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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
子供が交通事故に遭った場合の慰謝料に関して、詳しく解説していきます。
目次
交通事故で被害者が亡くなると、死亡慰謝料を請求できます。これは、亡くなった本人やその遺族の精神的苦痛に対して支払われるものです。
子供の場合は、以下のようになります。
死亡慰謝料 | |
---|---|
本人に対して | 350万円 |
請求者に対して | ✓1名:550万円 ✓2名:650万円 ✓3名以上:750万円 |
自賠責基準とは、加害者側の自賠責保険会社が被害者に対して支払う金額のことです。自賠責保険は被害者への最低限の補償を目的としているため、金額も低く設定されています。
自賠責保険会社からの支払額は基本的に示談交渉に左右されません。つまり、加害者が自賠責保険に加入していれば確実に受け取れる金額と考えることができます。
※注意※
ただし、過失割合が適用される場合には過失割合の影響は受けます。
詳しくは、次章をご覧ください。
死亡慰謝料 | |
---|---|
子供・高齢者等 | 2000~2500万円 |
弁護士基準とは、被害者が弁護士を立てて示談交渉する際に、加害者側に対して提示する金額のことです。これは過去の判例をもとに金額の基準が決められています。
死亡慰謝料 | |
---|---|
18歳未満で未就労 | 1200~1600万円 |
任意保険基準は、示談交渉で加害者側任意保険会社が被害者側に提示する金額です。示談交渉は加害者側任意保険会社が相手になることが多いです。
なお、任意保険基準は現在は各社で異なり非公開です。そのためここでは、以前各社共通で使われていた旧任意保険基準のものを参考にしています。
死亡事故についてさらに詳しくはこちら
子供が交通事故で骨折した場合の慰謝料には、
があります。 後遺障害慰謝料については、下で詳しく解説しますのでそちらをご覧ください。
入通院慰謝料は、交通事故による入通院で受けた精神的苦痛に対する補償です。入通院慰謝料は、子供と大人で金額が違うということはありません。
骨折した場合の入通院慰謝料の金額は、以下のように算出します。
入通院慰謝料の金額は、自賠責基準では
4200円×入通院期間
で求められます。
自賠責基準では、入通院期間は以下のように決められます。
以下2つのうち少ない方
弁護士基準の場合は、入通院慰謝料算定表を参照して入通院慰謝料を算出します。
弁護士基準で入通院慰謝料を算出する場合にも、通院期間や入院日数を用います。この場合の入通院期間は、入院日数+通院期間です。
ただし、弁護士基準では通院期間が長引くと通院期間の数え方が変わることもあります。通院期間の数え方が変わると、入通院慰謝料の金額にも影響が出るので、通院する際にはその期間に注意する必要があります。
入通院期間の数え方については以下の記事もご覧ください。
任意保険基準でも、入通院慰謝料の算出には入通院慰謝料算出表を用います。
ただしその金額は、弁護士基準のものとは異なります。これも、現在では各社で異なり非公開であるため、旧任意保険基準のものをご紹介します。
任意保険基準の場合も、入通院期間は入院日数+通院期間です。ただし、通院頻度が一定以下になると、入通院慰謝料が減額されてしまいます。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
むちうちの場合に受け取れる慰謝料は、骨折の場合と同じで
基本的に、入通院慰謝料の算出方法は骨折の場合と同じです。
ただし、弁護士基準の場合、骨折の場合で紹介した入通院慰謝料算定表とは異なる表を使うため、注意が必要です。
むちうちの場合に使う、弁護士基準の入通院慰謝料算定表は以下のようになっています。
この表は、むちうちの他にも、レントゲンやMRI画像に症状の証拠が写らない傷害の場合に用いられます。
交通事故で後遺障害が残った場合、後遺障害等級認定を申請することができます。そこで等級が認定されると、その等級に応じた後遺障害慰謝料を受け取ることができます。
