作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)

交通事故保険

交通事故|健康保険で治療NG?保険会社との交渉とは?保険金は税金の対象?

保険で治療不可?

交通事故の被害にあったら、ケガの治療の問題(=どうやって治していくのか)と、補償の問題(=慰謝料・保険金を適正に受けとることができるのか)が注目すべき点となります。

  • ケガの通院・治療に健康保険は使える?
  • 慰謝料・保険金はどうやったらもらえる?
  • 保険金は税金の対象になる?

さまざまな疑問がでてきます。順番にみていきましょう。


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交通事故の治療、保険証持参で通院治療も「健康保険」が使えます

交通事故の治療に健康保険を使うときのポイント

交通事故で負ったケガは健康保険を利用して治療できます。その際には、被害者の健康保険組合第三者行為による傷病届交通事故証明書を提出しましょう。

「第三者行為による傷病届」は
全国健康保険協会のホームページなどから書式がダウンロードできます。

【比較】健康保険を使う保険診療?使わない自由診療?

健康保険を使う診療を保険診療といいます。一方で、健康保険を使わない(保険適用外)診療を自由診療といいます。大きな違いは、治療内容制限の有無負担割合のちがいです。

保険診療と自由診療のちがい
保険診療 自由診療
治療内容の制限 あり なし
被害者の負担額 3 全額

治療内容の制限については、今はほとんどの治療が保険診療で行えますので、健康保険をつかう治療ではケガが治らないことはほぼありません。ここで注目すべきは、保険診療は3割負担、自由診療は全額負担という負担額のちがいです。

加害者が加入している保険を確認しましょう。大きく2つあり、加入義務支払金額(補償金額)が異なります。
<加害者加入保険>

自賠責保険

任意保険

自賠責保険と任意保険のちがい
自賠責保険 任意保険
加入義務 義務的 任意的
支払金額 最大120万円 保険会社による

加害者の加入保険が自賠責保険のみの場合、支払われる傷害分の賠償金は最大合計120万円です。120万円は、通院費・休業補償・診断書作成費などを含む金額です。

もし合計して120万円を超過してしまい、加害者が任意保険未加入の場合は、次の2つの方法で超過分を補てんするしかありません。

被害者自身が加入している保険をつかう

加害者本人に直接支払いを求める

加害者側の保険(自賠責・任意)や、被害者側の保険を詳しく解説している記事もありますので、参考にしてください。

加害者が任意保険に加入している場合、120万円を超えた分については任意保険会社が補償します。しかし、「治療が不必要・不相当」と判断されることもあります。そうなると、120万円を超えた分がすべて戻ってくるとは限りません。万が一のことをかんがえ、治療費をおさえて損はありません。

まとめ

交通事故の治療に「健康保険」はつかえる

「健康保険」をつかわない「自由診療」も選択できる

「保険診療」で治療費をおさえておくほうが良い

病院での「健康保険」は使えないと言われた、との声を耳にしますが、問題なくつかえます。ほかにも関連記事がありますので、参考にしてみてください。


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交通事故発生|加害者の保険会社へ慰謝料請求・保険金支払いの流れ

「保険金」と「慰謝料」はどう違う?いつ支払われる?

保険金慰謝料はそれぞれ意味がちがいます。保険金とは、保険会社が支払う金銭全般をいいます。慰謝料とは、交通事故などの他人の不法行為によって被った精神的苦痛を緩和・除去するための金銭的補償を指します。

交通事故では、「示談金」という言葉もよくつかわれます。示談金は、事故の示談の結果、被害者に支払われる最終的な賠償金の合計です。示談金保険金も、被害者からみると「保険会社から支払われる金銭」という点で同じです。

交通事故の慰謝料

慰謝料は、保険会社が支払う示談金(保険金)に含まれています

保険金が支払われる時期は保険会社によって異なりますが、ここでは大きく3つに分けてみます。

支払いの時期

加害者の自賠責保険:請求後または示談後

加害者の任意保険:示談後(保険により異なる)

被害者の任意保険:請求後(保険により異なる)

加害者の自賠責保険が請求後または示談後となっているのは、加害者の任意保険が使われるかどうかによります。任意保険を使用する場合は、任意一括払といい任意保険の会社が自賠責保険の分まで一括で支払うため、示談後の支払いとなります。

ケガの完治、または症状固定後に示談がはじまります。症状固定とは、治療を継続しても、これ以上の改善が期待できないと医師に判断されたタイミングのことです。事故発生から治療・症状固定を経て示談となるので、保険金の受けとりまでは一定の時間がかかります。

症状固定のタイミング
まとめ

被害者からみると保険金の中に慰謝料が含まれている

加害者の任意保険会社からの「保険金」はすぐには支払われない

被害者の任意保険からの「保険金の支払時期」は、契約内容で異なる

保険会社に請求すると支払われるものは?通院交通費はOK?

