我が子の交通事故｜死亡の慰謝料、保険金、加害者の刑罰は？

裁判例の相場は2,000万円～2,500万円まで

子供が死亡した場合の慰謝料相場は、2,000万円～2,500万円といわれています。

もっとも、子供に過失割合が認められる場合、この金額よりも減額される可能性があります。

増額される可能性もある…

一方で、慰謝料が増額される可能性もあります。
慰謝料増額の理由としては、加害者側の重大な過失や不誠実な態度などの事情があげられます。

慰謝料以外に逸失利益がもらえる？

死亡事故でもらえるお金は、慰謝料のほかに、逸失利益があります。

逸失利益とは、本来の労働能力で得られたはずの収入と、労働能力喪失後の収入の差額のことです。

本来ならば、大人になって仕事をしてお給料を得られていたはずですが、交通事故により将来のお給料が得られなくなってしまった場合の損害を「逸失利益」といいます。

逸失利益の計算方法について知りたい方は、こちらもご覧ください。⇊

治療費や入通院慰謝料がもらえる？

治療を受けた場合には、その治療費や入通院慰謝料などをもらうことができます。

裁判例①（2,800万円）の事案

交差点に赤信号で侵入した加害車両と、青信号で侵入した被害車両が衝突し、後部座席の女児が車外に放り出されて死亡した事故では、死亡本人に2,200万円、父母に各300万円の慰謝料が認められました。

被害者	女児・3歳
事故の内容	自動車VS自動車 脳挫傷等により死亡
慰謝料	本人：2,200万円 父親：　300万円 母親：　300万円
	合計：2,800万円

※大阪地判平成20年3月13日　平成18年（ワ）第6574号

通常、子供の死亡慰謝料は2,000万円～2,500万円が相場です。

この事案では、死亡した子供が幼児であり、父母の精神的苦痛が大きいことなどから、相場を上回る2,800万円が認められています。

裁判例②（2,500万円）の事案

横断歩道を青点滅で直進した自転車が、黄点滅で右折した加害車両に衝突され、男児が死亡した事故では、死亡本人に2,000万円、父親に150万円、母親に350万円の慰謝料が認められました。

被害者	男児・12歳
事故の内容	自転車VS自動車 頭蓋底粉砕骨折等により死亡
慰謝料	本人：2,000万円 父親：　150万円 母親：　350万円
	合計：2,500万円

※神戸地裁平成15年3月28日　平成13年（ワ）第1726号

子供の慰謝料相場は、2,000万円～2,500万円です。

この事案では、相場のなかでも高額の2,500万円が認められています。

交通事故により胎児を死産した場合は、母親の慰謝料の増額事由になります。

	胎児	母の慰謝料
①	出産予定日4日前	800万円
②	妊娠2ヵ月	150万円
③	妊娠18週	350万円
④	妊娠12週未満	200万円

①高松高判平成4年9月17日　自保ジャーナル994号
②大阪地判平成8年5月31日　交民29巻3号830頁
③大阪地判平成13年9月21日　交民34巻5号1298頁
④大阪地判平成18年2月23日　交民39巻1号269頁

妊婦の妊娠週数が長くなれば、胎児の父親の慰謝料請求が認められる事案も稀にあるようです。

	事案	父の慰謝料
①	妊娠2ヵ月	否定
②	妊娠36週	肯定

①大阪地判平成8年5月31日　交民29巻3号830頁
②東京地判平成11年6月1日　交民32巻3号856頁

子供の交通事故慰謝料については、こちらの記事もどうぞ。⇊

成立する犯罪は？

交通事故で人を死亡させた場合、とくに重大な事故の場合、次のような犯罪が成立する可能性があります。

危険運転致死罪とは？刑罰は？

危険運転致死罪とは、一定の危険な運転態様について処罰する犯罪です。

危険運転致死罪では、次のような運転態様が処罰の対象になります。

危険運転致死罪の刑罰は、次のとおりです。

これは法律で定められている刑罰（＝法定刑）です。

運転の危険性の程度が重ければ重いほど、刑罰は重くなります。
加害者が反省していない場合なども、刑罰が重くなる理由です。

危険運転致死罪にはその他の類型もある・・・

このほか、運転開始時には未だアルコールや薬物の影響が明確ではなくても、それらが運転に影響する可能性がある状態の下で自動車を運転し、結果的に人を死亡させた場合、1ヵ月以上15年以下の懲役に処せられます。

過失運転致死罪とは？刑罰は？

過失運転致死罪とは、危険運転の類型には該当しないけれども、不注意な運転をして人を死亡させた場合に成立する罪です。

処罰される運転行為としては、次のようなものがあげられます。

過失運転致死罪で成立する刑罰は、次のとおりです。

実際の刑罰の重さとしては、加害者の運転態様が特にひどい場合や、加害者が警察に対する事故報告をしなかった場合、つまり「ひき逃げ」の場合は懲役刑が科される可能性が高いです。

一方で、禁錮刑とされるケースも多いです。
被害者の過失が大きい場合、罰金刑とされる可能性もあります。

交通事故については、証拠不十分だったり、当事者に示談が成立したような場合、不起訴になる可能性があります。

参考までに、危険運転致死傷罪と過失運転致死傷罪の不起訴率を検察統計から抜粋しました。⇊

	起訴 （人）	不起訴 （人）	不起訴 （％）
危険運転 致死傷	416	82	16.5
過失運転 致死傷	50,210	419,961	89.3

「被疑事件の罪名別起訴人員，不起訴人員及び起訴率の累年比較 （1993年～）」より、2016年の数値を抜粋・編集した。

この統計では、死亡のみならず、傷害事故についても一緒くたにまとめられているため、不起訴率が高いものになっています。

危険運転致死罪など、特に重大な交通犯罪については、不起訴になる可能性はとても低いと考えてよいでしょう。

• 我が子の交通事故慰謝料の金額は？
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裁判で争った場合、子供の死亡慰謝料の相場は2,000万円～2,500万円といわれています。

保険会社から提示される示談金は、これよりも低い場合も多いです。
また、慰謝料に限らず、逸失利益についても保険会社独自の基準で算定されることになります。

これらのお悩みは、交通事故を専門とする弁護士に示談交渉を依頼することで解決できることもあります。
交通事故を多く取り扱う弁護士に依頼すれば、裁判の相場に近い保険金を獲得できる可能性が高まるからです。

子供の死亡慰謝料など交通事故でお悩みの方は、まずは弁護士の無料相談を是非ご活用ください。

弁護士プロフィール

岡野武志弁護士

（第二東京弁護士会）

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。