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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
「大腿骨頚部骨折は後遺症が残るものなの?」
大腿骨頸部骨折の後遺症についてお悩みの方からは、よく以下のような疑問や質問が寄せられます。
ご覧の記事では大腿骨頸部骨折について交通事故にくわしい弁護士が徹底解説していきます。
目次
大腿骨の股関節側の骨はダンベルのような形になっています。
股関節側から、
という構造になっています。
このうち、頚部を骨折したものについて「大腿骨頸部骨折」と呼称されます。
大腿骨頸部骨折は、基本的には手術療法の適応となります。
患部を固定して安静にしておくというだけの保存療法では、
がそれぞれ増大してしまいます。
保存療法 | 手術療法 | |
---|---|---|
メリット | ・身体への負担が小さい など |
・早期に離床、歩行が可能 ・後遺症が残りにくい など |
デメリット | ・長期にわたり寝たきりとなる ・ゆえに心不全や血栓塞栓症などになりやすい ・後遺症が残りやすい など |
・身体への負担が大きい など |
手術療法は、骨接合術と人工骨頭置換術に大別できます。
骨接合術
医療用の釘、杭、プレートなどを使って骨折した部分をつなぎ止め骨の再生と接合を待つという手術。
人工骨頭置換術
骨頭と頚部を取り払い、大腿骨に金属やセラミックでできた人工骨頭を接続するという手術。
骨接合術によって治癒が見込める態様のものについては、骨接合術が選択されます。
ただ、態様によって骨接合術では治癒が見込めないケースがあります。
この2種類の手術療法を比較してみましょう。
骨接合術 | 人工骨頭置換術 | |
---|---|---|
死亡率、術後歩行能力 | 差はない | |
再手術率 | 高い | 低い |
耐用年数 | – | 10年~20年 |
骨接合術は人工骨頭置換術と比較し再手術となる可能性が高くなります。
骨が接合しなかったり骨頭が壊死したりする可能性が残されるのです。
大腿骨頚部が骨折すると、周辺の血管もダメージを負う。
その結果、態様によっては血が巡らないことを要因にして骨頭が壊死することがある。
骨頭が壊死すると、構造的に脆弱となり圧壊、変形と炎症を引き起こすため、人工骨頭への置換が行われる。
他方、人工骨頭置換術には耐用年数という弱点があります。
人工骨頭は10年~20年で耐用年数の限界を迎え、その人の年齢により再置換術、再々置換術をとり行う必要があります。
しかも回数を重ねるほど、手術の難度は上がります。
これら要素を鑑みて、個別事情に応じて治療法が選択されるわけです。
例えば人工骨頭への置換術の場合、入院費用など諸々込みでおおかた200万円強程度になるのが相場です。
ただ、医療保険や高額療養費制度などを活用すれば、ひと月の実質負担額は5万円~30万円程度になるのが通常でしょう。
年齢や世帯の年収によってひと月に負担する医療費の上限が定められており、それを超えた分の費用が助成されるという制度。
実質負担額は年収や年齢、ケガの態様などによって大きく異なります。
費用について疑問がある場合は医師などに相談するのがおすすめです。
大腿骨頸部骨折のリハビリは、一般的には術後の次の日からすぐに始まります。
骨折の治療は、
「しばらくベッドに寝て患部を固定し安静にし続ける」
といったイメージをお持ちの方も多いですが、これは合併症や後遺症を生じさせやすくします。
早期から身体を動かすことが重要となるのです。
リハビリはまず下肢筋力強化訓練と可動域訓練によって早期から起立と歩行ができるようになることを目指します。
下肢筋力強化訓練
仰向けに寝て足を上げ下げする、ゴムバンドを使い足を開閉するなどをして筋力を向上させる。
可動域訓練
仰向けに寝た状態で、理学療法士が下肢の挙上、足の開閉など負荷をかけて可動域を維持・向上させる。
その後、歩行訓練として
が段階的に行われていきます。
また病院や医師によっては作業療法や電気筋刺激など他の療法を組み合わせて行う場合もあるようです。
骨折の態様や患者本人の状況によって入院の期間、通院の期間は大きく異なります。
一概に言うことはできませんが、リハビリの期間については最低でも6か月程度は行うべきであるという指針が公開されています。
術後最低6ヵ月程度は,リハビリテーション介入による機能回復が期待できるとする中等度レベルのエビデンスがある。
