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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
今回は、このような「自賠責保険の後遺障害慰謝料」について解説します。
後遺障害に関する保険金給付を受けとるには、後遺障害等級認定を受けなければなりません。
交通事故による外傷の治療が一応終了したけれども、後遺症が残ることもあるでしょう。
その後遺症について、慰謝料や逸失利益の賠償をうけるには、後遺障害等級認定が必要です。
後遺障害等級認定は、医師の作成した「後遺障害診断書」等の資料をもとに、どのような後遺症があるのか、どのくらい重い症状なのかを見定め、「何級何号に該当するか」を認定する手続です。
そして、この「何級何号に該当するか」を一覧表にしたのが、後遺障害等級表です。
後遺障害等級表は、こちらをクリック。⇊
たとえば、次の1号から9号の症状に該当する場合、後遺障害14級が認定されます。
交通事故の後遺症でよく問題になる「むちうち症」については、14級9号の「局部に神経症状を残すもの」に該当する可能性があります。
1号 | 一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの |
2号 | 三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの |
3号 | 一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの |
4号 | 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの |
5号 | 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの |
6号 | 一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの |
7号 | 一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの |
8号 | 一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの |
9号 | 局部に神経症状を残すもの |
ここでは、自賠責保険と弁護士基準の後遺障害慰謝料を比較してみます。
弁護士基準とは、実際の裁判例の相場です。
弁護士基準は、弁護士が任意保険会社との示談交渉で用いる基準であり、実際に裁判になれば弁護士基準による慰謝料金額が認定される可能性が高いです。
任意保険基準は、任意保険会社が慰謝料を算定する際に用いる基準です。
一般的には、自賠責保険と同程度といわれています。
第1級から第14級の慰謝料相場については、次の表のとおりです。
第1級 | 第2級 | 第3級 | |
自賠責 | 1,100万円 | 958万円 | 829万円 |
弁護士 | 2,800万円 | 2,370万円 | 1,900万円 |
第4級 | 第5級 | 第6級 | |
自賠責 | 712万円 | 599万円 | 498万円 |
弁護士 | 1,670万円 | 1,400万円 | 1,180万円 |
第7級 | 第8級 | 第9級 | |
自賠責 | 409万円 | 324万円 | 245万円 |
弁護士 | 1,000万円 | 830万円 | 690万円 |
第10級 | 第11級 | 第12級 | |
自賠責 | 187万円 | 135万円 | 93万円 |
弁護士 | 550万円 | 420万円 | 290万円 |
第13級 | 第14級 | ||
自賠責 | 57万円 | 32万円 | |
弁護士 | 180万円 | 110万円 |
要介護第1級・第2級の慰謝料相場については、次の表のとおりです。
第1級 | 第2級 | |
自賠責保険 | 1,600万円 | 1,163万円 |
弁護士基準 | 2,800万円 | 2,370万円 |
後遺障害等級認定は、損害保険料率算出機構(損保料率機構)の自賠責損害事務所によって行なわれます。
申請方法は、事前認定と被害者請求の2通りです。
事前認定とは、任意保険会社を通じて申請する手続きです。
被害者請求とは、被害者がみずから必要書類を準備し、自賠責保険会社に申請する手続きです。
2通りの申請方法がありますが、おすすめは被害者請求です。
事前認定と被害者請求の違いの一つとして、「提出書類の準備を自分でできるかどうか」という点があります。
被害者請求の場合、みずから提出書類の準備をしないといけないため、たしかに手間はかかります。
しかし、等級認定に有利なカルテや医者の意見書、陳述書など書類提出の幅が広がります。
手間をかけた分だけ、後遺障害認定を獲得できる可能性が広がるのです。
後遺障害等級認定を申請したら、多くの場合30日程度の事故調査を経て、申請結果が通知されます。
自分の期待する等級が認定されないこともあります。
等級認定に納得いかない場合には、不服を申し立てる手続きとして「異議申し立て」ができます。
くわしい異議申し立ての方法などについては、こちらの記事をご覧ください。⇊
