作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)

自賠責保険慰謝料

自賠責保険の慰謝料|計算式は4,200円✖治療期間?支払いまでの期間は?

日額4200円?減額も?

自賠責保険だと、慰謝料いくらもらえる?」

「自賠責保険の慰謝料は少ないって本当?」

このようなお悩みをお持ち方もおられるでしょう。

自賠責保険では、慰謝料の算定方法は、法令に定められています。
いわゆる「自賠責基準」と呼ばれるものです。

たとえば、入通院慰謝料(傷害慰謝料)は、次のうちいずれかの計算式で算定されます。

日額4,200円 ✖ 治療期間
日額4,200円 ✖ (実治療日数✖2倍)

慰謝料には、入通院慰謝料のほか、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3種類があります。
そして、それぞれ算定方法が異なります。

  • 自賠責の入通院慰謝料とは?金額は?
  • 自賠責の後遺障害慰謝料とは?金額は?
  • 自賠責の死亡慰謝料とは?金額は?
  • 慰謝料の減額理由は?減額割合は?
  • 慰謝料の請求方法は?支払われる時期は?
  • 増額する方法は?弁護士基準とは?

今回は、このような「自賠責保険の慰謝料」にまつわる疑問を解説していきます。


1

自賠責保険の慰謝料(入通院)相場は?

イメージ画像

日額4,200円✖通院日数✖2倍?

交通事故の慰謝料とは…

交通事故の慰謝料には、以下の3種類があります。

入通院慰謝料(傷害慰謝料)

後遺障害慰謝料

死亡慰謝料

それぞれの内容は、次のとおりです。

入通院慰謝料(傷害慰謝料)

交通事故に遭い入通院を余儀なくされたことに対する慰謝料

後遺障害慰謝料

後遺障害に対する慰謝料

後遺障害の重さに応じた慰謝料金額が支払われる

後遺障害について等級認定を受ける必要がある

死亡慰謝料

死亡に対する慰謝料

自賠責の入通院慰謝料(傷害慰謝料)の計算式は?

自賠責保険の入通院慰謝料(傷害慰謝料)は、1日につき4,200円支払われます。

対象となる日数は、被害者の傷害の態様、実治療日数その他を勘案して、治療期間の範囲内の日数とされています。

具体的には、治療期間または実治療日数の2倍のうちいずれか少ない日数をかけて計算します。

日額4,200円 ✖ 治療期間
日額4,200円 ✖ (実治療日数✖2倍)

実治療日数というのは、実際に治療した日数のことです。
治療期間は、治療開始から治療終了までの日数のことです。

実治療日数
実際に治療した日数のこと
(例)入院日数、通院日数
治療期間
治療開始日から治療終了日までの期間

実際に計算をシュミレーションしてみると…

たとえば、ムチウチで整形外科に通院したとします。
通院は、週3日のペースで3ヵ月間継続したとします。

この場合、実治療日数は36日で、その2倍は72日となります。

一方で、通院期間は、1ヵ月は30日と考えるため90日となります。

そして、90日と72日を比べると、「通院期間」よりも「実治療日数の2倍」のほうが少ない日数になります。
したがって、計算式は次のとおりです。

4,200円✖72日=30万2,400円

自賠責基準と対比されるものとして、弁護士基準があります。
弁護士基準は、実際の裁判の相場をもとにした基準です。

慰謝料の増額を目指したい方は、こちらの記事もご覧ください。⇊

上限は120万?交通費・休業損害も含む?

自賠責には、保険給付に上限金額が設定されています。
傷害による損害、後遺障害による損害、死亡による損害のそれぞれについて、上限金額が存在します。

入通院慰謝料(傷害慰謝料)は、「傷害による損害」に含まれます。

「傷害による損害」は120万円が上限金額です。

「傷害による損害」は、入通院慰謝料(傷害慰謝料)のほかに、治療関係費、文書料その他の費用、休業損害を含みます。
これらすべてが、120万円でまかなわれます。

120万円を超えた場合、加害者が任意保険に加入しているときは、あらためて任意保険の保険会社の支払基準で計算されます。

治療関係費とは?

治療関係費とは、応急手当費、診察料、入院料、投薬料・手術料・処置料、通院費、転院費、入院費または退院費、看護料、諸雑費、義肢等の費用、診断書等の費用などをさします。

文書料その他の費用とは?(必要かつ妥当な実費)

「文書料その他の費用」については、必要かつ妥当な実費について保険金給付を受けとることができます。

文書料とは、交通事故証明書、被害者側の印鑑証明書、住民票等の発行の費用をさします。

「その他の費用」とは、治療関係費及び文書料以外の損害であって、事故発生場所から医療機関まで被害者を搬送するための費用等です。

休業損害とは?

