作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)

交通事故過失割合判例

交通事故の過失割合|過失割合の決め方や判例を図付きで解説

過失割合の判例を知りたい…
  • 交通事故の過失割合を判例で確認したい
  • 過失割合はどのように慰謝料に影響する?
  • 不利な過失割合にならないようにするには?

最終的に受け取れる損害賠償額にも影響する過失割合
そんな過失割合について、詳しく解説していきます。


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交通事故の過失割合|決め方を図付きで解説

過失割合とは?慰謝料に影響?

過失割合とは、

交通事故が起きた責任が、加害者と被害者にそれぞれどれくらいあるのかを割合で示したもの

のことです。

交通事故が起こった場合、常に加害者が100%悪いとは限りません。被害者にも、飛び出しや安全確認不足などの落ち度があることもあります。

そうした事情を考慮し、公平に損害賠償額を決めるために過失割合があるのです。

過失割合が決まると、自分の過失割合分が受け取れる損害賠償額から減額されます。これを過失相殺といいます。

過失相殺の方法を、実際の数字を用いながら確認してみましょう。

過失相殺の計算方法
過失割合 2
損害の総額 1000万円
結果 1000万円×(10.2)⁼800万円

過失割合の決め方

過失割合は、以下の手順で決められます。

過失割合の決め方
  1. 判例タイムズ等から、当該事故が当てはまる事故形態を見つける
  2. ② その事故形態の基本過失割合を確認する
  3. ③ その事故形態に適用できる修正要素を確認し、過失割合に反映させる

過失割合は、事故形態ごとに基本の過失割合が決められています。事故形態と基本過失割合は、

  • 『別冊判例タイムズ38』(東京地裁民事交通訴訟研究会)
  • 『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』(日弁連交通事故相談センター東京支部)

で確認できますが、判例タイムズを用いるのが一般的です。

各事故形態とその過失割合は、適用できる修正要素があります。

修正要素とは、飛び出しや速度違反などといった事故ごとの個別的な事情のことです。これを適用することで、より実際の事故に即した過失割合を導き出すことができます。

では、実際の事故形態とその基本過失割合、修正要素の一部を見ていきましょう。

過失割合10対0の事故形態

基本過失割合が10対0である事故形態として、追突事故があります。では、修正要素の一部も含めてみてみましょう。

事故状況図
過失割合:追突事故
A車 B車
基本 100 0
①Aの15㎞以上の速度違反 10
②Aの30km以上の速度違反 10
③Bの駐車禁止違反 10
④視認不良 10

過失割合は上限10、下限0です。
したがって、上の表で挙げた修正要素のうち①②どちらか1つだけが該当する場合は、割合は100対0のままです。

③ ④とちらか1つだけが該当すれば90対10に、両方該当すれば80対20、①と③が該当すれば10対0になる、というように計算します。

過失割合9対1の事故形態

基本過失割合が9対1の事故形態としては、以下のような優先道路が決まっている交差点での事故があります。

事故状況図
過失割合:優先車と劣後車の事故
A車 B車
基本 10 90
①Bの明らかな先入 10
②Aの著しい過失 15
③Bの著しい過失 10

過失割合8対2の事故形態

基本過失割合が8対2の事故形態には、交通整理の行われていない交差点での右折車と直進車との衝突事故があります。

事故状況図
過失割合:右直事故
A車 B車
基本 20 80
①Aの15㎞以上の速度違反 10
②Bの徐行なし 10
③Bの合図なし 10
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交通事故の過失割合|裁判の判例・事例紹介

交通事故の過失割合について、実際の判例や事例を見ていきましょう。

追突事故の過失割合判例

過失割合

被害者:加害者=10:90

事故概要

被害者は交差点で右折車線を走行中、交差点に入る前に信号が変わると判断。
停止線の数m前からブレーキをかけ、停止線を超える形で停車。
後ろを走行していた加害者は、そのまま減速することなく走行し、停車した被害車両に追突。

過失割合の理由

加害者

前方をよく見ず前を走る被害車両との距離を十分に取らなかった。

被害者

もっと事前に信号が変わることを想定し、安全に停止する義務があった。

(東京地方裁判所平成30年(レ)第3号)

右直事故の過失割合判例

過失割合

被害者:加害者=10:90

事故概要

交通整理の行われていないT字路交差点において、直進していた被害者の原付自転車と対向車線から右折中の加害者の自動車が衝突した。

過失割合の理由

加害者

前方の確認をよくしないまま減速せず右折している。

被害者

前方をよく確認していれば、事故は避けられた可能性がある。

(福岡支部平成28年2月8日裁定・福審第1178号)

すれ違い事故の過失割合判例

過失割合

被害者:加害者=5:95

事故概要

赤信号で停車していた加害者運転の自動車の左側を被害者運転の自転車が通行しようとした。
すれ違う際に加害車両の助手席のドアが開き、衝突した。

過失割合の理由

加害者側
ドアを開ける際に後方から走行してくる自転車等がないか確認することを怠った。

被害者
前方に注意する必要があった。

(大阪支部平成27年5月19日裁定・大審第1009号)

逆追突事故の過失割合判例

過失割合

被害者:加害者=0:100

事故概要

立体駐車場の通路上にて、被害者が運転する自動車が、前から後退してきた加害者の運転する自動車に追突された。

過失割合の理由

加害者

後方に被害車両があることに気づかず後退した。

被害者

  • 加害車両が後退してくることを予測し停車
  • 後退してきた加害者に注意を促すためクラクションを鳴した

等から、過失は認められない。

(甲府地方裁判所平成28年(ワ)第341号)

駐車場内での事故の過失割合判例

過失割合

被害者:加害者=20:80

事故概要

被害車両が駐車枠から出てやや右斜めの状態で停止していたところ、向かいから走行してきた加害者運転の普通貨物車と衝突。

過失割合の理由

加害者

  • 被害車両に気づいていながら、衝突直前まで被害車両に注意を払わず他方向を見ていた。
  • 道路中央よりも大きく対向車側に膨らんで走行していた。

被害者

加害者が被害車両に注意を払っていないことに気づいていながらクラクションを鳴らす等の措置を取らなかった。

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過失割合はもめることも…弁護士に相談を

過失割合でもめる理由

過失割合は示談交渉の中で決められますが、争点になりやすいポイントの一つです。

  • 被害者と加害者で事故当時の状況や認識に違いがある
  • 示談交渉相手である加害者側任意保険会社は、事故の資料等を確認せず、加害者から聞いた情報をもとに過失割合を算出し提示することが多い

ということが理由として挙げられます。

過失割合等で加害者側ともめた場合、加害者側任意保険会社は、弁護士の主張でないと聞き入れないという姿勢をとることもあります。

増額交渉(弁護士なし)

過失割合は、最終的に受け取れる賠償金額を左右する重要なものです。示談交渉は弁護士に代行してもらうことがお勧めです。

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弁護士プロフィール

岡野武志弁護士

(第二東京弁護士会)

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。


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