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交通事故の治療が終わったら示談金の獲得に向け保険会社と交渉していくことになります。
でも少しお待ちください。
目次
実際の交渉の前に示談金について知り、十分納得のいく解決を目指しましょう。
裁判外で紛争の和解(示談)をする際に支払われる損害賠償金
示談では、被害者に生じた損害を加害者が補償することになります。
交通事故によって生じた損害額を算定したものが示談金となります。
示談金、つまり交通事故で被害者に生じた損害には以下のようなものが含まれます。
共通 | 治療関係費 |
---|---|
修理費など | |
休業損害 | |
傷害事故の場合 | 傷害慰謝料 |
後遺症が残った場合 | 後遺障害慰謝料 |
後遺障害逸失利益 | |
死亡事故の場合 | 死亡慰謝料 |
死亡逸失利益 | |
葬儀費 |
傷害の治療のために支払った費用などが含まれます。
治療費、通院のための交通費、看護料、入院雑費、診断書作成料などが含まれます。
義手や車いすなどの器具、自宅の改造費なども相当な範囲で認められます。
物品に生じた損害を原状回復するための費用などが含まれます。
車の修理費、事故車になったことによる価値の下落ぶんなどが含まれます。
その他含まれる費用についてはこちらの記事が参考になります。
治療のための入通院期間に得られたはずの収入などを補償するものです。
傷害を負う、後遺症が残る、本人または近親者が死亡すると精神的苦痛が生じます。
その精神的苦痛に対し、慰謝料が支払われます。
それぞれを傷害慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料といいます。
事故にあわなければ将来獲得できたはずの収入の喪失に対する補償です。
死亡事故の場合、葬儀費用についても相当な範囲で認められます。
これらの中で、交渉により増額できる項目は多くあります。
一般的には、慰謝料が最も増額できる可能性のある項目です。
交通事故の示談金が振り込まれるまでは、以下のような流れがあります。
示談交渉は症状が固定されるか、後遺障害等級が認定されるまでは通常行いません。
相手方の保険会社から示談金額が提示されて、示談交渉がスタートします。
それから事実関係に争いがなければ、3カ月以内に示談が成立することが多いです。
振り込まれるまでも時間がかかるので、最短で3カ月強で示談金が振り込まれます。
では示談金の主な項目について、どういった計算がなされるのか簡単に見てみましょう。
以下に述べるのは、弁護士が交渉した場合の弁護士基準での計算法です。
慰謝料については、次項で解説します。
原則として、治療費は支払った全額が支払われます。
他に付添人がいる場合の看護料、入院雑費などが1日あたり定額で支払われます。
実際の修理の見積もり額、中古車の取引相場などから算定します。
基礎収入×休業日数で計算します。
実際に基礎収入や休業日数の導き方については、こちらの記事もご覧ください。
原則として、
で決定します。
一日あたりの基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数で計算します。
労働能力喪失率・ライプニッツ係数などの概念については、こちらの記事に詳しい説明があります。
被害者が死亡した場合、150万円を上限として実費が認められます。
実際にこれらの金額を計算せずとも、自動で慰謝料を計算してくれる慰謝料計算機があります。
面倒な登録などは一切不要ですので、気軽にお試しください。
では、交通事故で傷害を負った場合の慰謝料はいくらになるのでしょうか。
傷害事故の慰謝料は、原則として傷害の種類、入院日数・期間で決定します。
を利用して計算します。
実際は、入通院に関わる事情や傷害の部位・程度によって費用が増額されることもあります。
例えば被害者が幼児の母親であり入院を短縮したような場合に、増額が認められます。
入院のみの場合は入院期間、通院のみの場合は通院期間に該当する額が傷害慰謝料となります。
入院後に通院があった場合は、該当する月数が交差する額になります。
例えば、入院3カ月・通院3カ月の場合の傷害慰謝料は188万円になります。
入院待機中の期間や安静を要する自宅療養期間も入通院期間とすることがあります。
また、通院が長期にわたる場合は実通院日数の3.5倍程度を通院期間との目安とすることがあります。
Q2別表2|むちうち・打撲など軽傷の示談金の慰謝料相場は30万円?
