、配偶者、子
父母は義父母も含まれる
配偶者および子には養子や認知した子および胎児を含む

任意保険は自賠責保険とは違い、運転者が任意で加入しているものです。自賠責保険では補償額に限度があるので、任意保険でカバーするイメージです。

任意の自動車保険と自賠責保険の関係

具体的な金額の基準は公開されていませんが、これまでの事例から自賠責保険をやや上回るくらいです。

弁護士基準

最も慰謝料相場が高くなるのは弁護士基準です。弁護士基準の死亡慰謝料の目安を見てみましょう。

交通事故の死亡慰謝料
一家の支柱
2,800万円
母親・配偶者
2,500万円
その他
2,000万円~2,500万円

金額は目安であり増減することもある

家族の中の役割で慰謝料の目安が変わります。「一家の支柱」の死亡慰謝料が最も高いのは、精神的な存在であることはもちろん、経済面の柱を失ったことを重く見ているのです。

死亡慰謝料の相場

弁護士基準 >>>>> 任意保険の基準 >自賠責保険の基準

自賠責保険の基準では350万円、弁護基準だと2,000万円~2,800万円。これだけの差が事実としてあります。弁護士基準で慰謝料を計算することは、適切な慰謝料を受けとるための第一歩です。

さらに、加害者側から受けとる賠償金は慰謝料だけではありません。どのような損害賠償を請求できるのかを見ていきます。

死亡事故の損害賠償は慰謝料だけではない

交通事故の慰謝料

慰謝料は損害賠償の一部です。死亡事故で請求できる損害賠償の内訳をみてみましょう。

交通死亡事故の損害賠償(一例)
死亡に対する損害賠償
死亡慰謝料 生命を失ったことへの精神的損害への慰謝料
死亡逸失利益 死亡により将来に得られなくなった減収分の補償
葬儀関係費 被害者の葬儀のための費用
近親者への慰謝料 被害者をの死亡で近親者が被った精神的損害への慰謝料
死亡に至るまでの損害賠償
入通院慰謝料 死亡に至るまでに入院・通院した精神的損害への慰謝料
治療費 死亡に至るまでに施した治療費用
休業補償 事故が原因で仕事を休んだ分の減収に対する補償

特に加害者側と意見が一致しづらい「死亡逸失利益」に注目しましょう。

死亡逸失利益
逸失利益とは

示談や裁判で加害者側と意見が食い違いやすいものに逸失利益があります。特に高齢者の場合、逸失利益を計算するための「基礎収入」、「就労可能年数」などが争点になりやすいところです。

計算式

基礎収入額 × (1-生活費控除率) × 就労可能年数のライプニッツ係数

それぞれの項目の算出方法は参照元は次のとおりです。

算出方法・参照元紹介
基礎収入
事故前の収入をもとに算出
賃金センサス(国の統計結果)を用いる場合あり
生活費控除率
亡くなられたことで不要になった将来の生活費を控除する割合
一家の支柱
(被扶養者:1名)
40%
一家の支柱
(被扶養者:2名~)
30%
男性 50%
女性 30%
就労可能年数
67歳と実年齢の差分
67歳を超える者は簡易生命表の平均余命の2分の1を就労可能年数とする
67歳までの年数が平均余命の2分の1より短くなる場合は、平均余命の2分の1を就労可能年数とする

関連記事「死亡逸失利益の計算式、後遺障害逸失利益との違いは?」では、基礎収入生活費控除率就労可能年数のライプニッツ係数を用いて逸失利益の計算をシミュレーションしていますので、参考にしてください。

また本記事では、慰謝料計算機を紹介しています。手計算ではなく自動計算なので、死亡慰謝料・死亡逸失利益が簡単に分かります。

次に、被害者の立場ごとに逸失利益の計算で気を付けたいポイントをみておきましょう。

家事労働者

就労をしておらず、家事労働に従事している方も多いです。その場合でも、賃金センサスを用いて逸失利益を算出するように主張することは可能です。ただし、被害者が一家の中で果たしていた役割を明確に主張するなどの工夫が必要です。

無職者

事故当時に無職であっても、「事故にあわなければ将来働いていた」ことが確からしいと認定されれば、賃金センサスを用いた算出が認められます。
しかし、高齢者(老人)は、体力的に就労できる仕事が限られたり、仕事が見つかりにくいという背景があります。「事故がなければ働いでいただろう」と認めてもらうことは簡単ではありません。

高齢者の逸失利益は「どう主張するか」が大事です。
弁護士に依頼をして個別相談することをおすすめします。

【慰謝料計算機】老人(高齢者)の死亡慰謝料を自動で計算

慰謝料計算機を使うと、自動で簡単に「適正な慰謝料などの賠償金」を算出できます。

慰謝料計算機の結果は弁護士基準で計算した数値です。被害者が命を落とす…という最悪の結果であっても、加害者側の保険会社からは、弁護士基準での損害賠償提示は期待できません。残念なことですが、弁護士基準での示談交渉には弁護士が交渉することが必要なのです。

増額交渉(弁護士あり)

弁護士に依頼といっても、誰でもいいわけではありません。どのように交渉・主張するかで結果は変わります。実績・ノウハウを持っている弁護士に依頼するべきです。

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老人(高齢者)の交通事故、死亡慰謝料の判例は?