休業損害は、交通事故によって仕事を休まざるを得なくなったために生じた損害のことです。

休業損害は、休業による収入の減少があった場合または有給休暇を使用した場合に、1日につき原則として5,700円支払われます。

ただし、立証資料等により1日につき5,700円を超えることが明らかな場合は、1日につき1万9,000円を限度として、実額を支給してもらえます。
給料明細書などを立証資料とすることが考えられます。

休業損害

収入の減少、有給休暇の使用による損害

原則:1日につき5,700円

例外:1日につき1万9,000円までの実額

休業損害の対象となる日数は、基本的には実休業日数(=実際に休んだ日数)が基準になります。
「休業の必要性」が認められる実休業日数が対象になります。

休業損害について詳しくはこちらをどうぞ。⇊


2

自賠責保険の慰謝料(後遺障害)相場

「後遺障害等級表」による相場

後遺障害というのは、治療が終了した後に残っている障害のことです。

このような障害は、「後遺症」と呼ばれていると思います。
この「後遺症」の重さを認定する手続きが、後遺障害認定です。
後遺障害認定の申請をして、等級が認定された後遺障害についてのみ、後遺障害慰謝料の支払いを受けることができます。

認定された等級に応じた慰謝料金額が設定されています。
後遺障害に対する慰謝料の金額は、原則として、次のとおりです。⇊

介護が必要な場合

自賠法施行令別表第1(要介護第1級・第2級)
1 2
1,600万円 1,163万円

介護が不要の場合

自賠法施行令別表第2(第1級~第14級)
1 2 3
1,100万円 958万円 829万円
4 5 6
712万円 599万円 498万円
7 8 9
409万円 324万円 245万円
10 11 12
187万円 135万円 93万円
13 14
57万円 32万円

どのような後遺障害が何級に認定されるのか?

自賠責の後遺障害等級表については、こちらをどうぞ。⇊

上限金額は?逸失利益もふくむ?

後遺障害による損害には、慰謝料のほか、逸失利益も含まれます。

逸失利益とは?

後遺障害に関する逸失利益というのは、後遺障害がなければ得られたはずの利益のことです。

逸失利益とは

本来の労働能力で得られたはずの収入と、労働能力喪失後の収入の差額が、逸失利益です

逸失利益+慰謝料…上限は?

このような逸失利益を含めた後遺障害に関する損害上限金額は、次のとおりです。

介護が必要な場合

自賠法施行令別表第1(要介護第1級・第2級)
1 2
4,000万円
100%)
3,000万円
(100%)

介護が不要の場合

自賠法施行令別表第2(第1級~第14級)
1 2 3
3,000万円
100%)
2,590万円
100%)
2,219万円
100%)
4 5 6
1,889万円
92%)
1,574万円
79%)
1,296万円
67%)
7 8 9
1,051万円
56%)
819万円
45%)
616万円
35%)
10 11 12
461万円
27%)
331万円
20%)
224万円
14%)
13 14
139万円
9%)
75万円
5%)

逸失利益の計算方法は?

逸失利益は、年間収入額または年相当額に、後遺障害の等級ごとに設定されている「労働能力喪失率」と、後遺障害確定時の年齢における就労可能年数のライプニッツ係数を乗じて算出します。

逸失利益の計算式

年間収入額✖労働能力喪失率✖ライプニッツ係数

労働能力喪失率というのは、後遺障害によって、どのくらい働けなくなったのかという割合です。
先ほどの表において、かっこ内のパーセントが労働能力喪失率です。
後遺障害の等級が重くなればなるほど、症状が重いため労働能力喪失率は高くなります。

ライプニッツ係数というのは、中間利息控除のための係数です。
中間利息控除というのは、将来支払われるはずのお金を現段階で受け取ることになる場合、その分の利息を差し引くという考え方です。

くわしい計算方法の解説はこちら。

逸失利益の詳しい計算方法については、こちらをご覧ください。⇊


3

自賠責保険の慰謝料(死亡)は主婦や子供でちがう?

本人350万/遺族550万~

自賠責保険では、死亡ご本人の慰謝料は350万円です。

自賠責保険の死亡本人の慰謝料
本人 350

※慰謝料の単位は万円

ご遺族で慰謝料を請求できるのは・・・

被害者の父母(養父母を含む。)

配偶者

子(養子、認知した子、胎児を含む。)

です。

慰謝料金額については、請求権者1人の場合は550万円、2人の場合は650万円、3人以上の場合は750万円となり、被害者に被扶養者がいるときは、さらに200万円が加算されます。

自賠責保険の死亡慰謝料まとめ
被害者本人 遺族 被扶養者あり
350 1 550 200
2 650
3人以上 750

※慰謝料の単位は万円

上限金額は?(3,000万)

死亡に関する損害の上限金額は、本人・遺族の慰謝料のほか、葬儀費、逸失利益を含めて3,000万円です。

弁護士基準は?(一家の支柱2,800/主婦2,500/子供2,000)

弁護士基準によると、死亡慰謝料の相場は次のとおりです。

弁護士基準の死亡慰謝料
金額
一家の支柱 2,800
主婦・母親 2,500
高齢者 2,000
2,500
子供

裁判で争う場合には、このような金額が見込めます。
自賠責保険の金額と比べると、大きな差があります。

4

自賠責保険の慰謝料が減額されるケース

過失割合70~90%で2~5割減額?