自賠責基準と任意保険基準の後遺障害慰謝料を一部見てみましょう。任意保険基準については、旧任意保険基準を参考にしています。
自賠責保険会社基準 | 旧任意保険会社基準 | |
---|---|---|
1級 | 1100万円 | 1300万円 |
2級 | 958万円 | 1120万円 |
3級 | 829万円 | 950万円 |
4級 | 712万円 | 800万円 |
5級 | 599万円 | 700万円 |
6級 | 498万円 | 600万円 |
7級 | 409万円 | 500万円 |
8級 | 324万円 | 400万円 |
9級 | 245万円 | 300万円 |
10級 | 187万円 | 200万円 |
11級 | 135万円 | 150万円 |
12級 | 93万円 | 100万円 |
13級 | 57万円 | 60万円 |
14級 | 32万円 | 40万円 |
弁護士基準の後遺障害慰謝料は以下のようになっています。
上で解説した骨折・むちうちの場合も、後遺障害等級が認められる可能性があります。
骨折・むちうちそれぞれについて、傷害の内容と該当する等級を確認しましょう。
交通事故で骨折した場合、足の長さが短くなったり可動域が狭くなったりという後遺障害が残ることがあります。
そうした、骨折を原因とした後遺障害が該当する等級は以下の通りです。 上でご紹介した後遺障害慰謝料の表と照らし合わせてご覧ください。
短縮障害
下肢の骨盤下部から足首までの長さが短縮した障害
8級、10級、13級
機能障害
上肢や下肢の関節の用廃、可動域の制限発生といった障害
1級、5級、6級、8級、10級、12級
変形障害
骨折部分の骨が癒着不全を残したことによる障害
7級、8級、12級
神経障害
骨折した部分に痛みや痺れなどが残る障害
12級、14級
交通事故によるけがで痺れや痛みなどが後遺障害として残ると、むちうちとして後遺障害等級に認定される可能性があります。むちうちで認定される後遺障害等級は以下の通りです。
こちらも、上でご紹介した後遺障害車両の表と照らし合わせてご覧ください。
局部に頑固な神経症状を残すもの
12級
局部に神経症状を残すもの
14級
交通事故の慰謝料や示談金には、過失割合が反映されることがあります。
交通事故が起きた原因が、被害者と加害者それぞれにどれくらいあるかを割合で示したもの。
過失割合を慰謝料等の賠償金に反映させることを、過失相殺という。
過失割合は、
①当該事故が当てはまる事故類型の過失割合を確認する
②当該事故の個別的な事情を反映させるため、修正要素を確認する
③当てはまる事故類型の過失割合と修正要素を考慮して過失割合が決められる
という流れで決まります。
事故類型とその過失割合は、被害者が大人でも子供でも同じです。ただし、修正要素は子供であることが反映される場合があります。
事故類型によっては、児童・幼児の場合は修正要素として過失割合が5~20引かれることがあるのです。
実際の事故類型を見ながら確認してみましょう。
この事故類型の基本過失割合は自動車:歩行者=50:50ですが、歩行者が児童・幼児の場合は以下のようになります。
自動車 | 歩行者 | |
---|---|---|
修正要素なし | 50 | 50 |
歩行者が幼児 | 70 | 30 |
歩行者が児童 | 60 | 40 |
『別冊判例タイムズ38』(4)
この場合、幼児であることは₋20の、児童であることは₋10の修正要素となるということです。
ただし、幼児や児童であることが修正要素にならない事故類型もあります。また、この他にも修正要素はあるため、最終的にはそれらの修正要素も組み合わせて過失割合が決まります。
交通事故では、飛び出しも修正要素になることがあります。飛び出しは、「直前直後横断」という修正要素に当たます。
「直前直後横断」の修正要素が認められると、基本的には過失割合が+10になります。
上で例として出した事故類型で、歩行者が幼児・児童で飛び出しをしたという例を考えてみましょう。
自動車 | 歩行者 | |
---|---|---|
基本過失割合 | 50 | 50 |
歩行者が幼児 | ー | ₋20 |
歩行者が飛び出し | ー | +5 |
結果 | 65 | 35 |
『別冊判例タイムズ38』(4)