他覚所見(MRIやCT画像などの医学的根拠)のないむちうちなどはこちらの表を参照します。
こちらの表で、打撲で通院を1カ月と20日続けた場合、慰謝料はいくらになるのか計算してみましょう。
まず通院1カ月の部分の金額(19万円)を見る。
残りの20日ぶんは、(翌月分-今月分)÷30日の計算式で1日あたりの慰謝料を求め、それに20をかける。
本件では、19万+(36万-19万)÷30日×20日=30万3333円
1カ料月と20日の通院の慰謝は約30万円となる。
こちらでも通院が長期にわたる場合は、実通院日数の3倍程度を通院期間の目安とすることがあります。
Q3死亡事故の場合の慰謝料相場は?
被害者が死亡した場合、被害者の家庭内での地位により慰謝料が変動します。
具体的な事情により増減されますが、一応の目安は以下の通りです。
弁護士基準
死亡慰謝料
家庭内での地位 金額 一家の支柱 2800万円 母親・配偶者 2500万円 その他* 2000~2500万円 *独身の男女・子供・幼児等
Q4後遺症が残った場合の慰謝料相場は?
被害者に後遺障害が残った場合、後遺障害慰謝料が別途受け取れます。
その額は後遺障害等級によって決定します。
弁護士基準
後遺障害慰謝料
1級* 2級* 3級 4級 2800万 2370万 1990万 1670万 5級 6級 7級 8級 1400万 1180万 1000万 830万 9級 10級 11級 12級 690万 550万 420万 290万 13級 14級 180万 110万 *1級、2級など重度の後遺症の場合は、近親者にも別途300万程度の慰謝料請求権が認められる。
Q5自賠責基準と弁護士基準|慰謝料の比較
ではこれらの弁護士基準での相場が、相手方の自賠責保険が補償してくれる額とどれほど異なるか見てみましょう。
任意保険会社の提示額も、自賠責基準と同等~弁護士基準以下であることがほとんどです。
比較
自賠責基準と弁護士基準
自賠責基準 弁護士基準 傷害慰謝料 4200円/日 入通院日数・期間で計算 後遺障害慰謝料 32万~1600万円 110万~2800万円 死亡慰謝料 350万~1300万円 2000万~2800万円 弁護士基準での慰謝料を個人で交渉し獲得するのは難しいです。
相手方の任意保険会社の担当者は自社の負担が重くなることは避けようとします。
それでも弁護士に依頼することで、より多くの譲歩を引き出し示談金を高額にすることができます。
交通事故の示談金は、弁護士がつくことで2~3倍以上の増額が見込めることもあります。
保険会社から提示された額が適正かどうか、通院の方針が間違っていないか、交通事故後には不安がつきまといます。
治療が終わる前から弁護士に相談しておくことで、後々の交渉が有利になる場合があります。
アトム法律事務所ではLINE・電話での無料相談を受け付けています。
24時間利用できる窓口を用意して、被害者の方ひとりひとりにあったアドバイスをいたします。
交通事故においては、個人の力で保険会社と交渉し納得のいく示談をすることは困難です。
治療中の通院頻度が低かった、漫然と治療を続けた…などの理由で、慰謝料が低くなる場合もあります。
なるべく早めに、専門家に相談することが慰謝料増額のカギです。
まずはお気軽にご相談ください。
野尻大輔
実際は症状固定までに半年、後遺障害等級の認定に一年以上かかることもあります。
また過失割合などに争いがあると、示談交渉から裁判になる可能性もあります。
よって、一概にどのくらいで示談金が振り込まれるとは言えません。
なお、弁護士に依頼することで示談交渉をスムーズに進められる場合もあります。