被害者に重大な過失がある場合、自賠責保険金は減額されるというルールがあります。

被害者の過失が70%以上を占める場合、減額の対象になります。

減額される割合については、次の表のとおりです。

被害者の
過失割合
減額割合
後遺障害
死亡
傷害
70%未満 減額なし 減額なし
7080%未満 2割減額 2割減額
8090%未満 3割減額
90100%未満 5割減額

自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準より

どんなときに「重大な過失」がある?

過失割合については、事故類型別検索表というものがあります。

事故当事者の区分、事故発生場所、事故態様の区分に応じて、過失割合が定まります。

信号機の設置されていない交差点

信号機の設置されていない交差点において、直進車Aと右折車Bが衝突した事故について検討します。

事故状況図

このような場合、通常、Aの過失は20%、Bの過失は80%とされます。

ただし、ほぼ同幅員の生活道路だった場合、Aの過失は30%、Bの過失は70%とされる可能性があります。

一方が優先道路の場合

一方が優先道路の場合、優先車Aと劣後車Bが衝突した事故を検討します。

事故状況図

このような場合、通常、Aの過失は10%、Bの過失は90%とされます。

ただし、優先道路といえども、幹線道路、片側二車線以上ある道路及び中央分離帯が設置されている道路など優先性が明らかな優先道路ではない場合、過失割合はA:B=20:80にとどまる可能性があります。

過失割合の事例をもっと知りたい方へ。

具体的な事故類型について、過失割合を解説した記事はこちらです。⇊


5

自賠責保険の慰謝料はいつもらえる?

請求の流れは?

人身事故発生から自賠責保険への請求の流れは、次のとおりです。

請求から支払いまでの流れ

① 人身事故の発生

② 保険金の請求

③ 請求の必要書類を提出

④ 事故・損害の調査

損害保険料率算出機構の調査事務所による調査

事故の発生状況、自賠責の対象となるか、傷害と事故の因果関係、損害額などを調査

⑤ 支払金額の決定

⑥ 自賠責保険金の支払い

保険金の請求期限については、次のとおりです。⇊

請求の期限(被害者から自賠責へ)
請求区分 いつから いつまで
傷害 事故発生 事故の発生から
3年以内
後遺障害 症状固定 症状固定時から
3年以内
死亡 死亡 死亡してから
3年以内

請求に必要な書類については、次のとおりです。⇊

請求に必要な書類(被害者から自賠責へ)
死亡 後遺
障害
傷害
保険金支払請求書
交通事故証明書
事故発生状況報告書
医師の診断書
死亡診断書
診療報酬明細書
通院交通費明細書
付添看護自認書
休業損害の証明
印鑑証明書
住民票 等
委任状および印鑑証明
戸籍謄本
後遺障害診断書
レントゲン写真等

支払いまでの期間(目安)

事故調査が終わったら、支払額が決定されて支払われます。
損害調査の所要日数は、次のとおりです。

死亡 後遺障害 傷害
30日以内 79.5 80.3 98.7
3160 10.3 10.7 0.9
6190 3.8 4.9 0.3
90日超え 6.5 4.0 0.1

全体の割合でいうと・・・

30日以内:97.0%

31~60日:1.8%

61~90日:0.7%

90日超え:0.5%

という数値になっています。

保険金請求をして事故調査が完了するまで30日程度かかるため、保険金支払いは、それ以降になりそうです。

6

自賠責保険の慰謝料を増額するには…弁護士に無料相談

弁護士基準の慰謝料相場とは?

弁護士基準の場合、自賠責保険の基準額を大幅に上回ることができます。

慰謝料金額相場の3基準

なぜならば、裁判の相場をもとにした基準で、被害者保護に厚いからです。

自賠責基準と弁護士基準の相場の違いは?

入通院慰謝料については、次のような差が出ます。

入通院慰謝料の目安
自賠責基準 弁護士基準
通院2ヵ月
(実日数20日)
168,000 52万円
入院1ヵ月
通院6ヵ月
(実日数60日)
63万円 149万円

後遺障害慰謝料については、次のような差が出ます。

後遺障害慰謝料の目安
自賠責基準 弁護士基準
1 1,100万円 2,800万円
5 599万円 1,400万円
9 245万円 690万円
12 93万円 290万円
14 32万円 110万円

ご自身の交通事故について、慰謝料相場を確認されたい場合は、こちらの慰謝料自動計算機をご利用ください。

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加害者が自賠責保険にしか加入していなかった場合、自賠責保険に請求するほか、加害者自身に損害賠償請求をすることも考えられます。

どのような手段で損害賠償金を獲得するか、ご相談は早ければ早いほど選択肢は広がります。

自賠責への請求方法や、慰謝料の相場について確認したい方など、是非お気軽に弁護士の無料相談をご活用ください。

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弁護士プロフィール

岡野武志弁護士

(第二東京弁護士会)

全国10事務所体制で交通事故被害者の救済に取り組んでいる当事務所の代表弁護士。2008年の創業以来、幅広い間口で電話・LINE・メール相談などに無料で対応し、2019年現在は交通事故被害者の救済を中心に精力的に活動している。フットワークの軽い行動力とタフな精神力が強み。