引用元:『大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (改訂第2版) 第9章大腿骨頚部/転子部骨折のリハビリテーション』
あくまで大雑把な目安となりますが、
といった流れになることが多いようです。
手術が完璧に成功し、リハビリに励んだとしても後遺症が残存してしまうこともあります。
大腿骨頸部骨折について以下のような統計データがあります。
転子部骨折262例,頚部骨折165例に,骨接合,人工骨頭,THAを施行をした(略)機能的予後は55.8%の例に受傷前およびそれ以上の歩行能力を得た
(略)
平均年齢78歳の頚部骨折218例の検討,平均年齢78歳.骨接合47例,骨頭置換153例,保存療法18例(略)平均33.6ヵ月の観察では,(略)90.4%の症例が術前と同能力を再獲得した
引用元:『大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (改訂第2版) 第6章大腿骨頚部骨折の治療 6.7.予後』
いずれにしても、すべての症例について受傷前の日常活動レベルに復帰できるわけではないのです。
骨接合術が行われた大腿骨頸部骨折の後遺症としては、
が生じる可能性があります。
骨の治癒が中断されて、関節の可動域などに異常が生じている状態のこと。
そのようなときには再手術によって
が行われることが多いです。
さらに、骨頭壊死や偽関節といった疾患が生じなかった場合でも
拘縮
によって関節の可動域の制限が残存してしまうこともあります。
関節の筋肉や靭帯、関節包、軟骨などの軟部組織が変化し、関節に可動域制限が生じること
人工骨頭に置換したときには、脱臼を防ぐために禁忌肢位が設けられるケースがあります。
人工関節の禁忌肢位としては、
が挙げられます。
屈曲
体育座り、膝をついて段差に登る、よじ登るなど。
内転
足を組むなど。
内旋
とんび座り、横座りをするなど。
ただ、人工骨頭の外れやすさは取り付け角度、骨格の形によって異なります。
股関節の様態などによっては、これら禁忌肢位が設けられないケースもあります。
個別事情に応じて判断されることですから、よく医師の判断を仰ぐことが重要です。
当サイトでは
大腿骨骨折で生じる後遺症が、後遺障害の何級に該当するのか
症状ごとに解説した特設ページを設けています。
後遺障害の認定について疑問をお持ちの方は、コチラもご覧ください。
先に書いた通り、大腿骨の股関節側の骨は、
という構造になっています。
これら股関節側の骨のことを「大腿骨近位部」と言います。
また、
とそれぞれ呼称します。
大腿骨の股関節側の骨折としては、
大腿骨転子部骨折
も挙げられます。
転子部骨折は頸部骨折と比較すると後遺症が残りにくいといわれています。
ただ、小数例ながら骨頭の壊死、偽関節や変形癒合が生じる場合もあります。
転子部骨折についてくわしく知りたい方はコチラの記事をご覧ください。
「大腿骨の近位部、遠位端、骨幹部すべての骨折について知りたい!」
そのような方は、コチラの大腿骨骨折の後遺症の特集ページをご覧ください。
大腿骨骨折を部位ごとに徹底解説しています。
そのようなときには、弁護士に相談することも検討してみてください。
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(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。弁護士プロフィール
岡野武志弁護士
大腿骨頸部骨折では、基本的には手術をして治療します。手術をしないままでいると、長期にわたり寝たきりとなってしまい、心不全や血栓塞栓症などが発症するおそれがあります。しかし手術をすると、早期に離床、歩行できるようになることが多いです。また、早期に治療をすることによって、後遺症になるリスクを抑えることができます。 手術をすることのメリット・デメリット
大腿骨頸部骨折のリハビリは、一般的には術後の次の日からすぐに始まります。骨折したからといって患部を固定し安静にしていると、合併症や後遺症が生じやすくなります。そのため、早期から身体を動かすことが重要となります。 リハビリの内容と期間
手術が成功し、リハビリに励んだとしても後遺症が残ってしまうことがあります。後遺症となる可能性がある疾患には、骨頭壊死や偽関節などがあげられます。これらの後遺症が生じた場合は再手術が行われます。これらの疾患が発症しなくても、靭帯や筋肉が変化することによって関節の可動域の制限が残存してしまうこともあります。 手術しても後遺症が残る可能性がある?