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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
後遺障害9級に関するこうした疑問に、弁護士がお答えしていきます。
目次
各後遺障害等級には、様々な症状が該当します。
そのため、一つの等級内でも症状別に分類され、「号」がつけられています。
それでは、後遺障害9級に該当する症状を一部見てみましょう。
号 | 症状 |
---|---|
1 | 両眼の視力が0.6以下になったもの |
2 | 1眼の視力が0.06以下になったもの |
3 | 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの |
4 | 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの |
略 |
号がいくつあるかは等級によって異なり、9級の場合は17号まであります。
略した内容について簡単に解説すると、
となっています。
後遺障害等級が認められると、後遺障害慰謝料が受け取れます。
この後遺障害慰謝料の金額は等級ごとに基準が設定されています。
同じ等級内でも「号」によって基準が違うということはありません。
ではここで、後遺障害9級の後遺障害慰謝料を確認してみましょう。
後遺障害慰謝料 | |
---|---|
弁護士基準 | 690万円 |
任意保険基準 | 300万円 |
自賠責基準 | 245万円 |
交通事故の慰謝料計算には3つの基準があります。
それが上記表にもある弁護士基準、任意保険基準、自賠責基準です。
被害者が弁護士を立てて示談交渉をする際に、加害者側に提示する金額。
示談交渉の相手である加害者側任意保険会社が、被害者側に提示する金額。
被害者に対し最低限の補償を行う、加害者側自賠責保険が支払う金額。
3つの基準はどれも、同じ等級内でも号によって金額が異なるということはありません。
ただし、最終的に被害者が受け取れる金額は示談交渉によって決められます。
そのため、実際にいくら受け取れるのかは示談交渉次第ということになります。
後遺障害等級が認定されると、逸失利益も受け取れるようになります。
逸失利益とは、後遺障害による労働能力の喪失で減った収入に対する補償です。
逸失利益は、以下の計算より算出されます。
収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数
※ライプニッツ係数は、労働能力を喪失した状態で働く年数(労働能力喪失期間)から算出
労働能力喪失率は、等級によって基準が決められています。
この基準も、号によって変わるということはありません。
また、労働能力喪失率については、弁護士基準・任意保険基準・自賠責基準共通で、9級の場合は35%です。
ただし、示談交渉の際には実際の労働能力喪失率により即しているのは何%なのかということが争点になりがちです。
ではここで、後遺障害9級に認定された被害者の逸失利益の例を見てみましょう。
後遺障害の内容 |
---|
・化粧でも隠せない顔の傷跡 →後遺障害9級16号 |
逸失利益の計算 |
221万5520円×35%×16.1929=1255万6492円 ・労働能力喪失率:35% ・収入:221万5520円 ・ライプニッツ係数:16.1929 (労働能力喪失期間は34年) |
名古屋地方裁判所平成25年(ワ)第2587号
この裁判では、被告側は原告の労働能力喪失率は14%を超えないと主張していました。
しかし、事故後、顔の傷が実際に原告の仕事に及ぼした影響を考えると、労働能力は35%であると判断されました。
この判例ではこうした理由から、基準通りの労働能力喪失率が認められました。
しかし、基準以下の喪失率とされてしまうケースもあるため、示談交渉は非常に重要なのです。
交通事故に遭うと、加害者側の任意保険会社や自賠責保険会社のような自動車保険から賠償金を受け取るのが一般的です。
しかし、自動車保険とは別に県民共済に加入していれば、そちらから補償を受けることも可能です。
全国生活協同組合連合会が都道府県ごとに展開する共済。
全国生活協同組合連合会から委託を受けた都道府県の生協組織が運営している。
39都道府県で運営されており、掛け金が手ごろ。
県民共済にも後遺障害等級があります。
しかしこれは、自賠責損害調査事務所によるものとは少し異なります。
自賠責の場合は14級までありますが、県民共済の場合は13級までしかないのです。
県民共済の場合は、自賠責の後遺障害等級でいう1級と2級がまとめて1級とされています。
そして自賠責の後遺障害等級でいう3級以下が、県民共済では1級ずつ繰り上げられています。
つまり、県民共済で後遺障害9級だった場合、自賠責の後遺障害等級は10級に当たるということです。
自賠責 | 県民共済 |
---|---|
9級 | 8級 |
10級 | 9級 |
県民共済の後遺障害慰謝料は、以下のように算出されます。
後遺障害共済金×支払い割合
後遺障害共済金は、月々の掛け金と等級によって変わります。
県民共済で後遺障害9級になった場合(自賠責の10級相当)、月々の掛け金に応じた後遺障害共済金は以下のようになります。
月掛金 | 後遺障害共済金 |
---|---|
1000円 | 330万円 |
2000円 | 660万円 |
3000円 | 990万円 |
4000円 | 1320万円 |
後遺障害共済にかける支払い割合も、等級に応じて変わります。
9級の場合は20%です。
つまり、月掛け金が1000円の場合、後遺障害共済金は330万円なので、後遺障害9級になった場合には、
330万円×20%=66万円
が受け取れるということです。
ただし、加入している県民共済の都道府県や年齢によって金額が異なる場合もあります。
ご利用の際には、加入している県民労災に確認することがお勧めです。
労災の後遺障害9級は、自賠責損害調査事務所の認定する後遺障害9級と同じです。
自賠責損害調査事務所は、労災の後遺障害等級表に準じて認定を行っているからです。
ただし等級の認定は、自賠責損害調査事務所の方が厳しいといわれています。
労災での後遺障害等級認定の手続きについてはこちら
労災の補償項目の中に慰謝料はありません。
慰謝料を受け取るためには、労災ではなく加害者側保険会社に対して請求する必要があります。
労災と自動車保険の併用については以下の記事もご覧ください。
労災の補償項目には後遺障害逸失利益はありません。
ただし、障害補償給付という給付金が、後遺障害逸失利益に相当すると考えられています。
障害補償給付金は、後遺障害9級の場合には以下のような金額になります。
給付基礎日額×391日
※給付基礎日額=事故前3ヵ月の収入÷その間の暦日数
また、労災福祉の観点から、障害特別支給金・障害特別一時金も受け取ることができます。
9級の場合、その金額は以下のようになります。
50万円
算定基礎日額×391日
※算定基礎日額=事故前1年間の特別賞与÷365日
労災の補償項目とその計算方法については、以下の記事もご覧ください。
後遺障害等級9級について解説してきましたが、ポイントをまとめると以下のようになります。
この中でも特に注意すべきなのが、
「自賠責損害調査事務所で等級認定された場合、最終的に受け取れる慰謝料や逸失利益の金額は示談交渉次第」
という点です。
示談交渉の際には、加害者側任意保険会社が相手になることが多いです。
任意保険会社は示談交渉のプロであり、知識も経験も被害者より豊富です。
それに加え、被害者側の主張は、弁護士によるものでないと聞き入れないという姿勢のことも多いです。
つまり、被害者自身が交渉にあたっても、加害者側の提示する金額に近い金額で合意となってしまう可能性が高いということです。
そうしたことを防ぐためにも、弁護士に相談し、示談交渉を代行してもらうことが重要です。
弁護士に示談交渉について質問したいけれど、
ということもあります。
そのような場合には、アトム法律事務所の無料相談をご利用ください。
スマホさえあればその場で今すぐ相談が可能です。
無料相談の結果ご契約となれば、加入している保険の内容をご確認ください。
弁護士費用特約が使える場合、保険会社に弁護士費用を負担してもらえます。
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(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。
弁護士プロフィール
岡野武志弁護士