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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
突然の人身事故で、初期対応に迷われる方もおられるのではないでしょうか。
人身事故の初期対応は、大きく分けて7つあります。
被害者の方が行なうべき対応を中心に、加害者の方にも参考になる内容を解説します。
まずは、事故の当事者に関する法的義務について、解説していきましょう。
交通事故を起こした車両等の運転者には、次のような道路交通法上の義務が課せられています。
ちなみに、「車両等」というのは、自動車、原動機付自転車、軽車両、トロリーバス、路面電車のことです。
まずは、①から解説していきましょう。
人身事故の場合、まずは運転を止め、安全な場所に停車します。
そして、負傷者がいるか確認します。
負傷者がいる場合、次のような救護をします。
ほかに事故に巻き込まれた人がいないかどうか、念のため確認しておきましょう。
負傷者を救護しなかった場合、5年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
自分がひき逃げした加害者だった場合、救護義務に違反すると10年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
119番通報については、怪我の程度にかかわらず、できるだけ救急車を呼びましょう。
かすり傷程度の軽傷でも、時間が経過してから重篤な症状が現れるケースもよくあります。
ご自身が被害者になってしまった場合、何の自覚症状もないということがあるかもしれません。
しかし、そのような場合も、遠慮せず、必ず検査入院など、頭部に損傷がないかどうか病院で診察を受けましょう。
頭部を強く打っている可能性がある場合、むやみに動かさないほうがようにしましょう。
ただし、後続事故のおそれがある場合は、そのまま放置するのは危険です。
なるべく頭部を動かさないようにして、安全な場所に移動させましょう。
事故の続発を防ぐため、他の交通の妨げにならないような安全な場所(路肩、空き地など)に車両を移動させて、エンジンを切りましょう。
交通事故の加害者・被害者関係なく、警察に事故報告をする義務が課せられています。
負傷者の救護、危険防止措置を講じたら、警察に連絡をいれます。
携帯電話で110番通報するか、緊急通報アプリで通報しましょう。
警察に報告する内容は、次のとおりです。
人身事故とは、人の死傷をともなう交通事故のことです。
これに対して、物損事故とは、物(車、建造物など)の損壊だけの交通事故のことです。
警察を呼んだ場合、事故現場で現場検証され、その結果が捜査報告書にまとめられます。
物損事故の場合は「物件事故報告書」が作成されます。
人身事故の場合は「実況見分調書」が作成され、道路状況は滑りやすいか、暗かったか、時速何キロで走行していたか、どの地点から何が見えるか等くわしく記入されます。
警察などの捜査機関が場所・人の身体・物の状況を確認(=実況見分)して、その結果を録取した捜査上の文書
物件事故報告書のほうが簡単なであること等から、物損事故としての届出を勧められることも多いです。
物損事故 | 人身事故 | |
内容 | 物の損壊 | 人の死傷 |
捜査報告書 | 物件事故報告書 | 実況見分調書 |
簡単な形式 | 詳細に記録 |
物損事故の届出をすすめられても、将来を見据えると、怪我をした場合は、人身事故としての届出をするほうがよいでしょう。
詳細な記録を残すことが、過失割合の認定に役立つからです。
損害賠償金は、損害を金銭的に評価し、損害総額から当事者の過失割合にもとづき減額され、最終的な金額が決まります。
過失の有無・程度については、詳しい事故状況がわからなければ、認定できません。
そのため、過失割合が争いになったときは、詳細な記録がされる実況見分調書があると有利です。
実況見分調書を作成してもらうには、人身事故としての届出が必要です。
当初、物損事故として届出をしていた場合でも、途中から人身切り替えも可能です。
交通事故の診断書には、事故日、初診日、治療期間のほか交通事故と受傷との因果関係を必ず記入してもらうようにしてください。
「人身事故として届出をすると刑事事件で捕まってしまうから、やめておいたほうがよい」と言われることもあります。
交通事故の多くの場合、被害者にも何らかの過失要素があることから、刑事事件でも責任を問われるかご不安な方もおられると思います。
もっとも、過失割合の小さい被害者の場合、刑事責任を問われる可能性は極めて低いです。
交通事故の賠償金など民事の問題が示談で解決できた場合、かりに刑事事件の捜査をうけたとしても不起訴になる可能性が高いでしょう。
くわえて、物損についても刑事責任を問われる可能性は極めて低いです。
過失による物損については、刑事罰が科されない(=過失器物損壊は処罰されない)からです。
ケース | 刑事責任 | ||
罪名 | 根拠 | ||
① | 損壊 (過失) | なし | * |
② | 当て逃げ | 当て逃げ | 道路交通法 |
③ | 傷害 (過失) | 重過失致傷 | 刑法 |