通院交通費も「治療関係費」として支払われます

加害者の自賠責保険会社に請求すると支払われる「治療関係費」を列挙します。

応急手当費

診察料

入院料

投薬料・手術料・処置料など

交通費(通院、転院、入退院)

看護料

諸雑費

柔道整復・義肢などの費用

診断書などの作成費用

自賠責保険には支払上限があります。上記の治療関係費以外の休業損害傷害慰謝料も含み、最大合計120万円の上限があることは考慮しておきましょう。

保険会社に治療費支払いの打ち切りを言われたら?

保険会社から慰謝料の治療費の支払い打ち切りを提案されてしまい、どうしたらいいかわからないという声もよく聞きます。

打ち切りを回避するためには、治療継続が必要であることを加害者の保険会社に伝えて交渉しましょう。治療中であることを示す客観的な証拠(医師の見解、検査画像)を提示するなど、説得力のある交渉が必要です。

弁護士に相談

治療中だから支払いを打ち切られるわけにはいかない。でも、ケガの治療を継続したい…ケガの治療が優先ですから、当たり前のことです。もし交渉をお考えの方は、専門家である弁護士への相談をおすすめします。

交通事故治療の通院頻度が低いと慰謝料が減る?

慰謝料の算出基準は、自賠責保険の基準任意保険の基準、そして裁判・弁護士の基準の3つがあります。任意保険の基準は一般公開されていませんが、裁判・弁護士基準が最も慰謝料相場が高いです。

慰謝料金額相場の3基準

しかし、どの算出方法でも通院期間が適正でない(長引いている)、頻度が低い、などと判断されると、算出方法が若干変わり、結果として入通院慰謝料が低くなることがあります。

後遺障害等級の認定においても、通院の頻度は重要です。頻度が低いと後遺障害は「非該当」と判断されることもあり、後遺障害慰謝料はもらえません。

異議申し立ては可能ですが、容易には認められません。医師と十分話し、適切な通院頻度で治療しましょう。非該当となってしまった場合については、次の記事で解説していますので、参考にしてください。

見舞金を受け取ると、慰謝料が減る?

見舞金が慰謝料に含まれるのかは、加害者に確認をしましょう。また、そもそも見舞金を受けとるのかも考える必要があります。刑事手続きにおいて、加害者に有利な事情となりえるからです。受けとる前に、弁護士に相談するとよいでしょう。

ポイント

見舞金が慰謝料に含まれるかは、加害者に確認

見舞金を受けとるかどうかは、弁護士と相談しましょう。受けとることで、加害者の刑事処罰が軽くなる可能性もあります。

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慰謝料・保険金は税金がかかる?確定申告が必要?

保険金・慰謝料・見舞金は原則税金がかかりません

保険金・慰謝料・見舞金は非課税です。したがって確定申告も不要です。しかし、一部例外もあります。

【例外:死亡保険金】保険金に税金がかかる場合

損害賠償の性質を持たない場合、死亡保険金の受けとりには税金がかかります。

死亡保険:損害賠償の性質有無
損害賠償の
性質あり
損害賠償の
性質なし
加害者側加入 自賠責・任意保険の
死亡保険金
被害者側加入 無保険車傷害保険 搭乗者傷害保険
人身傷害保険*

*被害者の過失割合相当部分のみ

「損害賠償」を意味する保険金には税金がかかりませんが、「損害賠償」でない場合は税金がかかります。どのような税金がかかるのかさらに詳しく知りたい人は、以下の記事もご覧ください。


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交通事故での保険金・慰謝料のお悩み、保険会社との交渉は弁護士へ

【慰謝料計算機】自動で慰謝料計算がすぐできます

被害者が受けとる慰謝料の計算方法は複雑です。事故の内容や治療状況を入力するだけで、自動で簡単に計算できる「慰謝料計算機」をご活用ください。

【無料相談】24時間・365日受け付け窓口はこちら

交通事故に関する保険や慰謝料の問題は、早めの行動が大切です。時間がたつほど事故発生時の状況が分からなくなったり、証拠が失われていくからです。また、実務のプロである弁護士への相談は、治療に専念するためにも有効です。

アトム法律事務所は、24時間・365日相談を受け付けています。LINEや電話での相談もできます。土日祝など混み合う時間帯は、順番をお待ちいただくこともあります。お早めのご連絡をおすすめいたします。


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まとめ

交通事故の治療に「健康保険」をつかう・つかわない?いくら変わる?

保険金を受けとると税金がかかる?
保険は複雑なことがたくさんあります。被害者が個別に判断することはむずかしいので、弁護士に相談してみましょう。

弁護士プロフィール

岡野武志弁護士

(第二東京弁護士会)

全国10事務所体制で交通事故被害者の救済に取り組んでいる当事務所の代表弁護士。2008年の創業依頼、幅広い間口で電話・LINE・メール相談などに無料で対応し、2019年現在は交通事故被害者の救済を中心に精力的に活動している。フットワークの軽い行動力とタフな精神力が強み。