実際に交通事故の死亡案件について判例を見てみましょう。色々な事情を考慮して金額が設定されることが分かると思います。被害者の年齢が同じ、事故態様が似ている…でも受けとる金額は一律ではないことがよくわかります。

70~80代の老人(高齢者)の死亡慰謝料判例

被害者(女性・75歳)東京地判平26.1.28

  • 慰謝料認定額:本人分2,300万円、夫200万円、子100万円
  • 加害者が自転車を運転する上での基本(前方注視義務および信号順守義務)を怠った、また被害者に落ち度がなかった。

被害者(男性・81歳)横浜地判平28.3.3

  • 慰謝料認定額:本人分2,500万円
  • 子が独立しており一家の支柱とはいいがたいが、同族企業2社の代表取締役として精力的に活動しており、大きな役割を果たしていた。

被害者(男性・81歳)神戸地判平28.5.25

  • 慰謝料認定額:本人分2,200万円、妻300万円、子2人各100万円
  • 加害者の前方不注意と妻が受けた精神的苦痛を重くみた。

被害者(男性・86歳)神戸地判平18.12.15

  • 慰謝料認定額:本人分2,300万円
  • 農業収入にかかる逸失利益の請求については、農作業への従事を一部認めながらも、経営移譲年金を受給していることから農業収入については認めなかった。その分、慰謝料にて考慮した。

この他にも、関連記事「交通事故の死亡慰謝料|高齢者や子どもの相場は?80歳、70歳など年代別判例」では被害者の年齢別の死亡慰謝料の判例を紹介しています。もっと判例が知りたいという方は参考にしてください。

死亡慰謝料の最高額は?なぜ高額?

判例や事例から、交通事故の慰謝料が高額になる傾向として

  • 事故の悪質性
  • 加害者側の態度
  • 逸失利益との兼ね合い・逸失利益そのものが高額

などがあげられるでしょう。

「逸失利益との兼ね合い」には2つの側面があります。

逸失利益のかわりに慰謝料が高くなる

⇒逸失利益の認定が難しい背景を考慮して慰謝料を増額

逸失利益が高くなる

⇒被害者の基礎年収が高い

⇒若くして亡くなっているので就労可能年数が長く逸失利益が高額化する

交通死亡事故の慰謝料を含む損害賠償の最高額は5億843万円です。高額になった背景には、被害者は眼科医で事故前の収入が5,500万円だったことがあげられます。

被害者が老人(高齢者)の場合は、就労可能年数が長いという事例はあまりなさそうです。高額になる要素としては事故の悪質性加害者の態度事故前の収入がポイントになるでしょう。
気になることは些細なことでも構いませんので、弁護士に相談してください。

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死亡慰謝料は税金がかかる?

相続人が死亡事故の損害賠償を請求できる

損害賠償は、被害者ご本人の権利に基づいています。死亡事故ではその権利が相続人に相続されたと考えますので、損害賠償請求権者は相続人です。

相続人は配偶者以外には、相続順位があります。
第一順位:被害者の子 + 配偶者 (子が死亡している場合は孫)
第二順位: + 配偶者(親が死亡している場合は祖父母
第三順位:兄弟姉妹 + 配偶者 (兄弟姉妹が死亡している場合は兄弟姉妹の子

相続割合は下表のとおりです。

相続割合
相続人 相続割合
配偶者と子
配偶者と孫
配偶者:1/2
子(孫):1/2
配偶者と親や祖父母 配偶者:2/3
親:1/3
配偶者と兄弟姉妹
配偶者と兄弟姉妹の子
配偶者:3/4
兄弟姉妹(その子):1/4

相続税などの税金がかかる?

損害賠償の性質を持つ場合は、税金はかかりません。

税金がかからないもの
  • 加害者側の自賠責保険の死亡保険金
  • 加害者側の任意保険の死亡保険金(対人賠償保険の保険金)
  • 被害者側の無保険車傷害保険
無保険車傷害保険

被保険者が交通事故で死亡したり、後遺障害を負ってしまったが、加害者側が任意保険に加入しておらずに損害賠償金を支払えない場合に足りない分を補う保険

税金が発生するもの
  • 人身傷害保険(被害者の過失割合相当分)
  • 自損事故保険
  • 搭乗者傷害保険
  • 傷害保険

被害者側の自動車保険に付随しているオプションであり損害賠償の性質とは異なる、自損事故はそもそも損害賠償請求の相手もいない、などの理由から損害賠償の性質を持たない課税対象の保険といえます。

税金の種類は保険料を誰が支払っていたかで違います。

死亡保険金:保険料の負担者と税金の種類
保険料の負担者 税金の種類
死亡した被害者 相続税
保険金受取人 所得税
第三者 贈与税

税金には納付期限があります。ご不明点はお早めに弁護士におたずねください。

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【24時間・365日受付】交通事故の無料相談はアトム法律事務所へ

LINE・電話OK|<24時間・365日>無料相談の予約窓口

多くの弁護士事務所が<法律の無料相談>を実施しています。無料相談にはたくさんのメリットがあります。弁護士選びには無料相談を活用してください。

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実際にアトム法律事務所に任せてくださった方の声の一部です。

弁護士事務所の決め手は一人ひとり違います。弁護士依頼を検討している方一人ひとりの話を、ぜひじっくり聞かせてください。

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まとめ

慰謝料の金額は、被害者の年齢・職業・事故の状況・過失割合などの様々な背景を考慮して決められます。計算方法が分かっても、慰謝料計算機で目安が分かっても、一番大事なのは交渉力・主張力なのです。より良い結果を迎えるためにも、信頼して任せられる弁護士への依頼をおすすめします。

弁護士プロフィール

岡野武志弁護士

(第二東京弁護士会)

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。


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