傷害による損害については、次のような費用について保険金給付をうけとることができます。
治療関係費については、次のような金額を請求することができます。
必要かつ妥当な実費
必要かつ妥当な実費
治療のために必要かつ妥当な実費
交通費として必要かつ妥当な実費
入院中の看護料
12歳以下の子供に近親者等が付き添い:日額4,100円
自宅看護料または通院看護料
12歳以下の子供に近親者等が付き添い:日額2,050円
その他:必要かつ妥当な実費
入院中の諸雑費
入院1日につき1,100円
超えるときは、必要かつ妥当な実費
通院または自宅療養中の諸雑費
必要かつ妥当な実費
必要かつ妥当な実費
診断書、診療補修明細書等の発行に必要かつ妥当な実費
「文書料」については、交通事故証明書、被害者側の印鑑証明書、住民票等の発行に必要かつ妥当な実費を請求できます。
「その他の費用」については、治療関係費、文書料以外の損害であって事故発生場所から医療機関までの被害者を搬送するための費用については、必要かつ妥当な実費を請求できます。
休業損害とは、休業による収入の減少があった場合または有給休暇を使用したことによる損害です。
原則として、日額5,700円が支給されます。
もっとも、日額5,700円を超えることを立証できる場合は、自賠責令3条の2に定める金額(1万9,000円)を限度として、実額が支給されます。
後遺障害の慰謝料とは別に、ケガの治療のために入通院した場合、傷害慰謝料(入通院慰謝料)を支給してもらえます。
自賠責保険の場合、日額4,200円です。
次の計算式のうち、少ない金額が支給されます。
4,200円×治療期間
4,200円×治療日数×2
後遺障害による損害については、後遺障害慰謝料のほかに、逸失利益が問題になります。
逸失利益とは、本来の労働能力で得られたはずの収入と、労働能力喪失後の収入後の差額です。
「逸失利益」は、何もなければ得られたはずの利益のことです。
後遺障害が残ると、思うように働けず、本来ならば得られたはずの収入が減ってしまいます。
このような「本来の労働能力で得られたはずの収入」と、「労働能力喪失後の収入」の差額が逸失利益です。
本来の労働能力が失われたために補償されるのが逸失利益ですが、どのくらいの労働能力が失われたのかということは、後遺障害の等級によって異なります。
認定された後遺障害等級が重ければ重いほど、労働能力の喪失率は高くなるのです。
結果として、逸失利益も多くなります。
第1級 | 第2級 | 第3級 | 第4級 |
100% | 100% | 100% | 92% |
第5級 | 第6級 | 第7級 | 第8級 |
79% | 67% | 56% | 45% |
第9級 | 第10級 | 第11級 | 第12級 |
35% | 27% | 20% | 14% |
第13級 | 第14級 | ||
9% | 5% |
※要介護第1級・要介護第2級の労働能力喪失率は、いずれも100%。
逸失利益は、上記の労働能力喪失率を踏まえて、次のような計算式で算定されます。
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数 |
基礎収入 | 被害者に後遺障害がなければ 将来的に得るはずであった年収 |
労働能力喪失率 | 後遺障害によって 年収を低下させる割合 |
労働能力喪失期間 | 後遺障害によって 年収が低下する期間 |
ライプニッツ係数 | 逸失利益を一括で受け取るにあたって 現在価値に修正するための係数 |
逸失利益について、詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。⇊
死亡による損害には、死亡慰謝料、逸失利益が含まれます。
自賠責保険の死亡慰謝料は、次のとおりです。
被害者本人 | 遺族 | 被扶養者あり | |
350+ | 1人 | 550 | +200 |
2人 | 650 | ||
3人以上 | 750 |
※慰謝料の単位は万円
死亡本人の慰謝料金額は、350万円です。
遺族の慰謝料については、
です。
死亡本人に被扶養者がいるときは、別途200万円が加算されます。
死亡逸失利益については、次のような計算式で算定されます。
基礎年収 ×(1‐生活費控除率)× 就労可能年数に対応するライプニッツ係数 |
死亡の場合には、本人の生活費を控除して、就労可能年数に対応するライプニッツ係数をかけて計算します。
詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。⇊
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自賠責保険の後遺障害慰謝料は、後遺障害等級に応じて相場が決まります。
獲得したい等級を認定してもらうには、事前の準備が大切です。
とくに、ポイントを押さえた後遺障害診断書を用意することも重要です。
医師によっては、後遺障害診断書の作成に不慣れな場合もあるため、まずは交通事故解決に詳しい弁護士にご相談ください。
(第二東京弁護士会)
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。