自動車 | 歩行者 | |
---|---|---|
基本過失割合 | 50 | 50 |
歩行者が児童 | ー | ₋10 |
歩行者が飛び出し | ー | +5 |
結果 | 55 | 45 |
『別冊判例タイムズ38』(4)
交通事故の被害車両に子供が乗っていた場合、同乗者である子供も慰謝料等の賠償金を請求することができます。その際の金額の考え方は、ここまでで解説してきたものと同じです。
ただし、同乗者の場合は慰謝料等の請求相手が、被害車両の運転手の場合とは異なることがあります。
被害車両運転手の過失 | 被害車両同乗者の賠償請求相手 |
---|---|
なし | 加害車両運転手 |
あり | 加害車両運転手 被害車両運転手 |
ただし、
など同乗者にも事故発生の責任があると認められた場合には、賠償金は減額されます。
子供が交通事故により入通院した場合、親が付き添ったり看護したりすることもあります。このような場合、付添い介護費が認められることもあります。
また、交通事故によるけがで子供の通学に近親者が付き添う必要がある場合には、通学付添い費が認められることもあります。
入院付添い費 | ✓医師の指示があった場合 ✓被害者のけがや年齢から付添いが必要だと認められる 場合に受け取ることができる。 近親者による付添いの場合は6500円×日数 |
---|---|
通院付添い費 | 被害者が一人で通院できない場合に認められる。 |
通学付添い費 | 交通事故によるけがのため、被害者が1人で通学できない場合に認められる。 3000円×日数の判例も |
将来介護費 | 将来にわたり介護が必要な場合に認められる。 基本的に日額8000円と考えられる。 |
通学付添い費については、日額3000円が認められた判例がありますので、そちらをご紹介します。
事故内容 |
---|
無免許運転をしていた被告運転の自動車が、被害者を含む集団登校の列に衝突した。 |
通学付添い費 |
日額3000円 事故後から中学1年の1学期終了時までの間,被害者(事故時8歳)の通学に母親が付き添っていた。 被害者が事故後2年が経過しても強度のフラッシュバックを起こす状態であり、安全感が持てず外出し難い状態であったことから、通学付添いの必要性が認められた。 |
子供の場合は、入通院における付添看護費、将来看護費の他、通学付添い費が認められることもある。
交通事故によって負うのは、身体的な傷害だけとは限りません。精神的な症状を負う場合もあります。特に親からすると、子どもが交通事故に遭うとその精神的影響についても心配が多いかと思います。
交通事故でPTSDなどの精神的症状が後遺症として残った場合には、後遺障害等級が認められる可能性があります。後遺障害等級が認定されると、その等級に応じた後遺傷害慰謝料を受け取ることができます。
精神的症状が該当する等級と慰謝料(弁護士基準)は以下の通りです。
子供が交通事故に遭った場合には、弁護士に相談することがお勧めです。
子供の交通事故の場合には、過失割合の修正要素や通学付添い費のように子供ならではの事情が反映されます。しかしこれは、知識がなければ見落としてしまう可能性もあります。
弁護士に相談することで、こうした部分を見落とすことなく、きちんと対応することができるのです。
また、示談交渉では最終的に被害者が受け取れる賠償金額が決められますが、ここも注意が必要です。一般的に交渉相手となることが多い加害者側任意保険会社は、弁護士の主張でないと聞き入れないという姿勢をとることもあるからです。
このような姿勢をとられてしまうと、いくら被害者が法的根拠に基づいた主張を行っても、交渉は難航します。きちんと被害者側の主張を通し、納得のいく結果にたどり着くためにも、弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士に示談交渉について質問したいけれど、
ということもあります。
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(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。
弁護士プロフィール
岡野武志弁護士