危険運転 致傷 | 自動車運転 処罰法 | ||
④ | 傷害 (故意) | 傷害罪 | 刑法 |
⑤ | 死亡 (過失) | 重過失致傷 | 刑法 |
危険運転 致死 | 自動車運転 処罰法 | ||
④ | 死亡 (故意) | 殺人罪 | 刑法 |
*刑法の器物損壊罪(261条)は、故意犯のみ処罰され、過失犯は処罰されない。たとえば、あえて損壊する意図で、被害車両に追突のうえ損壊した場合は、器物損壊罪に該当する。これに対して、通常の物損事故の場合、加害者は不注意で追突するなどして車体を損壊しているため、器物損壊罪は成立しない。
事故相手の情報を確認しておくことも重要です。
なかには、その日にはじめて出会った相手、その上その出会いが事故だったということから、連絡先の交換に抵抗を感じられる方も多いでしょう。
しかし、被害者の方はとくに、後日、加害者側に損害賠償請求したり、示談交渉を開始したりするためには、事故相手の連絡先を確認することは必須です。
相手の氏名や連絡先など身元が分かる情報を確認しておくことが必要です。
車検証などの確実な情報を見せてもらうことをおすすめします。
具体的には、次のような情報を確認しておきましょう。
このほか車両の自動車登録番号及び車台番号(下7桁)を記録しておけば、後日運輸支局または自動車検査登録事務所に照会して自動車登録事項等証明書が入手でき、自動車の所有者や使用者の氏名・住所などを知ることができます。
事故現場では警察による現場検証もおこなわれますが、自分自身で事故状況を記録しておくことも大切です。
携帯電話のカメラ機能を利用するなどして、記録をとっておきましょう。
事故状況を把握するためには、事故直後できるだけ早く撮影するというもポイントです。
人身事故の現場では、警察によって現場検証がおこなわれます。
人身事故の現場検証の結果は、実況見分調書という捜査報告書にまとめられます。
実況見分調書には、現場検証を担当した警察官によって見聞きされた内容が記録されます。
正確な刑事記録を残せる点で、事故の当事者にとってメリットが大きいのは確かです。
一方で、実況見分調書は捜査官の編集を経て書面化されるものです。
そのため、当事者の言い分すべてがそのまま記載されるわけではありません。
被害者側の主張が十分に反映されないおそれがあるということです。
加えて、実況見分調書には、詳細な現場写真が添付されるとは限りません。
写真があれば一目瞭然で状況を把握できますが、全てのケースでそうはいかないのです。
さらに、事故発生から実況見分が行われるまでにはある程度の時間がかかります。
事故現場の状況が変わらないうちに記録を撮れるのは、当事者ご本人なのです。
記録・撮影すべきポイントは、次のとおりです。
警察が実況見分を開始するまで、事故当時の状況をそのままにしておければよいですが、運転者には危険防止措置を講じる義務が課されているので、事故直後の様子をそのまま保ち続けることは不可能に近いことです。
そうなると、事故直後の様子を撮影できるのは、事故当事者の方自身です。
きちんと撮影しておければ、証拠保存としてはベストな対応といえるでしょう。
事故の当事者の言い分が食い違ったときなど、事故状況を証言してくれる目撃者は、とても重要な存在です。
目撃者がいる場合は、その方の氏名、住所などの連絡先も確認しておきましょう。
連絡先などを聞く際に、一方的に情報を聞くだけでなく、捜査協力をお願いしておきましょう。
そうすることで、あとで証言が必要になった際にお願いしやすくなります。
そして、警察に対して「目撃者の存在」を伝えておきましょう。
人身事故の治療費や賠償金などは、事故相手の保険会社から支払われるのが基本です。
しかし、自分の過失がネックになり支払いを受けられないことや、加害者が無保険の場合もあります。
そのような場合に、自分の保険会社から支払いを受けられる可能性もあるので、是非ご自分の保険会社に連絡を入れてみてください。
交通事故の示談交渉において、弁護士に依頼すると、保険会社からの提示された示談金を増額できる可能性が高まります。
さらに、複雑な手続きや加害者側とのやりとりを任せることができるので、弁護士に事件解決を依頼するメリットは多岐にわたります。
しかし、弁護士費用の問題があって躊躇される方もおられるかもしれません。
そのようなときには、弁護士費用特約の利用をおすすめします。
弁護士費用特約を利用するためには、保険会社に連絡を入れる必要があります。
弁護士費用特約のメリットは3つです。
自己負担なしで弁護士に交通事故の解決を依頼できます。
弁護士は裁判基準(弁護士基準)で示談交渉を進めてくれるので、保険会社が提示してきた金額を増額することが期待できます。
さらに費用倒れの心配もありません。
「弁護士費用特約」の詳しい仕組みについての解説はこちらです。
人身事故の治療費については、交通事故と因果関係がある場合に、保険会社が負担してくれます。
因果関係とは、その怪我の原因が交通事故であるというような意味です。
このような因果関係を認めてもらうには、事故直後から通院を開始する必要があります。
実際に、医師の診察を受ける際には、気になる自覚症状は全て伝えるようにしましょう。
