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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
交通事故による怪我で仕事をやむなく退職したり、解雇されたりしたら、収入が途絶えることになるので生活面に不安が大きいと思います。このような場合、事故相手に休業損害を請求できたり、雇用保険の失業給付、事故状況によっては労災からの休業補償などを受け取ることができます。
交通事故の怪我と仕事の解雇・退職との関係、収入が減少したことに対する補償について詳しく解説していきます。
目次
交通事故の怪我を原因としてすぐに解雇されることは法律上ないと言えます。客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当でなければ、解雇は不当であるといえます。
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
引用元:労働契約法 第16条
特に交通事故で怪我を負ったのが業務中だった場合は、怪我の治療にかかる期間とその後30日間は解雇してはならないと労働基準法で定められています。
使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間(略)、解雇してはならない。(略)
引用元:労働基準法 第19条第1項
怪我をして休業が余儀なくされなくなったという理由だけで解雇することはできません。
また、後遺症が残って今までと同じような仕事ができなくなったことを理由にすぐさま解雇するのではなく、別の仕事を割り振ったり、異動や配置転換など会社側として雇用の継続に努める必要が会社側にはあります。このような工夫なしに、事故の怪我で業務に支障をきたすからといってされた解雇は不当解雇の可能性があります。
もっとも交通事故で怪我を負ったとしても、過失割合が大きく加害者としての側面が強かった場合、会社の就業規則によっては懲戒事由に該当して解雇される可能性はあるでしょう。具体的には運送会社やバス会社といった車の運転が職務となる業種では就業規則が定められているようです。お勤め先の就業規則をご確認ください。
客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められるようなケースでは、解雇が妥当であると認められることになります。たとえば、いわゆる植物状態といわれる遷延性意識障害で寝たきりの状態がつづいている、腕や足の麻痺で業務に支障をきたすといったような場合は、退職せざるを得ないといえるでしょう。
交通事故による怪我の治療で長期休暇を余儀なくされ、退職せざるを得なくなったという因果関係が証明できるようであれば「休業損害」を請求することができます。
休業損害とは、交通事故の怪我によって働くことができずに減少してしまった収入に対する補償です。
休業損害が認められるためには、交通事故の怪我が退職理由であると因果関係を示さなければなりません。
①退職証明書があること
退職証明書とは、その名のとおり退職を証明するもので退職した会社が作成する書類です。もっとも、事故の怪我が退職理由であることを記した退職証明書の発行に応じてくれないことも多いので注意が必要です。
②退職勧奨に応じて退職願を出していないこと
退職勧奨とは、会社が従業員に自主的に退職するようにすすめてくることをいいます。この退職勧奨に応じて退職願を出してしまうと、単なる自己都合による退職だと離職票や退職証明書に記載されてしまい、交通事故の怪我が理由の退職であることを証明することがむずかしくなってしまいます。自分から退職願は出さないようにすることをおすすめします。
③会社都合の退職であること
退職勧奨に応じた退職は本来、会社都合による退職となります。しかし、うながされるままに自ら退職願を出してしまうと自己都合退職と離職票に記載されてしまいます。離職票の離職理由は会社都合にしてもらう必要があります。
また、会社都合の離職票であることで、雇用保険の失業給付を早くに受け取ることができます。会社都合退職であることは、休業損害の請求でも、失業給付の支給でも重要なポイントとなります。
交通事故の怪我で休業・休職が必要な期間に原則として休業損害による補償が受けられる期間であると認められます。
仮に仕事ができるまで回復していたとしても、退職後すぐに再就職先が見つからないと収入が得られないという状況も考えられます。交通事故にあわなければ仕事復帰して収入が得られていたはずなので、このような場合も休業損害による補償が受けられます。期間としては、現実に就労先を得られたときまでの期間または転職先を得るための相当な期間のいずれか短い方の期間に休業損害による補償が受けられます。
まず、1日あたりの収入を割り出し、休業日数分をかけることで、休業損害の全額を計算することができます。
1日あたりの収入 × 休業日数
1日当たりの収入を割り出す方法としては、
いずれかの方法があげられます。
より実収入に近い金額を得るためには、1日当たりの収入が「実稼働日数」で割った金額で認められる必要があります。このような主張に対しては、保険会社が争う姿勢をみせることが見込まれるので必ず認められるとはかぎりません。弁護士が示談交渉に介入することでその可能性が格段に高まるといえます。
より詳しい休業損害の計算方法についてはこちら
ここで、概算ではありますが実稼働日数による休業損害を計算することができる計算機を紹介します。こちらの計算機では、休業損害をはじめとした交通事故による損害賠償の合計を計算することができます。ぜひお試しください。
交通事故の怪我による休業に対する収入補償として相手方から休業損害を請求することができますが、交通事故が勤務中や通勤中に発生した場合は労災保険から休業補償を受け取ることができます。さらに、その事故が原因で退職せざるを得なくなった場合でも休業補償を受け取ることができます。
労災について詳しくはこちら
交通事故の怪我が原因とはかぎりませんが、会社を退職した場合は雇用保険の失業給付を受け取ることができます。もっとも、会社都合による退職である旨が記載された離職票でなければ、早期の給付が受けられません。
ハローワークに離職票を提出した後、会社都合退職の場合は待期期間7日間に加えて約1ヶ月後に一回目の支給が受けられるのに対して、自己都合退職の場合は待期期間7日間に加えて約3ヶ月後にしか一回目の支給を受けることができません。
ここまで解説してきた休業損害とは、交通事故の損害賠償における請求が可能な項目の一つにすぎません。その他に請求可能なものとしてあげられる代表的なものとしては、治療費や慰謝料などがあげられます。とくに、退職を余儀なくされたようなケースでは仕事を失わなかったケースと比べると、慰謝料が増額される可能性があります。
慰謝料増額の明確な基準はないものの、怪我の状態や仕事との関係を考慮して、数十万程度の増額が認められる可能性があります。
交通事故の怪我治療のために退職を余儀なくされたような場合は、退職後でも休業損害を請求することができます。
交通事故の怪我を原因として、退職を進められたり、いきなりクビになったというような場合は、まずは弁護士にご相談ください。
アトム法律事務所では、交通事故の被害者の方を対象に弁護士による無料相談をおこなっています。LINEや電話から24時間365日お問い合わせいただけます。一番はじめの対応は専属スタッフがおこなっております。気軽にお悩みの内容をお話しください。
(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。
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岡野武志弁護士