他覚症状(=画像診断などの根拠がある症状)がない場合でも、自覚症状を工夫して診断書に落とし込むことは可能です。
こちらは後遺障害診断書の書き方に関するものですが、ご参考までにご紹介しておきます。
交通事故で通院するときも健康保険を利用することはできます。
時折、病院側から自由診療を打診されますが、「健康保険を利用する」とはっきり伝えましょう。
健康保険を利用せずに自由診療にすると、保険の3割負担が適用されません。
そうなると、いったん自費で治療費を立替える場合、経済的負担が大きくなります。
加えて、あとから示談金が入るとしても、過失割合によっては全額支払いをうけることができないこともあります。
さらに、加害者が自賠責保険にしか加入していなかった場合、確実に支払ってもらえるのは限度額の範囲内です。
傷害分の限度額は120万円とされています。
怪我の内容・通院先・通院頻度などにもよりますが、3~4ヵ月通院すると、自賠責保険の120万円の限度額に達することが多くなります。
次のようなむちうちの事案を用いて、シュミレーションをしてみましょう。
追突事故によって頸椎捻挫(むちうち症)と診断された主婦が病院・整骨院への3ヵ月間(実日数は50日)の通院治療を経て完治した
治療(施術)部位にもよりますが、治療費は上記の事案であれば、自由診療だと月15万円程度かかることが多いと考えられます。
1か月の治療費を15万円と仮定した場合、治療費総額は次のとおりです。
15万円/月 × 3ヵ月= 45万円
加えて、通院のための交通費などの実費がかかります。
怪我や治療の内容によっては、以下のような実費がかかることもあります。
休業損害については、主婦の場合、自賠責保険から「1日につき5,700円」が支払われます。
上記の事案では、実際の通院日数が50日なので、休業損害は次のようになります。
5,700円/日 ×50日=28万5,000円
傷害慰謝料については、治療日数1日につき4,200円が支払われます。
治療日数については、次のうちどちらか少ない日数が基準となります。
実治療日数(=実際に治療のために医療機関に通院した日数)×2
治療期間(治療開始日から治療終了日までの日数)の日数
上記の事案では、実治療日数は50日、治療期間は90日(3ヵ月)です。
この場合、実治療日数「50日間」×2で算出した「100日間」と、治療期間「90日」とでは、後者の治療期間のほうが少ない日数です。
そのため、治療期間である90日で計算します。
4,200円/日 ×90日=37万8,000円
上記の内容をまとめると、次のとおりです。
治療費 | ¥450,000 |
休業損害 | ¥285,000 |
傷害慰謝料 | ¥378,000 |
合計 | ¥1,113,000 |
治療費、休業損害、慰謝料を合計して111万3,000円となります。
これらに実費である交通費が加わると、120万円弱になると考えられます。
治療費や、通院のための交通費を自身で立替えていた場合は、あとで保険会社に請求するために、領収書が必要になります。
きちんと保管しておきましょう。
むちうちなどの場合、整形外科ではなく整骨院に通院したいとお考えの方もおられると思います。
整骨院の施術料については、保険会社が負担する治療費に含まれないこともあるため、注意が必要です。
整骨院に通院したいと考えた場合、通院する前に、保険会社にあらかじめ相談しておきましょう。
整骨院の治療に関するページ
このようなお悩みで法律事務所をお探しの方へ。
アトム法律事務所では、交通事故の弁護士相談窓口を設置しています。
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人身事故の初期対応や、保険会社とのやりとりについてご不安をお持ちの方も多くいらっしゃいます。
弁護士の無料相談をご活用いただき、今のうちに人身事故の初期対応の不安を解消し、示談交渉の流れについて予習しておきましょう。
(第二東京弁護士会)
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。
人身事故に遭ったときにするべき対応は次のとおりです。①負傷者の救護(主に加害者側)②危険防止措置(被害者・加害者ともに)③警察へ事故報告・人身事故の届出④事故相手の情報を確認⑤事故の状況を撮影記録⑥目撃者の連絡先を確認⑦自分の保険会社へ連絡 人身事故の流れは?7つの初期対応とは?
事故当初は物損事故として届出をしていた場合でも、途中から人身事故へ切り替えることができます。そのためには、病院で診断書を作成してもらい、警察署に提出する必要があります。また、診断書には、事故発生日・初診日・治療期間・症状が事故と関係があることを記入してもらうようにしましょう。 警察への事故報告・人身事故の届出の方法
交通事故により通院する場合は、①事故発生直後から通院を開始する②少しでも気になる症状はすべて伝えるということに気を付けてください。通院にかかる治療費を加害者側の任意保険会社に払ってもらうためには、けがの原因が交通事故にあると認められる必要があります。そのためには、交通事故から時間が経ってしまう前に受診をする必要があるのです。 治療開始時のポイント